黒い沈黙の行先   作:シロネム

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~部長~ 阿慈谷ヒフミ

 

――空き教室

 

 

トリニティ総合学園に存在する空き教室。生徒数に対し、明らかに規模の大きいトリニティには……こうした空き教室が無数に存在していた。

 

その中の一室。

 

補習授業部の部室として定められた教室に向かったローランと先生。……事前に話が通してあったのか、その教室には名簿に名前が書かれていた、一人の少女が待機していたのであった。

 

 

 

「やっぱりお前だったか」

 

"私たちの知ってるヒフミちゃんだったかぁ"

 

「あ、あはは……こんにちは先生、代理人。……あの、これはその、やむを得ない事情がありまして……」

 

 

 

モモフレンズという、キヴォトスで流行している……かもしれないマスコットキャラクターを模した鞄を背負った少女。

 

 

 

――阿慈谷ヒフミ

 

 

 

「やむを得ない事情?」

 

「あうぅ……。……ぺ、ペロロ様のゲリラ公演に参加するために、テストをサボってしまって……」

 

"……"

 

「……」

 

「うぅ……、そ、そんな冷たい目で見ないでくださいぃ……!」

 

"……うん。……これは、問題児ちゃんだね……"

 

「……お前はアビドスのあいつ等と違って、まともだと思っていたんだが」

 

「ま、まともですよ!? ……あ、いえ、アビドスの皆さんがまともじゃないってことではないんですけど……!

 

……こ、これは、何かの手違いなんです!」

 

"手違い?"

 

「うぅ……、ちゃ、ちゃんと試験の日程は確認していたはずなんですっ……」

 

「でも、他の生徒はちゃんと試験を受けたんだろ?」

 

「それはっ……うぅ……ご、ごめんなさい……」

 

"いや、私たちに謝らなくても大丈夫だけど……"

 

「は、はい。えっと、それで……、……その、ナギサ様にお二人のサポートを頼まれまして……」

 

「サポート?」

 

 

 

ヒフミ曰く、……昨晩、ティーパーティーのナギサに、シャーレの手伝いと補習授業部の部長を務めるよう頼まれたらしい。

 

試験を放り出し、ペロロ様のゲリラ公演に参加していただけであって、成績自体に問題がある訳では無いからだと言うが……。

 

 

 

"部長だったんだ……!?"

 

「あ、あくまでも臨時の、ですが……補習授業部は、特殊な形で限定的に作られた部活ですし……、ぜ、全員が落第を免れたら、自然に部は無くなるはずです」

 

「……まぁ、それもそうか」

 

「な、なので、えっと……その時まで、よろしくお願いします。先生、代理人」

 

"うん。よろしくね、ヒフミ"

 

「あぁ、暫くの間よろしくな」

 

「はい! ……こんな状況ではありますが……担当の方がお二人で良かったです。……あ、補習授業部のほかのメンバーには、まだ会われてないんですよね?」

 

"そうだね。丁度これから会いに行こうとしていた所かな"

 

「だな。気になる名前……というか、見覚えのある名前があったから優先して会いに来たんだが……」

 

「あうぅ……。……め、名簿を確認したところ、メンバーは私と含めて4人みたいですし、わ、私も同行します!」

 

"おー、それは心強いね"

 

「阿慈谷が良いなら、一緒に来て貰った方が助かるな」

 

「あ、あはは……ヒフミで良いですよ、代理人」

 

「そうか? それじゃあ、そう呼ばせて貰う」

 

「あはは……。と、とりあえず会いに行きましょうか。……まずはみんなで、どうすれば落第せずに済むかの計画を立てないと……」

 

 

 

無事に補習授業部の部長と合流できたローランと先生は、ヒフミの先導の元、次なる補習授業部のメンバーへと会いに行くのであった。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――正義実現委員会・教室

 

 

 

「あ、あぅ……あんまり来たくはなかったのですが……」

 

 

(ガチャ)

 

 

「えっと、失礼します……どなたかいらっしゃいますか?」

 

「…………ふぇ?」

 

 

 

正義実現委員会に割り当てられた教室。トリニティ自治区内で捕縛した問題児を、収監しておく為の地下牢が隣接されており、

 

 

――正義実現委員会の部員でもない者が、積極的に訪れたいと思うような場所ではないだろう。

 

 

「え、えっと……」

 

"お邪魔するよ~"

 

「邪魔するぞ」

 

「……何? ……ていうか、待って…………

 

……あ、あんた……」

 

「……うん? 俺のことか?」

 

「お、おおお…………男!? なんで!? トリニティに何で男がいるの!?」

 

「……何でも何も、シャーレに依頼があったからなんだが」

 

"なんか新鮮な反応だねぇ~"

 

「あ、あはは……。確かに、男性型ロボットはトリニティにも居ますが、男性そのものはトリニティには居なかったですね……」

 

「……というか、キヴォトスに来てから俺以外の男なんて、あのラーメン屋に居た犬の大将ぐらいしか見かけていないな。

 

……どうする、先生。もし問題があるようなら、その辺で時間でも潰してくるが」

 

"いや、特に問題はないと思うけ……ど"

 

 

 

(TELLLL……TELLLL……)

 

 

 

突然、教室内に鳴り響く着信音。誰の携帯が鳴っているのかと辺りを見回した一同は、

 

 

――ローランの手袋から着信音が鳴り響いているのに、気が付いた。

 

 

 

「……っと、明星か?」

 

 

咄嗟に手袋から携帯電話を取り出し、着信番号を確認したローランは……、

 

 

――顔を顰めた

 

 

 

「知らない番号……って、この流れ、ミレニアムでもあったな……」

 

「い、今、手袋から……!?」

 

「あ、あはは……。そう言えば、前から気になってたいたのですけど、その手袋は一体……?」

 

"代理人、もしかして……"

 

「あぁ。……恐らく、アレ関係だ。……悪い先生、ちょっと席を外すぞ。

 

……ヒフミ、俺の代わりに先生の護衛を頼む」

 

「え、は、はい。えっと、分かりました?」

 

 

(ガチャ)

 

 

携帯電話を手に取ったローランは、先生の護衛をヒフミに任せ、正義実現委員会の教室を後にした。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

トリニティの廊下を歩きながら、適当な空き教室に立ち入ったローランは、

 

――不明な発信者からの電話に応答した。

 

 

「……もしもし」

 

「突然のお電話失礼致します。こちらは、連邦捜査部シャーレの代理人様でお間違いないですか?」

 

「……あぁ。それと全く同じ質問を、明星にも言われたよ」

 

「あら、そうでしたか? ……ミレニアム地区の翼が折れたとの報告を頂いていましたが、やはり代理人様のおかげでしたか」

 

「……その反応的に、エリュシオンの奴で間違いないみたいだな。……まぁ、この携帯電話に着信してきた時点で、薄々勘づいてはいたが」

 

「ご理解が早くて助かります。先ほど、他の生徒からシャーレのお二人がトリニティを訪問しているとお聴きし、こうしてご連絡させて頂いた次第です」

 

「ということは、トリニティ地区の担当か。……ここの担当は、何人いるんだ?」

 

「……。……トリニティ地区は、私を含めて4名の方が担当しております」

 

「4人か。アビドスは1人、ミレニアムは2人らしいが、何か決まりでもあるのか?」

 

「いえ、そう言ったものはありません。……エリュシオンとは、

 

――現実改変の影響を受けておらず、翼の存在に違和感を感じ、……連邦生徒会長及び、現エリュシオンのメンバーから声を掛けられた者たちの集いですので」

 

「……そうか」

 

「えぇ……。……あ、すみません。本題から逸れていましたね」

 

「いや……、……そう、だな。……俺に電話をかけてきた目的は?」

 

「……詳しいお話をしますと長くなってしまいますので、用件だけお伝えします。

 

 

――早朝、午前4時33分に大聖堂の前へとお越し頂きたいのです

 

「大聖堂? それに、何でその時間に……」

 

「それに関しても、直接お会いしてからお伝え致します。

 

……色々と省略する形となってしまい、申し訳ございません。

 

……ですが一度、貴方とはお会いしておきたいのです。……黒い沈黙と、恐れられた貴方に」

 

「……その呼び方はやめてくれ。…………明日の朝、4時33分だな」

 

「……ありがとうございます。……貴女であれば無事に辿り着けると思いますが、こちらでも()()()()()()()()()()()()()()……

 

 

――どうかお気を付けて、お越しください」

 

「……鎮圧? ……詳細な内容については実際に会ってから……って言うのは理解できたが、

 

……せめて、名前ぐらい教えてくれないか?」

 

「……失礼致しました。私だけ貴方の情報を知っているというのも、無礼なお話でしたね。

 

 

……私は、エリュシオン所属、トリニティ地区担当……

 

 

 

 

――第2幻想体管理室室長、歌住サクラコと申します」

 

 

「…………は? 今、なんて……」

 

「……それでは、明日午前4時33分に大聖堂の前でお待ちしております」

 

 

 

(ピッ)

 

 

 

 





イベントストーリー
大聖堂の聖歌隊は、エデン条約編後のお話となっております。



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