モラトリアムinキヴォトス(本編完結)   作:空豆 勇魚

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勢いがついたのでそのまま投稿です。もともと決まってたネタはやれたのでウレシイ…ウレシイ…。

では読み飛ばして、どうぞ


号外④ 微かに輝くモノ

総力戦 HIERONYMUS・OATH(commnio sanctorum = priest)

 

私はオペレーターとしてモニター越しに見ていたが戦闘はそれなりに激しかった。というのも相手がかなり強かったのだ。

 

マエストロの解説によると神というものへの畏れや敬い、人々からの認識による神性の強化などで自身にバフをかけていたらしい。確かに画面越しでも祝福と言うかめでたい感じのオーラはあった。

 

字面だけ見ればなんともまあやりたい放題な敵である。

 

こちらは高火力で押せ押せで攻めたてていたが、相手は耐久力が高く回復するためなかなか崩れない。逆にこちらは防御が手薄だったが、向こうの攻撃が大雑把なので先生の選りすぐりのメンバーは避けていく。

 

千日手、というほかない状況になり現場もオペレーター室も全員がどうしたものかと頭を捻っていると、いつの間にか黙っていたここでマエストロが一計を案じた。

 

「いけるかい?クロコ。」

 

『大丈夫、任せてキョウヤ先輩。』

 

作戦の要であるクロコに問えば、通信越しに頼もしい返答が返って来る。

 

「じゃあ、プレナパテス先生。お願いします。」

 

隣のプレナパテス先生に号令を頼むと、了解と一つ頷き息を吸う。

 

"ではこれより、作戦名〈アヌビス〉を開始する!"

 

プレナパテス先生の号令と同時にクロコの気配が変化していく。冷たく、悍ましく、されどどこか温かいものへとなっていく。

 

同時に聖堂内の雰囲気も変わっていく。

 

"ワカモ、試しに撃ってみて。"

 

「ええ、ええ!あなた様のご命令とあらばなんなりと!」

 

先生からのお願いを受けた狐坂ワカモが喜びとともに銃を撃てば相手の指が確かに吹き飛んだ。

 

「ふむ、やはり私の見解は正しかったか。」

 

マエストロの練った作戦は突き詰めれば至ってシンプルなものだ。

 

相手が強いのは相手にバフが掛かっているからであり、戦場が大聖堂というやつのホームだかららしい。

 

そこで相手の強化に繋がる結婚や祝事という概念を、死や葬儀だとかいった概念で塗り替えようというものである。

 

「地の利が相手にあるのなら、地表をまっさらにすればイーブンだよね」というなんとも力押しな話だ。

 

そして概念の塗替えに抜擢にされたのが最愛の後輩クロコである。

 

かつて色彩の恐怖によって反転した彼女は「死の神(アヌビス)」となった。

 

あの決戦の時に奇跡によって色彩の除去はしたが、実のところ彼女の器はさほど戻っていなかった。

 

それが今回はプラスに働くのだから人生は何が起こるかわからないものである。

 

 

 

〜〜〜〜〜

 

"いや〜お疲れ様!まさか大聖堂にあんなのがいたなんてねぇ、今日はグッスリ寝れそうだ!"

 

"だめだよ、八咫先生…。シャーレに帰ったらまずは残りの仕事を片付けなきゃ…。"

 

"あ゛ー!そうじゃん!?"

 

ウキウキの先生と疲れきった表情のプレナパテス先生と一緒に歩くシャーレへの帰路。今日は寝れると喜ぶ先生の顔がプレナパテス先生の一言で絶望に沈む。

 

「そう言えば恋塚さん、ミーム汚染の原因になったって総力戦に関わったみんなに知られたあと『うるせー!私の記事だ!私のネタだ!ミームなんぞ知らねぇ!むしろ広まれぇ!私は絶対に、出版するぞぉーー!』って吠えてましたよ。」

 

"まあ、落ち込んでないようで何よりだよ。"

 

3人で笑いながら歩いていると不意に背後から服を引っ張られる。いつの間にか背後にクロコがいた。

 

「あれ、クロコ。どうしたの?」

 

「ん、キョウヤ先輩。ちょっとついてきて欲しい。」

 

先生たちの方を向けばどうぞどうぞと促される。

 

クロコが空間に穴を開ける。

 

「それ、まだ使えたんだ。」

 

「ん、まだ少しだけ力が活性化したままだから。」

 

さっきもこれで背後に現れたのだろう。

 

暗い穴を通ればそこは戦闘の余波で崩れかけた大聖堂とは別の人の気配のない海辺の教会の前であった。

 

「それで、どうしたの?」

 

「んと、その…。」

 

クロコが頬を朱に染めながらもじもじと言葉を口の中で転がす。

 

「ああ、なるほど。」

 

納得と同時に一歩クロコの方へと進む。

 

夕焼けの中、オレンジ色に染まる世界で2つの影がそっと重なった。西日に照らされて輝く教会のステンドグラスに描かれた神様だけがそっと静かに見守っている。

 

 

此処から先を言うのは野暮というものである。これは私と彼女の秘密なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〜シャーレ・一般生徒A視点〜

 

今日は待ちに待ったシャーレでの当番の日だ。苦節3週間、時に殴り殴られと血に塗れたが最後は情報戦を制した私の勝ちである。

 

この私にとって勝利こそが全てであり、そこに至るまでの過程や方法などどうだっていいのだ。

 

なんだかべらぼうに強いハッカーもいたが愛の前には全ては無駄なのだ。それにしてもなんだ超天才清楚系病弱美少女ハッカーって。どんなネーミングセンスしてんだ?

 

まあ、そんな些細なことは捨て置くとしよう。今はただ、先生たちに会えることこそJUSTICE!

 

嬉しさのあまり、先生たちが表紙を飾った雑誌を手にウッキウキでキレッキレのステップを刻めば、街行く人が道を開けてくれる。

 

キヴォトスの民度はいいってはっきりわかんだね。

 

「おっはよーございまーす!」

 

入室と同時に挨拶すれば先生たちがお声をかけてくれる。

 

"おはよう、今日も元気だね。"

 

「はい!とっても良いことがありましたから!」

 

"へー!何があったの?"

 

「ナイショです!」

 

シャーレに来るための争いに勝ったなんて先生には言えないからね。

 

作業に移ろうとするとふと窓からの光を反射するなにかが先生の手にチラリと見えた。

 

「あれ先生、そのアクセサリーどうしたんです?」

 

"んー?んふふ、ナイショ!"

 

アッ…!トウトイ!

 

質問と同時に少し慌て始めたプレナパテス先生の照れ顔と八咫先生の幸せそうにはにかむ笑顔を直視した私は幸福のあまり倒れ、医務室に運ばれた。

 

 

 

おま◯け

「やれやれ、実験は失敗か。一体全体どうして暴走したというのか。」

 

傷ついた大聖堂の中、ヒエロニムスのいたところをぼんやりと眺めながらマエストロは思案する。

 

「もともとは太古の教義に宿る神秘や恐怖を複製(ミメシス)したもの、結婚だとかの概念はないはずなのだが…。うーむ、うん?」

 

ふと思い浮かんだアイデアに流石にないだろうと思いながらもマエストロは祭壇付近を探索する。

 

予想はビンゴ。祭壇の後ろ、太古の教義が彫られた壁面の端に僅かな突起を見つける。

 

押し込んで見ればガコンと言う音のあと祭壇がズズズッと横にずれた。

 

「やはりそうだったか。太古の教義そのものに不備があったわけではなくちかくにあったものから影響を受けたのか。」

 

出現した階段を降りてみればそこには…

 

「こ、これは…!」

 

虫除けや除湿を施されたかつての経典と、少女マンガや恋愛小説が置かれていた。

 

 

おま◯けpart2

夕焼けのアビドス高校にて1人の狼が電波を受信する。

 

「ん、油断した。」

 

「急にどうしたのシロコ先輩?なにか忘れ物でもした?」

 

「いや〜、おじさんはここにいないクロコちゃんとキョウヤ先輩関連だと思うなぁ〜。」

 

「ええ〜、またぁ?」

 

「セリカ、その反応はちょっと傷つく…。」

 

「あ、ごめんシロコ先輩。」

 

普段は一緒にサイクリングやランニングをするシロコとクロコだが、ふとしたタイミングで互いに張り合い、どちらかに良いことがあるともう片方が電波を受信するのはアビドスの新しい日常風景である。




書きたかったこと、自分語りなど
・先生たちの結婚―これだけはもともとやると決めてた
・クロコ―色彩の除去はされたが実は器はそのまま。絶対に爆発することのない爆弾は爆弾ではあるが危険ではないということ。
・八咫先生―15秒で名前が決まった。キヴォトスの烏合の衆をまとめ上げる→烏の上位存在→八咫烏(?)
・プレナパテス先生―真名は剥奪されたということで
・一般少女A―おもしれぇ女、プロットにいなかったのに生まれた謎存在。ギャグ時空の存在ゆえ愛の力で無敵。
・万年雪の結晶―やべぇ奴がいると聞いて調子こいて電脳戦を仕掛けてみたら手加減してたとは言え押されて焦った。途中からはそこそこ本気。「まあ、そこそこであって本当の本気(マジ)だったり全力だったりはしてませんから最強の地位は私のものです。…ですからエイミ、その目を止めてください!」
・ヒエロニムス―太古の教義が神秘と恐怖を伴って受肉するときに自身を構成する核の真下にあったものの影響を受けた。隠し部屋にあったのがカーマスートラの場合は18禁になってたということ。


とりあえずこの章はこれでおしまいです。本当は掲示板とかやりたいのですがやり方もわからなければ作法もわからぬのでまずは語録を勉強せねば…!わかったら更新するかもです。

本編他者視点はまだです。

シロコ*テラー(クロコ)は言葉の前に「ん、」を付けるか否か

  • 付ける、なぜなら彼女もまたシロコだから
  • 付けない、なぜなら始発点編で無いから
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