インフィニット・カウンターズ   作:夢現図書館

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 特別であると言う事。
 それは特別な『苦痛』と『未来』を享受する事を理解しなければならない。そうでなければ、遅かれ早かれ壊れてしまう運命にある。
 
 それが目に見える変化であるならば尚更だ。


ヤクシャー

 

 

 

「詳しい話は俺よりも詳しい副隊長にして貰う。俺も幻想種に関しては余り深く知らないからな」

 

「お客様、お待たせしました‼︎ プラチナエクスプレス、ララ・イェーガー‼︎ 只今定時に到着しました‼︎」

 

 その言葉の直後、土煙を巻き上げながら空間跳躍し終えたララが3人の前に現れた。彼女の前ではバリア障壁も壁も海も谷も山も関係が無い。

 

「え⁉︎ い、一体何処から⁉︎」

 

「あ、ララさんッ‼︎ フェンリルグッズの配達の時にはお世話になってますっ‼︎」

 

 さゆかは困惑から抜け切れず、ノエルは配達依頼で利用した事があるのか爛々とした目で挨拶をする。

 

「流石、プラチナランク。予告通りで助かる。とまぁ、長居はマズい」

 

 IS学園は基本的に部外者の立ち入りは禁止されている。イベント時は各国政府や企業の要人は入場出来るのだがそら以外の場合は学園内の要望が無ければ基本的に不許可。

 今回のララの場合は勿論、無断……簡単に言えば不法侵入同然の状況であった。故に長居するのは大変、宜しくない。

 

「俺とノエル、後、其処の要件人間である夜竹の3人だ。ヤクシャーの所まで頼む」

 

「分かりました‼︎ それでは皆さん、私の手を握って下さい‼︎」

 

「はいッ‼︎」

 

「え、えっと、は、はいっ‼︎」

 

「ノエル、夜竹。舌噛むから喋んなよ。じゃあ、頼む」

 

「はいっ‼︎ それでは、配達開始ですっ‼︎」

 

 その直後、視界が一変した。

 先程まで青空が広がるアリーナの下から、一瞬にして無骨で大型の貨物エレベーターの上にさゆか達は立っていた。

 

「え、えぇぇぇえ‼︎⁉︎」

 

「黙れ、五月蝿い。一々、驚くな」

 

「お、驚くなって言われても⁉︎ ついさっきまでIS学園のアリーナに居たのに、此処は何処なんですか⁉︎ あと、さっきの人は誰だったんですかっ⁉︎」

 

「巨大なエレベーターですっ‼︎ 秘密基地、秘密基地なんですかっ⁉︎」

 

 常識の埒外の展開続きで混乱が止まらないさゆか。周りの風景を前に興奮気味なノエル。2人だけなのに騒がしいったらありゃしない。

 

「許可がでりゃ好きなだけ見学しても構わんから2人とも黙っててくれ」

 

 取り敢えず喧しいので黙らせる。

 さゆか本人は何が何だか分からないと言う心境は理解はする。ララの空間跳躍による即到着の現象も理解出来ないと言う心境も理解はしている。其方の説明は面倒なので今回は省くが。

 彼女が幻想種で無ければこの様な真似をする必要は無かったのだ。

 

「さてと、どっから説明したもんかな。……まぁ単刀直入に言おうか」

 

 大型のエレベーターを起動し真下へと向かって下降して行く中、説明出来る箇所は説明しておく。

 

「夜竹 さゆか。君はつい先程、『カウンター』へと覚醒した。先程の爆発は、カウンターが最初、力に目覚めて覚醒する時に稀に発生する現象だ。一般的には覚醒崩壊と呼ばれている」

 

「私が、カウンターに……⁉︎ えっと、リッカ君やノエルさんと同じ……?」

 

 落ち着いて来たのか、さゆかはそう聞き返す。リッカとノエルはカウンター能力者である事は知っている。

 

「カウンターと一言に言ってもその能力は千差万別だな。力の強弱もあるし能力の種類もまた違う。例えば重力能力者でも方向性が異なる場合もある」

 

——メンズのリュドミラ小隊長やアルトのアオイ小隊長が良い例だな。2人とも重力能力者だが、その方向性は大いに異なっている。あと、アリス戦隊長とララも似た様な能力者だが、使い方は違うしな。

 

「……当然ながら強い能力に目覚める者も居れば一般人と差が無い程度の能力にしか目覚めない者も現れる。

 簡単に言えばIS適性値と同じように考えてくれれば分かりやすい。此方にも似た様な指標としてカウンター能力者にはランク分けされている。D級からS級と言った具合には。ランクが高ければそれだけ強力な能力を持つ……IS適性とて高ければより高度に意志通りに扱える。そんな認識で良いだろう。まぁ、カウンターの場合はランクが高けりゃ強いって意味にはなり得ないパターンも散見されるんだがな」

 

「な、成程……」

 

——ただ、解せんのはIS適性とカウンター適性は反比例していると言う事。いいや、彼女は例外中の例外と認識した方が良さそうだ。

 代を重ね薄まっていた幻想種の血が先祖返りとして発現したと考える方が自然だ。

 

「……ただ、此処までがカウンターとしての説明だ。君の場合は『幻想種』と言う種族(・・)としての単語が付く」

 

「……何が、違うんですか?」

 

「それを今から此処の連中に教えて貰うのさ」

 

 その時、エレベーターが停止。どうやら到着したらしい。

 

「着いたな。さてと、アポ無し訪問だから副隊長は滞在してっかね」

 

 巨大な扉が開かれた先には最新鋭設備が整っているかの様な近未来的な空間が広がっていた。

 

「わぁ……‼︎」

 

 目に飛び込んで来たのは年齢が様々な男女の人達であった。その何もが人間とは違う特徴を有している。狸の耳が生えた男性や犬の尻尾が生えた少女、角が生えている女性と言った何かしら人間ではあり得ない部位を持つ者達だ。

 

「あ、スコルのしょうたいちょーだー‼︎」

 

「ほんとだー‼︎」

 

「わー‼︎」

 

 リッカの姿を見るや否や、角や猫耳、尻尾が生えた子供達がワッと集まってくる。

 

「あれ、リッカ小隊長じゃないですか。確か管理外区域に出向いているみたいですね。それは兎も角、何かしらの緊急事態なんですか?」

 

 其処へ狸耳が生えた男性が後から声をかけてくる。

 

「いや、緊急事態と言う訳では無いんだ。スウィフト副隊長殿は居られるだろうか?今回の件は全くの別件でな」

 

 そう言いながらリッカはさゆかの方へと視線を向ける。狸耳の男性も釣られて彼女の方を見ると理由を察したようだ。

 

「成程……。そう言う事ですか。分かりました、直ぐに連絡しますね」

 

「ああ、頼む。悪いなチミっ子共、菓子の類は持って来ていないんだわ」

 

 取り次ぎの申請を出した後、集まって来た子供達を下がらせる。因みにノエルにも集られていたが、幻想種では無い為に落胆されていた。

 

「リッカ小隊長。呼んだかしら?」

 

 暫くすると、紫色の髪に長大なウサギの耳が生えた女性がリッカ達の前に姿を現した。

 ヤクシャーのジュディ・スウィフト副隊長その人であった。

 

「ああ、突然の訪問、誠に申し訳ない。少し、厄介な事が発生してしまってな……」

 

 リッカは謝罪しつつ要件人間であるさゆかをジュディに見せた。

 

「……リッカ小隊長。確か、貴方は管理外区域、『委員会』の管轄下であるIS学園に滞在していたのよね。管理局の指令で」

 

「流石だな。其処まで把握しているのであれば説明の手間が省ける。俺も承知している通り、幻想種が民間に受け入れられる余裕は今の所、この兆しは見えていない」

 

「……つまり、その子は『委員会』側の市民かつIS学園の生徒と言う訳ね。『管理局』側なら私達ヤクシャーが保護出来るのだけれど……」

 

「『委員会』は何かとキナ臭い。それに彼女は仮にも俺の弟子だからな、変な真似されると目覚めが悪い。後、俺は幻想種に関しては簡単な事しか分からんから専門家を訪ねるのが1番と判断した」

 

「君が弟子を取るなんてね。兎も角、それなら私達を訪ねるのは正解ね。それじゃあ、貴方のお名前を聞かせてくれるかしら?」

 

「あ、はい……‼︎ 夜竹 さゆかです」

 

「スウィフト副隊長。少しの間、任せて良いだろうか? その間、イザコザが起こる前に先手を打っておく」

 

「良いけど、この子はIS学園所属でしょ? カウンターアカデミーなら融通を効かせる事は出来るでしょうけれど」

 

「現状、彼女をIS学園に戻すと100%の確率で厄介な事になるからな。カウンターに加えて『幻想種』だ。今の彼女には後ろ盾が無い。人間に動物の部位が生えていると知られてみろ、研究だの解剖だの騒ぎ立てるアホが溢れてくるしな」

 

——俺は『管理局』の人間だからか、『管理局』によりその手の話は完全に黙らされている。それでも手を出して来たら『管理局』は大義名分を得る事になるな。

 

「……それは言えているわね。『管理局』は管理外区域には基本的に干渉はしないわ」

 

——それにIS学園所属だからな。あの学園の事だから彼女を即戦力としてカウントして戦闘に放り込みそうだしな……。

 

「な、なんだか大事になっているような……‼︎」

 

「ノエル。この程度、些事だと思っておけ。師匠の場合はもっとヤバい光景しか見えないからな」

 

「そ、そうなんですかッ⁉︎ 流石、ヒルデ小隊長様。格が違います……‼︎」

 

「さてと、夜竹の所属で揉めそうだが……最悪、脅して黙らせるとするか。綺麗事でやっていける程、世の中は甘くは無いしな」

 

 

 

 

 





『ジュディ・スウィフト』

 コスト3のスナイパー。
 『冷気』を蓄積させる遠距離支援役。リベットと覚醒レジーナ以来の『冷気』持ち。レジーナと違い、メカニックに対しての特効は無い。

 自身は攻撃速度の増減の影響を受けず究極スキル発動後は連射状態となり必中の強化攻撃を行うようになる。その為、装備の攻撃速度OPは無意味となる。

 ヤクシャー戦隊の副戦隊長。戦隊長が不在の時は纏め役として動いている為か、仲間の死を何度も見て来た大きな兎耳が特徴的な幻想種カウンター。ウサギの特徴故かニンジンが好物。先祖由来の凍結能力を持つが周辺の気温を急激に下げてしまう都合上、周囲の人間には防寒具が必須であるとの事。


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