黒い沈黙の行先   作:シロネム

99 / 181

評価、感想ありがとうございます!




~訓練~ シスターフッド

 

 

 

――接待――

 

 

 

 

(ダダダダッ!!!)

 

 

 

「……銃か。……ずっと使っていただけあって、悪くは無いな」

 

 

 

 

……即座に持ち替えられるならだが

 

 

 

 

1歩の踏み込み。

 

初速の時点で最高速を叩き出したローランは、アサルトライフルを構える生徒に急接近し、

 

 

 

――隙だらけの胴体を蹴り飛ばした

 

 

 

 

記憶 - ハナ協会

 

 ――卦脚――

 

 

 

 

「ごふッ……っ! ……ゴホッ……っ…………おェ……」

 

 

 

びちゃびちゃびちゃ

 

 

 

逆流した血液が口から零れる。咄嗟に両手で抑えるも、その勢いを殺すことはできず、

 

 

……自身が吐き出した大量の血の上で崩れ落ちた。

 

 

 

「……まずは一人」

 

「ひっ……ぅ……ぁ……あ、あぁぁぁぁああああ!」

 

 

 

(ダダダダダダダダッ!!!)

 

 

 

容赦なく仕留められた仲間の様子を見たAチームのメンバーは、自身に襲い掛かる恐怖心を搔き消すかのように、……構えていたアサルトライフルをローランへと乱射した。

 

 

 

(ダダダダダダダダッ!!!)

 

 

 

「……戦闘中に動揺するな。……怯えた奴から死ぬことになるぞ」

 

 

 

銃口の向きから予測し、弾丸を躱す。

 

 

躱す躱す躱す

 

 

必要最低限の動作で避け、時には刀で弾き、……錯乱した生徒との距離をゼロにした。

 

 

 

 

記憶 - ハナ協会

 

 ――強撃――

 

 

 

 

乱射し続けるアサルトライフルの銃身を蹴り上げ、体勢を崩す。その流れに身を任せるように顔面を掴み……

 

 

――地面へと殴り付けた

 

 

 

(グチャッ!)

 

 

 

「……っ……ぉ……ぇ…っ………」

 

 

 

「これで二人」

 

「……ッ……この野郎ッ!」

 

 

 

(ザンッ!)

 

 

 

続けざまに二人も潰されたAチーム。辺りに飛び散る血液と、悲鳴のような嗚咽に動かされたのか、……抜刀した2本の刀でローランへと斬りかかった。

 

 

 

「……さっきの奴の刀を拾ってきたか」

 

「殺すッ! お前は殺す!」

 

「……そう言えば、隊長だったな」

 

 

 

(キンッ!)

 

 

 

工房で作られた3本の刀が交差する。月光石で造られた黄金色の刀は、刀身と同じ色の軌跡を空中に刻み込む。

 

光の残滓を撒きながら、連続で繰り出される斬撃は……まるで一種の芸術のように美しかった。

 

 

 

「……いい動きだ。即興かと思ったが……悪くない。……が、怒りに支配されているのが減点だな。これは俺のセリフじゃないが……」

 

 

 

――感情とは流されるものではなく、使役するもの

 

 

 

「らしいぞ」

 

 

 

(ザシュッ!)

 

 

 

手元から刀を弾き、一瞬の隙をついて(ムク工房)を身体に突き刺した。

 

……血を垂れ流しながら痙攣し、両手の刀を取り落としたことを確認したローランだったが、

 

 

 

 

……刀を引き抜こうとした瞬間

 

 

 

「……ハッ」

 

 

「……?」

 

 

「全部……けい……ざん…っ……通りだ」

 

 

「……何?」

 

 

「……づかっ……ま゛えだっ……!」

 

 

 

火事場の馬鹿力と言うべきだろうか?

 

 

 

感情による神秘の増幅

 

 

 

今ある全ての恩恵を両手に籠め、恐ろしいほど強靭な握力を発揮した隊長は、

 

 

 

――自身と引き換えに、ローランの右腕を捕まえた

 

 

 

 

 

「……や…れ……ッ!」

 

 

 

「「「……ッ!」」」

 

 

 

 

(ダダダダッ!!!)(ダダダダッ!!!)(ダダダダッ!!!)

 

 

 

いつの間に回り込んでいたのか、ローランを囲む様に移動していたAチームの3人は、

 

 

 

――ローランに貫かれている隊長ごと、銃弾の雨を浴びせ続けた

 

 

 

(ダダダダッ!!!)(ダダダダッ!!!)(ダダダダッ!!!)

 

 

 

(ピンッ!)

 

 

 

止む事のない銃弾の雨。

 

姿を確認できない程の硝煙と弾丸に包まれたローラン。……隊長の覚悟を無駄にしない為にも銃弾を浴びせ続ける3人は、

 

 

……用意していた手榴弾をも投擲した。

 

 

 

 

(ドカアアァァン!)

 

 

 

 

爆炎に飲み込まれた戦場。

 

綺麗に整備されていた地面は跡形もなく、飛び散った鮮血が赤く照らしている。

 

……数秒、本当に長く感じた数秒が経ち、爆炎が晴れた先に残っていたのは、

 

 

 

 

 

――血まみれの隊長と、千切れた右腕を抱えるローランだった

 

 

 

 

「……油断していたとは言え……ここまで計算通りだとしたら、相当だな……ッ」

 

 

 

血を流しながら、苦痛に顔を歪めたローラン。……銃弾の雨に晒される瞬間、隊長に右腕を掴まれていたローランは、

 

 

……咄嗟に取り出した工房武器で、自身の右腕を斬り落としていた

 

 

 

 

(バンッ!)

 

 

 

 

 

……千切れた右腕を地面に置き、その手袋から一丁の拳銃を取り出したローランは、銃口を自分自身へと構え……引き金を引いた。

 

 

 

こいつ(黄金銃)が手札にあったからこそ、咄嗟に判断できたが……、……都市に居た頃の俺だったら、間違いなく致命傷になりえただろうな」

 

 

 

巻き戻る時間

 

 

 

失った血液や斬り落とした右腕は元に戻り、辺りには隊長が流した血の香りだけが漂っている。

 

 

 

「……続けるぞ。……手加減するのはここまでだ」

 

 

 

突き刺したままの(ムク工房)の代わりに長剣(デュランダル)を取り出したローランは、唖然とする3人組へと斬りかかった。

 

 

 

★★★★★

 

 

 

――訓練開始から5時間が経過

 

 

 

(パンッ!)

(パンッ!)

(パンッ!)

(パンッ!)

(パンッ!)

(パンッ!)

 

 

 

全員が戦闘不能になる度に時間を巻き戻し、5分の休憩を挟んだ後に再戦。それを繰り返し続け、気がつけば……

 

 

大聖堂の時計は、午前3時を指していた

 

 

 

「……今日のところはこんなものか? ……あれを咄嗟の判断と計算で行えたのは、素直に称賛するよ」

 

「あ、ありがとうございます!」

 

「……戦闘中と性格が変わり過ぎじゃないか?」

 

「いやー、良く言われます!」

 

「「「「「……」」」」」

 

 

 

周囲に飛び散った大量の血液。

 

斬り飛ばされた腕や足が転がる戦場。

 

……先ほどまで満身創痍の状態で転がっていたシスターフッドAチームの面々は、ローランが撃ち込んだ弾丸のおかげで、

 

 

 

――訓練開始前の状態まで、時間を巻き戻されていた。

 

 

 

「……戦闘経験は記憶されているはずだから、前よりはマシになった筈だ。……と言っても、戦闘技術に関しては、鍛えなくてもかなりのものがあると思ったがな」

 

 

「……へ、下手な幻想体を鎮圧するときよりも……きつかった……」

 

「……ごめんなさい、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」

 

「疲れた……」

 

「な、なんで……ヘイローもないのに……」

 

「死ぬ……殺される……」

 

 

 

黄金銃は肉体の損傷は戻せても、心までは戻せない。……身体の一部が千切れる痛みや苦しみは、記憶として残り続けるのだ。

 

 

 

「み、皆さん、大丈夫ですか……?」

 

「こ、これ……明日は私たちが……?」

 

「……お疲れさまでした、代理人様。……皆さんも、お疲れ様です」

 

「あぁ。……この後は、実戦でいいのか?」

 

「そうですね……時間的にあと10分もすればトリニティの夜が始まりますので、今夜はAチームだけで鎮圧にあたってもらいます」

 

 

「「「「「「……え?」」」」」」

 

 

「……なんか、初めて聴かされたみたいな反応してるんだが」

 

「……? 今初めて言いましたので、そのような反応にもなるかと」

 

「……」

 

「ま、待ってくださいシスターサクラコ様! トリニティの夜を、私たちだけでですか?」

 

「えぇ、その通りです。……ご安心ください、明日はマリーさんとヒナタさん、それから私の3人で担当しますので」

 

「……わ、私たち3人って……」

 

「さ、サクラコ様? じょ、冗談……ですよね……?」

 

「……? いえ、冗談を言ったつもりはないですよ? ……今までは全員で対処していたので、休息日を設けることができませんでしたが……」

 

 

 

――代理人様の訓練を積んだ今なら、対応人数を減らしても問題ないかと。

 

 

 

「……二日後はBチームに担当して頂くつもりです。……代理人様、暫くの間、夜間訓練をお願い致します。

 

……代わりと言っては何ですが、可能な限り要望は聞き入れますので、お申し付けください」

 

「別に、要望とかは……。…………いや、そうだな。

 

そしたら、Aチームが使ってる刀を俺にも用意してくれないか? ……都市でも珍しい素材だから気になるというのもあるが、訓練用の装備として用意しておきたい」

 

「畏まりました。工房の方へ鍛造をお願いしておきますね」

 

「……助かるよ。……あー、それからAチームだが」

 

「「「「「「「……?」」」」」」」

 

「……援護はするから、模擬戦闘だと思って頑張ってくれ……」

 

「「「「「「…………はい」」」」」」

 

「……」

 

 

…………まぁ、こうなるよな。

 

 

好き勝手暴れる生徒の始末なんて、やりたがる奴は居ないか……。

 

 

……

 

 

……仕方ない

 

 

 

「まぁ、報酬も無しに好き放題暴れる生徒の面倒を見ろとは言わないよ。……給料って訳じゃないが、働いた分の報酬金ぐらいは出してやる」

 

「「「「「「……え?」」」」」」

 

「……よろしいのですか? 代理人様」

 

「……あぁ。ただでさえ翼が持ち込んだ幻想体の相手なんて、面倒な事までやってくれてるんだ。……報酬でも無ければ、耐えられないだろ」

 

 

 

利益がないせいで、他の生徒たちのように暴れられても面倒だしな。

 

……どうせ翼がこの世界で稼いだ金なんだ。だったら生徒に還元してやった方がいいだろ。

 

 

 

「そう言う訳だから、……連邦捜査部シャーレとして、これからもイカれた生徒の鎮圧を頼む」

 

 

「「「「「「……はいっ!」」」」」」

 

 

 





月光石から作られた刀……?

……ブラックダメージ与えそう……



評価、感想お待ちしております!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。