対極に位置する物。
分かり合える日は来るのか?
「……急に呼び出してすみません」
カウンターアカデミー生徒会室。
西洋風のアンティークな調度品で構成されており、日々拡張され近未来的な印象がある本校舎と違い古さが感じられる。
「で、今度はどんな無茶振りをして来るつもりなんだ? イェン総会長」
その生徒会室の長、イェン・シング・ランチェスター総会長に質問を投げ掛ける。その執務机の上には大量の書類が山積みされており、昼休みを返上してでも進めなければならない状態の様だ。
「また、ホワイトラビットとヒーロー特別育成班のダイブ訓練の引率やれって言うのか?」
——どっちも初等部と中等部のチビ達だからなぁ。無茶しないかと言う意味で面倒……。
「……その件に関しては理事長から直々にご説明頂きます。少し待ってください」
「理事長からぁ?」
そのタイミングで生徒会室の扉がノックされた。噂すれば何とやら、である。
『皆、居るかしら?』
「はい。リッカさんも先程、到着しました」
イェン総会長の一言と同時にその扉が開かれて青髪の女性が入室して来る。
「ごめんなさいね。待たせてしまったみたい」
「然程待っては居ませんよ、理事長。それで、理事長から直々に説明すると言う所までは聞いていますよ」
「あら、其処まで聞いているのね? じゃあ、早速本題に入らせて貰うわね。リッカ君、ISって知っている?」
「IS? ああ、何ちゃらパワードスーツとかの。兵装如きで思想関連が暴走するとかは理解に苦しむのですがね……」
——何処ぞのスカベンジャーが狂喜乱舞してそうなアレか? 女性しか使えないって言う……。
「良かったぁ。君ってタスクフォースカンパニーの仕事絡みとかでテレビとか全然、見ないから全く知らないかと思っていたの」
「流石に其処まで前時代的じゃありませんよ⁉︎」
傭兵は暴力以前に情報収集力が求められる。情報をいち早く把握して理解出来なければ早々にくたばる。そう言う世界だ。
「話を戻すわね。……委員会側の管轄区域で世界初の男性操縦者が現れちゃったみたいなの」
「……へー。そりゃまた、技術の進歩と言うか欠陥の改善の一歩と言えば良いんじゃないんですかね?」
「うん。それで、他にも類似ケースが無いか世界的に調査する事になっちゃってね……。管理局も可能性に関しては前向きに調査する方針になったわ」
管理局公認カウンターは管理局で因子レベルで生体情報は管理されている。委員会側がやっている様な行列作って1人ずつ検査するような真似はしなくとも因子解析すればすぐに判明する為、時間のロスがほぼ無い。
管理局公認カウンターは管理局から補助金が出される代わりに管理局が必要だと判断した場合は、管理局公認カウンター本人に直接、命令する事が出来る。
「……あのー、分かり切っている事を前提で聞きますが……その話を俺が聞いている時点で結果は出ているのでしょう?」
「……ええ。管理局の調査の結果。該当例が1名。……リッカ君。貴方なの」
理事長からの話の時点で情報の精度はかなり高いと言える。つまり、それは真実だと言う事に変わりは無い事を意味している。
「結果は理解しましたが理由が解せませんね。そもそもカウンターはIS適性はほぼ皆無に近かった筈です」
「リッカさんの意見と同意見です。過去の事例でも該当者は居なかった筈です」
カウンター適性とIS適性は反比例している。
その為、女性のカウンター能力者は軒並みIS適性が無い。逆にIS適性を持つ者でカウンターとして覚醒した者もまた皆無だ。
理由は幾つか挙げられるが根拠のある結論は未だ出ておらず陰謀論まで出て来る始末だ。
ただ……リッカの中ではある仮説は浮かんではいるのだが、根拠が薄い為にその仮説を公表するつもりは無かった。
「其処は原因不明で調査中……としか言いようが無いわね」
「まぁ、カウンターも裏世界も判明している事なんてほんの一部でしかありませんからね。考えても仕方ありませんか……で、どうしろと?」
——表立って事を構える姿勢は無いが『管理局』と『委員会』は水面下では対立している。『管理局』はエタニウムドライブを始めとした核心技術は委員会側には流さないし、ブラックボックスと言える。かく言う委員会もIS関連の技術を『管理局』側に渡そうとはしない。
まぁ、ブラックネットワークで日夜、横流しなどされているんだろうがな。
「……本当は生徒本人の自主性を重んじたい所なのだけど、その……管理局
「」
——シ・ニ・ア・⁉︎
「あー、はいはい。やれば良いのでしょう? やれば……それで、内容は?」
——無茶振りは何時もの事だしな……認めたくねぇけど。
「
こう言うのもアレな気がしなくも無いが、何方も自分こそが『支配者』だと自負したい所なのだろう。世界の警察だと自負していた合衆国も今となっては領土の半数以上を侵食地帯と化して凋落した。
となれば、管理局と委員会はお互い邪魔な存在であると見ているだろう。
「……IS学園に行って貰う事になるわ」
カウンター能力者が通う学校があれば、対する様にIS関連の学校も存在している。
それがIS学園。IS委員会直轄の国立特殊学園である。
「でも、カウンターアカデミーの籍は其の儘で、在籍出向に近い形になるわね。有事の場合は理事長、総会長権限で呼び戻す事が出来るわ」
「二重在籍って奴すかね。まぁ、その辺は其方にお任せします。学生の前に傭兵なので」
「続けるわね? 知っての通り、IS学園の子供達はカウンターじゃないから、学園内喧嘩は極力控えて頂戴。病院送りじゃなくて棺送りになっちゃいかねない、特に貴方の場合は‼︎」
「はいはい。休暇感覚として適当に過ごしておきますよ。
カウンターアカデミーってのは10代のカウンターが束の間の青春期を過ごすって意味もありますからね……」
カウンターアカデミーは中途編入を推奨している。と言うのもカウンターの中には激動の環境故に俗に言う学生時代が無かった者もかなり多い。
幼少期にカウンターとして目覚め金銭的問題もあり傭兵業界に飛び込む者もまた多い(カウンターであれば年齢が幼くとも能力によるがどの業界でも就職にかなり有利になる)。
一般的に小学生の年齢頃で『生きる為には戦うしかない』と自覚した者も居る程だ。
「機体云々は幾つかの企業が名乗りを上げたわ。……多分、君が知っている人達よ」
「アルファトリックスとフューチャーアットウォーでしょう?」
「もはや、確信を持っていますね」
——絶対、格好の開発対象を見つけたとか言って暴走して居そうな気がする。
「リクエストがあるなら、意見書に纏めて提出してちょうだい。そろそろ時間ね、昼休憩の時間内に話し終える事が出来て良かったわ」
状況は管理局主導で動かす事になり、それまでは待機と言う事に落ち着いた。
焦ろうが何だろうがその時が来るまでは待つだけである。
数日後、管理局は正式に『カウンター初のIS操縦者』の存在を公表し、『管理局』側のみならず、『委員会』側に動揺の波紋を広げるのだった。
カウンターサイド側の人物説明は欲しい?
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私こそ会社ソノモノ‼︎ なので問題無い。
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欲しい