ギルド:アインズ・ウール・ゴウンがユグドラシルを制するまで 作:そんちょうデラックス
新たなワールド、インスミールにある種を問わない国、シエリアスに着いた俺たちは、街を散策している。
情報収集しつつ観光してみようと言う訳である。
改めて見ると街並みは中世のヨーロッパの様な美しさ、趣があり、良い雰囲気を感じる。
今までのユグドラシルでもこの様な街並みをしている街はあったが、人が闊歩している所為か、どこか雰囲気が違う。この街の方が個人的には好ましく感じる。
ぷにっとさんが皆に対して発言する。
「観光がてら情報収集をしましょうか。新たな情報が手に入りそうですし」
「バラけていかね? その方が効率良いだろ」
「そうですね。グループに分けて行動しましょうか、では9時に噴水に集合しましょう」
ウルベルトさんが出した意見が採用され、7グループに分けられた。
俺のところには、ウルベルトさん、たっちさん、アルさん、餡ころさん、たりすまんさんだ。
何でウルベルトさんとたっちさんの両方をこっちのグループに入れてしまったんだ。
絶対にケンカするじゃん!
「お前と一緒のチームかよ」
「最悪ですね」
「こっちのセリフだっつのボケ」
ほら、ケンカしてる。
「減らず口は変わりませんね」
「ハッ! 当たり前だろ。俺とお前の関係は変わらねえよ」
「それもそうですね」
二人はそう言って少し笑っている。
あれ、でも何か雰囲気が違う。ケンカしてると言うより何か、ふざけていると言うか、前より態度が軟化している。二人に何があったんだ?
他の三人が肩をつついてきた。
「モモンガさんモモンガさん! あれ何! 何があったんあの二人に!」
「あの二人、あんなにケンカしてたのに何か互いに優しくなってない?」
「本当にあの二人なんですか、あれ」
「ええ、どうしたんでしょう、二人とも」
こう言うのは、聞いてみるのが早い。
「あの、二人ともどうしたんですか?」
「ああ、モモンガさん。別に変わんねえよ。多少、心境の変化みたいのがあっただけ」
「今まで通りですよ、今までと同じです」
いやいや、そんな訳が無いだろう。聞いても何かとはぐらかしてるから、あまり聞いて欲しくない話なのか? 気にはなるが、無理矢理聞くのもあまり良いことでは無い。これ以上聞く事は皆もしない様だ。
「我が王よ、我々の任務を先に終えましょう」
「そうだな。行くぞ、アルトリアス」
「ハッ」
アルさんが胸に手を当て、ロールプレイをしながらそう言う。
アルさんは堕ちた騎士のロールプレイをするタイプのプレイヤーだ。異端の騎士を名乗る。ウルベルトさんと同じ厨二病である。そしてロールプレイをしている時は俺の事を魔王と呼び、魔王に仕える騎士として接してくる。
そう言う設定は大好きだから俺もそのノリに良く乗る。
話が逸れてしまったが我々の目的であった観光と情報収集をすることにしよう。
NPCに話かけて情報収集を各自でしていく事にした。武具店やアイテムショップ、冒険者ギルドの位置を教えて貰いつつ、他の情報も入手した。
樹海や平原のステージがあるらしい。樹海の方には龍の神がいると言う話だ。
その樹海から良く悪意や知性の低い敵対モンスターが出てくるみたいで困っているとのこと。新しく作られたワールドなので、基本的にモンスターのレベルは高いだろう。モンスターが樹海から出てくる原因を調べて欲しいらしい。
その樹海でイベントがあるかもしれない、後で皆とそこへ行ってみよう。
そうして街を散策していると、目に止まる店があった。アイテムショップ、ずっと気になっていた。新たなワールド、そのアイテムショップとなれば新たなアイテムを入手できる。アイテムとしての位は高く無いだろうがぶっちゃけどうでも良い。収集したいだけだし。
「皆、あそこに行きたいんですけど良いですか?」
「ん、別に構わんよ」
アイテムショップに入る。店内は様々なアイテムが置いてあるが、装飾であってアイテムではないし触れない物だ。
店員に話しかけて、コマンドを表示する。色々なアイテムがあったが、強いものは無い。遺産級か聖遺物級くらいしか無い。
指輪を手に取り、眺める。
美しい装飾が施されたいくつかの指輪を購入する。
昔のナザリックを守っていただけの俺なら考えられない通貨の使い方だが、最近では皆でナザリックの運営をしていたので、通貨は山程ある。少し位は無駄遣いしても構わないだろう。
購入したのは、水属性強化の指輪、死霊属性強化の指輪、龍系モンスターに対してダメージが増える指輪の三つだ。
購入していると、餡ころさんが後ろから話しかけてきた。
「モモンガさん、綺麗な指輪とか杖とか好きだよね。何買ったの?」
「水属性強化と死霊属性強化とドラゴンに対してダメージが増える指輪ですね」
「へ〜、綺麗な指輪だねぇ。ドラゴンの奴ってもしかして悪意の樹海にいるって言う龍の神対策?」
「ええ。こう言う指輪は買った事なかったし、龍の神がボスなのかNPCなのかわからないので」
龍の神の情報で判明しているのは悪意の樹海にいる事と昔からいて、到達した者の願いを叶えると言われているぐらいだ。
友好的なNPCなのかボスなのかわからないし、もしかしたらワールドエネミーの可能性もないわけでは無いので、対策してから悪意の樹海に行く事にする。
と言うか、今の俺たちはレベルが少しダウンしているので、装備や人数は必要なのだ。
店を出て、歩きながら話を続ける。
「41人の何人かで行くんだよな。18人位で充分じゃねえか?」
「まあ、レベルがダウンしていてもそのぐらいでおそらく良いですよね」
レベルが70〜90だとしても装備と連携で意外と何とかなる。強さはわからないけど、死んでもアイテムをドロップしてしまうだけだし、蘇生魔法を使えば良いだけなので、試しに行くぐらいなら良いだろう。
「あ、みんな、ちょっと服屋よってこーよ!」
餡ころさんが皆に提案し、服屋に入っていく。
「良いローブとかねぇかな〜」
「でも、ぶっちゃけ俺らの装備ってほとんど完成してない?」
「まあまあ、デザインが気に入れば、それを改造するのも良いですし」
服屋や武具店の鎧や服は、ほとんど外装データ入手の為である。
魔法職であるウルベルトさんとたりすまんさんと話していると、餡ころさんから声がかかる。
「ねえ、モモンガさん。これどう?」
そう聞かれて、餡ころさんの方を向く。餡ころさんが着ていたのは灰みのエレガントワンピースだ。餡ころさんの種族はアヌビス系の犬の頭を持った異形種なのだが、何と言うか、異形種にしては可愛らしい種族だ。
「似合っていると思いますよ、餡ころさんに合ってます」
「そう? じゃあ、これ買っちゃおうかな〜」
餡ころさんが照れた様にそう言う。餡ころさんはオシャレが好きで、ユグドラシルでも良く服屋に寄っていた。
「ほら、モモンガさんもなんか着てみて!」
「え! 俺ですか。ええーと、じゃあ……これとか?」
手に取ったスーツを着る。鏡の方を見るとそこにはスーツを着た骸骨がいた。
「お〜? う〜ん」
餡ころさんは微妙な反応をする。そりゃあそうだろう。骨だもん。
俺はどちらかと言えばローブとかの方が合っている。
俺は服を戻した。
「やっぱりモモンガさんのアバターの雰囲気に合う服ってローブになっちゃうよねー」
餡ころさんは顎に手を当ててう〜んと唸りながら考えている。
「ローブが一番カッコ良くて映えるよねー」
「そうなんですよ。やっぱり骸骨の魔王はローブじゃ無いと」
餡ころさんと話しながらウルベルトさんたちの方に目を向ける。
ウルベルトさんがばりあぶるさんやアルさん達と話している。
「このローブかっこいいな、買うか」
「あー、良いですねぇ。暗黒のローブ。大災厄の魔にはあってるんじゃ無いですか?」
「でも、これ火力上がる奴じゃないけど」
「まあ、多少減っても大丈夫じゃ無いですか? どうせ改造しますし」
本当にたっちさんがウルベルトさんの話に加わっていくのすごく違和感あるな……。
「あの二人、本当に変わったね」
「ええ、でも良い方向に向かっていますね」
本当に良い方に変わった、あの二人は。
「でも、厨二趣味は変わってなかったんですね」
「今何つったてめぇ! 厨二っつったよなぁ! ぶっ殺すぞ!」
「厨二じゃないですか」
「だったらてめぇだってガキくせぇ趣味してんじゃねえか!」
「良いでしょう。その喧嘩、買ってあげますよ」
「喧嘩するのは変わらなかったのか!」
「まあ、やっぱあの二人だよねー」
思わず叫んでしまった。あの二人が変わって無いと言ったのはぐらかしている訳ではなかったかもしれない。
ケンカを仲裁してから店を出る。
餡ころさんは何枚か買ったが、他の皆はあまり買わなかった、ウルベルトさんが一枚ローブを購入していたぐらいである。
相変わらず二人で取っ組み合いしてる。
「そろそろ噴水に向かいましょうか」
そう言って俺たちは集合場所の噴水に向かった。
*
噴水に着き、ぷにっとさんから話を聞く。
どうやらこの国以外にも、国が多くある様で、蟲の王国や機械の国、死者の国があるらしい。
地図を入手した様で、見せてもらったが、このワールドはかなりの広大さをしていることがわかった。他のワールドの何倍もある。
ぷにっとさんから話を聞いたので、俺たちが入手した情報と悪意の樹海に行きたい旨も話す。
「うーん。良いですけど、デスする可能性もあるのでアイテムを落としてしまった時用にバックアップのパーティも考えましょうか」
「え、俺らレベル低いのに行くんすか」
ベルリバーさんが驚いた様に言う。ベルリバーさんは慎重派のプレイヤーなのでリスクがある行動はあまりとらない方が良いと考えているのだろう。
「装備とかでガチガチに固めればいけると思ったんですが……ダメですか?」
「あー、死ななければ良いですけどね」
まあ、死んだら回収するんで良いですけどと言葉をこぼしたベルリバーさん。よし、許可は取ったし、早速準備するか!
*
皆と装備を取りにナザリックへ戻ってきて、宝物殿の武器庫やマジックアイテムの保管庫へと入って行った。
基本装備は全員持っているが、対策や元々自分が持っていた装備を宝物殿に置きっぱなしだった人が多かったので、全員で来たわけである。
皆、武器庫かマジックアイテムの保管庫へ行っている。
俺は武器庫の方に入った。
武器庫には皆が作った強力な武器が多くある。
俺の杖は基本的にギルド武器のダミー品であるスタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン・ダミーを使っている。ダミー品でも強さは折り紙付きでアイテムとしての位は神器級である。今回もダミースタッフを使うつもりだが、戦うとしたら龍のボスになりそうなので龍対策の装備を取りに来た。
皆も久しぶりにここに来たせいか、はしゃいでいる。
「あー、ここにあったのか」
「俺、装備こんなあったんか……」
源次郎さん、ブリムさんがつぶやいた。ブリムさんはビルドの関係で装備が多い。
皆、それぞれで自分の装備を探している。
「嬉しそうだね、モモンガ君」
「あ、博士」
博士というのは死獣天朱雀さんのことだ。
博士は準備が終わった様である。
「ええ、久しぶりにみんなで揃ってゲームができて、楽しくて」
「フ、そうか。僕も久々にできて良かったよ。皆、変わっていなくて良かった」
たっちさんとウルベルトさんの仲は少し良い変化があったけど、皆は昔と同じ皆だった。
「そうですね。昔と同じ、冒険がまたできるのが、とても嬉しいです」
「僕としてはPKする機会があればもっと楽しくなりそうなんだけどね〜」
「本当に相変わらずですね」
博士はギルドの中でも特にPK大好きな人だったな。
「ちょっと前に久しぶりにやったらあのPKした時の快感を思い出しちゃってさ、本当に楽しいんだよね」
「まあ、わかりますけど」
プレイヤーと戦う時にしか感じられない楽しさはある。
「魔王様、準備が終わりました」
アルさんからの声が掛かる。
「お、皆も準備が終わったみたいだよ」
「では、明日に悪意の樹海に行こう」
それにしても、龍の神か。どんなのだろう。
わかりづらいのでキャラ紹介〜
異端の騎士アルトリアス
種族はゾンビとかグール寄りのアンデット。
クラスは暗黒騎士やカースドナイトとかの騎士と信仰系魔法詠唱者。信仰系と聖騎士系は親和性ある設定。
外見は灰色の鎧に青色のマントをしている。中身は普通にゾンビ系アンデット。
魔王に仕える騎士ということで異端の騎士を自称している厨二病患者。割とまともな人だけど重要な場面でもロールプレイを優先してしまうタイプでもある。
アルトリアスだと長いのでアルと呼ばれている。
ばりあぶる・たりすまん
クラスはタンク系魔法詠唱者。
スキルが多いのでやれること自体は多い。他は原作通り。
餡ころもっちもち
種族はアヌビス系の犬頭の異形種。
クラスはモンスターテイマー。
テイムしている魔獣達には食べ物に関係した名前をつけている。
元気で明るく活発な今どき女子。割と若い。動物好き。