クラス爆散女と行く実力至上主義の学校   作:櫛田ちゃんかわいいよ

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反応が良さそうなら連載してみます。
オリ主×櫛田です。

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クラス爆散女と行く実力至上主義の学校

「スーッ…………0ポイントかぁ」

 

 もうやだおうちかえりたい。三年もこんなところに監禁されていたくないよぉ。

 …………最悪だ。なんでこのクラスだけ0ポイントなんだよ?! 1,000ポイント溶かすとかどうなってんの???? 

 僕授業普通に聞いてたし、それとなくうるさいのとかスマホ勢に注意したよ??? …………まぁ、何も変わらなかったけどね? どころか、僕がなんか嫌われた感あるけどね……。なんで僕おかしなこと言ってないのに嫌われてそうなんだろうか。

 

 というかいろんなところに監視カメラあるんだから個人でポイント増減しろよ。なんのためのカメラだよふざけんな。遅刻回数とか欠席回数とかどれだけスマホ触ってたかとかわかってんだから個人のポイントを増減するシステムでもやれるだろ仕事しろ。というか態度注意するとかあるだろうふざけんな。大人になったとしてもこんだけ酷かったら注意の一つや二つされるだろふざけんな。そのせいで僕が嫌われたかもしれないんだぞふざけんな仕事しろ。

 

 あー終わりや終わり。こんな学校やめよう。そもそも僕は、ここの入試を受ける前に入りたくないって言ったんだ。絶対碌なことにならないって言ったんだ。

 

 なのにあの女ぁ?! 

 

 何が私のことを知らない人しかいないところでだぁ?! お前どうせガバするんだから諦めろよ! 僕がいくらか話聞いてやってたのに、やらかしたんだからどこ行っても前と同じようにしたら無理だろ?! 

 そもそも僕がこの学校にいる時点で、貴女のやらかし知らない人いませーん。いざとなったらバラしてやる。

 …………バラしたところで僕が悪者になるけどね。なんで一ヶ月であんなにお友達(笑)がたくさんできてるの? どんなコミュニケーション能力してるの? 僕にも少し分けてくれないかな? そうすればもう少し友達ができるはずなんだ。そのコミュ力があれば注意しても嫌われなかったと思うんだ。ぼっちがでしゃばったのが悪いですかそうですか。

 

「お、おいどうかしたか?」

 

「この学校に入学してしまったことを嘆いていただけだから気にしないでください。ああ、僕は今日この学校を辞めるかもしれない…………さらばだ綾小路」

 

 僕が絶望感に打ちのめされて机に沈んでいると、後ろから綾小路が声をかけてきた。

 僕の精神安定剤だ。君のその雰囲気だけで落ち着けるよ。こんな地獄みたいな状況で顔色ひとつ変えないお前はすごいよ。素直に尊敬する。

 

「や、辞めるのか?!」

 

 綾小路は目を丸くして驚いている。お前そんな顔できたんだ? いつもぽやっとした顔してるから僕もびっくりだよ。顔色変えないの内心褒めたらすぐ顔色変えやがった。

 

「どうしたの? そんなに驚いて? 僕はもっと普通の学校でいいんだよ……。赤点取らないように勉強するのが大切なのはわかるけど、一回失敗したら終わりは無いだろ……」

 

「でも、お前はテストの点数悪く無いだろ?」

 

「まぁ、あれは中学生でも解ける問題だったからね。本当はここじゃ無い学校に行きたかったからかなり勉強してたんだ。とはいえ、綾小路の全科目50点には負けるよ。狙ってやってもすごいし、狙ってなくてもやばい」

 

 最後の方はクラスが僕ともう一人しかいなかったからね! どっかの誰かさんのせいでね! 何故か僕も巻き込まれ事故したけどね! 

 質問し放題だったぜ……ははは、笑えないけど。

 ちなみに綾小路の全科目50点はたまたまだそう。次は60点くらいを目指したいらしい。頑張って66点とかに揃えてくれ。お前ならいける気がする。

 

「最後の3問が難しかっただろ? あれは解けたのか?」

 

「いや、見ただけで面倒臭そうだからやらなかった。別に他のが取れるなら問題ないでしょ。それ以外は全部あってたわけだしね」

 

「そうか、それはすごいな。俺はあまり高い点数じゃなかったからな」

 

「全科目50点は話のネタになるから僕より上等だよ。3問以外は正解とか、ネタにしづらいだろ」

 

 綾小路と話していたら落ち着いてきた。こいつ癒しの波動でも出てるのか? なんかすごい癒される。だから脅されて闇落ちとかしないでね? この学校絶対精神おかしくなる人たくさんいるから。おかしくさせようとしてくる人も沢山いそうだから。

 

「みんな聞いてくれ」

 

 そんなことを考えていると我らがDクラスリーダー平田君が立ち上がった。

 すごい。シンプルに尊敬だ。僕だったらこんなクラスのリーダーは降りたい。なんならこの学校の一員を降りたい。これ終わったら先生に言ってみようかな? 他の学校に編入させてくれませんか? って。

 

 適当なことを考えているうちに平田君が話し終わったっぽい。

 どうやら放課後にこれからのことについて、話し合いをしたいから参加してねってことからしい。先生に頼んで補講でもしてもらうのかな? それなら僕も参加したい。自分達だけで勉強会しようとかなら、絶対に面倒ごとが起きる予感しかしないので僕は行きたく無い。

 危機察知能力って大事だから。

 僕のこれは、中学校のクラスが爆散する出来事があった後に学んだ。それまでは、完全に油断していた。話を聞いてやっていたから大丈夫だろうという慢心があった。どれだけ十分に対応したと思っても、十分では無いのことを知ったのだ。

 その結果、危ないところに近づく必要ないよね? という至極当然の結論に至ったのだ。

 つまり、放課後は話し合いに参加しない人がクラスの外へ出ていく流れについて行けば完璧だ。完全に団体行動できない人になるけど誤差なはずだ。

 

 そもそもクラスで話すのが綾小路くらいしかいない。堀北さんとも話すけど、あれ会話じゃないから。ただの罵倒だから。

 中学のこと知られたくないんだろ? 言わないから安心しとけよ見たいなこと言われたけど、それあいつに言わないでね? 絶対キレるから。僕が被害受けるから。またクラス崩壊しちゃうから。

 

 あ、クラスはすでに崩壊してたわ。ははは、笑えねぇよ。

 

 というか、同じ中学だったから藪蛇しないか本当に心配で仕方がない。お前のこと言ってるんだよクラス爆散女。いいか? 絶対ちょっかい出すなよ? お前大体それで失敗するんだから。余計なことして自滅するんだから。

 お前の過去知ってるのは僕もいるから。一人増えたところで誤差だから。そもそもお前人気者だし、万が一堀北さんがお前の過去を話しても多分それ信用されないから。

 

 ぼっちの真実より人気者の嘘の方が信じられるから。

 

 はー、とりあえず授業受けよ。やってられんわ。

 

 

 ────────────────────────────────

 

 

 

 ようやく授業が終わった。

 授業態度が良くなってて僕は嬉しいよ! なんていうわけねーだろ。できるならはじめからやってくださいお願いします。

 正直昨日までの授業態度は、爆散四散した中学のクラスの方が良かったです。爆散できるだけの爆弾抱え込みまくったクラスよりやばい授業態度、生活態度ってどんだけやばいんだよ? 1,000ポイント溶かすくらいにはやばいんだよ。

 

 まぁ、そんなことはいいんだ。親には悪いが、僕はこの学校でやっていける気がしないよ。というわけで、編入できるか先生に聞いてこよっと。

 メッセージを送る。

 

『僕は先生に聞きたいことあるから話し合い参加しないね! ごめんね!』

 

 お、早い返信だ。どれどれ? 

 

『は? 逃げるな』

 

 ……………………ヨシッ! 僕は何も見ていない。

 大丈夫、僕の他にも団体行動できない高円寺くんや、みんな大好き堀北さんがいるからね! なんて心強いメンバーなんだ! 

 あれ? 僕も出ていったら、彼らと同じ扱いされるってこと? 

 あ、また返信きてる。

 

『今日からあなたのこと高円寺堀北って呼ぶよ』

 

『須藤が入ってないことに喜べばいいですか? それとも三馬鹿って言われないだけマシだと思えばいいですか?』

 

 いや、先生に聞きたいことがあるって言えば行けるはずだ。許して。

 

 ちょうど堀北さんが出ていったのを確認したので、僕もそれに倣って教室を出る。

 途中クラス全体からの視線が刺さったが、気にしない。気にしないったら気にしないのだ。……この中を無表情で出ていった堀北さんすごいよ。

 

 廊下に出て職員室へ向かう。

 職員室怖いなぁ。どうにもあの雰囲気には慣れない。まぁ、この学校の職員室に来るのは初めてだけど。

 

 おろ? 堀北さんがいるじゃないか。てっきり図書館で勉強してるか、部屋に籠って勉強してるかの二択だと思っていたが違ったらしい。彼女も職員室に用があるようで、先生を呼んでいる。

 僕もそこに混ざればいいか。

 

 そう思って僕も扉の方へ進む。

 こちらに気がついたら堀北さんがすごい嫌そうな顔をしている。僕はそんなに嫌われるようなことしてないと思うけどなぁ。とりあえず話しかけないのもいかがなものかと、話しかける。

 

「堀北さん、どうしたの? 僕は茶柱先生に用があったんだけど……堀北さんもそうなの?」

 

「別にあなたに話すことじゃないわ。そもそもあなた、さっきから見ていたでしょう。聞く必要性がわからないわ」

 

「そ、そうですか…………じゃ、じゃあ僕は堀北さんの用事が終わったらでいいかな」

 

 思ったよりも鋭い口撃をくらってしまい、ちょっと辛くなったので先生に聞くのは後でいいかと思い始めた。

 気が付いてても、言わずに適当に話せるだろ! 話しかけた僕が変な人みたいじゃん。これがダメならどうやって話しかければいいんだよ? 

 あ、話しかけない。なるほどそうですね! 

 

 割と真面目に心が折れそうだったので、僕が撤退しようとすると茶柱先生がタイミング良く(悪く)出てきた。そして、怪訝な顔をしてこちらに問うてくる。

 

藍葉(あいば)? 何か用か?」

 

「あ、はい。僕も堀北さんと同じように先生に伺いたいことがありまして」

 

 答えると、先生は納得いったように頷き「堀北と生徒指導室の前で少し待っていろ」と言って職員室へ戻ってしまった。

 何に納得したんですか? それよりなんで僕と堀北さんと二人だけ残したんですか? 

 僕の中で茶柱先生の好感度が下がった。朝の会のことは(おそらく)仕事だろうからいいが、お世辞にも仲がいいとは言えない人間と二人っきりにしたことは許せない。

 そんなことを思いながら指導室の方は堀北さんと歩き出す。

 

「ストーカーかしら? ついてこないでもらえる?」

 

「そんなわけないだろ?! さっき先生言ってたじゃん! 僕と堀北さんの二人で仲良く指導室行きなの!」

 

「仲良くなんて言ってないし、指導室行きという言い方も語弊を生むわ。やめてくれるかしら? ストーカーさん」

 

「だから僕はストーカーじゃない! それと語弊を生む言い方が好きなのはこの学校だから!」

 

 何がやれやれだよ。僕の方がやれやれだよ。これだからDクラスは。あ、僕もDクラスだったわ。

 

 指導室の前に着いたが、そこから僕と堀北さんの間に会話はない。

 これが綾小路なら、少しオロオロしながも話しかけようとしてくれるのに。

 ふと、僕がこの学校に入ってから話している人を思い浮かべてみた。

 僕がよく話している相手は上から腹黒、綾小路、罵倒(堀北)というなんとも言い難いメンバーである。

 そう言えば、綾小路は最近山内池とかとも話していた気がする。仲間だったよね? 僕を捨てないで。君がいなくなったら僕はやばいのに絡まれる生贄になっちゃうよ。

 オセロ理論なら綾小路もヤバいやつなのだが、綾小路のコミュニケーション能力というか世間知らずさ的に大丈夫だろう。多分箱入り娘ならぬ箱入り息子だったんだろう。おっかなびっくり人と関わってる感じが和む。変わらずそのままでいてくれ。

 

 こんなことを考えて時間を潰していたが、なかなか先生が来ない。早くしてくれないかな? 堀北さんと二人で無言の時間を心地よく共有するには好感度が足りないと思う。

 

 暇になったのでチラリと堀北さんをみてみる。

 顔は悪くないし勉強もできる。運動もできるし生活態度も悪くない。並べてみると、理想の優等生である。なぜ彼女がDクラスに振り分けられたんだろうか? 人間性というか、対人能力というか、そういうのに目を瞑ればどう考えてもDクラスの人間じゃない。面接とかしっかりこなすタイプだろうから、コミュニケーション能力が低いとは思われそうもないけどなぁ。

 僕と腹黒はクラス一つを崩壊させた経歴──僕はやってない。巻き込んできたのは向こうだ──があるから納得ではあるんだけどね? そうなると、なんでこの学校に僕らが受かっているのか謎である。まあ、入試の点も面接も悪くなかったはずだから、そのおかげかな? 

 

 あれ? これ我らがリーダー平田くんもDクラスなのおかしくないか? コミュニケーション能力とか学力も問題ないと思うんだけど? 中学生の時になんかやらかしたのかな? クラス崩壊させたとかなら仲良くなれそう。

 …………やっぱりクラス崩壊させるような人間は身近に一人で十分だわ。むしろ欲しくない。

 

 ああ、やっぱり綾小路が唯一の癒しだったんだな。今確信したよ。

 

「私の顔を見てどうかしたのかしら? 鉄拳制裁した後にセクハラで訴えるわよ?」

 

「できれば鉄拳制裁で許してください。セクハラで訴えられたら男って勝てないらしいんで」

 

 うん。見過ぎてしまったみたいだ。でも、そんなに言わなくていいと思うの。Dクラスの天使こと腹黒の天使モードなら「ふふ、そんなに私の顔を見つめてどうしたのかな?」くらいで許してくれる。見習ってほしい。

 腹黒天使が裏で何を思っているかは知らないけど。

 

「堀北、藍葉、入っていいぞ」

 

 ようやくか。できれば僕が訴訟されそうになる前に呼んで欲しかった。

 

「「失礼します」」

 

 あ、揃った。

 僕が悪かったからそんなに怖い顔でこちらを見ないで。

 

「同じ中学同士仲がいいみたいだな。それで、私に話があるそうだな堀北、藍葉」

 

 …………なんでそこに触れたんだ。明らかに地雷だろ。ここに腹黒がいなくてよかったな。いたら僕がこの後酷い目にあっていたぞ。

 

「なぜ私がDクラスに配属されたのでしょうか? 先生は優秀な生徒を上に、そうでない生徒を下のクラスに振り分けるとおっしゃっていました。どうして私がDクラスに配属されたのか説明していただきたいです」

 

 それ聞こうとするのはすごいよ。僕にはできない。

 

「あの、これって僕が聞いていてもいいものですか? 多分堀北さんもあまり他人に聞かれたいものではないと思うんですが……」

 

「私は別にいいわ。あなたに聞かれても、言いふらすとは思えないもの」

 

「堀北さん……」

 

 ちょっと感動した。僕らのやらかしを、知ってるはずなのに信用してくれるなんて。いい人だ。僕の好感度がすごい上がったよ。今度どこかにご飯でも行かない? 

 

「そもそも広めるような相手がいないものね」

 

「…………堀北さん」

 

 僕の感動を返せ。

 とは言え、僕に知られてもいいということは、腹黒に言わないだろうと思われているということで、彼女から信用されてると思ってもいいのでは? 

 やっぱり感動したわ。もはや君は僕の友達だ。中学の同じクラスのやばすぎる秘密を腹黒から聞き続けた結果、友達どころかコミュニケーションにびびっていた僕だが、君が信じてくれたおかげでなんとかなる気がしてきたよ! 

 

「藍葉も私に聞きたいことがあるそうだな。言ってみろ」

 

 僕の番? まとめて答えてくれるのか。

 

「この学校辞めて違う学校に行きたいんですけど、編入、転校ってどうすればできますかね? やっぱり5月だと難しいですか?」

 

「「「「は?」」」」

 

「えっ?」

 

 なんか声が()()()多い気がしたけど? まあいいか。

 

「いや、僕も堀北さんのあの質問の後に聞くのはどうかと思いましたけど、僕の用件はこれなんですよ。一ヶ月生活してみて、この学校のシステムというか校風が合わない気がするなぁと、思いまして」

 

 絶対この学校出たら人間性がおかしくなるって。なんかCクラスとかすごいガラ悪いし。時々肩当てられそうになったし。Aクラスはなんか今日こっちのクラスまで来てニヤニヤしてたし。Bクラスは腹黒の上位互換がいて気分が良かった。

 諦めろ、あれは天然だ。養殖のお前だと分が悪い。

 この中で三年間はきついです。

 

「…………まずは堀北の方から答えようか」

 

 ああ、そんな目で見ないでください。辞めたい気持ちもあるけど、それはどうしようもなくなった時だけなんです。ちょっと今朝ので心が折れかけているだけだから。

 

「お前はなるべくしてDクラスになった。それだけだ」

 

 理由を聞きたいって言ってたのに……。まぁ、言えないのは当然か。その割には優秀な生徒は上のクラスとか言ってたけど。まぁ、仕事だとそういうことがあるのか。世知辛いなぁ。

 

 堀北さんは拳を強く握っている。悔しい? と言ったところだろうか。

 テストでもいい点をとって授業も真面目に受けているのに、そう判断されたらそうなるか。

 

「おい、綾小路、櫛田入ってこい」

 

「なんですか? 俺たちをあんなところに閉じ込めて」

 

「あはは、私もちょっと疑問でした」

 

 先生が呼ぶと、相変わらず無表情な綾小路と申し訳なさそうにした櫛田さんが入ってきた。

 えっ? えっ? 

 

「…………なんであなたたちが?」

 

「もしかして、全部聞いてた??」

 

 堀北さんが睨め付けながら聞き、僕は恐る恐ると言ったふうに尋ねる。

 櫛田さんに聞かれてたらまずい。あまりにもまずい。

 

「うん。ごめんね。本当は聞くつもりじゃなかったんだけど、先生に言われちゃって」

 

 眉を下げながら謝ってくる櫛田さん。こっち見ないで。

 

「どういうことですか? 先生」

 

 堀北さんは櫛田さんの方から視線を逸らし、茶柱先生の方へと向き直って聞く。

 

「待て堀北、これが必要だと判断したまでだ。お前も聞いておいて損はないはずだ。まずは綾小路、お前からだな。お前は面白い生徒だなぁ?」

 

「茶柱、なんて苗字の先生ほど面白い男じゃありませんよ、オレは」

 

 煽るなよ。コミュニケーション能力の低さが露呈してるのでは? 

 

「全国の茶柱さんに頭を下げろ……はぁ、お前の入試の結果は国語、数学、英語、社会、理科、全ての科目が50点。この間おこなったテストも50点だったな?」

 

「偶然って怖いっすね」

 

 は? どういう確率だよ。え? もしかして綾小路ってやばいやつ? やっぱりオセロ理論は正しかった? 

 落ち着け混乱している。

 綾小路の点数は偶然とするには無理がある。が、入試の点数で50点ぴったりにするなんてできるのか? そもそも各問題の点数なんて、受けている時にわかるものではないはずだ。

 わからない。僕にはわからないからこれに関してはそういうものだとしよう。

 

「どうして貴方は……こんなことを?」

 

「偶然だ。俺が隠れた天才だとかそういうことはないぞ」

 

「どうだかなぁ? ひょっとしたら堀北よりも賢いかもなぁ?」

 

 可哀想に堀北さん。先生にいじめられている。もしかして茶柱先生ってナチュラルに性格が悪いのか? 今朝のも含めて全部素だった可能性が僕の中で湧いてきた。

 

「綾小路のは偶然ってことにしておきましょうよ…………僕はそれよりも、なぜ櫛田さんがここにいるのかを聞きたいですね」

 

 そう、綾小路の方に気を取られていたが僕の心配は櫛田の方だ。

 編入だとか転校だとか、そういうのを聞かれていたのはあまりにも致命的。彼女に知られたら何を言われるかわからないし、「転校しないで」と言われたら間違いなく頷いてしまう程度には躾けられている。

 

「ああ、それはお前が聞きたいことがあると言ったからな。お前と一番仲のいい櫛田を呼んだんだ。前から櫛田に()()()されててなぁ?」

 

「…………そうですか」

 

「で? 転校したい、だったか?」

 

「いえ、あの、その……」

 

 くそが! なんで? なんで、僕が転校とか言い出すってわかってたの? しかも、口ぶりからして今日急にとかじゃなくって、割と前から言われてたみたいな風だし。

 

「藍葉くん」

 

 そう言って櫛田さんが、僕の両手を握って上目遣いで言ってくる。

 

「私が話を聞くよ? だからもう少しこの学校で頑張ってみない? こんなに早く別れちゃうのは、私は嫌だよ」

 

 くっ、そんなの僕には、僕には効か…………効かないっ! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「転校とかしません。このクラスで頑張ります」

 

 

 

 効かないわけないだろうが! 小学生の頃から躾けられてたんだ(泣)もう治らないよこんなの。

 

「話はまとまったみたいだな。出ていっていいぞ」

 

 その言葉に誰も何も言うことなく従った。

 

 

 

 ────────────────────────────────

 

 

 

 なんであんな茶番で、僕は頷いてしまったんだ。これから先生が仕事を振る時には、櫛田さんを経由して僕にやらせるんだ。小中もそれで僕と彼女の二人で仕事してたんだ。だから知ってる。

 

 と、まあ指導室を出た僕たちだが雰囲気はあまり良くない。

 僕が誰か話さないかなぁと思っていると、まさかの綾小路が口を開いた。

 

「あー、なんで櫛田は藍葉が先生に質問する時に自分も同席できるように頼んだんだ? クラスで良く話している、とかじゃないように感じるんだが」

 

 おー、それを聞いてしまうのか綾小路よ。

 僕は君にどうやったら全科目50点を取れるのか聞きたいよ。なんで問題の点数配分を知ってるんだ。

 

「あ、それはね」

 

「それは彼と彼女が同じ中学だったからよ」

 

 櫛田さんが答えようとしたところに、堀北さんが被せて言う。

 おい、ちょっと変な空気になってるじゃん。せっかく綾小路が会話を始めてくれたのに……。

 まぁ、会話は続いているからいいか。

 

「ちなみに、堀北さんも同じ中学だったよ」

 

 僕が言うと綾小路が驚いた顔をする。今日は無表情がよく崩れるね。

 

「堀北……同じ中学のやつにもそんな態度なのか」

 

「中学の頃からこんな感じだったよ」

 

 呆れる綾小路に情報を加えてあげる。

 ごめんね堀北さん。君が言葉を被せたせいで、櫛田さんのストレス値が上昇してるから。調整が必要だったんだ。

 キッとこちらを睨め付けてきたが、すぐにやめて少し沈んだ表情をした。

 

「あなた達は悔しくないの?」

 

「どう言うことかな?」

 

 沈んだ顔のまま言う堀北さんに、櫛田さんがにっこりと笑いながら言う。

 おい、沈んでいる堀北さんをみて悦ぶな。この雰囲気の中微笑みながら話を聞くのはただの危ない人だぞ。

 心なしか綾小路も引いてる気がする。

 

「私たちはこの学校で不良品扱いをされて悔しくないのかと聞いてるのよ」

 

「俺は別になんとも」

 

「僕も別に学校が全てじゃないし、そこまででもないかな」

 

 僕と綾小路が答える。「事なかれ主義だ」とか言ってるが、呼び出しと山内とかと関わっているせいで難しいと思う。

 

 それに対して堀北さんは言う。

 

「私はAクラスになりたいわ。Aクラスで卒業して───」

 

 途中で言いかけてやめる。何か事情がありそうだけど、藪蛇が怖いから突っ込まない。そこまでの関係値はないのだ。

 

「貴女はどうなの? 櫛田さん」

 

 堀北さんは櫛田さんをまっすぐに見つめて問う。

 

「私は…………みんなでAクラスを目指したいと思ってるよ」

 

 負けるのは気に食わないからAクラスに行きたい。けどここで堀北さんの意見に賛成するのも気に食わないと言ったところか。

 それでもAクラスに行きたいと言ったのは、中学のときの反省を活かしてるのかな? 

 

「藍葉くんもそう思うよね?」

 

「あっ、はい」

 

 いつのまにか近づいてきた櫛田さんが、同意を求めてきたから反射的に頷いてしまった。油断していて流れ弾を喰らった。

 綾小路は今日一番の呆れ顔である。

 綾小路は、はっとして僕の二の舞にならないようにもう一度断ろうとしたのだろう。何か言おうとしていたが、僕だけ犠牲になるわけないだろ。道連れだ。

 

「俺は、Aクラスとか───」

 

「綾小路。君もAクラスを目指したいよな!」

 

「いや、だから俺は」

 

「櫛田さんが指導室に来たのは僕のせい。それなら綾小路は? そう、間違いなく堀北さんの目標のために来たんだろう!」

 

 何か否定の言葉を話してもらうわけにはいかないぞ。

 自分でも何言っているかわからなくなってきたが、勢いでどうにかしよう。

 

「綾小路。堀北さんと櫛田さんはAクラスを目指したいらしい。僕たちは友達だろう? 友達の目標のために力を貸してくれないか?」

 

「友達……わかった。俺も何か力になれることがあれば力になろう」

 

「ありがとう綾小路。お前がいれば安心だ。二人と一緒に頑張ってくれ」

 

 もしかして、綾小路は友達って言葉に弱い……? 明らかに友達のフレーズで動かされてた。

 よし、じゃあ三人で頑張ってもらおう。僕はとっとと帰ろう。

 そう思って、離れようと歩き出すと後ろから急に制服の襟元を掴まれた。

 

「ぐぇっ」

 

「藍葉くん、なんで帰ろうとしてるのかな? ()()()()()()()Aクラスを目指すんだよ」

 

 可愛い笑顔と声色とは正反対に、襟を掴んでいる拳には異様な力が込められている。

 僕は黙って頷く以外にできることがなかった。

 

「それじゃあ、明日にでも私たちで何ができるか考えましょう」

 

「なら、連絡取れるように連絡先を交換しない? 堀北さん」

 

「ええ、そうね。交換しましょうか」

 

 櫛田さんの提案に素直に頷く堀北さん。

 もう少し渋るかと思ったがそんなことはないらしい。

 

「また嫌がられるのかと思ったよ」

 

 櫛田さんも驚いたように言う。

 僕も驚いた。

 

「一緒にAクラスを目指すのでしょう? それならこれくらいするわ」

 

 そう言うことらしい。僕もついでに連絡先を交換してもらった。綾小路は前から持っていたらしい。お前、よく交換してもらえたな。

 

「じゃあ今日は一旦解散しよっか」

 

「そうだな。また明日でもいいだろう。クラスで何かやることを決めているかもしれないしな」

 

「そうだね。櫛田さん、平田くんにでも聞いといてね」

 

「私からもお願いするわ。櫛田さん。平田くんから何か決まったことがあるなら聞いて欲しい。私にもそれを教えてもらってもいいかしら?」

 

「うん、いいよ。平田くんに聞いてみて何かあったらみんなに連絡するね」

 

 とりあえずまとまったようである。

 これはようやく解散か? 

 

「それじゃあ私は、戻ったら平田くんに連絡してみるね! また明日!」

 

 そういうと櫛田さんは寮へ戻っていった。

 じゃあ僕も帰ろう。

 

「今日は疲れたよ。僕も帰るね。明日から頑張ろう。じゃあねー」

 

 綾小路と堀北さんに挨拶をして寮へ戻る。

 

 いやー今日は長い一日だった。

 成り行きでAクラスを目指すことになってしまったので、転校なんてできなくなったけど、まあいいさ。僕は僕にできることで貢献しよう。流石にこの学校に来てまで櫛田爆弾を爆発させたくないのだ。

 

 そんなことを思いながら学校を出て歩いていると、連絡が来た。もう平田くんに聞いたのかな? 

 

『九時になったら部屋に行くから。チェーンかけないでね』

 

 

 あっ、もしかして今日はまだ終わらない感じですか?




オリ主
藍葉
櫛田さんとは小学生からの付き合い。
クラス爆散の前からクラスの人間達がどんなことをしてたか聞いていた。控えめに言ってドン引きの所業が多すぎてニンゲンコワイってなってた。櫛田さんがなんか色々できるので対抗意識で頑張ってたら色々できるようになってた。

櫛田桔梗
藍葉くんとは小学生の頃からの付き合い。
お家が隣で仲良くしてた。藍葉くんが自分に対抗するように色々やり始めたので、この子も色々できるようになった。原作よりもスペックが上がってる。

今後藍葉くんに櫛田ちゃんをなんて呼ばせるか。

  • 桔梗
  • 桔梗さん
  • 桔梗ちゃん
  • きーちゃん
  • くーちゃん
  • きょうちゃん
  • 変えなくてよし!
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