共通点は社会性の中で重要な要素である。
『特別』と言うのは時として大きな弊害として阻んでくる。
何故か? 理解は出来ても適合が出来ないからだ。
午前の授業は何事も異変なく経過した。
と言うのもリッカは夜行性人間であり尚且つ参加するダイブ作戦は大概、深夜を跨ぐ為に朝帰りになる事が多い。
まぁ、それよりも以前から大体、変な時間に起きたり寝たりしていた為に自然とこうなった。これでは傭兵云々以前の問題だ。
断じてカウンターが皆が皆、こんな社会性不適合染みた生活をしている訳では……いや、社会人失格の連中の方が多かった。寧ろマトモな感性を持っている奴は希少種か絶滅危惧種なんじゃないかと心配になる。
何故だ? カウンターは奇人変人狂人でなければ覚醒しないと言うジンクスがあるのだろうか。だとしたら常日頃からウサ耳つけている様な狂人が未だに常人と言う覆しようの無い現実を前に軽くショックを受けてしまうではないか。
ともあれ、リッカは昼間は爆睡している事が殆どなのだ。アカデミーに登校しても堂々と授業の最中であろうと平気で爆睡する。
なんなら、枕を持ち込んだ挙句に1番前の席でやった事もある。……教諭に没収されたが。
そんな生活サイクルは環境が激変し此処、IS学園に於いても変わる事は無かった。周りが女子生徒ばかりだろうが女尊男卑だろうが、一切お構いなしだ。
此処までくれば一周して清々しい。拳銃で発砲されても気にしないのだから相当はであるのだが、リッカ本人からすれば寝ている時に拳銃で撃たれるなぞ、可愛い部類だ。……対物狙撃銃で狙われるよりは遥かにマシだろう。
初対面であんな空気を作った後、授業及び休憩時間は不退転の意志かと言いたくなる程に堂々と爆睡態勢に移行。がっつり4時間ぶっ続けで寝ていた。
そんな行動を前に担任教師も困惑するしか無かった。よもやIS学園始まって以来、此処まで堂々とやる気ゼロ同然の授業態度を取る生徒(仮)を見たのは初めての経験と言えるだろう。
同じクラスの生徒も、更には休憩時間には男性操縦者を一目見ようと他のクラスや終いに2年生も物見に訪れたが、誰1人として彼を起こそうと言う気にはならなかった。
寝ている人を起こそうとすると機嫌が悪くなるとは良く聞く話だ。彼がそれに該当しないと言う保証は無い。
カウンター……と言うのもあったが、最初の言動から常人とは明らかにズレがあった。自分達の『世界』とは違う、ズレが。話は出来る……でも、何処か可笑しい……。
そんな違和感がある為に誰も彼に近付く事は出来なかった。
そんな周りの様子を尻目にお昼休憩の時間帯になった時、リッカは目を覚ました。
夜行性だろうが寝ていようが腹は減る。普段ならば夕方ぐらいまでは寝ているのだが、いかんせん学園と言う環境だ。寝難いと言う事もあり中途覚醒になりがちだが、此処は仕方ないので早々に諦めた。時には観念する事も必要だ。
「……随分と盛況しているんだな」
目が覚めたリッカはその足でIS学園が誇る食堂へと足を運んだ。
広々とした大広間、植林され芝生が生い茂る庭園が見える窓際は半円のソファが並びそれ以外は大型テーブルの区域。余ったスペースには芸術的感性も全く持ち合わせていないので理解出来ないオブジェが置かれている。
正直に言ってアレの何処に芸術云々要素がないるのかサッパリだ。音楽なら……いいや、止めておこう。
頭が膵臓と肝臓と糞便詰まった大腸を無理やり捩じ込んでポテトマッシャーで何度も潰して形状すら分からない程に攪拌したような感覚に陥りたくないからこれ以上、考えるのは止めた。
見渡す限り、席の半分くらいは埋まっている様だ。自分の存在を認識した不特定多数の視線が向かう中、券を買う販売機に向かう。食堂の隣には小洒落たカフェも併設されていた。……かなり強気な値段なのは気の所為だと信じたい。
——……うどん? そば?……聞いた事の無いな。モノは試しだ。それに、このかき揚げだの油揚げだのは何だ? 何が違うんだ?
『かき揚げうどん』と書かれた券を買った。800円だった。券を食堂の人に渡して待つ事、数分。トレーに乗せられた『うどん』とやらを受け取った。
——これが、『うどん』とやらか。
汁気のある料理だった。太めの白い紐状のモノが汁に浸かっている。その上に衣を纏った……良く分からないナニカが乗っかっている。揚げ物に見える事からコレが『かき揚げ』と言うモノなのだろう。
適当な席を探す。丁度、壁際及び窓際のソファの席が空いていた。本来、複数人が集まって使う場所なのだが、自然と隅の場所を選んでいた。此処に千冬が居れば文句を言って来るやも知れない。知った事では無いが。
「……長い」
この紐状の物体『うどん』は途中で切れておらずかなり長い、どう食えと言うのだろうか? 箸で切断する手間が必要なのか? 未知の料理だ。
紐状の物体は取り敢えず後にして、かき揚げに手を出して見た。サクサクだった。後、美味い。
「あ、居た居た‼︎」
正直、かき揚げを4、5で出せば良いのでは無いだろうかと思った矢先、声が聞こえた。視線を向ければ眼鏡を掛けた女子生徒が此方に近付いて来るのが見えた。
通路を通過、と言うよりも明らかに自分の方へと向かってきている。フォーマルな形状(制服は各自自由にカスタム出来るとの事)のIS学園の制服を身に包んでいる。リボンの色が1年生と違う事から上級生と思われる。
「えーと、君が噂の2人目の男性操縦者? あ、私は新聞部の黛 薫子よ。コレ、名刺‼︎」
新聞部と黛 薫子と名乗った彼女は断りも入れずに反対側のソファ席に腰を降ろして名刺を渡して来た。『新聞部 黛 薫子』と書かれていた。
「新聞部? 有る事無い事、無いまぜにして後で逆恨みを喰らってマフィアに消されるのがお家芸の学生版?」
「貴方、私達にどんなイメージを抱いているの⁉︎」
——いやだって、情報メディアって情報操作やら偏向報道がお家芸だしなぁ。
「と、兎も角、取材させてちょうだい‼︎ もう学園中は男性操縦者の話題で持ちきりなのよ。1人目は織斑先生の弟だし、君は『管理局』側でカウンターって話だし」
「あー、そう」
——あ、美味い。紐っぽいのはメッチャ柔いから歯で切れる。
流し聞きしながらうどんを啜ってみた。変にコテコテに味付けしていないから美味い。
「興味無し⁉︎ 少しくらい興味を持とうよ⁉︎ 仮にも、男の子同士でしょ⁉︎」
「男同士だからと言って興味を持つ理由も仲良くなる理由をわざわざ探す必要は無いだろ。
世間話をする仲でもなく其処だけ、
余りにもつれない返答だった。
男同士、何かしらの関係が出来ると言う予想は覆された。
嫌いと言う訳ではなく、ただ『赤の他人』と言う反応で自分から話題を吹っ掛ける姿勢は無いと言う態度だ。話す事も無いのに話題を探しても仕方ないと言った所である。
「……織斑君の1組はクラス代表を賭けて代表候補生と決闘騒ぎになっているのに君の所は何か起こっていないの?」
「クラスの様子は知らん。全部、寝ていたからな」
「IS学園の授業を全部、寝るって人、初めて見たわ……」
「で、決闘騒ぎって何だ?」
普通、あり得ない行動を見て慄いた刹那。その話題に食いついたと判断としてすぐに態勢を立て直して彼女は話を続けた。
「ええと、男性操縦者の織斑 一夏君とイングランドの代表候補生のセシリア・オルコットがクラス代表を誰がするかで揉めて口論になったそうなの」
話を聞きながらうどんの残りを啜る。折角の熱いのに冷えては勿体無い。
——小隊の小隊長みたいなモノか? まぁ、伯仲していたら揉めるわな。
その場合大概、殴り合って決めているパターンが多いがその場合、途中で精神が溶けた挙句に瓦解するのが常だ。となれば残るは、となる。
「それで1組担任の織斑先生が2人にISによる模擬戦で決めろって言って決闘騒ぎに発展したのよ」
「シャレードでやっているガントレットリーグの個人戦みたいなモノか……」
「ガントレット?」
リッカが思わず呟いた聞き慣れない言葉に今度は薫子が食い付いた。
「管理局が開催しているタスクフォース間における対人の公式戦。言うなれば
「へぇ〜‼︎ それは初耳ね⁉︎ 具体的にはどんな内容? あ、ISだと個人戦とタッグ戦があるんだけど……」
「ガントレットリーグはチーム戦だ。最低でも先鋒を務めるストライカーとディフェンダー、中間距離のレンジャー、援護支援のスナイパーとサポーター。つまり5人以上じゃないとエントリー出来ない」
最もカウンターやソルジャーや機構兵団が入り乱れも上等の無法地帯。大多数で攻めても広域火力能力を持つカウンター1人相手に無事壊滅ってケースも良くある光景だ。
「チーム戦、かぁ……。それはそれで興行収入は凄そうね」
IS学園のイベントの一環としてトーナメント方式の試合が行われる。その時はほぼ大盛況だ。個人戦でも盛況だがチーム戦となると大番狂せもあり得るだろう。
「だが、ガントレットリーグは死人が出る」
「え?」
「観客と言った傍観者は対侵食戦と言った実戦の映像だと誰がいつ死ぬか分からないからヒヤヒヤする。だが、ガントレットリーグじゃ誰がいつ死ぬかドキドキする。
つまり、観客ってのはリーグで死人が出る事を期待しているのさ。当然、参加者の中には元殺人鬼と言った『専門家』も交ざっていても不思議じゃねぇだろう」
寧ろ、死人が出て止めるならとっくに管理局は終焉を迎えているし、シャレードのガントレットリーグは論理よりも結果と言う風潮があると言われている。死人が出ても問題ないと言う理論が出来ているのが現実だ。
事実、管理局の管轄地域には侵食災害による難民区域に指定された場所が多く論理もクソもない無法地帯が幾つも存在している。生きる為に善悪の概念を知らない連中も少なくないのだ。
そして、往々にしてそう言う連中が公式・非公式問わずタスクフォースカンパニーに集まってくる。タスクフォースカンパニーは身もふたもない事を言ってしまえば、クズと外道と悪党の巣窟だ。かく言うリッカ自身もいずれ知らぬ内にその三冠を達成して居ても不思議じゃない。
「…………」
リッカの淡々とした言葉に薫子はある種の恐怖を覚えた。死人が出てもお構い無し、それはある種の
「で、その代表の候補者が2人。過程は知らんが賭けでもやってんのか? 決闘……とは言ったが、相手を殺すまでやるのか?」
対立候補が出来上がるのならば賭博が生まれるだろう。最近だと運動会でも何方が勝つか賭けをするそうだ。
そして、これまた信じられない事にリッカは相手を殺すまでやるのかとまで聞いて来た。
「……ISにはシールドバリアと絶対防御があるから、死人は出ないわ」
「そうか、ゴム弾使わずにミサイルやら実弾を使ってて死人が出ないと断言できる程に、『ソレ』を信頼しているんだな」
——いや、依存の間違いか。まだ確信は持てないけどな。
そのタイミングでリッカはうどんを食べ終え片付ける為に立ち上がった。
「え、ちょ⁉︎」
「言ったろ? 話題を探すのは滑稽だと。生憎、悪いが……アンタの話には興味が持てない。俺よりも他の人と付き合うべきだ」
——消される前に、な。
カウンターサイド側の人物説明は欲しい?
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私こそ会社ソノモノ‼︎ なので問題無い。
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欲しい