黒い沈黙の行先   作:シロネム

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エデン条約編・予告PV2

 

響き渡る銃声

 

鳴り止まない悲鳴

 

そんな戦場の中心で、正気を保っている者が……3人

 

 

 

「クソッ! ……無事か! 先生!」

 

"う、うん! アロナちゃんのおかげで……、…………アロナちゃん?"

 

「……やはり仕掛けてきたか。……陸八魔!」

 

「分かってるわ! 3()()()()()()()()()!」

 

「掴まってろよ、先生」

 

"う、うん"

 

 

 

1st 充電率035%

 

 

2nd 充電率070%

 

 

 

 

3rd 過充電150%

 

 

 

 

「――行くわよ」

 

 

 

 

――雷震――

 

 

 

 

爆炎に包まれた戦場に奔る衝撃

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

逃げ場が無いよう、網目状に敷かれた雷によって感電した生徒達

 

 

 

「……我慢しろよ。すぐに巻き戻して……」

 

 

 

空中に身を投げ、手袋から取りだした黄金銃を構えたローラン

 

 

……しかし、

 

 

 

 

――その黄金銃が使われることは無かった

 

 

 

 

 

「何処に行こうと言うんだ? ローラン」

 

「キャハハッ! まだ料理の途中じゃないか! ローラン!」

 

 

 

 

――昨日の約束(プルート)――

 

――8人のシェフ(グレタ)――

 

 

 

 

「…………うそ……だろ……。…………なんで、お前たちが……」

 

 

 

不正な手段によって招かれた、残響楽団

 

翼だけに留まらず、残響楽団とも共謀していたアリウス

 

取引によって取得した、聖徒会の複製

 

 

 

「――排除させてもらう。……シャーレの先生」

 

 

 

――魔法による遠距離攻撃と、調理器具による近接攻撃

 

E.G.Oを発動する隙すらも与えない波状攻撃は、

 

 

 

着実に、ローランを()()()()()()()()ていった

 

 

 

 

「クソッ! お前ら、そこをどけ!!」

 

「これはこれは……、お急ぎのようで」

 

「カッカッカッ!!! あの女を失うのが、そんなに怖いのかい!」

 

 

 

飛び交う魔法

 

戦場に響く甲高い剣戟の音

 

 

遮られた視線の先で……

 

 

 

…………やめろ

 

 

 

銃口を向けられた無防備な姿

 

脳裏を過るあの日の惨状

 

 

 

 

「やめてくれ…………」

 

 

 

 

面影を宿した後ろ姿

 

今も記憶に残り続ける幻影

 

武器を投げ捨て、咄嗟に手を伸ばしたローランの先で

 

 

 

 

 

一発の銃弾が、先生の身体を撃ち抜いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――――先 生(アンジェリカ) !!!!」

 

 

 

 

 

(バンッ)

 

 

 

 

 

 

「……どうやら、準備が整ったみたいですね」

 

「カッカッカッ!!! あのローランをねじれさせるとは、相変わらず趣味が悪いねぇ!」

 

「いえいえ、生徒で料理を作る貴方程ではありませんよ」

 

 

 

 

「「(キャ)ハハハハッ!!」」

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

散り散りになった仲間

 

送られてきた一通のメッセージ

 

示された時間と座標

 

 

 

「……アズサちゃん?」

 

「……ヒフミ。

 

 

 

――お別れを言いに来た」

 

 

「…………えっ」

 

 

 

数日間の思い出が作り上げた

 

仮初の絆

 

 

 

「ありがとう、ヒフミ。……こんな、()()()()()()()()()仲良くしてくれて……」

 

「アズサ……ちゃん……?」

 

「私は、あくまで白洲アズサという記憶を継承した……ただのクローンだ。……翼の実験体として生み出され、戦わされ続けてきただけの人形」

 

「なにを言って……」

 

 

 

 

キヴォトスに招かれざる異端な存在

 

 

――翼――

 

 

その一つであるR社とアリウス分校生徒会長の手によって仕組まれた計画

 

 

 

神秘複製化計画・成功症例第4号

 

 

 

 

「――それが私。……ヒフミとは、そもそも住む世界が違うんだ」

 

「そんなことは……」

 

「薄汚れた私が、……平凡で優しいヒフミと、同じ世界を歩いて良い筈がない」

 

 

 

 

陰と陽

 

光と影

 

絶対に交わるはずのない存在

 

 

 

 

交わってはいけなかった存在

 

 

 

 

「……私はこれから、アリウスを潰す。……同族を殺し、翼を折って……、

 

 

――この命を捨てる」

 

 

「アズサちゃんっ……!」

 

 

「だからヒフミ。……最後に、お礼を言っておきたかったんだ。

 

私を、友達だと思ってくれてありがとう。

 

可愛いぬいぐるみをくれてありがとう。

 

海に連れて行ってくれてありがとう。

 

 

 

――楽しい思い出を、ありがとう」

 

 

 

「まっ…………待って! 最後だなんて、言わないでください!

 

……い、行かないでください……、……アズサちゃん、ダメです、行かないで……」

 

 

 

「――アズサちゃんっ!!!」

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

武器を手放し、崩れ落ちた身体

 

頭を押さえ、虚空へと話しかける滑稽な姿

 

 

 

…………だが、

 

 

 

「おかしい……。……なぜ、ねじれない」

 

「キャハハッ! 何か手順でも間違えたんかえ!?」

 

「そんな筈は。……条件は全て正しい筈。…………いや、違う。

 

 

……これは、まさか」

 

「ハハッ! お前さんが動揺するとはねぇ!」

 

「…………既に、殻が存在しない?

 

……っ……そういう……こと、ですか……。

 

 

 

――最初から、ねじれていたのか! ローラン!」

 

 

 

 

取り出された一冊の本

 

破り取られた2()()()()()()

 

光り輝くページ達は……、

 

 

 

――ローランの姿を、瞬く間に変質させた。

 

 

 

 

――多重同化――

 

――霜の欠片(雪の女王) + 4本目のマッチの火(燃え尽きた少女)――

 

 

 

 

 

「……いいや。……カルメンも言っていたが、ねじれた訳じゃない。

 

 

 

――図書館の幻想体に諭されるとは、思ってもみなかったよ……」

 

 

 

 

幻想体の寵愛を受けし者

 

図書館館長の友人にして、

 

怪物に認められた存在

 

 

 

 

「「「「「愚かで矮小な、我らの管理人(代理人)」」」」」

 

 

 

「……いや、そこまで言わなくても良くないか?」

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

灰色の世界には色が満ち

 

暗い空には光が差す

 

 

「人間じゃないからなんですか! 私が、一緒に思い出を作ったのは、

 

――ここに居る、アズサちゃんじゃないですか!!」

 

「それは……」

 

「クローンだから? 人間じゃないから?

 

そんなの! 私には関係ありません!!

 

アズサちゃんは、アズサちゃんです! 私の大好きな友達の、白州アズサちゃんはあなたです!!」

 

 

 

オリジナルの記憶を持ち、経験を積んだクローンは、果たしてオリジナルより劣っていると言えるだろうか?

 

オリジナルの存在証明

 

 

白州アズサ=白州アズサ

 

 

この数式が崩れる事は、決してない

 

自分を自分たらしめるものは、他者からの認識に過ぎないのだから

 

 

 

(ヒュン)

 

 

 

"お待たせ、代理人"

 

「……先生? どうやってここに……、というか傷は大丈夫なのか?」

 

"まだ痛いけど、大丈夫……。……この場所には、セリナちゃんに連れてきて貰ったよ"

 

「……セリナ? ……イオリじゃなくてか?」

 

 

 

背後から聞こえた空間跳躍の音

 

 

その音がキッカケとなったのか、

 

 

空が晴れていく

 

 

 

――ハッピーエンド――

 

 

この世界の誰もがそれを望み、

 

……事象が書き換わる

 

 

 

"……代理人! 宣言を!"

 

「……あぁ」

 

 

 

「「俺たち(私たち)が、新しいエデン条約機構(ETO)」」

 

 

 

少女の望む、明るくて幸せなハッピーエンド

 

苦難を乗り越えた先にある景色

 

そんな綺麗事が通る物語

 

 

 

 

 

――そんな物が通るのは、御伽噺の中だけだ

 

 

 

 

 

「……カルメン。……遂に捉えたわ」

 

「……まさか、最初に私を観測するのが……あなただとは思わなかったよ。

 

 

 

――ベアトリーチェ先生」

 

 

 

アリウスのバシリカ

 

生贄を捧げ、自身の殻を放棄し、この世界に呼び寄せた翼すらも利用し、

 

 

求め続けた、崇高への

 

 

 

 

ただ一度……

 

たった一度だけ、聴いてしまった美しい声

 

魅惑的で、この世の者とは思えない甘美な声

 

 

 

 

「……あはははははは! これで私は、崇高へと至れる! ……色彩すらも凌駕する力がっ……私の手に!!」

 

 

 

変貌する存在

 

人の器という枷を外し

 

本来あるべき姿へと、生まれ変わる

 

 

 

"……そんなことの為に、生徒を利用していたのか"

 

 

「今、そんなことって……言いましたか? …………あなた程度の存在では、この高位な存在の姿を理解できないのですね」

 

 

"……ベアトリーチェ。……私欲のために生徒を利用したお前を、私は絶対許さない"

 

 

「あはははは! 先生! 神秘も持ち得ず、戦う術もないあなたに何が……」

 

 

"私に出来なくても、ここにはスクワッドのみんながいる"

 

「先生……」

 

 

"それに…………"

 

 

 

 

――戦う術なら、私にもあるよ

 

 

 

 

「…………ッ! ……その本は……まさか……」

 

 

 

"使わせて貰うよ、代理人"

 

 

 

 

★★★★★

 

 

 

 

122対1

 

 

「図書館の力を譲渡してしまったのですか。……その状態で私たちと渡り合えるとでも?」

 

「……あぁ、何一つ問題はない」

 

「キャハハッ! 威勢が良いじゃないか! ローラン!」

 

「この戦力差が目に入らないのですか?」

 

 

 

R社の装備で身を包んだ、

 

ヘイローの無い、総勢120匹のアリウス生徒

 

 

残響楽団――昨日の約束・8人のシェフ

 

 

 

「手札ならある。……使いたくはなかったが、()()()()()()()()()()()()()()()()がな」

 

 

 

工房武器を手袋に仕舞い込み

 

代わりに取り出した一つの武器

 

黒一色に染め上げられたアンジェリカの遺品とは

 

 

 

 

――見た目から異なる、至高の一振り

 

 

 

 

 

 

――共鳴調節――

 

 

 

 

 

「その武器は、まさか……」

 

 

 

青色を基調とした大型の鎌

 

図書館での接待後、置き土産として放棄されていた

 

 

 

 

――青い残響の遺品

 

 

 

 

 

「使わせて貰うぞ、――――クソ義兄(アルガリア)

 

 

 

 

 

 

戦場に響き渡る耳鳴りの様な音

 

超振動刃による斬撃は、

 

クローンの数を、着実に減らしていた

 

 

 

「……どうやら、ここまでのようですね」

 

「キャハハッ! 随分と健闘したみたいだが、私達の相手は出来そうにないねぇ!!」

 

 

 

2対1

 

120もの生徒を殺し尽くし、

 

大量の血と、刈り飛ばされた生首が転がる惨状を作りあげたローランだが、

 

 

残響楽団の2人を相手にするだけの体力は……

 

 

 

「……まだ、だ。まだ終わってない……」

 

「最後まで往生際が悪いですね。図書館の力も使えない今の貴方に何ができると?」

 

「……お前らを、殺す事は出来る」

 

「キャハハッ! 仲間も連れず、一人で来たのが失敗だったねぇ!」

 

「…………勘違いしているみたいだが、

 

 

――俺が一人だなんて、いつ言ったんだ?」

 

 

「なに?」

 

 

 

 

 

 

 

「――今日の私は、JOKERの気分です!」

 

 

 

突如、残響楽団の頭上……その彼方先

 

何も無い虚空から降り注いだ――51枚のトランプ

 

 

「今日は絶好調ですね! に・は・は・は・!!」

 

 

E.G.Oによって生成された、特殊なトランプは、

 

残響楽団の腕や脚を切り裂きながら……地面へと突き刺さった

 

 

 

「にはははは! ノア先輩からの指示で、助太刀に来ましたよ!

 

 

――保証人!

 

「……まだその呼び方なのか……黒崎……」

 

 

左手に軽機関銃を持ち、右手にトランプを握る少女

 

白いタキシードに♠♥️♦️︎♣︎の刻まれたネクタイを身につけ

 

賽子の髪飾りを着けた少女が1人

 

 

 

「援軍を手配するとは聞いていたが、お前だったとはな」

 

「今日の働き次第で、ノア先輩が借金を減額してくれるみたいですからね! 頑張っちゃいますよ~私!」

 

 

 

E.G.Oで生み出したサイコロを振る

 

()()()()()()3()()()()()()()()()()6()()()()()()を確認した2人は

 

 

 

――音速に近い速度で接近し、残響楽団へと斬りかかった

 

 

 

 

 

 

 

周囲に漂う濃厚な血の香り

 

手袋によって生み出された、沈黙のみが支配する戦場

 

死体を確認したローランは

 

 

二度と生き返らないようにと、……残響楽団二人の生首を手袋に収納した

 

 

 

「……ありがとうな、黒崎。ノアには俺の方から活躍を報告しておくよ」

 

「ほんとですか! 絶対ですからね!!」

 

「はいはい」

 

 

 

"代理人ー! そっちは大丈夫ー?"

 

「……どうやら、先生の方も大丈夫みたいだな」

 

 

 

ゲマトリア、翼、残響楽団

 

三つの組織と縁を切り、新たな門出を迎えたアリウススクワッド

 

 

 

 

――それぞれの進む先に、光はあるのか





次回からエデン条約本編へと移行いたします!


お楽しみいただければ幸いです!


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