クラス爆散女と行く実力至上主義の学校 作:櫛田ちゃんかわいいよ
続きました。
自分の想像の30倍くらい評価されててめちゃくちゃ驚きました。
感想・評価・お気に入りありがとうございます!モチベーションが爆上がりしました。
なんか情報量の多すぎる一日が終わろうとしている。
ここまでくるまで、絶望して(学校のシステム)絶望して(編入したいを聞かれる)絶望し(Aクラスを目指すことになる)た。
現在の時刻は午後八時三十分。
櫛田さんとの約束の時間まで後三十分。
なんでこんな時間にしたんですか? もっと早くじゃダメだったんですか? 男が女子部屋に入れるのは八時までだった気がするんですがそれは?
今日の僕。ほとんど愚痴を延々と言ってただけだった気がする。なんて日だ! これも全部学校のシステムが悪いんだ。
やっぱり愚痴じゃないか! いい加減にしろ!
そう言えばまだ、櫛田さんを出迎える準備は無論していない。そもそも僕は君のことお呼びじゃないのだ。
Aクラス目指す為に協力()する様に言われたの許してねぇからな。可愛いからってなんでも許されると思うなよ。中学の時を忘れたとは言わせねぇぞ。可愛くても許されないこともあるんだぞ。僕にとってのそれがこれだから。
………………でもちょっと何言われるか分からなくて怖いからお茶くらいは淹れておこう。お菓子もあるけど、やっぱり夜はお肌に悪いかもしれないからね。僕は気遣いのできる男なのだ。
櫛田さんに対抗していろいろできるようになった僕にはお茶を淹れる事くらい朝飯前である。
今普通に夜だけど。外真っ暗だけど。朝ご飯の前って事で間違いではないだろう。知らんけど。
とりあえず、適当にお紅茶しばいて待っておこうか。櫛田さんが部屋に来る頃にはちょうどよく冷めているだろう。僕だってこれくらいの抵抗はできるのだ。なんでも肯定してくれると思った? 残念! そんなわけないだろ!
紅茶を淹れて冷ましているのはいいものの、櫛田さんがいらっしゃるまでまだ二十分くらいある。何しようかなぁ。
ちまちま紅茶を飲みながら考える。
特にやりたい事がない。いや、あるんだけど二十分はなぁ。スマホに入れてあったゲームもここに来てからログインできてないし…………。
やっぱこの学校ダメだな。三年でどれだけゲームがインフレするかわかってない。三年もやってなかったら環境変わり過ぎてついていけないだろ! ふざけんな!
引き継ぎコード準備してなかった僕が悪いですかそうですが?
さっきまで家事に勉強してたのだ。ちょっとくらい横になってもいいだろう。万が一寝ても問題ない。鍵は渡してあるし勝手に入ってくるはず。チェーン掛けていないか確認だけしておいてやろう。流石に外に締め出すのは、いくら相手がクラス崩壊のトリガーになった女だとしても可哀想だ。
何よりここは男子部屋だから。よからぬ噂とか立てられたら僕もあいつも
最悪僕だけ悪者になりかねん。
考えてもみろ。教室のすみっこにいるぼっちが、クラスのマドンナを夜部屋に呼び出す。知られたら僕がこれから友達を作れる可能性がなくなってしまう。
山内とか池に見られて「きっと櫛田ちゃんの弱みを握って関係を迫ってるんだ!」とか言われ詰められたとしても、微妙に間違っていないからタチが悪い。
…………やっぱり起きてよう。横になったら間違いなく寝る。一時の疲れに任せて寝ていて出られなかったら、何を言われるかわからない。「事なかれ主義」ならぬ「安全第一主義」だ。何、後十分ちょっとなら耐えられるさ。
どうにかこうにか身体を起こしあくびをする。眠い。
チャイムが鳴った。
早い。まだ九時まで十分くらいあるぞ。これじゃあ紅茶がいい感じの温度になってるよ……。飲みやすい温度になってるよ。
「こんばんは。櫛田です。……入ってもいいかな?」
なんだこいつ。なんでちょっと沈んだ感じにしてんの? そんなにくるのやだった? 帰ってくれていいのよ?
というか、鍵持ってんじゃん。適当に開けて入れよ。お前チャイム鳴らすような能があったのかよ。
とはいえ、こんな事を思っているなんて彼女に知られてしまったら何をされるかわからないので、大人しく開ける。
彼女に対抗して色々やれるようになったのに、調教されて逆らえないとはこれいかに。
「いらっしゃいませー。どーぞお入りください。お茶淹れてあるよ」
「…………わかった。お邪魔させてもらうね」
「? うん。どうぞ〜」
本当になんでこんな沈んだ感じになってるの? 何考えてるかわからないがロクでもない事考えてるだろ。僕にはわかるぞ。
櫛田さんを部屋に入れ、僕は鍵を閉める。
リビングに戻ると既に櫛田さんはソファに座っていた。
じゃ、僕もお邪魔して。
「隣座るね」
「藍葉くんは床だよ」
そっかぁ床かぁ。そこ、僕の席なんだけどな。
残念ながら僕は櫛田ちゃんの犬。主に逆らえるわけもなく、自室なのに床に座ることになってしまった。天使モードで言ってくれたから文句言わずに座ってやろう。畳なら喜んで座るけどフローリングだから足が痛い。
じゃあせめてそこのクッション取ってもらってもいい? ……ダメですかそうですか。
「で、沈んでたけどなんかあったの? やらかさないでね? 巻き込まないでね?」
結局、正座もあぐらもどっちも痛いから適当に足を伸ばして座ることにした。その状態で尋ねる。
「はぁ? 私が辛そうにしてたのに第一声がそれ?」
ブラック桔梗が出てくるの早過ぎだろ。僕の前だから別にいいけどさ。でももうちょっと気を遣ってくれてもいいのよ?
でも遣いすぎはやめてください。またクラス崩壊は流石に嫌です。
あ、既にクラス崩壊してたから誤差か。
とは言え仕方ない。彼女がお話し聞いて欲しいって言ってるんだ。聞いてやろう。
「辛い事でもぉ〜あったんですかぁ? 僕で、よければぁお話ぃ。聞きますよ☆」
ほら聞いてやったんだ。なんか言ってみろよ。
「気持ち悪い。死ね」
そういうシンプルな暴言が一番ダメージ入るから。
男は可愛い子からキモいとか死ねとか真面目なトーンで言われたらトラウマになるから。
「冗談はこれくらいにしておいて、本当に何かあったの?」
「え? 万が一私がこの部屋に来てるところを見られてもいいようにしてただけだよ?」
は? 何言ってんだこいつ。
それがその態度になんの関係が……?
「私みたいな子がこんな時間に辛そうな顔で男の部屋に入ってくんだよ? それを見た人はどう思うかなぁ?」
まあ確かに可愛い子ではあるがそれがどうした…………まさか?!
「…………いやいやいやいや! 待て待て待て待て! ちょっと?! 見られてないよね?? 僕悪い噂を立てられたくないんだけど?!」
そもそもお前が勝手に来るって言ったんだろうが!
え? 僕がさっき想像した、「あいつ櫛田ちゃんの弱みを握って……」状態になりそうなの? 櫛田さんのガバによって?
「大丈夫。誰にも会ってないよ」
「本当だよね?! お前がそうやって言ってガバガバなの、僕は知ってるんだからな?」
それでネットの書き込みがバレたじゃん。もう君の大丈夫は信用ならないよ桔梗ちゃん。
「ガバガバとか言わないでくれる? そんなことないし、女の子にそういう事言うのは気持ち悪いよ」
「そういう意味じゃねーよ!」
「そういう意味ってどういう意味かな? あーヤダヤダ。欲情しないでくれる?」
天使→腹黒の流れやめろ。見てるこっちの情緒がバグる。
意味分かんないなら欲情とかに繋がる訳ないだろ。お前さては頭お花畑だな? だからガバするんだよしっかりしてください。
というか、なんでもセクハラ扱いしてくるのって……。
「………………堀北さんみたいな怒り方してるじゃん」
「あぁん?!」
「ごめんなさい許してくださいなんでもしません」
めっちゃ怖い。胸ぐら掴んで凄むのは良くないと思う。
そんなことされたら、僕が逆らえなくなっちゃうだろ!
あっ、舌打ちやめて。
とりあえず機嫌を取るために紅茶とお菓子を出した。今月0ポイントで辛いけど、安全のためだ。必要な出費である。
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どうにか女神様を鎮めることができた。これから女神に仕える下僕として生活してく所存です。櫛田桔梗様は女王様よろしく、足を組んでソファの肘掛けに腕を乗せ頬杖をついている。
なんてこった(白目)
「そろそろ本題に入っていいかな?」
「僕は最初からそのつもりだったけど…………ごめんなさい」
弱い、弱すぎるぞ僕。ひと睨みだけで黙らされるとはなんて情けない。全部今までの調教が悪いのだ。
天使モードと腹黒の飴と鞭。
わかってるの……わかってるのよ。でも逆らえない! 悔しいっ!
最近僕は、ブラック桔梗を果たして腹黒程度の言葉で表していいのか疑問に思ってきている。もっといい感じの言葉ないかな? 僕の語彙ではこれくらいが限界だ。悔しいっ!
「ねぇ、なんでこの学校辞めようとしてんの?」
「いや、中学のアイツらよりも授業態度悪いクラスで三年間生活は耐えられなさそうだし。しかもAクラスを目指さなきゃいけないと思わせてくる学校とかやばいだろ」
なんで櫛田さんもわざわざここを選んだんだ。普通に遠くの学校に行けばよかっただろう。三年間顔を見ないくらいじゃ地元の人間らは僕たちのこと忘れないぞ。我々クラス爆散してるから。それ以上の出来事とか学校爆破くらいだから。
そう言えばそもそもなんで僕は櫛田さんと同じ学校を選んでいるんだ?
………………考えないようにしておこう。まさかここまで犬になっているとは思っていなかった。なんて哀れな僕。調教の成果が出てるよ桔梗ちゃん! やったね! ふざけんな。
そう考えたら、この学校で彼女とかできるかなぁ? やれることは無駄に多いけど、それを全てひっくり返す『櫛田の犬』の汚名。なるほど無理らしい。よく考えたらそんなのなくてもぼっちだったから無理だわ。そもそもこの学校でカップルとか無理だろ。
「あっそ。じゃあいいわ」
何がいいのだろうか? 何も良くないが?
お前クラスの人気者だろどうにかしろよ!
「それで? 平田くんから何するか聞けた? というかそもそも何か決まったのか?」
おそらく地獄みたいな様相をしていたであろう放課後の話し合い。ほぼぼっちである僕と綾小路、完全ぼっちの堀北さんが抜けたところで大した影響はないだろうが、中心人物の櫛田さんが抜けた穴は大きいのではないだろうか。
やばい女であるが、クラスでの立場は高い。普段から間を取り持っていた彼女がいないとなると、山内池などのやばい奴らをどうすることもできないのでは?
「うん。勉強会をしようだって」
「僕は不参加する!」
「許可する訳ないじゃん。私だけにやらせる気?」
「うん! 堀北さんも頑張ってくれるし、綾小路もいざとなればやってくれるよ!」
僕の中で綾小路やばいやつ説が湧いてきているのだ。全部50点とか絶対わざとじゃん。運がいいなら堀北さんの隣になってコンパスで刺されるとかないから。運がいいなら平田くんの隣とかになるから。
「藍葉くんは私たちに協力してくれないのかー。それなら仕方ないなー」
「なんだよ。そんな棒読みで」
「ほらちょっと手出して」
「? はい……これが何?」
櫛田さんは制服を脱ぎシャツ姿になると僕に制服を渡してきた。
何をさせようってんだ。アイロン掛けか? 制服ってかけていいんだっけ?
「襟のあたりと袖をちょっとみて欲しいの。なんだか糸がほつれてる気がしちゃって。お願いできるかな?」
「まあ、いいけど。それくらい櫛田さんもできなかったっけ?」
わざわざ天使モードでお願いしてくるとは策士め! 上目遣いと胸元で手を組まれてお願いしてきやがって! それされると僕が断れないって知ってやがる。ブラック桔梗に雑に言われてもやるけどね。
これが下僕の辛いとこ。
どちらも見て見るが特にほつれているとかそんな事はない。そもそもこの女がそれを放置する訳ないのだ。外面完璧ゆえに、その辺りに抜かりはない。
「どこもほつれてないし汚れもないよ。で、これが何?」
「これであんたの指紋がベッタリついたから」
「はあ?」
「藍葉くんにレイプされそうになったって言うから」
んんんんん???????????????
多分今。僕はいわゆる
なんで僕が制服を触ったらレイプになるんだ。僕は無理矢理とか好きじゃないって言ってるだろ! やっぱり純愛よ純愛。
中学の頃を思い出してみろ。無理矢理とか不倫とか浮気とかあったじゃん? 僕がそんなことする訳ないじゃん。飼い犬に手を噛まれるって言うけど、僕噛まないから。忠犬だから。
「いや、そうはならんやろ」
「黙れ。ぼっちのお前と私の言葉なら私の方が信じられるんだよ」
「なんてことを!」
「これで藍葉くんの秘密も私が握っちゃったね!」
こ、こいつ。僕のことを社会的に殺そうしている! 人の心! 人の心案件だろ! どんだけ僕のことも巻き込みたいんだよ。やめてください死んでしまいます()。
「…………協力するから。あと、それ他の人にやらないでね。絶対失敗するから」
僕だから納得してやってるんです。感謝して?
「ありがとう! 藍葉くんならそう言ってくれるって思ってたよ!」
「ああうんそうなんだありがとね」
なんだコイツ調子いいな。
こんなやりとりをするだけで多少なりともストレスが減るなら、それでいい。だから稀によくある考えなしのガバ行動やめてください。
腹黒バレからのブレザー触らせるムーブとかやめてね? なんかそう言うことやりそうだから言っとくけど。
やらない? 僕にやってる時点でそれは信用に値しないぞ!
「本当にそろそろ本題に入らない?」
もう結構いい時間なんだ。お前は僕が、いつも十時ちょっと過ぎには寝てるのも朝弱いの知ってるじゃん。今日の明日で遅刻とかできないから。したら針の筵だから。
「藍葉くんが勉強会に出たくないって言ったのが原因だよ」
そうだっけ? まあそんな事はいいだろう。
お尻が痛くなってきたので、座布団を取ってきて下に敷く。
「で、勉強会って何をどうするの? やっぱり先生に補習を頼む感じ? それなら喜んで行くんだけど」
「前のテストで点数の良かった人が悪いのに教えるんだってさ」
櫛田さんは心底嫌そうな顔をしてソファに倒れ込んだ。僕も横になってもいいですか? ああはいダメですかそうですか。
座ったまま僕は尋ねる。横になったら確実に寝れるのに。
「そうすると僕の点数割と良かったから教える側かな?」
「そうだけど、ぼっちのあんたには辛いかもね」
こちらに視線を遣る事なく吐き捨てるように言った。
ぼっちじゃないから。綾小路とかいるし。櫛田さんのこと友達だと思ってるから。友達の友達は友達理論でこの学年ほとんどと僕も友達だから。
喋った事ないけど。隣の席の人とも話してない。何さんだっけなぁ。松倉さんみたいな人だっけ? わからん。一月経っても隣の人の名前も覚えてないのやばいね…………。そう言うところがこの学校で友達ができない理由じゃないかと僕は察してしまった。ショックだった。
「ま、まあ教えるくらいならなんとでもなるよ。これでも中学の時はそれなりに頼られてたんだぜ? 知ってるだろ?」
「私の方が頼られてたしモテてたけどね」
そんな事でマウント取らなくても……。呆れた目でこっち見ないで。
「
「やめろその話をするな。ちょっとしたトラウマなんだ。それ知った時僕がどんな気持ちかわからないだろ」
最近の中学生って進んでるなぁって思いました。あと家が汚れちゃう。
妊娠の方はまあ、なんか、ほら、ね? そう言うこともあるじゃん。別にいいけど、付き合ってる時に他の男の家に来るのは良くないよ。ましてやすでに妊娠してるならさ。どんな気持ちで家に来てたんだ。
だが、不倫女お前はダメだ。お前こそどんな気持ちで家に来てたんだ。教えてくれ。
「どうせアホな事考えてたんでしょ。顔はいいのにそういう所だよ」
「親にももうちょっとしっかり考えて話そうねって言われたわ」
「その着流しも似合ってるのに、口を開いたらイメージと全然違うの」
「それは、勝手なイメージを持ってるそっちが悪いのでは?」
「私が初めて話しかけた理由は、和服を着てる人が珍しかったから」
初めて知った。
「話が脱線しすぎてる。とりあえず僕が教える人は櫛田さんが選んでくれたらそれでいいよ」
「わかった。三馬鹿を教えてもらうね」
「それは堀北さんに任せよう? 僕は嫌だよ?」
平田くんでもいいけど、流石にお労しい。
「堀北のことさん付けしなくていいから。あんな奴堀北で充分だよ」
「そうだね。鈴音って呼ぼうかな」
よぉ、鈴音ぇ。元気かぁ? 的な感じでいこうかな。
「名前で呼ぶな」
「アッハイ」
ごめんね堀北さん。僕はもう君のことさん付けで呼ばないや……。
でも心の中では堀北『さん』って思ってるの。
だから許して。
「じゃあ三馬鹿は堀北に任せるように言っておいてあげる。だからしっかり担当はしてね」
「任せて。そこさえ避ければどうとでもなる。ぼっちな僕のことを平田くんなら配慮してくれるって信じてる。彼は
「…………喋り出すと止まらないよね」
おかしい。任せてって言ったはずなのに呆れられてる。ブラック桔梗が呆れるって相当だぞ。基本的に不機嫌そうに黙ってる(ここ堀北)か、毒吐いてるか(ここも堀北)の二択だから。
実質堀北さんじゃん。桔梗ちゃん実は堀北さんのこと大好きだった? 百合展開ってこと?
「いでっ!」
急にぺちりと頬を叩かれた。驚いてみるといつの間にか櫛田さんがすぐ横にいて僕の頬を叩いていた。
「なんか不快なこと考えてた気がしたから。その顔してる時あんたは大体ロクなこと考えてないって知ってるの」
そんな顔ってどんな顔だよ。
そんな事よりも、近くに可愛いお顔があってちょっと恥ずかしいと言うかなんと言うか。やめろ、顔面偏差値の暴力で僕を殴るな。中身知ってても惚れちゃうかもしれないだろ。
「……他には平田くん何か言ってた?」
ここで距離をとってしまったら、なんだか負けた気分になるのでそのまま話題を変える。話題変えたのは逃げじゃないから。戦略的撤退だから。せっかく近くに来てくれたんだからちょっとくらい堪能…………楽しんでもいいよねとか思ってないから。
「他は決まらなかったみたいだよ。はー使えな」
やばい離れた方が賢かったかもしれない。普段だったらそのため息でキレてんなって思ってたけど、耳元でそれはドキドキしてしまうと言うか、ちょっと刺激が強いと言うか、新たな扉を開いてしまいそうと言うか。
エッチなのはダメだと思います!
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あの後は密着したまま「堀北死ね死ね」言い出したので事なきを得た。やっぱりいつもの腹黒だ。そうだよお前はそれでいいんだよ。
だけど耳元で呪詛を吐くのはやっぱりやめて。変な風にドキドキするんだよね。
そして現在の時刻はすでに二十三時を少し過ぎている。
僕の睡眠時間ガガガ。
今は何をしているかと言うと、オンラインチェスなるものをしている。
なんでこんな物をしているかというと、僕がガバガバな計画立てていけるとか思うなと言っていたら、ガバガバじゃないとキレ始めて勝負することになったのだ。そこから二人で五局やったが二勝二敗一分という微妙な結果に終わったのだ。
なんとなく気に食わなかった僕たちはネットチェスで対戦相手をボコして遊び始めた結果こんな時間になっている。
「これで最後にしない? 対戦相手煽り過ぎたせいでアカウント停止されないか僕は不安だよ」
「はあ? そんなのまた作ればいいでしょ……仕方ないからこれで最後にしてあげる」
僕の眠たそうな顔を見て納得してくれたようである。かなり前からこんな顔してました。早く気がついてほしかったよ。
「最後はっと、【ありす】さんか。夢の国の方かな? 今の僕がやるのにぴったりじゃん。早く夢の国に旅立ちたいんだ」
「夢の国じゃなくて不思議の国だよ藍葉くん。……相当眠そうだね」
まずは櫛田さんが適当に駒を動かしていく。寝惚け頭に任せてやって負けた上で煽られたくないそうだ。煽りする人とかあんまりいないから。
「この人強いんだけど。ムカつくなぁ」
「そうなの? こんな時間にわざわざやってるような人だから強いんじゃない? 良い子は寝る時間だぜ」
「黙ってて。今集中してるの」
仕方ない。黙って嬲られるのを見ておいてやろうじゃないか。
AIにボコられてんのかなと思って盤面を覗いて見る。櫛田さんもAIだと疑って指してたみたいだけど、ブラフに引っかかってないし偶に長考する事があるから人間っぽい。
コンピュータだと思って指してたのが失敗なんじゃないかな?
「はぁ?! 最後に負けて終わり?!」
「怒るなよ。僕も一緒に考えるからね?」
なんで子守みたいなことしてるんだ僕は。不機嫌そうな顔を隠さずに渋々頷く櫛田さんをみて思う。なんでお前も子供みたいな風になってんだ。
「「か、勝った〜」」
なんとか勝った。もう時刻は午前零時を過ぎてます。
一時間くらいやってたのか。よく頑張ったよ僕たち……!
「最後の人何者? なんであんな本気になってんの? 粘らずに諦めろよ」
「それ僕たちが言えることじゃなくない?」
「私たちはいいの。勝てば官軍だよ」
「当分チェスはしないぞ。もうお腹いっぱい。十分やったよ」
「そうだね。私ももういいかな。それなりに強くなったって実感あるし。興味もないから」
興味ないなら一緒にやろうとか誘わないで……。中学一年からやり始めて三年もやったのに興味なかったのかよ。初めて知ったよ。
終わったしもう遅いから帰ってね。僕の眠気はもう限界なのよ。
「じゃあお休み。鍵は閉めとくから見つからないように帰ってね? 頼むよ?」
「わかってるから念押ししないで。私のことバカにしてるの?」
「してない。詰めが甘いと思ってるだけだから大丈夫。万が一バレたら僕は桔梗ちゃんと付き合ってるんだって言うから安心してね」
ブラック桔梗をどうにか窘めて、玄関まで追いやる。
「じゃあ勉強会の担当任せたよ。問題児は堀北さんに任せる方向でね? 僕の方じゃないからね。僕の方にしたら躊躇いなく櫛田さんも巻き込むからね」
靴を履いて立ち上がった櫛田さんに言う。
マジで頼んだぞ。
「わかってるから。じゃあおやすみ」
「おやすみ。また学校でね」
出て行ったのを確認して、鍵を閉めチェーンを掛ける。
チェーンの大切さを僕は知っているのだ。漫画で見たぞ。アイドルがストーカーに刺されたことで物語が始まるやつ。インターホンで顔くらい見とけよって思ったね。
そんな事はどうでもいい。櫛田さんは帰った。僕は寝るだけだ。
机に残されたカップを洗って布団に入る。
勉強会頑張らないとなぁ。
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僕は今、学校にいる。昨日は寝るのが遅かったが、寝坊する事なくしっかり起きる事ができた。さすがは僕だ。
僕といえば、昨日大体のことはできるとか言ったな。
あれは嘘だ。
今までの経験ではどうにもできない場面に遭っている。下手をしたら諸共爆散する事間違いなしだ。
どんな事態なのかだって? いいだろう。教えてやろう。
櫛田さんが携帯を僕の部屋に忘れて行ったのだ。
これがどう言うことかと言うと、やばいってことだ。
僕が女の子なら「桔梗ちゃん! 昨日は楽しかったね! これ忘れてたよ! 全く私がいないとだめなんだから!」とか言って渡せるが、僕は男だ。それに加えて普段話す事があまりないのだ。不自然でない程度には話しているが、他のクラスメイトと比べて教室内で会話している回数が明らかに少ないのだ。
そんな奴が渡したらどうなるか。
間違いなく闇討ちだ。
ちょっと櫛田さんと仲良くするだけで刺され掛けるのだ(実体験)。それくらいあっても何もおかしくない。
ああどうしたらいいのだ。
そんなことを考えながら、ぽけーっと窓から外を見ていた。
あ、櫛田さんと目が合った。上手く渡せと目で訴えてくる。渡し方を教えてください。僕の発想力じゃ出てきません。
…………閃いたわ。
窓越しにウィンクして任せろと伝える。
一瞬呆れた顔をして笑うと、すぐに元のグループの会話に戻っていった。
「外に向けてウィンクなんてしてどうしたんだ?」
「えっ?! いや、ほら…………い、いい天気だなぁと思ってさ」
びっくりした。完全に自分の世界に入ってた。こう言うところを見られると恥ずかしくなるよね。そんな経験ない?
「そ、そうか。変わってるな」
「うーんストレートな物言いだ。僕は嫌いじゃないぞ綾小路」
やっぱりコイツが癒しなのでは? イケメンでイケボで鍛え抜かれた身体。なんだコイツ完璧か? 今度トレーニングの方法教えてもらおうかな?
「まぁ、あんまり人に言いにくいことでさ」
人がいなければ言えるんだけどと、加える。
綾小路も納得してくれたようで、何かあったら言えよと言ってくれた。
やっぱりいい奴だ。やばい奴じゃないかと思っていたことを謝りたい。
そんなこんなで朝の会が終わって教室を出ていく先生を追いかけて、呼び止めた。
「先生、ちょっといいですか?」
「ん? 藍葉か。どうした?」
「これ
そう言って、櫛田さんの携帯を預ける。
「中が見れなくて誰の物なのかわからなかったので、先生にお願いしてもいいですか?」
茶柱先生はじっとこちらを見つめてからため息をついて頷いてくれた。
僕のことじっと見る必要何かありましたか?
櫛田さんの渡すのは、周りからの目が怖くて無理ですとは言わないよ。相手が先生だとしても流石に情けない。それもこれも全部僕をぼっちにさせたいこの学校のシステムが悪いんだ(被害妄想)。
どうやら無事に櫛田さんに渡してくれたようで、お友達(笑)によかったねと言われてる。
うんうん。僕も無事に終わってよかったよ。
落とし物を拾ったら先生に届ける。小学生でも習ったね!
────────────────────────────────
それ以降は特に何かある訳でもなく、放課後になった。
ここから地獄の勉強会が始まる。間違いなく問題は起こるだろう。
でも大丈夫だ。僕は櫛田さんを信じている。三馬鹿を相手にするのは僕じゃない! 堀北だ!
え? 僕は他の人に加えて三馬鹿担当鈴音ちゃんをフォローするの? 嘘だろ?
「藍葉くんにお願いしたいんだけど、いいかな? もちろん私も協力するよ!」
あっはい。わかりました。
藍葉くん
普段着は和服。紺色の着流しをきていた。買い物に行く時もこの格好なので目立っている。本人にその自覚はない。コイツと遊ぶことになった人は否応なく目立つ。櫛田ちゃんが認める程度にはイケメン。だがぼっちだ。教室では休み時間、綾小路か堀北と話す時以外は本を読んでいるか物憂げ(何も考えていない)に外を眺めている。話しかけにくい。男版堀北だと思われている。
お菓子も煎餅とか羊羹が好き。つまり櫛田ちゃんは紅茶に煎餅と羊羹を出されたのだ。ちなみに一番好きなお菓子はカステラ。特別な日にだけ買って食べるらしい。好感度が高いと誕生日に金粉のかかったカステラをもらえるよ。
チェスはルールをわからないまま櫛田ちゃんに煽られながボコされたので強くなった。陰湿な方法でやり返そうとしたので、絡めての方が得意。
櫛田ちゃん
紅茶と煎餅と羊羹を出されて、本当に機嫌取ろうとしてるのか疑問に思った。緑茶出せ。
チェスはもうやりたくない。
犬()が従順で満足げ。
原作では綾小路くんにopiを触らせていた(羨ましい)が、この世界線ではそんなことにはならないでしょう。オリ主くんを脅すのに触らせる必要はないらしい。口では嫌がっててもどうせやってくれるとのこと。やっぱり犬じゃないか!
それに藍葉くんに触られるのは…………?
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