───そもそも、なんで俺がブルーベリー学園に来たかといえば、あのアララギ博士からのお願い『ブルーベリー学園の図鑑埋め及び生態系の調査』のためだ。
プラズマ団も2回目の解散を果たし、チャンピオンの座も後輩に託した。
だからこそ、アララギ博士の手伝いとしてここに来たわけだ。
──チャンピオンの座と言ったが、俺はアデクさんでもアイリスちゃんでもない、俺はBWの主人公、『トウヤ』に転生した。特典を押し付けられた上で。
しかし、ブルーベリー学園なんて全く聞いたこともない場所に飛ばされるとは考えてもいなかった。俺がやっていたポケモンは剣盾より前だったのでそれ以降は知らないから困ったものだ。
「なあ、あんたさどうやって教室を借りたんだべ?」
「校長から譲り受けた。」
「校長から!?もしかしてあんたってさ結構すごい人だったりさするのか?」
「ただのトレーナーだ。」
(博士の手伝いで来てる訳だから校長が仕事部屋として貸してくれたってことだ。
だが、なんとも胡散臭い校長だった。)
「なあ、あんたって「トウヤだ。」あ、うん。」
「トウヤさんってなんでそんなに強いんだ?」
「なるほど……難しいな。アチャモとたまご*1みたいだ。」
「アチャモとたまご?」
「いや、なんでもない。」
(強くあれたから目標を持てたのか、目標があったから強くなれたのかどっちが先かわからないから難しいな)
「まあいい、君は何が足りていないと思う?」
「何がって何さ?」
「……君が強くなるためにだ。」
「俺は……おれのありったけをさぶつけたはずなのに……おれはどうすれば良かったんだ。
強い人のポケモンをさ真似て、負けないようにけっぱったはずなのに。」
「………負けないため…か。」
(ここで答えを教えてしまっていいものなのか?彼は悩んでいるのに。そうだ、彼は心が弱い、答えを与えたら彼は成長する機会を失ってしまうかもしれない。だが、このまま頭を抱えられていても困るな。少してだすけするか。)
「……ダブルバトルとはなんだ?」
「そんなの、2体のポケモンで協力するもんだべ?」
「そう、協力だ。」
「おれのポケモンは協力がさ、できてなかったってこと?」
「一つ目に、天候が無駄になっている。」
「あめふらしのことさね。」
(意外にも彼は理解力はあるみたいだな、地頭は悪くないらしい。……そうだ、ここにはせっかく黒板があるんだ、言葉の足りなさを絵で補おう。)
──カイリュー、ニョロトノ、ガオガエンの絵を描く。
「わやじゃ!絵上手さね!」
「この中で、足をねばねばネットしてるのは誰だ?」
「この中だったらさ、ガオガエンがねばねばネットをしているかな?折角のあめふらしが無駄になってるべ。」
「正解だ。なら次は……」
───ガオガエンを消す、代わりにボールの絵を描く。
「なして、ボールの絵を描いてるさ?」
「ポケモンを捕まえるからだ。」
「こたえたなぁ……おれ、ポケモン捕まえるのさ苦手だべ。」
「……行くぞ。」
「あっ……ちょ…ちょっと待ってよ。」
〜〜〜
──最近、様子がおかしくなっていたスグリのやつ、アオイに負けた後から見なくなったと思ったら妙な男と一緒にいるな……。
「………」
「え、ポーラエリアまで行くの……」
「……………」
「わや寒いところさね……ちょっと嫌だなって……」
「……… …………」
「んだ、けっぱるしかないべ」
「…… ………」
「そうかな?ちょっと……嬉しい…えへへ」
───いや、なんで会話出来ているんだ?しかもスグリのやつ雰囲気も柔らかくなってるな。
「あっ……カキツバタ……」
「…… ………」
「いや……別に……」
「なんだよオイラは除け者かい?スグリよう」
「うっ……俺に負けたカキツバタには関係ない。……行こうトウヤさん」
「…… …………」
「あっ、行っちまったな。あーあ、なんかオイラ余計なことしたか?」
──学園の生徒じゃない男、最近様子がおかしかったスグリ、少し心配だな。アオイとゼイユに相談しておくか。
カキツバタ君って元の関係に、みんなでワイワイしてた頃に戻りたいんだろうなって伝わってくるけど、不器用だからかよりギクシャクしてるの可哀想で可愛いね。……もう戻るわけないのにね。
一度壊れた関係ってそう容易く戻らないし、何処かで気まずくなるからね。
この作品ではお節介な兄貴ポジションくらいにしたいと考えています。