受験勉強の時間が削られてくぜ……
〜アトラ・ハシースの方舟内〜
2匹の狼と2人の大人が互いに相対していた。
しかし決着はとうについていた。
どうやらこの世界のアビドスの後輩たちも既に着いていたみたいだ。
最愛の後輩、シロコのとても痛ましい声が響いてくる。
早く会いに行かなければ、そんな思いに急かされて通路を歩く足を早くする。
姿が見えてきたとき、シロコの独白が聞こえてきた。
「わ、たし……わたしの、せい、なの……!わたし、さえ、いなければーー!」
「ホシノ先輩は死んだ…セリカはバイト中に行方不明になった……アヤノは生命維持装置を外した……ノノミはアビドスを離れて砂漠で……キョウヤ先輩は色彩のせいで眼の前から消えた……」
「こうなると、わかって、いたら……マフラー……もらう、べきじゃ、なかった……」
「こんな結末、望んで、なかった……」
あぁ、漸く再開できた。早く助けなきゃ。あとは切り札を使うだけである。ただ、その前に今流してる涙をとめてあげよう。あの娘に涙は似合わない。
佇んでいるこの世界の後輩たちを追い抜いて、蹲って涙を流しているシロコのもとへ駆け寄る。
足音に反応したのか顔をあげてこちらを見た。その顔は苦痛と後悔に塗れていた。
抱きしめて、伝えるべきはただ一言。あの時、眼の前から急にいなくなった私が本来言おうとしてた言葉。
「久しぶり、シロコ」
「キョウ、ヤ……先、輩……?」
「その通り、正真正銘プレナパテス先生の世界の心熊キョウヤだよ。……生きててくれて、本当に良かった。」
感極まって少し泣きそうになったのはナイショである。
その場にいた誰もが驚いていた。この場にいるはずのないやつがいたらそうなるというものだろう。
〜少しして〜
みんなが落ち着いて来た頃に先生が代表して口を開く。
‘‘…いろいろと聞きたいことはあるけど、どうしてここに?‘‘
「そう…ですね。確かにいろいろと話すべきですね、すみません。4年越しの願いが漸く叶いそうだったもので気が急いてました。」
そうして私は語りだす。
「まず、私はもともとプレナパテス先生の世界におけるアビドスの生徒でした。」
「しかし、元いた世界は壊れてしまいました。誰の責任でもない、間が悪かった、あるいは魔が差した。人がほんの少しだれかに疑念を持った、人がほんの少し誰かに悪意を持った。そんななんてことのない小さなズレが鎖のように繋がり、キヴォトスという世界に致命的なヒビとなってしまいました。」
「そうしてそこに色彩が現れました。と言っても、分霊のようなものなんですけど。」
「ミレニアムでの出来事の資料を拝見しました。Divi:sionというのでしたか?あいつ等が溢れ出しました。空は赤に染まり、多くの友が仲間が物言わぬ骸となり一人になりました。そうしてシロコやプレナパテス先生と合流する直前、私は『神隠し』に会いました。ここまでがかつての世界の話です。」
「さて、キヴォトスの外からやってきた先生は『神隠し』という言葉をご存知ですよね?」
「外の世界、ヘイローを、神秘をその身に宿さない者にとって『神隠し』とは『神が』誰かの姿を『隠す』という意味です。」
「しかし、キヴォトスにおける『神隠し』は意味合いが変わります。『神を』何者かが『隠す』という、無名の司祭達によるある種の言葉遊びのようなものになっています。正確には『隠す』というよりは『呼び寄せる』ですけどね。」
‘‘その何者かというのは?‘‘
先生が質問してきた。
「先ほどシロコが言っていた通り、色彩です。」
‘‘アリウスでベアトリーチェが固執していたもの、セイアが夢を通して見たというやつ……。でもあれは、かなり危険なものじゃなかった?事実、セイアは未来視を喪失した。‘‘
「そう、そこです。色彩というものは本来、神秘を持つものにとって劇毒と言っても過言ではありません。極稀にシロコのような例外もいますが基本的に耐えれません。神秘は反転し捻じれやがて限界が来る、そういうものです。」
「しかし、私は運が良かった。当時の私は戦闘で自身の保有する神秘を使い切ってました。今思えば、気絶してたのも良かったのでしょう、意識のない間は神秘の塊であるヘイローも消えてますから。」
「そうして私は色彩本体のいる場所から流されてこの世界につきました。少しばかり恐怖を取り込みましたが、それも予知夢とか世界を少しだけ知るという形で使い切ってたのも本当に運が良かった。物語で言えばあまりにもご都合主義的ですけどね。」
「そうしてキヴォトスにシロコとプレナパテス先生が現れること、2人は色彩に汚染されてることを知った私は2人を助けるためにこの4年間をすごしてきました。」
そうして私は切り札を取り出す。
ソレを見た先生は目を見開く。プレナパテス先生の方も動作はわからんが驚いてる気配はする。
‘‘ソレをどこで!?‘‘
先生が非難するように問うてくる。一応、まだ生徒である俺がこんなものを持ってれば先生はそんな反応するだろう。
「先生、私の肩書を覚えていますか?」
「私は、キヴォトスの外(の学校)からやってきた先生(見習い)です。成人した大人であり、学生という子供です。モラトリアム、中途半端な大人と言えるでしょう。」
「そして、神秘で満ちているここキヴォトスにおいては解釈というのは大きな力を持つ。先生もエデン条約で覚えがあることでしょう。」
「故に私は大人としての奇跡を起こす権利を持っている。まあ、効率が悪すぎて先生と同じだけの代償を支払っても私が起こせるのは中途半端な奇跡だけなんですが。」
そう話している間に私の切り札「大人のカード」は光を放ち始める。
「ですが私はハッピーエンドを見たい。寿命を削るのは構わないが到底足りない。そこで私は考えました。解釈を広げた、あるいは捻じ曲げたと言ってもいいでしょう。」
Q,奇跡とは?
A,神秘的な出来事→つまり神秘の塊
Q,大人のカードとは?
A,資財を貯蓄し、支払いにつかえる→神秘を貯蓄し、奇跡を起こす
私が求めるエンディングへの到達条件は2つ。
一つ、既に体が限界な恩師の肉体を活動可能状態に持ち込む
一つ、最愛の娘と恩師の色彩の除去
これを、中途半端な私の奇跡で行わなければならない。先生は既に方舟の起動の反動で、恩師方は言わずもがなだ。そのためにも4年分の自分の神秘を全て貯蓄に回してたのだ。
私の中途半端な奇跡を私の神秘でブーストする。
まずは一つ目の奇跡を。私の大人のカードの光が一際強く輝いた。まだ、延命装置は外せないが、少なくとも恩師は治療可能状態まで回復した。
ここまではいい、ここまでは想定内だ。
問題はこのあと、2つ目だ。色彩の汚染除去、色彩という強力な存在による汚染は対象を歪める。これをもとに戻すには文字どおり奇跡が必要だ。
「大人のカード」が再び光を放つ。同時に耐え難い苦痛が襲ってきた。
当然だ、肉体の修復とはわけが違う。たった4年分の神秘、ましてや既に奇跡を起こしたあとだ。こんなものでは到底たりない。
今持っている神秘、この先持つであろう神秘、ヘイローそのもの、忘れられた神としての自分、使えるものは全ては使え……!
それでも足りないから寿命を焚べる。
そうやって自分を削っていると大人のカードの光が臨界点に達した。
そうして、私の意識は遠のいた。
種明かしと言うか説明的な感じが多いからと言うのもあるのだろうけどキャラに会話をさせただけで文字数が勝手に増えてビビりました。
次回は後日談、ご都合主義のその極地です。
サブタイトルは私の青春物語ですかね。
テキトーに読み飛ばしていただれけば。
…せめてサブタイトルに見合うだけの質の文章はかけとあれほど(ry
シロコ*テラー(クロコ)は言葉の前に「ん、」を付けるか否か
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付ける、なぜなら彼女もまたシロコだから
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付けない、なぜなら始発点編で無いから