ギルド:アインズ・ウール・ゴウンがユグドラシルを制するまで   作:そんちょうデラックス

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始まり

「もしかしたら、もうみんな来ないかもしれない」

 

ゲームからログアウトしようとしていたモモンガはずっと考えていたことを口に出す。

ユグドラシルというD-MMO RPGが発売されてから早10年以上が経ち、ゲームは過疎化していき、ユグドラシルをやっている人は少なくなっていった。

 

そんな中で、モモンガ…本名を鈴木悟というその男は一人、ギルドの運営をしていた。ギルドメンバーの皆がまたギルドに現れるかもしれないと期待して。

だが、それももうやる意味が無いかもしれないと考えていた。

 

「…また、皆とゲームしたい」

 

モモンガは、ギルドの皆にまたゲームをしたいと言う旨のメールを送ったことがなかった。いや、送ろうと考えていたが、そのたびにネガティブなことを考えてしまっていた。迷惑じゃないかとか来ないんじゃないかとか。だが、そんなことはもうどうでも良くなっていた。

 

モモンガはログアウトし、ギルドメンバー全員にメールを送る事にした。

皆とゲームをまたやりたいという旨のメールを送り、不安と期待を抱きながら眠りについた。

翌日。会社に着き、仕事をしていき、短い休みの時間になった。

栄養剤を飲み干したところで、隣の同僚が話しかけてきた。

 

「鈴木さん、これ見てください」

 

差し出されたスマホを見てみると、巨大複合企業が仮想現実を使った人体実験をしていたという内容だった。

 

「これ、本当ですか?信じられません」

「でも、これ本当みたいなんです」

 

情報元は確かなようで、とある改革組織が発信したようだ。

 

「これからどうなっちゃうんですかね」

「少なくともあの企業はもう終わりなんじゃないですか?だってほら」

 

スマホをスライドして見ると、世界中から誹謗中傷や批判の声が出ていて、一部では巨大複合企業を狙ったテロや国家からの攻撃が始まっているようだ。

 

「もうこんなに攻撃やら反乱が起きてるみたいですし、反乱派が前の戦争より多くなりすぎてますし」

「…なんか実感湧かないですね」

「そうですね〜。でも、これから変わっていくんじゃないですか? もしかしたら、俺たちのこの現状が変わるかもしれないですし」

 

巨大複合企業が倒産する日が来るのだろうかと考えながら、短い休みの時間は終わった。

仕事が終わり、ユグドラシルにログインする。期待をしつつも、昨日の今日で来る人はあまりいないだろうと考えた。

 

しかし…

 

「お久しぶり、モモンガさん」

 

そこには、黄金に輝く鎧を着た鳥人間がいた。

 

「ペロロンチーノさん!」

「いや〜ホントに久しぶり」

「来てくれたんですね!」

「うん。俺も久しぶりに休み取れたし、それに、メール送ってくれたでしょ? ゲームの誘いとか今まで来なかったからてっきりやめたとばかり思ってたよ」

「今も現役のPKプレイヤーですよ」

「お! PKか〜。良いね、久しぶりにPKしに行きますか!」

「なんか思ったより人いなかったねー」

「ここ最近はホントに過疎っていますから」

「まあ、俺もやってなかったせいか下手になったしなー。エイムも随分とわるくなったし」

「そうですね。これから勘を戻しましょうか」

「明日も休みだし、次はなんかモンスターでも狩る?」

「良いですね。ドラゴンでも狩りますか!」

「良いね。じゃあ、また明日」

「はい。また明日」

二人は巨大な円卓のある部屋でログアウトする。

 

「また明日…かぁ」

 

また明日も一緒に遊べると聞いて、モモンガは言葉にし難い喜びを感じていた。

 

「ふふ、なんだか久しぶりに楽しくなってきたな」

有給を取っていたモモンガはユグドラシルにログインする。

ログインしたモモンガは円卓の方を見る。そして、そこには三人の異形が話していた。

 

「ヘロヘロさんに茶釜さん! お久しぶりです」

「モモンガさん。お久しぶりです」

「よっすー! モモンガさん。お久しぶり!」

 

黒いスライムとピンク色のスライム、ヘロヘロとぶくぶく茶釜である。

 

「昨日、ドラゴン狩りに行こうぜって話したじゃん? 丁度前衛二人いるし、毒龍の住処のボスもいけんじゃね?」

「おい、ちょっと待て。確かに前衛二人に後衛二人いるけど、後二人はパーティにいるだろ。それに私たち前より下手になってるし」

「そうですね。さすがに四人じゃ……あ、大丈夫そうですよ」

 

皆がヘロヘロが向いている方を見ると、ギルドメンバーの二人がログインしていた。

 

「お、丁度良かった」

「みんなーおひさー」

「建御雷さん! 弍式さんも!」

「二人とも久しぶりー!」

「お久しぶりです。二人とも」

「皆いるが、今からどっか行くのか?」

「うん、今から毒龍の住処の所に行くけど二人とも一緒に行く?」

「久々にエリア攻略か、俺たちも行こう」

「お、良いねぇ。いっちょやりますか!」

「結構、バランスの良いパーティになりましたね」

「アタッカー三人にタンク一人、でもって後衛二人か」

「よし、じゃあ行こう!」

毒龍の住処は毒の沼が多くある荒野であり、毒の能力を持ったドラゴンが

基本的に出てくるエリアである。

 

「<風斬>」

 

一体のドラゴンに建御雷が斬撃を放ち、倒す。

現在、七体の毒のドラゴンを相手にしているモモンガたち。ボスのところまで辿り着き、ボスとの戦闘を開始し、ドラゴンは4体に減っている。

 

「これで、全部のドラゴンの爪は溶かしました!」

 

ヘロヘロがぶくぶく茶釜に報告しながら、ドラゴンに攻撃する。

それを聞いたぶくぶく茶釜が指示を飛ばす。

 

「弟! あっちの奴を集中攻撃!」

「あいよ!<属性重爆撃(フィフス・アティル)>!」

 

ペロロンチーノが五属性の矢の雨を放つ。

 

「<影縫い> <風来刃>! こっちやった!」

 

弍式炎雷が[忍者]の剣術スキルを使い一体のドラゴンを倒す。

 

「<魔法最強化・(マキシマイズマジック・)現断(リアリティ・スラッシュ)>! 終わりました! そっち手伝います!」

 

モモンガも続いて、強化した魔法でドラゴンを倒す。

 

「<ストライクノヴァ> よし、後はボス!」

 

取り巻きのドラゴンを倒した三人はボスドラゴンに攻撃する

 

「ッ! グオオォ!」

 

ボスドラゴンは建御雷に毒のブレスを吐くがぶくぶく茶釜にガードされてしまう。

 

「あぶねー…サンキュー茶釜さん」

「いーよ、建御雷さん。やっちゃって! <生贄(サクリファイス)>!」

 

ペロロンチーノもドラゴンを倒し、ボスドラゴンの相手をしていたぶくぶく茶釜はボスドラゴンの体力を確認しながらスキルを使い、ボスドラゴンのカルマ値を大幅に下げ、武人建御雷に繋げる。

 

「<不動明王撃(アチャラナータ)>」

不動明王が現れ、不動羂索でボスの回避力を下げる。

 

「<降三世明王撃(トライローキヴィジャヤ)>」

 

降三世明王が手に持った槍でボスドラゴンを貫く。

 

「<大威徳明王撃(ヤマーンタカ)>」

 

大威徳明王が手に持つ巨大な棍棒でボスドラゴンを叩きのめす。

 

「<軍茶利明王撃(グンダリー)>」

 

軍茶利明王が手に持った蛇をボスドラゴンに巻き付かせて金縛り効果を維持する。

 

「<金剛夜叉明王撃(ヴァジュラヤクシャ)>!」

 

金剛夜叉明王が雷を纏った金剛杵で複数回、ボスドラゴンを殴りつける。

そして、五人の明王が現れ、ボスドラゴンの動きを完全に止めた。

 

「持ってけ弍式!」

 

その隙を弍式炎雷が手に持つ超巨大な忍刀、素戔嗚でトドメを刺した。

 

「おー!やった、勝ったー!」

 

ぶくぶく茶釜は歓喜の声を上げていた。皆もボス討伐による達成感と疲労を感じていた。

 

「ふー。俺も大分鈍ってるな。死ななくて良かったわ」

「皆、ユグドラシルに触るの久しぶりですもんね」

「建やんナイスー。茶釜さんも乙ー」

「てか、ドラゴンってこんな強かったっけ?」

「私たちが弱くなったんだよ。私もヘイト管理ド下手クソになったし」

 

ギルドの仲間たちが話している様子を見て、モモンガは喜びを感じていた。

 

「(俺が今までギルドを守ってきた意味は、あったんだな……)」

 

ギルドが崩壊していたら、今のように笑い合えなかった。そして、今回でよく分かった。自分は仲間と遊びたかった。だから別に他のゲームに行って仲間たちとゲームをしても良かったんだと。意地を張ってユグドラシルに残らなくても、他のゲームでも仲間たちは歓迎してくれることを確信した。誘えば応えてくれるだろう。それをしなかったのは自分の方だと。

 

「(なんか、バカみたいなことをしていたな、今まで。別に誘えばユグドラシルのギルドの維持も手伝ってくれるだろうに……他のゲームでも遊べた筈なのにな…本当にバカみたいだ)」

 

そんなことを考えているとペロロンチーノが声をかけてくる。

 

「モモンガさ〜ん! そろそろ戻りますよ〜!」

「そうですね。戻りましょうか」

 

モモンガは仲間たちと共に歩く。

 

「(でも、これからは違うな。もう間違えない。)」

 

これからは前のように遊べると感じながら。




まだ続きます。
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