インフィニット・カウンターズ   作:夢現図書館

10 / 18

 勝つ為に必要なモノは何か?
 それは〈学習〉だ。



表明

 

 

 

 

 

 

 

 

 身の危険を感じた薫子。

 それ故にリッカにIS学園へ速やかに帰る様に頼み、行きと同じ要領で移動して無事にIS学園へと帰還。

 しかし、とっくに門限は過ぎてしまっている為に寮監の織斑千冬に扱かれた。かく言うリッカは寮棟には戻らずにいた為にその問題に出会す事は無かった。

 

 翌日。

 相変わらず女子生徒達が騒がしい中、当然の如く教室で爆睡しようと——。

 ——出来なかった。

 

「…………」

 

「……」

 

 リッカの席の前に立つ娘。前の席の者でも無い。本当に目の前に立って自分を見ている。

 流石に其処まで露骨な行動を取られて寝れる程、図太い神経は持っては居ない。

 長く黒檀の様な髪。大人しそうな雰囲気を持った娘さんだ。外見上、特にこれと言った特徴らしい特徴は見受けられない。

 

「あ、あの……。私に、戦い方を教えてくれませんか⁉︎」

 

「はぁ?」

 

 開口一番にそんな事(・・・・)を言い出した。唐突にそんな突拍子もない言葉を言われて思わず惚けた声が出た。いや、本当に予想外の言葉だ。

 

「だから、戦い方を教えて欲しいんです‼︎」

 

「……また唐突だな。それにお前さん、誰?」

 

「……え……昨日自己紹介したのに……」

 

「すまんな。覚えてない」

 

 中々、酷いがリッカは日中は爆睡している為に仕方ない部分があるかも知れない。常識の壁があるから余計に。

 

「わ、私……夜竹 さゆか、です。その……8組のクラス代表になりまして……」

 

「あー、そうなのか。それで、戦い方を教えてくれとは、どう言う理由だ?」

 

「えと、その……り、リッカさんってカウンターなんですよね? だ、だったら戦闘経験とか、豊富なんですよね……?」

 

「其処らの若造共に比べたら豊富な方だな。

 だが何故、態々俺みたいな奴に教授を希う? IS学園の教諭の指導じゃ不服か?」

 

「…………」

 

 IS学園はIS操縦者を養成する唯一無二の専門機関。IS操縦者を目指すならば1番の選択肢と言える場所だ。戦闘技術の指導も当然、行われる。ただ、日本の学校である事から画一的な教育になっているのは否めない。

 

「……推薦のしあいになってクラス代表になったんですが……他のクラスの代表に勝てるか分からなくて、その専用機持ちの人が高確率でクラス代表になっていそうで、その……勝ち目が無いんです」

 

「……その副賞とやらも欲しいのか?」

 

 副賞と言うのはクラス代表対抗トーナメントの優勝における副賞の半年間のフリーパスの事だ。

 

「あ、えーと……はい」

 

——素直で宜しい。

 

「そうか、断る」

 

「……何故、なんですか?」

 

「俺は人にモノを教えるのはそんなに得意じゃねぇし、昨日言ったよな? 住む世界が違ぇってな。お前さんの想像している『教え方』と此方側での『教え方』はまるで違うんだよ。

 それにアカデミーでも俺は半分以上、寝ているしな」

 

「どうしてもダメなんですか?」

 

「……どうしてもっつーより」

 

——認めちまうとノエルに面倒を見る大義名分を与えちまうんだよなぁ。絶対、モネカが情報を流しちまうだろうし。

 

 その直後、ゾワリと教室内の空気が響めいた。

 教室内に居た生徒達は唐突に背中に寒気が走ったのを否応なく感じた。

 リッカとて殺気や凄みを見せている訳では無い。ただ、リッカは普通の口調だし声音を変えている訳でも無い。それだけだ。

 

「女尊男卑だか何だか知らねーが、言えば何でもしてくれると言う妄想を抱くのはその辺にしておけ、それでもっつーんなら」

 

 刹那、さゆかの頸動脈付近に冷たい感触が伝わっていた。リッカの腕が首元に伸ばされており指に挟んでいた時計のハンドの先端部が触れていた。

 

「ッ‼︎⁉︎」

 

——まぁ、副賞なんぞコイツにとってはオマケだろうな。腹に一物抱えてんのは何処でも一緒だろうし、此処じゃ言えん内容だな。

 

「はーい。皆、席に……って、何この状況⁉︎」

 

 その時、教員の衣笠教諭が教室に入って来てリッカの方へと視線を向けた瞬間、声を上げた。そのタイミングでリッカはハンドを離した。

 

「……ッ‼︎」

 

 その後、我に返ったさゆかはそそくさと自分の席へと戻った。リッカとしてはコレで諦めてくれた方が助かるな、と言う心境だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『リッカさん。断った理由、それだけじゃないですよね?』

 

 ガァンと言う甲高い音が鳴り響く。

 

「まぁな。学園の教育方針に口出しするつもりは無いが……正直、使いモンにならん量産品ばかりになるだろうからな」

 

 ドスと言う突き刺さる音が小さく鳴った。

 

『……全体的に見て限られた兵装を全員で使い回すと言うのは非効率過ぎますね。操縦科と整備科しか無いのもまた何とも……兵科が少な過ぎます』

 

 3発、連続で音が響いた。

 

「無茶を言ってやるな。無いモノ強請りしても仕方ないだろうよ」

 

 貫通した。

 

『ショットガン、投擲、ハンドガン、スナイパーライフル……命中率、95%超。お見事です』

 

「ブレは修正せんとな……室内射撃における空気抵抗を考えんとなぁ」

 

 此処はIS学園の敷地内にある射撃場。

 午前中を爆睡で過ごした後、昼休みにリッカは此処に訪れていた。

 

「して、話を戻すがクラス代表だけ(・・)が頑張ってそれ以外の面々にも恩恵が与れると言うのが気に入らんのだよ」

 

 クラス代表対抗トーナメントはクラス代表同士が模擬戦で試合をする。優勝をしたクラス代表のクラス全員に副賞が進呈される。

 言葉にすればそうなるが、実際に戦うのはクラス代表だけでありそれ以外は見ているだけである。クラスの中には代表を押し付けて剰え恩恵に与ろうと言う者も居なくは無いだろう。

 

「他人任せ。如何にも気に入らないんだよな……ソレ」

 

『タスクフォース業界だと小隊規模で動くのが当然ですからね。1人1人が動かないと、ピンチになっちゃいますからね』

 

「…………」

 

 また1発、銃弾が放たれて遠くに設置された的に命中した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。