モラトリアムinキヴォトス(本編完結)   作:空豆 勇魚

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一ヶ月近くも更新が遅れてしまいました、嗤って許してください。こんだけ遅れといて虫のいい話ですが目を通していただけると幸いです。

では読み飛ばして、どうぞ。




号外③ ベタな展開、ベタな問題

その結婚、待った!

 

開け放たれた大聖堂の扉、声を張り上げ異議を唱えた異形の大人たちが笑う。

 

「クックック…結婚式に反対する者が乱入する。ここまでベタな展開は早々ないと思うのですが物書きとしてはどうです?ゴルコンダ。」

 

「いやはや、展開としては三文小説もいいところです。が、当事者となるとなるほど些か胸踊るものがありますな。ありきたりな展開がそれでもなお使われる所以がわかるというものです。」

 

「そういうこった!」

 

ゲマトリア、嘗ての世界では解散してしまった集いの大人たちが揃い踏みだ。

 

「あら、ネズミどもが紛れ込んできましたね…。あの方たちの祝い事を邪魔するなんて、駆除しなくては!」

 

参列者として席に座っていた生徒たちが、気配に憤りを滲ませながら武器を手に立ち上がる。特に顕著なのは先生ガチ勢の中でも過激派筆頭の狐坂ワカモは怒髪天を衝く勢いだ。

 

「クックック、予想はしていましたがここまで浸透していたとは。マエストロ、借りは少々高くつきますよ。」

 

「うむ、それに関しては甘んじて受けようとも。だがまずは場を鎮めなければならない。頼むぞ」

 

「クククッ、私は研究者であり探求者であって荒事は本領ではないのですがねぇ。試作3号、これでいけばいいのですが。」

 

ゲマトリアが何かを話している所へ狐坂ワカモが飛びかかると、黒服の大人がなにかを空中にいる彼女へ放り投げる。

 

不意を打たれた上に勢いよく突進する彼女が咄嗟にライフルでそれを撃ち抜く。

 

「キャンッ」

 

撃ち抜かれたグレネードのようなものは微かな衝撃をこちらに飛ばす。懐かしく忌々しい気配を感じたと同時に生徒たちや狐坂ワカモの荒ぶっていた雰囲気が鎮静化する。

 

祭壇の方へ振り返れば先生たちはなにか狐につままれたような表情していた。あ、2人とも顔を赤くして離れてしまった…。

 

 

「ほう、随分と良い仕上がりじゃないか黒服。失敗作はひどかったがこれはなかなかに良い。」

 

「そういうこった!」

 

「ええ、私も少々驚いています。まさかこれほどとは。とはいえこれは偶然の産物、帰ったらまずは理論の洗い出しからですね。」

 

「胡散臭い笑いも出ないとは少々どころかよほど驚いたとと見えるが。」

 

「五月蝿いですよ、マエストロ。それよりお膳立てはしました、あとはあなたの仕事ですよ。」

 

「わかっているとも、私とて大人。不始末は片付けるさ。」

 

「ではお願いしますよ、マエストロ。」

 

「そういうこった!」

 

そう言うと黒服の大人と背を向ける絵画を抱えたステッキの大人は場を立ち去る。あとに残るのは二つ頭の木製の大人だ。

 

「さて、諸君。特に先生たち、場を変えないかね?話がある。」

 

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

二つ頭の大人、マエストロの提案に従い教会の個室に会議の場を設けた。こちら側の出席者は先生たちと私、そして向こうから指名された恋塚ムスブであった。

 

「さて、どこから話たものか。」

 

そう始まった彼の言葉は衒学的て少々難解であり、そして長かった。

 

「いわゆる崇高というものは2つの側面をもつ……1つは到底たどり着くことのできない「神秘」。そしてもう一つは、不可逆の「恐怖」。それらは〜〜

 

〜5分後〜

 

というわけだ。」

 

(デジャヴを感じるがようやく終わったか!?)

 

「話がそれたな、本題はここからだ。」

 

その場の誰もがあたまを抱えたくなった。

 

「つまるところ本来、私は先生たちにあの小さな成功を紹介したかったのだ。しかし、〜というわけだ。恥を忍んで頼むが、どうかよろしく頼む。」

 

マエストロによる演説とも言えるほどの長い話はようやく終わった。

 

"えーっと、とりあえず話を要約すると太古の教義を複製(ミメシス)(?)したらヒエロニムスが誕生した。その後、それがなぜか暴走、キヴォトスにミーム汚染のような事をした、ということ?"

 

「うむ、その認識で合っている。問題はミームにキヴォトスで大人気の先生たちが利用されたことでミームが加速してしまったことだ。このミームはやつが神性として含む概念に関係しているため、広まれば広まるほどやつは力をつける。やるべきことは暴走したヒエロニムスをどうにか止めること、次点で暴走の原因の探求だ。」

 

プレナパテス先生が話を要約し、そこにマエストロが付け足すことで頭を抱えていた先生が漸く理解した顔になった。

 

「付け加えると、今回のミーム汚染の感染源はそこの少女だ。」

 

マエストロがそう言った途端、横にいる先生たちから殺意を放つ。

 

「落ち着き給え先生たち。生徒を悪く言おうというつもりはない。単純に一番最初に奴のミーム汚染に感染したのが彼女だったからだ。運がなかったと言うだけだな。」

 

"それならそうと早く良いなよ。私の生徒をあまり悪く言わないでほしいからね。"

 

「それで、どうするんです先生?そのヒエロニムスとやらは。」

 

"そんなの決まってるじゃん。相手はキヴォトス全域を利用しようとした。お望み通りリンちゃんや各学園と協力してキヴォトス全体でヒエロニムスとやらを仕留めるよ。"

 

 

 

総力戦 HIERONYMUS・OATH(commnio sanctorum = priest)  開幕




描写したかったけどできなかったことなど。
・試作3号―黒服が色彩の恐怖をどうにか利用できないか試してみたもの。1号はそもそも起動せず、2号は自分達まで影響を受けかねないほど火力過多だった(イメージはシャンフロの天鬼夜砲)。3号は徹夜した深夜テンションで作ったためメモが残ってない。
効果:興奮して荒ぶる神秘に対して少量の恐怖を反応させて強制的に力を抜けさせるが、神秘を有してない者には効果は低め。グレネードの衝撃で肉体的にも気付けをさせられる。

・先生―未だに名前が決まってない人、名前ないから書きづらくてしょうがない。裏であれこれやるよりも誰よりも前に立って味方を先導するタイプ。考えるよりもさっさとやってみるほうが得意な実践派。

・プレナパテス先生―本人の資質的に前に立つよりも裏方として策を考える方が向いてる人。肉体より頭を動かす方が得意。

・ヒエロニムス―誓いを受ける神であり誓いを見守る聖者。聖徒を率いるものであり、その交わりを承認するもの。
〈私は君たちの結婚を認めるもの、すなわち私こそが君たちの主神である。〉
(訳:は?我神ぞ?楯突くわけねぇよなあ?おぉん?)

総力戦だなんて書いてますが戦闘シーンはカットです、私には描写できないので。たぶん次で先生たちの結婚編は終わりです。

次回 「微かに輝くモノ」

シロコ*テラー(クロコ)は言葉の前に「ん、」を付けるか否か

  • 付ける、なぜなら彼女もまたシロコだから
  • 付けない、なぜなら始発点編で無いから
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