インフィニット・カウンターズ   作:夢現図書館

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 幻想種はカウンターとして覚醒する時、その多くは身体的特徴として発現する傾向がある。耳や角、尻尾と言った動物的特徴である事が多い。
 しかし、その様な者達を受け入れる度量は今の人間には備わっていない。


幻想種

 

 

 

「一般生徒にも稽古を付けているそうだな」

 

 ノエルとさゆかを弟子にして数日後。大食堂近くの自動販売機で缶コーヒーを買っていたその時、背後から織斑 千冬にそう言葉を投げかけられた。

 

「成り行きだ、成り行き」

 

 ガコンと取り出し口に落ちて来た缶コーヒーを手に取りつつリッカはそう答える。いや、そう答えるしか無い。

 

「既に校内ではその話題で持ちきりだぞ? 皆、カウンターとはどう言う形で強くなるのか気になっているみたいだからな。無論、私もだ」

 

 さゆかの後に続く様にリッカに弟子入り表明(2人目の男性操縦者へとお近付きになりたい意図込み)した生徒が何人も現れたがリッカは悉く断った。面倒見切れないと言う理由が大きく、尚且つついて来れるとも思ってはいないからだ。

 

「何に興味を持っているのか知らん、が」

 

 その時、爆発に似た様な轟音が響き渡った。距離は遠いが確実に学園内で発生したと思われる。

 

「何だ、何事だ⁉︎」

 

 爆音を聞いて千冬は何事かと声を荒げる。対するリッカは缶コーヒーを飲み干してゴミ箱に空き缶を投げ入れる。取り乱す素振りは見せず冷静なままであった。

 

「……お前は随分、冷静だな」

 

「爆発の類はグラウンド・ワンじゃ割と毎日起こっているからな。戦車の砲撃やら戦略兵器の爆散騒動とかはもうニュースにすらならんよ。

 俺にとっちゃ身近な例だとストリートアイドルが本社の防護シェルターを片っ端からぶち壊して副社長が修繕費関連で倒れた事例もあるからな」

 

 そう言いながらお代わりと言わんばかりに今度はメロン味の炭酸飲料の缶ジュースを購入して口を開ける。

 

「ず、随分と荒れているんだな。お前の地元は……」

 

「爆発の1つや2つで騒いでいたら、やってられんのよ。せめて核ミサイルのパーティレベルじゃねぇと。……おーい、ノエル。そっちは?あ?あー、そう言う事か……コレも『運命』って所か。あん?………ふむ、そっち(・・・)か。また珍しい事になったな。ノエル。万が一、湧いて来た雑魚は片付けておけ」

 

 炭酸飲料を飲む傍らで通信で弟子の1人であるノエルに連絡を入れる。見ていない傍でも空きアリーナで自主訓練をさせていた。此処とは距離がある為に一応、連絡を入れた所……彼女の話からリッカは納得した。そう言う事かと。

 

「……リッカ。どう言う事だ?」

 

「織斑教諭、第6アリーナには誰1人入れないようにして欲しい。冗談抜きで死ぬ(・・)可能性があるぞ」

 

「何が起きたと言うんだ?」

 

「覚醒崩壊が発生した。どうやら夜竹 さゆかがカウンターとして覚醒したと同時に覚醒崩壊が発生した。さっき聞こえた爆音がソレだ」

 

「いや、ちょっと待て⁉︎ 覚醒崩壊、それにカウンターに覚醒だと⁉︎」

 

「カウンターが覚醒する時、稀にではあるが覚醒崩壊と呼ばれる火災を伴う爆発現象が発生する事がある。さっき、ノエルに連絡を入れた所……夜竹 さゆかの手元にウォッチが現れ、暴風を伴う爆炎がアリーナの中央で発生したと言う事だ。アリーナの中であった事が幸いだな」

 

「カウンターって、そんな唐突に覚醒するモノなのか? 確か、IS適正とカウンターの適性は反比例するんじゃ無かったのか?」

 

「知るか、そんな事情。何事にも例外なんてモノは後から幾らでも出て来るもんだろう……。カウンターに覚醒する条件ってのはある種のパターンはあるが、例外も多い」

 

——それだけ彼女の『願い』が強かったと言う事か、或いはそう言う『運命』にあるのか。

 

「……ただまぁ、今回は例外のレアケースが出て来たな」

 

「……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、師匠〜、ししょ〜‼︎」

 

 各所の地面が焼け焦げている第6アリーナの中央にて、ノエルがピョンピョンと跳ねながら姿が見えたリッカに対して腕を振っている。

 

「……夜竹、身体の具合はどうだ?」

 

「わ、私……どうなったんですか……?」

 

 困惑気味な表情を浮かべるさゆか。その頭部には髪の毛と同じ色の()を思わせる耳が生えていた。風に揺られてかピコピコと揺らめいているのが分かる。

 

——……夜竹 さゆか。よもや幻想種の末裔とはな……。近くのと言うかノエルのCRFに共鳴して覚醒したか……いや、今はどうでも良いか。

 

「……俺の口から説明するよりも、君の同胞(・・)から説明して貰った方が早いだろうな」

 

「え、えと……?」

 

「ノエル。俺が来るまでの間に侵食体は出て来なかったみたいだな。覚醒崩壊は偶に侵食現象みたいに境界が融解して湧く事があるからな」

 

「はいっ‼︎」

 

「……なら良いか。夜竹 さゆか、ノエル。今からヤクシャーん所に行くぞ」

 

「え⁉︎ い、今から⁉︎」

 

「此の儘だと全身バラバラに解体されてホルマリン漬けの末路になるぞ」

 

 急展開に次ぐ急展開で混乱するさゆかに対して嫌な末路を話して無理やり納得させる。

 

「あ、連絡繋がったな。3人、至急輸送して欲しい。場所は、ああ、ヤクシャーの……ああ、頼む」

 

 そして、リッカはまた別の所に連絡を入れる。こう言う時、プラチナエクスプレスは本当に便利である。周りに被害を齎すと言う意味では台風に近いが。

 

「え、えっと……リッカさん。その、ヤクシャーって何ですか?」

 

「君と同じ幻想種の血を継いだ者達が集まる管理局の即応部隊の部隊名だ」

 

「幻想……種?」

 

「詳しい話は俺よりも詳しい副隊長にして貰う。俺も幻想種に関しては余り深く知らないからな」

 

 

 

 

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