戦争しか無かった者達と平和を理解しない者達の価値観は違う。
双方共に共通しているのは生きる理由が貫徹している事だ。
俗に言われる2人目の男性操縦者の公表から数週間後。迎えたIS学園の入学式。
カウンターアカデミーのなぞ鼻で笑う程に軽く超越する高倍率(と言うかアカデミーの場合は大半の場合、推薦の為)の門を潜って来た粒揃いの者達が集う『委員会』側の最新鋭の学園。
その中に異物が2つ……。
——本当にまぁ、女ばっかだな……。
1年8組。
リッカが割り当てられたクラスは順番で言えばのクラスであった。そして興味、嫌悪、畏怖と言った感情が混ざったような視線が四方から向けられるが動ずる事は無い。2人目の男性操縦者と言う事もあるが、何より『カウンター』と言う存在が大きく映っているのだろう。
人間と言う生き物は自分と違う存在に対して恐怖や忌避感、或いは排斥の意思を抱く。その感情は間違いでは無い。何せ、カウンターは常人と掛け離れた身体能力に加えて現実を改変する能力を持つ。何の対策を持たない者からみて恐れるのは必然だ。
最も、日頃から憎悪と言った物を向けられている為に民間人の視線なぞ気にする必要は無い。
『リッカさんの周りにも女性が多いじゃないですか?』
その時、脳に直接響く様な形で女性の声が聞こえてくる。コレは遠隔通信用の超小型の無線機だ。管理局側が用意したISと言う名のナニカに『モネカ』と言う管理局戦隊級戦術支援AIオペレーターを同期化させている。つまり、この声はAIの音声だと言う事。
——モネカさんや。彼女達をマトモな女性にカテゴリして良いのだろうか……?
『本人達には口が裂けても言ってはいけませんよ……?』
——その場合、折り紙付きで死ねる。
リッカはカウンターである。タスクフォースカンパニーの傭兵と言う職業柄、出会す者は大概、カウンターが多い上に実力も相応に備えた面子ばかりである。
生身の人間でも管理局側となれば、後は察してくれと言いたくなる。
「皆さん、静かにして下さーい」
その時、教室の扉を開けて担任の教師と思わしき女性が入って来て皆の視線を集める。そのまま壇上へと上がり教室全体を見渡す。
「さて、先ずはIS学園への入学おめでとうございます。私はこの8組の担当をする衣笠 智絵里と言います。コレから1年間、宜しくお願いしますね」
担任の衣笠教諭はそう名乗り生徒達にまずは自己紹介をする様に指示し、順番に自己紹介が進んでいく。リッカは名前の都合上、1番最後であり、遂にその番が回って来た。
「リッカだ。……いつまで居られるかは分からんが、まぁ宜しく頼む」
その時、視線が四方から向けられる。何か期待している様にも見えるが名前を名乗っただけに過ぎない為に其の儘、席に着いた。
「え、えーと……それだけ?」
「ん? それ以外に何があると言うのだ? 衣笠教諭」
衣笠教諭は折角の2人目の男性操縦者故に何か無いのかと生徒達の心中を代弁するもリッカは毅然とした態度でそう返した。呼び方も先生では無く教諭と言う堅い呼び方は何処か壁を感じてしまう。
「その、ほら……自己紹介と言えば、趣味とか好きなモノとかあるじゃない?」
「趣味、ねぇ。強いて挙げれば……時計の針集めとかだな」
——最近欲しいのと言えば、ロイヤルのハンズだな。
その内容に生徒及び教諭は『渋ッ⁉︎』と心の中で叫んだ。時計の針と言えば時針とか秒針を指しているのだろう。そんなモノを集めるのが趣味とは変わっていた。
「あ、あの‼︎ カウンターにはどうすればなれるんですかッ⁉︎」
その時、生徒の1人がそんな質問をリッカに向けて投げ付けた。その言葉を日切に生徒達は騒ぎ始める。
「あーもう、静かにしなさい‼︎ 分かったわ、リッカ君への質問機会を設ける事にするわ。構わないかしら?」
「無理な内容で無ければ答えても良い」
言質を取った事により朝のホームルームは一瞬にしてカウンター能力者に対する質問会へと移行してしまった。
『良いんですか?』
——機密の類じゃ無ければ問題無いだろう。変に対立構図を作る必要も無い。
「じ、じゃあさっきの質問‼︎ カウンターにはどうすればなれるんですか⁉︎」
「君はカウンターに覚醒したいのか?」
その質問を投げて来た女子生徒にリッカは素直に疑問をぶつけ返す。何故、なりたいのか?と。カウンターに覚醒すると言う事は相応の理由が必要になる。
「え、えっと……」
「まぁ、質問に答えると、知らん」
「「「ええっ⁉︎」」」
まさかの知らないと言う返答に一同は叫んだ。息が合っているな己ら。
「カウンターとはウォッチと
——実際は知っているが……人為的にやろうとすればかなり危険な試みになる。成功する保証は無い。そもそも、IS適正がある時点でカウンターとは正反対の位置にある。
「う、運命って……そんなホワホワした理由だなんて……」
「何故、カウンターになりたいのかその理由は知った事では無いが、IS適正がある時点でカウンターに覚醒する可能性はほぼ皆無であるのが通説だ。……俺に関しては原因不明だから考慮に加える必要は無い」
「そ、そんな……」
意気消沈した様子でその生徒は席に座った。カウンターになりたいのは金が理由か、或いは他に理由があるのか……最もリッカにとっては知った事では無い。
「質問質問‼︎ 付き合うならどんな女の子⁉︎」
思春期の学園生活では定番と言えるような質問が飛んできた。リッカ本人からすれば何じゃそりゃと言いたくなる内容だったが……。
「仮に必ず死ぬと分かっていても最後まで戦う意志があって背中を預けれる人」
リッカの要求スペックは一介の高校生如きでは敵わない程にハードルが高かった。死亡不可避の状況で尚且つ、動きを合わせられる人じゃないと無理である、と。
「た、高ッ……‼︎」
「そんな人、地球上に存在しているの……?」
「む、無理難題……‼︎」
あわよくば2人目の男性操縦者でイケメン(女子生徒主観)のリッカの交際を考えていた一部の生徒達は早々にその妄想は打ち砕かれた。
——後方に置いて居ても安全地点は無いからな。だったら自分の身は自分で守れる奴じゃないとお互い足を引っ張りかねないからな。
「……や、やっぱりカウンター、だから?」
「直感的にそう考えただけだ。カウンターなぞ何時、死ぬか分からん。タスクフォースカンパニーに在籍しているのだから尚更だ」
カウンターは短命だと言われている。
傭兵、対侵食戦と言う都合上、戦場を渡り歩く事になる為、生死を彷徨うのは常だ。実力の無い者から死んでいく世界だ。
初作戦、特に初めてダイブ作戦に参加したカウンター生存率はかなり低い。そうでなくても、30代以降のカウンターは少ない傾向にあり、有名な所で言えばコフィンカンパニーの副社長やデルタセブンの中将辺りだろうか。
「「「……」」」
「ま、どう生きるかは本人次第って事だ」
そう締め括る。重い空気が立ち込め、質問が続かなかった為に質問会は終了となった。
カウンターサイド側の人物説明は欲しい?
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私こそ会社ソノモノ‼︎ なので問題無い。
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欲しい