そうだブルーベリー学園退学しよう。   作:凶星秋夜

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運命の分岐

 

 

 

(…どうしてこうなったのだろう)

 

「貴方がスグリ君をおかしくしたの?」

「……」

「アオイ!こんなやつ早くやっつけようよ!」

 

(…いや、理由なんて考えるまでもない。俺は巻き込まれたんだ。

『世界の脚本』(シナリオ)に関わる気なんてなかったのに。)

 

「……」

「さっきから黙ってばっかり、なんか言ったらどうなの!!」

「……はぁ」

「なっ、溜息!?あたしのことバカにしてるの!?」

 

(面倒くさい、これだから子供は嫌いだ……いや、俺も子供か。

それは別にいい。だが、巻き込まれたってことは、この少女が今作の主人公で、隣の女は確かスグリの姉か……)

 

「私が勝ったらスグリ君のこと、しっかり話してもらうよ!」

「アオイ!あたしも協力する!!スグリのやつ、後でメテノ丸呑みさせてやるんだから!!」

「…………」

(おいおい、随分な姉だな。物騒にも程があるだろうに。いや、だからスグリがああなったってことか可哀想に。てか、メテノって丸呑みできるのか?)

(これからのスグリには必要なことだ、ここは少し本気を出す他ないな。)

 

「………こい」

「ボールまで構えて、生意気よ!よほど草の味噛み締めたいみたいね!!」

 

(最初のポケモンはこいつでいいか。)

「……お前に任せる」

(そういえば、スグリと初めて会った時もいきなり勝負を仕掛けられたな、なんかこの地方ジャンキー多過ぎないか?)

 

 

───そうだ、あの日も確かこんなふうにいきなり勝負を仕掛けられた。目の前の少女みたいな何か輝く物があった訳じゃない。別に、特徴があるようなやつでもなかった、強いて言えば、アイツの眼、あれが気に食わなかった。

 

──確かに勝利したいという気持ちはわかる。

しかし、あれはだめだ、勝負を欠片も楽しんでない奴の眼だった、今にも泣き出しそうな折れそうな眼だった、孤独で弱い自分を認めようとしない眼だった。

 

─昔の俺の親友によく似ていたからか、他にも楽しみがあることを、孤独ではないことを、教えてあげたくなったからだ、彼を助けてあげたくなったからだ。

俺もあの人みたいに、親友を導いてくれたあの人みたいに、彼を導いてみたくなった。

 

 

 

 

 

〜数日前

 

(ここがブルーベリー学園か、なーんか、中途半端っていうか面白くない場所だな。そう、前世にあった自称進学校とかに似ているなぁ。所詮はお飯事か。

って、なにか物音がするな、ちょっと見てみるか。)

 

 

「また、負けた!くそっ!くそっ!なんで、勝てないんだよ!!力があれば勝てるはずなのに!!」

 

(え、なにコイツ怖っ……なんか壁凹んでない?大丈夫?それより、彼はさっき勝負で負けていた子か。)

 

「なに見てんだよお前!!文句あんのかよ!!」

「……」

「なんだ?俺にビビって言葉も出ないのか?」

 

(いや、違うんだよ。補正*1で喋ることが難しいんだよ。)

 

 

「さっきから、みんな馬鹿にしやがって。もういい!俺と勝負しろ!!」

「……仕方ない、ルールは?」

「ダブルに決まってるだろ!!何も知らないのかよ!!やる気あるのか!?何も知らないみたいだから代わりに書いといてやるよ」

 

 

 

「……退学届け」

 

 

 

(えぇ……マジでなんなのこの子。そもそも、退学って言われても俺ここの生徒ですらないんだけどなぁ。)

 

「行け!!カイリュー!ニョロトノ!」

 

 

(う〜ん、微妙。46点!!なんで、その二体なんだ?初手テラ切るのか?でも、カイリューってノーマルとか、鋼じゃない? いや、カイリューの型は200はあるって言われてるしなにか考えがあるんだろう。)

 

「……頼んだ」

 

 

 

 

 

〜〜〜

 

 

「なんで、なんで、なんで!!こんなバトルのルールも知らないやつに負けるなんて!!しかも手持ちを殆ど使われずに負けた!!」

 

(彼の編成はダブルバトルをするにはあまりにもお粗末だ。

仕方ない……か。人生の先輩として、彼のためにも手伝ってやるか。)

 

「なんだよ!バトルが終わったならどっか行けよ!!って、掴むな、おい!聞いているのか!?」

「……強くしてやる」

「は?いきなり何を言うと思ったら突拍子もないことを!」

「……一生弱いままでいたいなら好きにすればいい。」

「ッ!本当に強くなれるんだよな!?なら俺をアイツに勝てるくらい強くしてくれよ!!」

「…勝てるかどうかは君次第だ。

しかし……一週間あればまともにはなるはずだ。」

「ならついて行ってやる。いや、僕を強くしてください」

 

(あれ?この子って意外と素直?おかしいなぁ、もっとこうガブガブって狂犬かと思ってたんだけどなぁ)

 

 

 

*1
補正:転生特典の一つ、寡黙に喋ることを強いられる。




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