クラス爆散女と行く実力至上主義の学校   作:櫛田ちゃんかわいいよ

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皆さんが応援してくださったおかげです!本当にありがとうございます!

話は変わりますが、私はpixivで櫛田さんのイラストを検索してみました。
………えっちなのしかなかった。なぜだろうか不思議だあ。
だれか、誰か櫛田さんのR-18じゃない絵を描いてください……!

誤字報告・お気に入り・評価・感想ありがとうございます!




やはり賄賂。この学校では賄賂が全てを解決する

 堀北さんがやらかして今日の勉強会はお開きになった。

 

 堀北さんがやらかしてね。()()()()()やらかしてね! 

 ここ重要だから。頼むよ? 

 

 僕は今何しているかと言うと、部屋に戻って来て櫛田さんと死んでる。

 僕はソファに、櫛田さんはベッドに倒れ込み絶望している。

 

堀北、須藤、池、山内(四バカ)……………………死んでくれないかなぁ」

 

 ああ、櫛田さんはもうダメらしい。いつもみたいなキレがない。

 光を映さない瞳で天井を見ながら、呆然と呟く。

 昨日の今日でこれって…………。

 

 まじで堀北さん……何したの? 

 僕が事件現場に着いた時には既に解散していて、堀北さんにドン引きしている綾小路と、下を向いて動かない櫛田さんがいた。

 堀北さんは普通に勉強してた。

 沖田くん? だっけ? は席に座って居心地悪そうに勉強していた。

 可哀想に。でも勉強を続けようとする意思はすごい。本気でどうにかしたいんだろうなと思う。君はどうにか手助けしていい点数取れるようになってもらいたいなぁ。せっかく来てくれたのにごめんね…………。

 

 僕はまだ何もしてないけど。

 

 

 

 

 そう言うわけで今は綾小路と堀北さんに断って、櫛田さんを部屋に連れて帰って来たところである。

 

「……まだ三人を赤点取らせないように頑張るの?」

 

「………………」

 

「沖田くんは多分明日も来てくれると思うけど、他の三人は正直なところ厳しいんじゃないかな」

 

「…………沖谷くんね」

 

 あ、うん。まだ、名前覚えられてないんだ。

 

「堀北がね」

 

「うん」

 

 ぽつぽつと櫛田さんは語り始める。

 …………これは大爆発する。

 僕にできることはただ聞いてあげる事しかない。

 それで少しは落ち着くならいくらでも吐き出してくれて構わない。

 

「須藤たちのことを無知無能って言ってたんだぁ」

 

「うん」

 

「でもね、私からしたらね」

 

 

 

「お前も何も変わらねーんだよ!! バーカ!!!」

 

 

 

「ふざけんなふざけんなふざけんなぁぁ?!!!!!」

 

「私がどんな気分で須藤と池と山内(クズ共)呼んだとおもってんだ?!」

 

「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!」

 

「私はっ! キモい視線も! ふざけた態度も! 全部我慢してやってるの!!!!」

 

「何でお前は我慢できないんだよ!!」

 

「そんな態度じゃ嫌われて上手くいかないって何で気づけないの?!!」

 

「ちょっと勉強が出来るくらいのぼっちが私の努力を水の泡にしないでよ!!! 何であの程度の事を教えられないの?!」

 

「お前は気持ち悪い視線も何も受けてないだろうが!!! なのに何でそんなにすぐに怒るの?!」

 

「私が受けてる視線を受けててよ!!!!! そうしたら私はバカ共教えておくからさぁ!!!!」

 

「何でそれくらいの我慢ができないの……? 自分から言い出したのに何で仕事が出来ないの……?」

 

「何で…………何でなの……?」

 

「綾小路くんと藍葉くんにも協力してもらってこれ?!」

 

「本っ当にAクラスに行く気あるの?! 昨日は須藤達がこれから必要になるかもしれないとか言ってたのに!!!」

 

「期待してる相手にする態度じゃないじゃん!! 何? 家族からずっとそんな態度とられて育った訳?!」

 

「頼むからしっかり勉強させてよ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「多少は吐き出せた?」

 

「そうだね。まだまだ言い足りないけど。いいよ。堀北は諦める」

 

 不満を爆発させた櫛田さんはあの後も恨みつらみを吐き続けた。

 途中から僕の枕を叩いたり叩きつけたりして暴れ出したが、止めることはできなかった。

 防音性の優れた部屋でよかった。そうじゃなければ上下左右の部屋から壁ドンされるところだった。それくらい荒れていた。

 

 しかし、彼女の不満も尤もだと思う。

 僕はその場にいた訳じゃないので正確なところはわからないが、綾小路の反応と櫛田さんの言、沖谷くんの様子より堀北さんがやらかしたんだと確信している。

 おかしいなぁ。昨日の夕飯仲良く食べた仲だったのに。

 一日も経たずして我々の友情に亀裂が入ってそのまま崩れ落ちちゃったよ。

 何でだ。昨日は気遣いできてたじゃん。

 

 そんなに? そんなにか? そんなにあの三人はどうにもならないのか? 

 実は僕、彼らとあまり話したことがないのだ。なぜかはじめから嫌われていたし。

 ただ、普段のアレな行動は普通の高校生でもやらないだろう。何でこの学校に入れたんだ? 胸の大きさで賭け事をするなよ。

 

「今日もご飯食べていく? どうする?」

 

「…………野菜と味噌汁だけにして」

 

「わかった。ちょっと待っててね」

 

 お風呂を入れて、準備に取り掛かる。と言っても、やることはそう多くない。葉っぱをちぎって切ってあるきゅうりとかを適当に皿に盛り付けて、残り物の味噌汁を温めるだけ。

 

 それらをこなしながら、ここ数日を振り返る。

 どうしよう。僕は今日というか、勉強会において役立たずな気がして来た。何も貢献出来てない。

 あれ? もしかして僕も無能だった…………??? 

 

 いやいやいや、そんな訳ないだろう。

 勉強の方針というかそういうのの草案は出したし。テストの出題方式も聞いた。小テスト作ってもらおうとしたけど学校がケチだからもらえなかった。

 大丈夫だ。貢献してるしてる。

 ……してるか? 成果は出題方式くらいしかないぞ? 

 

 まあ、勉強会を壊してないし、これからできるであろう事も出来なくされちゃっただけだからセーフだと思いたい。

 櫛田さんがああなってると僕までマイナスの方に傾くから気をつけないと。

 

 うちの子をあんなにするまで追い詰めるなんて……許さないよ? 本当に。

 

 どうにもならなくなったら学校辞めて、Googleのこの学校の評価に「I」をつけといてやる。

「まともな人間を育てる気のない学校です。お互いをお互いに蹴落とし合うような校風なので、お子様がいる方は学費無料に騙されないようにしてください」

 みたいなコメントもセットでなぁ! 

 

「櫛田さん。準備できたよ。……ほらベッドから出ておいで」

 

 ベッドに潜り込み、もはや頭も布団の中に隠している櫛田さんを揺する。

 しかし、もぞもぞして対抗してくる。

 その簀巻き状態で運んでやろうか。

 

「ご飯できたよ。食べるんでしょ。冷めちゃうよ」

 

「ん」

 

 渋々と言った様子でベッドから出て来た。

 袖を口元にやり俯いてて表情は読めないけれど、相当こたえているのだろう。

 

「大丈夫? 気分が悪かったら無理に食べなくてもいいよ」

 

「ううん。大丈夫だよ! 心配しないで」

 

 顔を上げて強く否定して来た。

 う、うん? それならいいんだけど……。辛かったら言ってね? 

 昨日と同じテーブルに向かい合って座る。

 

「いただきます」

 

「召し上がれ」

 

 うん。気持ち悪いとかそう言う体調の悪さはなさそうだ。

 パクパク食べてる。

 

「制服のままベッド入っちゃってごめんね。ちょっと余裕がなくて……」

 

「そんなの気にしなくていいよ。次の休みの時にでも洗っとくから大丈夫」

 

「え?」

 

「え?」

 

 え? 何でそこで「え?」なの? 

 制服でベッドインは流石に汚いから。今回は仕方ないけど部屋着に着替えてからにしてよ。

 

「私が汚いって言いたいの? 失礼じゃない?」

 

「え? まあ、一日学校にいたら汚れるでしょ」

 

 何でそこでキレる? 

 僕がおかしい事言ってるのかなぁ。外から帰って来てそのままベッドに入るのは嫌じゃない? 

 ベッドに横になるには、シャワーとか浴びて着替えてからが普通だと思ってたんだけど。

 

「…………わかった。今度は部屋着で来るね」

 

「うん。そうして」

 

 何でそんな不満げな顔をしてるの? 

 

 櫛田さんだって僕が学校から帰って来てすぐに櫛田さんのベッドに入り込んだら嫌じゃない? 

 ……嫌じゃない?! 

 そ、そうか。…………そうなんだ。

 じゃあ僕がおかしいのかもしれない(洗脳済み)。

 

「明日から三人をどうするの?」

 

「ご飯の後でいい? 不味くなる」

 

「わかった」

 

 話題にすらしたくないレベルで嫌なのね。

 

 そんなのにどうにか勉強させようとしてたのはすごいよ本当に。

 どう考えても僕たちの勉強会のMVPなのに、ダメージが大きすぎない? MVPが一番被害受けるとかおかしいだろ。

 中学の時も最後の最後まで我慢できてたのに、こうまでなるのはちょっと想像してなかった。

 あのヤバすぎる奴ら相手に『いい人』してた櫛田さんですら、こうなっちゃうクラスってまじでもう終わりなんですが。

 

 クラスポイントとかプライベートポイントとか、そういうプレッシャーがあるとしても、あの三人を相手する、いやDクラスを相手にするのは、僕が思っている以上に彼女にとって負担だったようだ。

 

「ごちそうさまでした」

 

「食器は僕が洗っておくからゆっくりしてていいよ」

 

「ん、じゃあちょっとしたらお風呂借りるね……」

 

 ええ? ここ僕の部屋だよ? いいの? 

 

「着替えあるの? ここにはないでしょ?」

 

「お風呂出たら一回部屋に戻って着替えてくるからいいよ」

 

 それなら櫛田さんの部屋で入ればいいのでは? 

 そんな僕の考えに櫛田さんは首を振った。

 

「それでもいいんだけど、私は今すぐに入りたいの。部屋に帰ったらお風呂沸かさないといけないから」

 

 まあ本人がそれでいいならいいか。

 シャンプーとかボディソープとかも同じだし。

 どっちで入っても変わらないしね。

 

 さて、今度はソファで横になっている櫛田さんをよそに、洗い物を片付けながらこれからのことを考えてみる。

 勉強会についてだが、明日というか、今後勉強会をすることが出来るか否かは、僕や櫛田さんがどうにか出来る問題ではないように感じる。

 

 事の発端は、堀北さんの教え方に須藤達が反発した事らしいし。言ってしまえば堀北さんと三人との問題だ。

 僕は櫛田さんのストレスをひどく溜めさせるような人間にはとっとといなくなってほしいと思っているが、彼女自身はそう思ったとしても立場がそうさせないだろう。

 綾小路は多分、ダメなら切ってもいい。というか、彼らの進退に興味はないのではないだろうか? 

 …………綾小路は不思議くんだから合ってるかわからないや。

 

 だから僕らの勉強会は、もはや堀北さんの手に委ねられたという事になると思う。

 彼女が須藤達を引っ張って来れるなら僕たちは彼らに教えるし、ダメなら僕らは平田くん達の方に合流してそちらを教える。そういう感じではないだろうか? 

 

 堀北さんも言い方がなぁ。

 言っていることも言いたい事もわからなくはないんだ。ただ言い方が致命的なだけで。

 あとは性格。自己中心的というか、周りが見えないというか、他人に共感する能力が低いというか……。一月暴言を吐かれていた程度の僕では彼女の事をうまく説明できないが、彼女の問題はこんなところではないだろうか? 

 綾小路なら多分もっとうまく説明できると思う。

 

 洗い終わった皿を拭き取り、食器棚に収める。

 よし。終わった。

 

 部屋に櫛田さんがいる様子はないから、お風呂に入ったのだろう。

 

 

 …………こうやって落ち着いてみたら、同い年の美少女が自分の家の風呂に入っているという状況に緊張して来た。

 べ、別にやましい気持ちなんてないけどね? うん。

 

 でも櫛田さん。すぐそこでお風呂に入ってると想像すると……。

 

 ………………やめよう。煩悩退散! 煩悩退散!! 

 

 えっちなのはダメですから! 

 

 変な想像をしたせいで顔が熱いしドキドキしている。

 僕は、なんとも言えない気持ちでベッドにダイブして顔を埋めた。

 さっき櫛田さんにシャワー浴びてから入ってとか言った気がするけど、今週洗うし予定だしいいよね。

 ちょっと僕も落ち着きたいのだ。

 悪いのは変な想像した僕じゃなくて、させるような事をしてる櫛田さんである。天使の顔で近づいて来て、油断したところを悪魔にやられるんだ。

 僕だって健全な男子高校生なんだぞ! 気になっちゃうのは仕方ないだろうが!? 

 

 

 なんかいい匂いする。

 

 

 そう言えば、昨日今日って櫛田さんがここで寝てたな。

 つまりこの匂いは櫛田さんの匂いってこと? 

 

 ………………。

 

 今の僕は女の子が寝ていた布団に顔を埋めている男って事ではないだろうか。いや、僕の布団なんだけどね? 

 だとしてもこれシンプルにヤバいやつでは? 

 櫛田さんが弱ってるのに僕だけなんか喜んで……得して……いや、いい言葉が浮かばないな。

 とにかく! 彼女が弱ってるのに僕が煩悩に塗れてちゃダメだよね?! ちょっと前に欲情すんなよって言われたもんね?! 

 

 でも僕が桔梗ちゃんの事を意識しちゃうのは仕方ないと思うの! 

 どう責任とってくれるの?! 

 

 と、とにかくベッドから出て───

 

「お風呂上がったよ〜。…………何してるの?」

 

 すーっ(深呼吸)。

 あっ、いい匂いする。

 

 じゃなくて! 

 ばっとベッドから降りてすぐに座り、誤魔化しを試みる。

 

「いあ、あの、ほら僕もちょっと横になりたいなって思ってさ? そういう事あるじゃん?」

 

「うん。そういう事もあるね」

 

「だから、つまり……そういう事なんだよ」

 

 言い訳が何も思いつかない。

 僕が櫛田さんに言い訳をしようとして成功した試しってあったっけ? ない気がすんですがそれは。

 

「ふーん。私がさっきまでいた布団に? 顔を埋めて匂いを嗅いでたんだ」

 

「でもこれ僕の布団だし」

 

「でも匂いはもう私のだよ?」

 

 そもそも匂いが変わってるのがおかしい事に気がついてください。僕の布団なんですよそこ。

 

「いや、でも……僕は悪くない! そう自分のベッドで横になっただけだ! だから僕は悪くない!」

 

 僕は首をブンブン振って否定するが、櫛田さんのニヤニヤが止まることはない。スキップでもしそうな軽い足取りで近づいてくる。

 僕はそれに合わせて下がっているが、限界が来るだろう。

 

 そんなにウッキウキになれてるなら、もういいよね? 

 それ既にストレス値下がってるじゃん? だから多分お互いの利益が、トントンくらいになってると思うですよ。

 

 僕の必死の懇願も通じず、部屋の隅まで追い詰められた。

 

 櫛田さんが僕を見下ろし、僕は櫛田さんを見上げる。

 彼女は満面の笑みだ。瞳には喜色を浮かべ頬は──風呂上がりだからだろうか──上気している。髪は乾かしていなかったようで、髪から下垂れ落ちた雫が僕の顔にかかる。

 櫛田さんは僕の視点に合わせるようにしゃがみ込み、僕の目を見つめてくる。彼女の浮かべた笑みがどうにも色っぽく見えて───

 それから彼女は、僕の耳元に口を近づけ……優しく囁いた。

 

「私の匂いを嗅いじゃうなんて……藍葉くんは、本当に私の犬になっちゃったのかな?」

 

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 気がついたら朝になっていた。

 

 ギャグをしていたつもりがちょっと違う雰囲気になってた気がする。流石の僕も、あの場でふざけることは出来なかったよ……。

 

 

 あの後、プルプルと震え何も言えないできない婿行けない状態の僕の様子を見て、満足したようすの櫛田さんはすぐに部屋へ帰っていった。

 

 僕は間違いなく変な扉が開いた。というか、引き摺り込まれた。

 

 …………しかし何度でも言おうか。僕は悪くないと! 

 仕方なくない? 普段は天使なクラスのアイドルが、耳元で妖艶な声で囁いてくるんだよ? どうにもなる訳ないじゃん?! 

 

 もうお婿に行けない! 桔梗ちゃん責任とって!!! 

 

 

「いやいや、落ち着け深呼吸だ」

 

 よし、学校に行こうか。

 今日は勉強会できるといいいなぁ。

 何よりも何事もなければいいなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 教室に着いて扉を開けたら、なんか堀北さんと須藤が向かい合って笑ってた。

 

 あれ? 和解した? 

 

 僕が二人の様子に驚いていると、クラス中の視線がなぜか僕の方に集まる。

 うぇ? 僕何かしちゃった? タイミング、タイミングか? タイミングが悪かったのか? 

 既に何事か起こっちゃった? 

 どど、どどどどうしよう。

 

 迷いに迷って迷いきった結果、どうするべきか結論が出た。

 

 

「皆んなおはよう」

 

 

 僕の顔面偏差値とボイスを信じて挨拶するべきだと! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ぼくがきがついたときにはほうかごになってたよ。

 

 僕の渾身の挨拶に関しては…………まあ語る必要はないだろう。

 綾小路に優しく肩を叩かれたとだけ言っておく。

 

 僕は悪くない。

 

 おかしいなぁ? 僕イケメンなはずなのになぁ。イケメンはなんでも許されるんじゃなかったの? 

 あの平田くんですら……いや高円寺くんですらなんとも言えない表情だったよ。お前にすらそんな顔されるって、僕の挨拶する選択はどんだけ間違ってたの? 

 櫛田さんは笑いを必死に堪えてた。笑ってくれよ。シーンとしちゃってたじゃん。

 

 いやそれは置いておこう。自分で自分の傷を抉るようなことはしないのだ。

 

 ところ変わって、今現在。図書館で勉強会を開いている。

 やっぱりというかなんというか、僕は歓迎されてないようだった。僕どころか、綾小路も歓迎されてなさそうだった。

 男サイドには嫌そうな視線。女性陣(櫛田さん)にはいやらしい視線を浴びせている、

 まあ仕方ない。クラスの天使様の周りに僕たちみたいなイケメンがいるなんてなぁ? 

 僕らの関係はもう既にズブズブなんですよー。億が一にもお前らにチャンスとかないから! 生ませないから! 

 

 とはいえ不愉快な視線ではある。

 櫛田さんは普段からこの視線を受けてるってマジ? 普通に病みそうだけど。

 …………だからあんな風になってるのか。

 帰ったら労わってあげよう。なんか見てるこちらまで不快になる。

 

 一方で、沖谷くんと須藤は真面目にやっている。

 須藤くんと喧嘩したふうに聞いていたので不安だったが、杞憂だったようだ。今朝のやり取りで何か解消したのだろう。知らんけど。

 その美談の裏で、僕が犠牲になってる事を忘れるなよ。

 

 沖谷くんは元々壊滅的に出来ない訳ではなかったようで、不安な教科があったからこちらに参加したそうだ。

 平田くんの方は参加しづらかったらしい。

 

 どう考えてもこっちの方が参加したくないと思うのは僕だけでしょうか? 少なくとも櫛田さんは賛成してくれるね! 

 

 そう考えたら僕の中で沖谷くんヤバいやつ説が湧いて来た。

 多分マゾとかそういう風なヤバいやつだわ。多分自らをきつい環境に置くことで快感を得られるタイプの変態だわ。そうじゃないならこちらに参加しようと思わないね。

 

 …………沖谷くんの分、平田くんらの勉強会は席が空いてるってことだよね? 僕と櫛田さんはそっちいってもいいかな? 

 その時には、綾小路には『騙して悪いが』させてもらおう。

 

 …………なんか綾小路にそれは可哀想だな。なんか人間不信になっちゃいそう。

 もうあのキラキラしてるおめめが見れなくなりそうだからやめとこ。

 

 櫛田さんが山内池の介護。堀北さんが須藤くんの面倒を。僕と綾小路は沖谷くんと勉強。完璧な布陣だな。

 一番はじめに一番地獄みたいなところあったけど。

 僕と綾小路がそっちを受け持とうとしたが、嫌がられてしまったので仕方なくといった感じだ。

 

 特に問題が起きることなく勉強会は終わった。

 マジかよ。

 今日一番の問題は僕が朝空気を凍らせたことじゃん。どうなってんの? 

 本当に三馬鹿か? 

 

 今後の彼らの勉強方針としては、授業中にその教科のテスト範囲を復習させるらしい。

 どうやら授業中は教科に関係ある事をしているなら、何をしていてもクラスポイントに響かないらしい。

 なんだそのシステム。人が話してる時はしっかり聞きましょうって習わなかったのか? 目と耳と心で聴きましょうって言われなかったのか? 

 せんせー今月のはじめに言っていた事とシステムに齟齬がありまーす。

 

 まあ、それが僕たちにプラスになったから今回はいいか。けど、これが僕たちにとってマイナスなルールだったらマジでクソだな。

 僕の転校したいポイントが貯まる。

 

 なんやかんや中間テストもどうにかなりそうだ。よかったよかった。

 

 

 

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 中間テストもどうにかなりそうだと言ってから一週間ちょっと。

 綾小路が僕の部屋に泊まりにきたり、逆に僕が泊まりに行ったりした。

 櫛田さんとの密会(笑)も毎日あった。綾小路の部屋で三人で遊んだり、僕の部屋で三人で遊んだりした。

 チェスやったら僕と櫛田さんは普通にボコられた。櫛田さんとペアでやっても負けたんだが? なんだコイツ。

 将棋とか囲碁とかもやったが、そっちも同じような結果になった。それぞれ何回か引き分けられたが…………あとは全敗。一度も勝てなかったわ。でも楽しかった。

 綾小路も「友達と全力でゲームする……青春だな」とか言ってたので、これもまた青春の一ページだ。

 綾小路の青春判定ガバい。ガバくない? 

 

 とにかく、間違いなく充実した一週間と言えるだろう。

 青春評論家綾小路先生も、認めた一週間だったのである。

 

 

 僕たちは最高に青春を過ごしている!! 

 

 と、言えていたのは、しかしながらさっきまでのお話。

 

 僕がトイレに行ってる間にCクラスと揉めて、一之瀬さんに助けてもらった様だ。その流れでテスト範囲が変わったことを聞いたらしい。

 なんだか僕はほとんどそういう場面にいない気がするのだが、なぜだろうか? 

 そんな僕のことよりも…………

 

()()()()()()()()()()()()()

 

 何を言っているかわからないだろうが、僕もわからない。

 本当にわからない。なんで変わってるん????? 

 サエちゃん先生(アラサーにちゃん付けはきついと思ったのは僕だけだろうか?)は何も言ってなかった。

 忘れちゃってたのかな? それなら仕方ないね。

 

 なんていう訳ないだろいい加減にしろよ。

 

 

 というわけでやって来ました職員室。

 先頭を行くのは我らが鈴音ちゃん。次いで櫛田さんが。僕と綾小路もなんとなく着いて来てる。

 正直その二人だけで事足りる感はあるが、僕と綾小路だけ待ってるのは、なんか仲間はずれみたいで寂しいよねって事で着いて来た。

 

「茶柱先生。テスト範囲の変更があるというのは本当ですか?」

 

「ん? ああそうだな。伝え忘れていた。すまないな」

 

 険しい表情で堀北さんが茶柱先生に問いかける。しかし、それを聞いて先生はなんとも軽薄な様子で答える。

 

「───っ! あなたは……」

 

 はぁ? クラスに協力するって言ってたのはどこ行っちゃったんだ。

 と、言いたいところだが、今回も仕事だろう。

 やっぱり仕方ないんじゃ? 

 茶柱先生個人で、テスト範囲の変更をわざと伝えないなんて事はしないはずだ。

 月初めの指導室で綾小路を呼んだんだ。Aクラスを目指しているのは先生も同じだと思う。多分綾小路に頑張ってもらってAクラスにいくつもりなんだろうなぁ…………。

 確かに綾小路の能力を知っているなら、縋りたくなる気持ちはわかる。綾小路マジでなんでもできる。ゲームも強ければ、勉強もできる。体付きからして運動もできる。

 そんな奴がなんでDクラスなんだろうか。

 …………堀北さんとはベクトルが違ったコミュニケーション能力の低さだろうなぁ。

 親が小さい頃から色々させてたんじゃないかな。だとしてもただやってるだけじゃ、あそこまで強くならないし鍛えられないだろう。これが才能……恐ろしい。

 それに友達がいないとか言ってたし、相当過保護な親だったのではないだろうか? 友達を親が選んでくるやつだ。大体どの子もお眼鏡に適わなくて、途中でいなくなっちゃうんだよ。

 教育ママパパで過保護とか綾小路大変だな。

 

 華族の家庭環境の邪推はともあれ、何せDクラスのメンバーは一部を除いて()()だ。高円寺は使いにくいし、平田くんは多分Aクラスを目指すよりも他の事を優先する。

 僕と櫛田さんは能力はあるけど、いつ爆発するかわからない地雷とかそういうのじゃないだろうか。入試成績もかなり上のほうだと思うし、中学の時もクラスが崩壊するまではまとめ役をしてたり、ボランティアもしたりしていたので、社会貢献的なところでも僕らの評価は高いはずだ。

 まあそれらを帳消しにするクラス爆散があるんですけどね。

 多分これがなかったら僕たちは、BクラスかAクラスだったろう。

 そうなると、爆弾がない且つ能力があるのにやってない綾小路に頑張ってもらいたいというところじゃないかな。

 

「堀北さん。早めに……前日に知ったとかじゃなくてよかったと思おう? 先生ありがとうございました。失礼します」

 

 櫛田さんはそう言うとさっさと出て行ってしまった。堀北さんも先生を一瞥するとそれに続く。

 

「先生」

 

 上から言われてこんなことをしたのだと思うが、それはそれだ。ちょっとくらい僕も言っても許されるだろう。

 これから三馬鹿に勉強無駄だったよって言うのを伝えなきゃいけない。文句が出るのは確実だし、それを聞くのは櫛田さんなんだ。本人は先生に言えないからね。

 

「なんだ? 私は忘れていたと言っただろう」

 

「せっかく学校支給の端末があるので、それを活用するのはどうでしょうか? そうすれば()()()()がなくなると思いますよ。それに、最近ではメールで業務連絡を行う企業や大学が多いそうじゃないですか。この学校でもぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか? 決まった時点で流せばお互いに利益がありますよ」

 

「……ああそうだな」

 

 悪いな。仕事だろうにこんなことを言ってしまって。

 だけど別にいいよね? それとなく範囲が変わるような事すら示唆しないのは、マジでやってると思うんだが? これで退学者でて今後の試験に悪影響出たらどうするの? 

 だから先生には悪いけど皮肉言わせてもらいますね。

 

「重要な連絡を忘れてしまうなんて、先生もDクラスみたいなミスをするんですねぇ。まあそう言うこともありますよね? 人間ですから。失敗も間違いもあるのは仕方ありませんとも。…………では僕もこれで失礼します。先生も一緒に頑張りましょう」

 

 一礼して綾小路と共に職員室を出る。

 お前一言も喋らなかったな。

 まあ、確かに僕たちはテスト範囲が変わったところで影響ないけど。

 

 外に出ると櫛田さんと堀北さんが横並びになって、顔を下に向けながらぶつぶつ言っている。

 

「……綾小路」

 

「……なんだ藍葉」

 

「声かけてきてよ。……僕にあそこに声をかける勇気はないぞ」

 

「いや、オレも嫌に決まってるだろう」

 

 お互い視線を逸らさない。逸らしてしまったらそれを口実に、行かされることになるから。

 

「「………………」」

 

 やれやれ、頑固者め。全然逸らさないじゃないか。

 お互い行きたくないなら仕方ない。決め方はアレしかないな。

 いくぞっ! 

 

 

「「最初はぐー! じゃんけん!」」

 

 

 パコンっ! 

 

 

「「いたいっ?!」」

 

 僕と綾小路は仲良く頭を叩かれた。

 いい音したなぁ。

 

「何をしてるの、さっさと行くわよ。時間がないの」

 

「どうして二人は遊んでるのかな? これで須藤くんたちの勉強が間に合わなかったらどうするつもりなの?」

 

 綾小路とジトっとした視線を犯人二人に送るが、どこ吹く風といったところか。全く気にされてない。

 綾小路曰く、意識の外からの痛みに耐えるのは訓練しても辛いとのこと。

 なんで知ってるの? 君の家軍人さんかな? 華族じゃないの? 

 スタスタと先に行ってしまう二人について行く。

 

「なぜあの程度の連絡ができないのかしら? 意味がわからないわ」

 

「まあまあ、堀北さん。落ち着いて。茶柱先生もわざとこんな事するわけないじゃん。あの人もDクラスの仲間だよ。どころか先生が一番Aクラスに上がりたい様に見えたけどね」

 

 そんな人がわざわざ不利になる様なことはしないだろう。

 

「だからこそじゃないか?」

 

 それはどういうこと………………? 

 

「ここから巻き返せないとAクラスを目指すのは難しいってことか?」

 

「本当に忘れていただけかもしれないがな」

 

「それは……なんというか」

 

 どんな魔境なのここ。

 いやまあクラスの学力とかは明らかに低いけどね。

 でも、まずは下地ができてないと戦えないんじゃ……。

 今はクラスポイントが0になっているから、改善意識が高まってるこのタイミングで、勉強の意識とか授業の聞き方とかを作っとくべきだと思うけどなぁ。

 それを作ってる時に、急に応用をさせようとしても難しいと言わざるを得ない。

 なんで今そんな事してるのとか言っちゃいけない。

 

「でも、私たちがやらなきゃいけない事は変わらない。変わった範囲で須藤くん達に教える。これしかないわ」

 

 彼らの頑張りにかかっているといってもいい。頼むぞ。

 

 

 

 

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 綾小路が過去問を持ってきた。

 曰く、中間試験の問題は毎年同じらしい。今後は使えないだろうけどとも言っていた。

 

 何食べてたらそんな発想が湧いてくるんですか? 

 

 僕と同じ様なもの食べてなかったっけ? 

 

「入試でも、過去問解いただろ? それと同じだ」

 

「いや違うだろ。定期テストで過去問なんて解かないだろ」

 

 櫛田さんに渡してある様で、タイミングを見計らってクラスに回してもらうらしい。三日四日前くらいかな? 

 

 過去問を買うためにかかった費用は、四人で割り勘した。僕たちの分は綾小路に渡しておいた。

 綾小路的は「割り勘……」と震えていた。

 多分感激してたんだと思う。

 僕にはお前の青春判定がよくわからないよ。

 

 けどありがとう綾小路。助かったよマジで。

 

 これを伝えたら、心なしか綾小路がドヤ顔してた様に見えた。

 だからあざといって。コイツ本当にかわいいなぁ。

 

 

 今日の放課後は、櫛田さんと一緒に一之瀬さんにお礼を言いに行く。試験範囲変更のごたごたも一応落ち着いたからね。

 一之瀬さんとは顔を繋いでおいた方がいいと、櫛田さんと綾小路が言うので僕もついて行くのだ。

 この二人が言うなら間違い無いんだろう。

 櫛田さんはコミュ力お化け。綾小路は華族教育でそう言うのも勉強してただろうしね。

 それにしてはコミュ力低い気がするけど。

 社交界とかあるんじゃ無いの? 知らんけど。

 

「面識がない僕ですら知ってる有名人の一之瀬さんと話すの緊張するなぁ」

 

「藍葉くん。デレデレしちゃだめだよ。女の子はそういう視線ってわかるんだからね?」

 

「勉強会でよくわかったよ」

 

 アレは本当に大変そうだ。

 

「え、本当にBクラスに僕も入るの? 急に囲まれてリンチにされたりしない?」

 

「どんなことを想像してるの??? そんなわけないじゃん。一之瀬さんは()()()()()やってるんだよ。だからだいじょぶだって」

 

 学級委員長…………まさかすでに地雷があったとは思ってもいなかったぜ。

 ガラも悪くないらしいし大丈夫そうだな。

 本人が善良な人間でもその周りの人間もそうだとは限らないのだ。

 そういうの僕詳しいんだ。

 

「こんにちは〜。一之瀬さんはいるかな? お礼を言いにきたんだ」

 

 櫛田さんは扉を開けて、すぐ近くにいた生徒に話しかけている。

 僕は後ろで黙ってる。

 男は女の三歩後ろを歩ってればいいんだよ! 

 

「帆波ちゃーん! 櫛田さんが呼んでるよ」

 

「ん? あっ櫛田さん! どうかしたの?」

 

 櫛田さんが話しかけた生徒が一ノ瀬さんを呼ぶと、奥の方にいた生徒がこちらへ向かって来た。

 

「あの人やっぱりオーラがすごいな。光属性すぎる。僕は善の光で焼かれそう」

 

「あはは、素があれだからね。すごいよ」

 

「養殖とは違うってことだね」

 

「後で覚えておいてね」

 

 ヒェッ! 

 

「こんにちは櫛田さん。えっと男の子の方は?」

 

「あ、紹介するね。こっちは藍葉葵くん」

 

 あの、名前まで言わなくていいんですが。

 

「藍葉葵です。よろしくお願いします」

 

「私は一之瀬帆波。よろしくね、藍葉くん!」

 

 お、オーラがオーラが半端ない。めちゃくちゃいい人そう。

 マジで天然物だろこれ。

 ナチュラルボーン善人だ。

 たまげた。おったまげた。

 絶対この学校に来るべき人じゃないだろ。ここは人間性が腐ってないと、どっかで辛くなって歪んじゃうよ。普通の学校に行って普通に成長して行くべきだよ。こんなところにいちゃダメだよ。

 

「今日はお礼に来たんだ。前はテスト範囲が変わったことを教えてくれてありがとう。ほんとに助かったよ。あのまま気が付かなかったら退学する子が出てたかもしれない」

 

「にゃはは、いいのいいの。私も退学する人がいなければいいと思ってるからね! 困った時はお互い様だよ!」

 

 聖女かな? 

 すでに僕は『宗教法人帆波教』に入信してもいい気がして来た。めちゃくちゃいい人じゃん。聖人じゃん。人間性良すぎじゃん。

 

 ちょっと話すだけでなんとなくわかった気がする。

 やっぱり養殖じゃ天然の光は出せないって。

 ごめんね桔梗ちゃん。君が劣っているとかそういう事を言いたいんじゃないんだ。

 ベクトルが違うんだよ。

 

 一之瀬さんは崇められて奉られて、あの人の為にって人から囲まれる様な人。多分身動きが取れなくなる。誰か止められる人がいないと、彼女の考えに同調するだけの集団になりそうだ。

 櫛田さんはあの人になら頼ってもいいとか、やってくれるだろうって感じの、言い方は悪いが便利な人。

 そんな感じがする。

 

()()()も、お礼言って」

 

「タイミングを伺ってただけだから。急かさなくて大丈夫だから」

 

「仲良いんだね。櫛田さんがこんなに男の子と仲良くしてるのは、ちょっと意外かも」

 

「そうかな? 私は誰にでもこんな感じだけどなぁ」

 

 ほら言えよみたいな目で見ないで。言われなくても僕言えるから。保護者面しないでもらって。

 

「櫛田さんに言われたから言う訳じゃないですからね? …………テスト範囲が変わったことを教えてくれてありがとう。気づかないままなら、間違いなく僕たちのクラスから退学者が出てた。本当にありがとう」

 

「にゃはは、さっきも言ったけど気にしないで。クラスが違うからライバルではあるけど、同じ学年の仲間でしょ?」

 

「そう言ってもらえると助かるよ。一之瀬さんに何かあったら僕も力になるよ。……そんなに助けになるかはわからないけどね」

 

「私も手伝うから、何かあったら言ってね?」

 

「ありがとね二人とも!」

 

 めちゃくちゃいい人だった。

 連絡先も交換してもらったわ。彼女で四人目だ。

 このペースなら三年間で七十二人と交換できそう。

 

 僕が連絡先を持ってる人、美男美女多くない? (四人)

 しかも二人はクラスのアイドルでしょ? すごいな僕(確信)

 

 …………よく考えたら多分みんな彼女らの連絡先持ってるわ。

 なんもすごくなかった。悲しい。

 

 今日は僕と櫛田さんは勉強会に参加しなくていいよと言われたので、このまま櫛田さんと寮へ戻る。

 

「そういえばなんで僕の事をさっき『葵』って呼んだの? それまでは『藍葉』呼びだったじゃん」

 

「別に…………なんて呼んでもいいでしょ?」

 

 まあ確かに気にする事じゃないか。

 中学までに戻っただけだし。

 

 

 

 ────────────────────────────────

 

 

 

 テストが終わった。

 簡単だった。過去問あったし当然だよね。

 とはいえ、赤点を取るかもしれない人はいるので僕たちは点数をかなり抑える様に問題を解いた。

 僕と綾小路、櫛田さんは50点くらい。堀北さんは70点くらいに抑えてある。

 多少は平均点を下げることに貢献できたのではないだろうか? これなら赤点取る人とかいないよな(フラグ)。

 テストも終わったことだし今日はみんなで遊ぼう!! 

 

 その日の夜は綾小路の部屋に四人で集まってゲームした。

 みんなで堀北さんをボコボコにして遊んだ。多分誰にも勝ててなかった。

 綾小路に堀北さんとチェス、将棋etcをやった感想を聞いたら「なんというか、藍葉と櫛田よりも……弱いな」とか言ってた。

 

 それを聞いた堀北さんはちょっと半泣きになってた気がするけど、多分気のせいだと思います。

 

 一回勉強会を壊したんだ。これくらいは甘んじて受け入れろや! 

 

 だから櫛田さんは恍惚とした表情を抑えて。

 Sっ気抑えられてないよ。

 

 夕飯は綾小路が作ってくれた。料理を始めたらしい。楽しそうでなによりだ。

 炒飯とかをフライパンを振って混ぜるのが楽しいらしい。

 わざわざ披露してくれてコツも教えてくれた。

 とても微笑ましかった。

 

 

 

 

 そんなこんなで特筆するべき点もなく、テスト返しの日になった訳だ。

 みんな自信満々だが、果たしてどうなんだろうか。

 

 はぁぁぁ?! 須藤健くん? 何してんの? ボーダー切るとかおかしいだろ??? 僕たち四人だけだけど点数下げたんだけど! 

 茶柱先生は言うだけ言うと出て行った。教室の空気は死んでる。

 須藤も死んでる。堀北さんが励ましてはいるけど……。

 でも頑張ってたからなぁ。見捨てるのはなぁ。

 

「藍葉どうするんだ」

 

 

「一点でしょ? …………点数買えるかな?」

 

 でもこれ賄賂と同じだよね。流石に学校もこれは受け入れてくれないんじゃないかな? 

 

「やってみる価値はあるだろう……須藤も最後の方は頑張っていたしな」

 

「OK。じゃあ先生追いかけようか」

 

 死んでいる空気の中、僕と綾小路は立ち上がり教室を出る。

 

「ごめんね須藤くん。ちょっとテスト借りるね」

 

 クラスから非難の目が集まるが、退学が覆るならそんな事忘れられるだろ。

 櫛田さんには連絡しておこう。

 

『点数買えるか聞いてみる。ポイント足りなかったらまた連絡する』

 

 

 茶柱先生を追いかけながら綾小路と話す。

 

「正直買えると思う?」

 

「……()()()()()()()()()()()()()()。この言葉が本当なら買えると思う」

 

「でも点数をポイントで買うってどうなの? 教師がそれを受け取って点数改竄したらそれ汚職じゃないのかな?」

 

「まあ、聞いてみるだけなら無料(タダ)だからな」

 

 

「先生。退学取り消しっていくらでできるんですか?」

 

「2000万ポイントだ。諦めろ。須藤の退学は変わらない」

 

「じゃあオレが一点だけ点数を買います。いくらですか」

 

「十万ポイントだ。払えるのか?」

 

 ……僕と綾小路のも合わせれば払えるな。

 退学を阻止できると考えれば安いが、高い。安くしろ。

 綾小路がこちらを見てくる。いいよ払って。

 

「オレと藍葉で払います」

 

「わかった。ならポイントを送れ」

 

 端末を出しながら考える。もう少し安くしたい。

 何かいい案はないだろうか? ポイント払えばなんでもできるみたいだし、一つくらい浮かばせろ。

 

「………………僕の点数を譲るとしたら、いくらになりますか?」

 

「……そうだな」

 

 綾小路がなるほどとこちらを見てくるが、お前の普段の発想の方がすごいから。

 でもちょっとドヤらせて。かなり仕事したよねこれ? 間違いなく。

 先生が考えてるってことは勝ちだわ。

 でも先生今考えないで。あらかじめ決めておいて。

 

 

「五万ポイントだ」

 

「もう一声欲しいですね」

 

「なら須藤を退学にするんだな」

 

「五万払いますので許してください」

 

 うん。欲はかくもんじゃないね。何事もほどほどが一番だよ。

 だから綾小路も僕を呆れた顔で見ないで。

 さっきの発想が無駄になるところだった。

 

「欲張ると失敗するぞ」

 

「わかったよ……」

 

「これで須藤の退学は取り消しになった。よかったな」

 

 茶柱先生はいつもの皮肉気な笑みではなく、短い間だったが純粋な笑みを浮かべていた。

 先生はそれだけ言うと立ち去って行くが、僕はそれを呼び止めた。

 

 これだけは言わせてくれないだろうか? 

 

 

「これって賄賂とか汚職とかにならないんですか?」

 

 

 

「…………」

 

 先生は一瞬立ち止まると、すぐに歩き出した。

 どうやら答えないのが正解な問い掛けだったらしい。

 

「なあ、綾小路」

 

「……どうした?」

 

「この学校って、こんな事をみんな普通にやってるのかな?」

 

「…………いやそんな事はないんじゃないか。多分。おそらく」

 

「賄賂と汚職に塗れた学校って…………どうなんだろうね?」

 

「教育機関としては…………褒められたものでは無いとオレも思う」

 

「「………………」」

 

「「よし。考えない様にしよう」」

 

 教師がお金を受け取って点数改竄する様な学校だ! 深く考えたらダメだろう! 

 大人になってこんな事してたら捕まるよ。

 それともバレない様になる方法を考えろって事? 

 ここは東京高度()()()育成学校だった? 

 

「須藤くんの退学も取り消した! 何も問題ないな! さあ教室に戻ろう!」

 

「そうするか」

 

「先に櫛田さんに連絡しておくよ。これなら教室に戻った時大盛り上がりしてること間違いなしだよ」

 

 

『須藤くんの点数は採点ミスだってさ。AIも採点ミスはするんだよ。つまりね、彼は退学しないですむってさ』

 

『ほんと?! わかったみんなに伝えておくね!』

 

 

 

 

 

 綾小路と教室に戻った時には予想通り大盛り上がりしてた。

 よかったな。お前が最後まで真面目にやってたから助けてもらえたんだぞ。僕たちに感謝してくれ。

 

 

 その日はクラスのみんなで打ち上げをした。

 綾小路と僕は堀北さんを加えて隅っこで話していただけだが、雰囲気だけで十分楽しかった。

 

 須藤くんの点数をどうしたのか聞かれて答えたり、賄賂が横行する学校やばいよねと話したりした。

 

 退学者が出なくて本当に良かった。

 櫛田さんの頑張りが報われたね。

 僕は何よりもそれが嬉しいよ。




藍葉葵くん。
四万字目くらいにしてようやく名前が出る。
本人曰く、「あおあお」してるが気になるそう。黙れ。名前の文句は受け付けてない。キラキラネームじゃないことに感謝しろ。
変な扉の向こう側へ行ってしまった。

櫛田さん。
葵くんが躾けられて満足気。
堕ちたな(確信)ってなってる。三馬鹿によって貯められたストレスで結果的に藍葉くんをやれたので、この一件はむしろプラスかもしれない。

綾小路くん。
この世の春。人生最高。もっと遊びたい。
櫛田さんと藍葉くんの能力が高くて結構本気で色々した。
そのせいで堀北さんは死んだ。哀れ。
「親友と、クラスのアイドルと遊ぶ。絵に描いたような青春だ。この学校に来て本当に良かった。」
「櫛田が最近藍葉のことを名前で呼んでいるのが気になる。………オレも名前で呼んでもいいだろうか?」

堀北さん
今回の被害者。行いは自らに巡り巡って還ってくるのだ。気をつけろ。
ゲームではトランプも含めてボコボコ。神経衰弱をやったらたまたま取れたの以外は全部他の人に取られた。
多分半泣きじゃ済んでなさそう。
画面外で兄ちゃんに躾け()られる。綾小路が助ける。原作と同じ。

どうでもいい事ですが、ミセスの『ブルーアンビエンス』を聴きながら書いてました。ぜひ聞いてみて歌詞を読んでみてください。

今回の話はどうでしたか?
良ければ評価・感想をお願いします!!!

読みたい間話

  • 一之瀬さんニセコイ作戦(時期ずれ)
  • 綾小路くんTS(夢オチ)
  • もし高育に櫛藍が来てなかったら
  • 櫛田さんと藍葉くんの過ごし方(中学時代)
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