妖精國の経済担当   作:隣の家に晩飯凸する止まらないゴルシ

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在りし日の一日

「おや、女王陛下」

 

 キャメロットの廊下で、望月はモルガンに会った。「おや、女王陛下」なんて、すました顔で言ってはいるが、彼自身随分と驚いていた。何故ならモルガンは彼女の玉座を動くことがほとんどないからだ。動けば玉座を奪われるかもしれないから。彼女にとってこの玉座はあってはならないものだ。彼女のブリテンを守るために必要なものだ。だから、彼女はそこを動かない。

 

「……ふむ、丁度いい。付き合え」

 

「陛下の御命令とあらば」

 

 そこから、望月とモルガンはキャメロットの廊下―――城に限らず、城下町も散策した。道中、妖精からおかしな眼差しを向けられればその都度、モルガンは殺意ではない―――けれど、失せろとでも言わんばかりの意識を差し向けて、こちらを眺める妖精を散らしていった。

 

 しばらく歩いていると、モルガンは口を開いた。

 

「お前は、視えているな」

 

「何をです?」

 

()()だ」

 

 次の瞬間、二人は荒野にいた。

 

 近くには海が見える。荒野というより、浜が近いだろう。人っ子一人ない、無人の浜。そして、目の前には魔力を放っているモルガン。何となく、望月には分かっていた。 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「いつからお気づきに?」

 

「最初からだ」

 

 なるほど、()()()()()()()()()

 

「えぇ……知的ぶってても騙せなかったのぉ? マジィ?」

 

「あぁ、貴様からは私と同じ雰囲気がしたものでな」

 

 望月は人間ではない。およそ常人とは考えられぬ特異性を持っている。神のそれに等しいそれは、だが彼だけが持つものではなかった。彼のほかにも何人もの人間がそれを持っていた。それは魔術ではなく、魔法ではない。しかし、この世の全てであり、それこそ魔術世界における聖杯に等しい。()()()()()()()()()()()()()()。それが、彼が生まれながらにして持った特性。

 

「ま、そういうことですな。生まれながらにして全であった我々は、人の築いた社会を壊すのか、社会の守護者になるのかを決めなければならなかった」

 

 全であるということは1であるということ。それはつまりすべてを知るということ。彼らは生まれながらにして全知全能の赤子だった。

 

「故に知っていた。人類にこれ以上の進化はないと。故に決断を迫られた。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そうして我々は戦争を始めた。誰にも気づかれぬように、誰にも悟られぬように」

 

「所詮は貴様も人間だったということだ」

 

「ええ。その通り。だから私は齢14にして同胞を殺したのです。死ぬのが怖いから。殺されるのが怖いから」

 

 彼の眼前にはありもしない光景が広がっている。己の手のひらを血で汚した自分。同胞の頭を握りつぶした自分。

「そうだとも。だから貴様は視えるが視てはいないのだろう」

 

「ええ、ええ! その通りです! だって、分かり切っているじゃあないですか? 所詮この世の万物に永遠などないのです。全てに終わりがある。故に美しいなどとは言いません。だって、そういう物言い大嫌いですから」

 

「………」

 

「だから、だから。だから、このブリテンも程なくして終わるでしょう。我々がどれ程手を焼いても、何を犠牲にしても。()()()()()()()()()。物語はそういう風にできているのです」

 

「それで」

 

 モルガンは、幾らか逡巡するようなそぶりを見せてから、覚悟を決めたように言葉を紡いだ。

 

「それで、貴様はどうする」

 

 その眼には。その美しい妖精眼には、迷いがあった。殺したくないという迷いがあった。望月は、ああ、そういうことか。と、合点がいった。そうだ、そうだろう。()()()()()()()。彼女はベリル・ガットの召喚したサーヴァント・モルガンではない。ただ結末と過程を知っただけのモルガン。ただそれだけなのだ。それなら、その瞳に宿った感情にも合点がいくというものだ。

 

「―――無論、貴女に仕えましょう。この國が終わるまで、私は貴女の配下であろう」

 

「ならば、証明して見せろ。貴様が勝ってなお、私に仕えるのならば―――あるいは」

 

「では、お相手仕ろう」

 

 無数の光弾がモルガンへ殺到した。

 

 

 

 モルガンは、己に浴びせられる光弾をどうにか防ぎながら宙を舞っていた。望月は己の事を全能であると語ったが、実のところ少し違うのだろう。彼は全能に限りなく近いが、何かしらの制限があるはずだ。でなければ、彼は既にモルガンに死の呪いでもなんでも放っているだろう。それをわざわざ光弾を放つというものに留めている以上、どれだけ少なくともたった一撃で葬るにはそれなりの何かがある。ならばやりようはある。

 

「うおっ!」

 

 望月の足元から青白い光を纏った槍が勢いよく射出される。望月はそれを難なく避けると、今度は彼の右腕が光り出した。

 

「せぇーいっ!」

 

 それはモルガンもまた見たことのない光の斬撃であったが、モルガンはそれを間一髪で避けると、次の魔術を行使した。

 

 色彩にあふれた光線が、望月の放った光弾とぶつかり合って、極彩色の火花が散る。

 その中で、望月は思考を巡らせる。どうやってこの弾幕をかいくぐって、モルガンへ接近しようか。

 彼は所詮全能に成り切れなかった贋作の聖杯人間。その象徴たる超常現象の動力源は、彼の精神力だ。質のいい攻撃を防ぐには質のいい防御をしなければならない。その分彼の精神は削れてゆく。削れるのは良い、どうせ寝て起きたらその分回復している。だが、精神を完全に燃やし尽くせばそれで終わり。望月という名の人間の魂は焼却される。

 

 つまり、勝つには――――

 

「まだまだ行けるだろう? もっと本気でぶつからなければ、私には勝てんな?」

 

「―――勝負はこれからでしょう、女王陛下」

 

 ―――勝つには、必殺の一撃をぶつける必要がある。




注意!
オリ主は別に聖杯じゃないです! 体の中に聖杯入れてたりとかはしません。ただ、本当に極偶然、たまたま『何でもできる』人間として生まれただけなのです。

モルガンがどうしてオリ主と戦い始めたか分からない人向け

モルガンからオリ主への反応
臣下()
・最後、本当に最後だから、最後にこいつだけ信用してみたい。
・でもちゃんと傍にいてくれるか不安だな…そうだ!戦ってこいつが勝って、それでも自分に何もしないなら信用できるのでは!?(魔猪の氏族)

オリ主からモルガンへの反応
・ブリテン滅びるしさ、気楽にいこうよ気楽に。
・もしかして俺のこと好きなの~~~~~???????
・戦う度にげっそりする(精神力が削られて)

こんな感じです……

そして、「待て!アラヤやガイアが主人公を見逃すわけねーぜ!」と考えた人たちへ。
二、三回くらい抑止力からの使者(とは名ばかりの暗殺者的な者)を返り討ちにしてるっていう設定です…機会があったら書いてみようかなぁとは思ってるけどたぶん書かない(保険)
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