インフィニット・カウンターズ   作:夢現図書館

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 どうして人は争いたがるの?
 それは『運命』なの。人に限らず……形あるモノ全てに定められた絶対的な『運命』……。
 その運命が嫌だったら?
 ……沢山の死体が溢れる事になるわ。

——とある姉妹のやりとり。


交差

 

 

「やれやれ、やはりそう言う線で接触を計って来たか」

 

——壊されるのが嫌なら自分で守れって話だ。

 

 織斑 千冬からの呼び出しは大凡予想通りの内容だった。IS学園も色々な事情を抱えている事は理解は出来るのだが、此方も勢力に属している以上、そんな感情論で安請負出来る立場では無い。

 

『そもそもこの地域は管理局から見て管理外区域ですからね……。しかも、管理局から見ても秩序を乱す存在だと位置付けされていますし』

 

——立場が変われば主張は変わると言うけどさ……単純に主義主張が違うのだけならば然程、問題にならないだろうが、女性主義団体が大っぴらに主張する女尊男卑と言う概念が足を引っ張っちまっている。

 最も国家未満の国家であるグロニアで盛況なカウンター優越主義団体も似た様なモンかね……。

 

「…………」

 

 廊下の窓から蒼い蒼穹を見上げる。

 銃声か悲鳴や絶叫が絶えないのが自然な光景なのに、此方は時折聞こえる人の話し声を聞いていると酷い平和だと感じてしまう。

 

『……リッカさん。見られていますよ』

 

「そうだな」

 

——素人臭さが抜けない尾行だな……。まぁ、民間人相手にそんな評価は余りにも酷だろうか。

 

『……仕掛けてくる気配はありませんね。今は静観しているのでしょうか?』

 

——偵察目的だろうな。情報も無しにいきなり仕掛けるのはリスクが大きい。かと言って、放置するのも問題、か。

 

 上着の内ポケットの中に忍ばせていた万年筆を取り出し、振り向き様に潜んでいるであろう廊下の曲がり角付近へ目掛けて投げ付けた。同然、直撃させて怪我させるつもりは無く、丁度壁の角ギリギリに突き刺した。

 

「ッ‼︎」

 

『逃げましたね……』

 

——なら良いだろう。本当の意味で興味本位の素人ならば身の危険を感じて引き退る事を選択する。そうでないのならば……。

 

『危険は伴いますが……黙って貰うしかありませんね。出来れば穏便な方法と言いたいのですが』

 

——極力務める。しょうもない理由で死体を作るのは趣味じゃないからな。

 

 その後、8組に戻り何時も通り授業は全て爆睡した。教師ももう注意する気力は無いのか放置する様になったようだ。

 そして、時は流れてお昼頃の時間帯となった。

 

 

 

 リッカは起きて早々、騒がしいと感じた。

 学園と言うのは往々にして常日頃から騒がしい空間ではあるのだが、今回は何時にも増して騒がしかった。

 

——何かあるのかねぇ。

 

「1組でクラス代表を決める模擬戦が午後から始まるんだって‼︎」

 

「本当⁉︎ IS同士の試合を見れる絶好のチャンス‼︎」

 

「第2アリーナでやるんだって‼︎」

 

 生徒達が姦しい理由。それは今日の午後から以前から騒がれていた1組で起こった口論の末にクラス代表を決める模擬戦が行われるからとの事。ISに憧れを持つ生徒達にとって直に見れる機会だった。だから話題となり騒がしくなっていた様だ。

 

——成程……そう言う事か。ガントレットみたいに観戦するのが趣味の人も居るしまぁ……理解出来ない訳じゃあ無いんだがな。

 

 リッカも興味が湧いた為、第2アリーナとやらに向かった。思えば本校舎以外の場所にまだ行った事は無かった。IS学園島の本校舎以外には舗装された遊歩道で庭園や各種アリーナ等に向かえる。と言っても本校舎を始めとしたIS学園を構成する施設はこの人工島の半分程だ。それ以外は然程、深くはない林地帯が広がっている。

 

 第2アリーナは直ぐに見つかった。距離的には然程、遠い訳では無く位置距離から考えて普段から使われている様だ。……と言うのも多数の生徒達がアリーナの方へと入って行くのが見えたと言うのも理由の1だったが。

 

「大分、広いようだな」

 

 IS同士の試合と言う事でアリーナ自体、かなりの広さがあった。シャレードで行われるガントレットリーグの本会場程では無いがそれでも広いスペースが設けられている。飛び回る分には充分と言えるだろう。

 

「あ、リッカ君‼︎ こっちこっち〜‼︎」

 

「ん?」

 

 観客席の方へ向かうと遠くから声が聞こえて来た。どうやら8組の生徒の面々も観戦目的で訪れていた様だ。

 

——場所を探すのも面倒だ。此処は好意に甘えさせて貰うとするか。

 

 自分と彼女達は違う世界の住人だが、必要以上に壁を作る必要は無いだろう。変に意固地になる理由も無い。

 

「あ、リッカさん……」

 

「よう。夜竹、だったか?」

 

 空いていた席の隣は8組代表になった夜竹 さやかだった。以前、教えを希いに来たが断った手前、本人からすると気不味い気分になるだろう……。

 

 

 

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