評価、感想ありがとうございます。
今回からエデン条約編スタートとなります!
もし可能であれば、Luminous Memoryを聴きながら、お読みくださいませ
今回の語り部は、私が務めよう。
外の世界からやってきた君たちに訪れる惨劇。
これから始まるお話は、君たちのようなものには適さない……、……似つかわしくない話かもしれない。
……まぁ、例外というか、そういった話が好きな変わり者も、中にはいるかもしれないが……。
不快で、不愉快で、忌まわしく、眉を顰めるような……、
相手を疑い、前提を疑い、思い込みを疑い、真実を疑うような……、
悲しくて、苦しくて、憂鬱になるような……、それでいて、ただただ後味だけが悪いそんな話だ。
――翼
予期せぬ来訪者。不正な招待客。誰が招いたかも分からない、一方的な略奪者たち。
そんな彼らに対抗するべく、我々エリュシオンが……、連邦生徒会長が使った特異点。
可能性の世界。本来交わる筈が無い世界に対し、同じ世界の者をぶつける。
つまるところ、都市の問題は都市の住民に解決させようとしたのさ。
……しかし、全てが上手くいくことはなかった。
無論、君たちも知っているような成功例も存在はするが……。
――残響楽団
彼らに手を出すべきでは無かった。
……一見すると嘘のようなこの話も、紛れもない真実の話。
キヴォトスと都市の全面戦争
……辛いかもしれないが、どうか背を向けず、目を背けず……最後のその時まで、しっかり見ていてほしい。
それが、先生……。この先を選んだ、現身である君の義務だ。
――補習授業部
ナギサに招待された君たちは、成績の振るわない生徒たちの面倒を押し付けられていたね。シャーレの権限まで使われた挙句、急遽設立された部活動。
その裏に隠された意味を知ったとき、君たちはどう思ったかな?
裏切り者の処分。
ナギサの辞書に、この言葉は存在しないみたいだね。疑いのある者は、皆纏めて罰する。私はこの考えには賛同しかねるが、最終手段としては一考の余地があるとも思っているよ。
阿慈谷ヒフミ、浦和ハナコ、白洲アズサ、下江コハル
皆それぞれ、何かしらの事情によって成績が振るわなかった者。……疑いを懸けられた者、政治的な絡みによって人柱とされた者の集まり。
今でも疑問に思うのだが、ナギサはどうしてミカを疑わなかったんだろうね。ヒフミのことは疑えたというのに……。
……自身の後身。
……きっとナギサは、自分の身が取り返しのつかない事態になった場合に備え、ティーパーティーの代表としてミカを残したかったんだろうね。
まぁ、裏切り者という点を除いても、補習授業部の彼女たちがトリニティの品位に関わるというのは……否定できないが……。
――エデン条約機構
トリニティとゲヘナの間で結ばれる平和条約。実のところ、この条約の成功例は既に存在するのさ。
アビドス、ゲヘナ、トリニティ、ミレニアム、百鬼夜行、山海経、レッドウィンター、ヴァルキューレ、クロノス、ハイランダー、オデュッセイア、ワイルドハント
翼に対抗し、正常なキヴォトスを取り戻すという理念の元、連邦生徒会長によって設立された組織、エリュシオン。
各学園から参加しているメンバーが誰なのか、全員は把握していないが、規模としては決して小さくはないと自負しているよ。
……先生、そんな目で見ないでくれたまえ。私だって全てを知っているわけではないのさ。
年に一度開かれるカンファレンスも、代表者一名の出席となっているからね。
何も知らず、頑張り続けたナギサを否定したくはないのだが、……翼という共通の敵を認識していた我々が手を組むのに、そう時間は掛からなかった。
オーパーツの回収に翼への接触、及び技術や特異点の買収。その過程で犠牲になった生徒は数えきれないが、彼女たちのおかげで様々なモノを得ることができたよ。
……そういえば、言い忘れていたね。君たちのおかげで成績が向上した補習授業部。……理由付けとはいえ、生徒の学力を上げてくれたことに関しては、素直にお礼を言っておくよ。
――アリウス分校
私もそんなことになっているとは思わなかったが、まさか翼が絡んでいるとはね。……それも複数社も。
ゲマトリア。一体どうやって翼と協力しているのか定かではないが……、厄介なことになったね。
K社とR社。
数百人規模のクローン人間に、どんな傷でも治せる治療薬。……蟲毒と言っても過言ではない状態で育てられたアリウススクワッド。
彼女たちに対抗する手段として、シスターフッドに買収したE.G.Oを装備させたが……、
……今思うと悪手だったかもしれないね。鎮圧することはできたが、
――ゲマトリアや翼に、我々が所有するE.G.Oの一部が露呈してしまったのは……痛かった。
それだけに留まらず、残響楽団が
……都市の化け物二人と、数百人のクローン人間を制圧した代理人には、改めて感謝しないとね。……彼が居なかったら、我々は無事に明日を迎えられなかっただろう。
今更だが、彼の戦闘能力はどうなっているんだい? 突出しているとかいう次元ではないと思うのだが……。
――ゲマトリア
聞いた限りの情報にはなるが、彼らは全員ねじれという存在になっているみたいだね。元は人間だった、観測者であり研究者。
彼らが再会を望むカルメンという人物については分からないが、
……そんなことの為にアリウスの生徒を利用した彼女は、許せないね。
人の殻を捨てた究極の存在。肉体の有無に囚われず、崇高な光だけを求め続けた異常者。
……これはあくまで私の推測であり、何の確証もない事実無根な世迷言だが、
――翼をこの世界に呼び寄せたのは、彼女なのかもしれない
証拠はないし、呼び寄せた手段も不明だが、……そう考えると、辻褄があう事象が多すぎる。
vanitas vanitatum. et omnia vanitas.
アリウスがこんな事になってしまった原因の一端は、シスターフッドの前身であるユスティナ聖徒会のせいでもあるのさ。
第1回公会議の後、異端の力を利用してアリウス分校に壊滅的な被害を齎した集団。
――静かなオーケストラ
ロボトミー社が管理していた幻想体ではないが、それ相応の力が込められた遺物。ゲヘナを殲滅するために、ゲマトリアのマエストロから買収した疑似幻想体。
あんなものを作れる彼らも異常だが、それを利用しようと考えた聖徒会も異常だ。
戒律を守護する為なら何をしても良い。犠牲は付き物、殺される方が悪い。
……時には非情になることも必要なのかもしれないが、この考えを私は好まない。
この話の顛末は、言わなくても分かるだろう?
恨みの連鎖、やむことのない痛み、悲鳴と絶望に満ちた戦場。
……それでも、救いは潰えていなかった。……極めて確率の低い結末へと導いた存在、連邦捜査部シャーレ。
楽園に辿り着きし者の真実を、証明することはできるのか
……例外なく、どんな相手でも信じ続ける。
言葉にするのは簡単だが、実行するのは難しい。
……憎み合うのはもうやめようなんて、都合が良すぎたのさ。
不可能だと思っていた。出来るはずが無いと。エデン条約なんて大層な名前を付けた条約が、結ばれるはずがないと。
そう、思っていた。
――けど、例外は存在したみたいだね。
事象を書き換え、解釈を捻じ曲げ、自身が望んだ結末を引き寄せる。……そんな、幸せなエピローグに辿り着くことが出来るなんて、
ほんと、……大したものだよ、先生。
次回、エデン条約編ダイジェスト
次々回から、エデン条約編の本編開始となります
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