インフィニット・カウンターズ   作:夢現図書館

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 ライオネルは願った。
 いつの日か幻想種と人間が共存出来る世界を。
 その夢想は現実となる日は訪れるだろうか。


覚醒者の矜持

 

 

 

 

 

 

『全く意味が分からんのだが?』

 

 カウンター、及び幻想種として覚醒してしまったさゆかを一旦、ジュディ副戦隊長に預けてリッカは彼女の身を守る為の一手を打つ為に行動を開始した。まず手始めにIS学園での居場所を確立させる下準備の為、学年主任の千冬(電話番号はモネカに調べて貰った)に連絡を入れた。

 

「言葉通りの意味だが? 事前にIS学園内にて夜竹 さゆかがカウンターに覚醒したって言ったろ? それに加えて、ちと面倒な事になったんだよ」

 

『だからと言って急に休学だと言われても納得しかねる。然も当人でもその親族でも無い奴から言われれば尚更だ。『管理局』側ならばそれで通用するかも知れんが……如何にIS学園と言えどちゃんとした理由が無ければ納得は出来んぞ。そもそも、この短時間の間に何処へ移動したんだ?』

 

——あー面倒だな。アカデミーなら色々な理由を付けて申請が通るってのにな。

 

「……夜竹 さゆかが『カウンター』になった事を知っているのは織斑教諭だけか?」

 

『今の所はな。何か問題が発生したのか?』

 

「平たく言えばそうなる。現状の状態で、夜竹 さゆかをIS学園……もっと普遍的に言えば公衆の場に出すのはお勧めしない状態となった。……強行すれば当人にとっても辛い現実を思い知る事になる」

 

 『幻想種』は管理局側でも到底受け入れられる状態は整っていない。差別意識が非常に強い委員会側ではどんな状態に晒されるか分かったモノでは無い。その状況を『同胞』を大切にするヤクシャーが容認する筈が無い。

 

『……公の場に出せない状態、だと? 夜竹の身に何が起きた? カウンターと言うだけならばお前とその弟子、ノエルの実例があるだろう。公の場に出ても問題無いだろう?』

 

「……他言は無用だ。口外した場合、『管理局』のある部隊がIS学園を消しに掛かりかねない。それが確約出来なければ話せない」

 

『……機密に該当する事態、か。分かった、私自身の胸の内に留める事を約束しよう。管理局の部隊が動き、IS学園を抹消しに動くとなれば……余程の内容なのか』

 

 『管理局』の戦力が動く事態。それは避けれるならば避けたい所である。

 

「……『世界最強』の口の固さに期待する。織斑教諭、『幻想種』と言う用語に聞き覚えはあるか?」

 

 千冬の言葉にリッカは一応の納得して経緯を説明する事にした。

 

『いや、初耳だ』

 

「幻想種と言うのは簡単に言うと身体の一部に動物の耳や尻尾、角が生えたカウンター……と言う事だ。夜竹 さゆかの場合は狐の耳が生えていた」

 

『狐の耳……⁉︎ そんな事、あり得るのか⁉︎』

 

 流石に予想外だったのか千冬も電話越しで驚いているのが分かる。

 

「俺も幻想種に関しては素人目の知識しか無い。そして1番の問題は今の彼女には後ろ盾が無い。

 人間に動物の部位が生えていると知られてみろ、研究だの解剖だの騒ぎ立てるアホが溢れてくる。男性操縦者絡みでもそんな話、出ているだろ?」

 

——北方連合では普遍的に人体実験とかしているって話だからな……割と真面目に胸糞悪い話だ。

 

『……否定はしない。確かに人間と異なる身体的特徴がある者が居ると目立つ上に、そのような輩が現れても不思議ではないな』

 

「管理局側でも未だに『幻想種』を受け入れられている状態じゃない。だから、幻想種は公の場には出て来ないし出て来れないんだ。現状、管理局の庇護下で表舞台に出ずに生活している」

 

『成程な……』

 

「それにカウンターとしての力の扱い方を学んで置いた方が良い。カウンターの能力の中には扱いが難しく二次被害を及ぼしかねないモノもある。下手を打てば自分自身を傷付けかねない」

 

『ISの訓練と訳が変わって来そうだな……』

 

「無意識下で作用する能力もある。俺もCRFの種類を網羅している訳じゃない。彼女のカウンターとしての力、CRFがどんなモノかによってやり方を変えねばならんからな……」

 

『……取り敢えず事情は理解した。お前としてはカウンターと言うだけならば、まだマシだったんだろう?』

 

「まぁな。その時ならばやり方は幾らかあるが……身体的特徴が目に見えて変化しているとなると、流石に俺ではどうしようも無い」

 

『……そうか。夜竹の件は此方側で処理しておこう。一応、言っておくが夜竹がお前に弟子入りした件は全校に知れ渡っている。休学した事に関して問われるだろう』

 

「適当にはぐらかしておくさ。もし、夜竹 さゆかがIS学園の在籍継続が困難になった場合は、俺は躊躇なくIS学園から逃す。仮にも弟子だからな……胸糞悪い展開はとっくの昔に見飽きているんだ」

 

——カウンターってのは本当にどいつもこいつも悲惨な連中ばっかだ。まぁ、だからこそカウンターに覚醒するんだろうな……。闘争、変化、安定……。

 

「後、後ろ盾になってくれる連中に話を通しに行く。だから、俺もノエルがIS学園に戻るのは早くても明日以降だ。何、何時もの仕事だと通してくれりゃ良い」

 

『カウンターに関しては私は専門外だ。其処に『管理局』が絡む案件だと私ではどうしようも無い。担当クラスは違えど教え子の立ち位置を整えてくれる件に関しては感謝する。お前とノエル、あと夜竹に関しては私から8組の担任に通達しておこう』

 

「……助かる。では、そろそろ切る」

 

 リッカはそう言い電話を切って、今度は小型の空間投影ウィンドウを開いた。

 

「よー、リコリス。ちょっと頼みたい事があるんだが……」

 

 その返答は罵倒と文句とツッコミが織り混ざった内容だった。

 

 

 

 

 

 

 

 





 アプデでボイス無しユニットにも世間話に字幕が付いた。アプデ情報にも無かったのにコレは嬉しい。
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