クラス爆散女と行く実力至上主義の学校 作:櫛田ちゃんかわいいよ
めちゃくちゃ嬉しいし、助かってます!
ここ好きなる物を知って、みんなさんが好きな所をちょっとみたら、綾小路くんが人気でした。やっぱりみんな
友人に、2年になると櫛田ちゃんの中学時代を知ってる男女が現れるってマジですか?というか、二年生になった櫛田ちゃんは一年生からいじめられるってマジ?
それに加えて副会長強姦疑惑あるってマジですか?
やっぱりやべー学校だな。
あと、今回は短いです……ごめんしゃい
中間テストを無事に乗り越えた僕たちは、ポイント不足に悩まされていた。
いや、不足しているわけではないんだけど、不足しているのだ。
他のクラスは五桁もらってるのに我々は一桁ももらえてないのである。
クラスのために身銭を切って、須藤くんのためにも身銭を切ったのだ。ここまで切るともはや切り刻まれてる。ポイントが減るわ減るわで大変だった。
どうにかしてポイントを増やす方法がないかと話していた僕たちは、『ボードゲーム部』なるものがある事を知った。
間違いなく「いい鴨が見つかった」と僕たち三人の心が一つになった。
最初はポイントに苦しむふり(実際苦しんでなくはない)をして突入。三人とも適当にやって勝ったり負けたりする。どちらかと言えば負け多め。するとなんと言うことでしょう。相手から大金をかけたゲームを誘われたじゃないですか!
…………まあその後のことは何か言う必要はないだろう。巻き上げるだけ巻き上げたことで、我々の懐がかなり潤った。
と言っても、先輩方も引き際を弁えているようで全部巻き上げるなんてことはできなかった。既に先月しばかれたらしい。二月連続は可哀想。
でももう月末だよ? 財布の紐緩めよう? 君たちは来月に五桁入るんだよね? 僕たちは多分入っても四桁しか入らないの。
今日勝ったことで今は十三万ポイントある。
そこそこ稼げたぜ。
…………こんな大金持ってるけど、二月前までは僕たち中学生だったんだよ?
金銭感覚くるっちゃーう!
多分この学校を卒業したせいで金銭感覚がおかしくなってる人はいる。だって月十万円ってアルバイトで稼ぐにも扶養から外れるんだぜ? 詳しいことはアルバイトした事がないから知らないけど、たとえ五万円だとしても普通に(普通のとは言ってない)学校生活を送るだけで毎月もらえるのはやばい。
まあ、生活費も含まれていると考えたら妥当なんだろうか?
わかりません。所詮中坊だった時から二月しか経ってないので。
部屋から出ると、銀髪の杖をついた女の子とすれ違った。
驚きのあまり僕はガン見してしまった。櫛田さんに止められたのでやめたが。
……仕方なくない? 銀髪だよ? 地元にいた? いなかったじゃん? なんやかんやいって髪の毛はなぜか染めてなかったじゃん?
でもあの子銀髪だよ? よりにもよってこの学校でさ。どう考えても校則に引っかかるだろう。髪の毛は染めるなって教わらなかったっけ?
黒にしていないということは、注意されてもやめなかったんだろう。
すげーな。
ウチのクラスで染めているのは須藤と高円寺に隣の席の子もだ。……結構いるな。
あれ? 彼ら注意されてたことあった? …………なかったか。この学校は染髪は自由だったのか。
そんなことよりも、銀髪ちゃんもなんかこっち見てたけどどうしたんだろうか? なんか見つけたのか?
「綾小路の知り合い?」
「さっきの子か? いや知らないな」
「彼女は坂柳有栖ちゃんって子でAクラスなの。確か葛城くんとAクラスの派閥争いをしてるって聞いたかな」
「派閥争い……え? 僕たちちょっと前まで中学生じゃなかったっけ? 今の高校生って、派閥争いをするのが流行ってるの? これが普通だったっけ?」
「そんなことはないと思うが……」
怖い。怖すぎるよこの学校。
これならまだ不倫とか妊娠とか盗撮とかの中学の方がマシだよ。
僕も女の先生に襲われた事あるし。
理性のない獣みたいなお前は豚箱の中入ってろカスが死ね。
それもあって星之宮先生の事が苦手なんだよなぁ。
あーやなこと思い出した! 普通に中学生、というかウチの中学もこことタメ張れるくらいにやばいわ。
逆説的にあそこ出身の僕と櫛田さんと堀北さんはやばいということになる。なるほど間違ってないな。
「葵くん、綾小路くん。今日の夕飯はどうする?」
「外食がいい! ポイント節約のためにここ二月は自炊しかしてないんだよ…………」
「葵がそういうならオレもそうする。オレはそもそもファミレスとか行ったことないしな」
「行ったことないんだ……そっか。じゃあ今日はスーパーで無料の物を取ったら、六時半くらいに葵くんの部屋に集合ね」
スーパーで肉と野菜を無事手に入れて、部屋に戻ってきた。
「よし、じゃあ浴衣に着替えて」
「やめてね、洋服にして。それか制服のままにして」
あっはい。
最近和服で外に出られてないよ……。ずっと部屋着になってる。
まあいいけど。
ちょっと前に櫛田さんに買いに行けと言われて、買ってきたシャツとデニムを取り出して着替える。
僕におしゃれしようという気概はないのだ。
僕イケメンだし、こんなのでも十分映える。……と思いたい。
おかしくなけりゃあいいんだよ!
白シャツとデニムが似合ってて格好いい人はイケメンだってお母さんが言ってたから! 僕も鏡で見てそこそこ似合ってたからセーフだよ!
全く、浴衣とか和服なら組み合わせも考えずに着れるのに。なんでか櫛田さんと綾小路に止められるし。
目立ちたくないとか言って、君たちは普通におしゃれな美男美女なんだから目立つだろ。そしたら和服がいても誤差だよ。誤差。
でも止められてるのでやめておく。
お、チャイムが鳴った。綾小路かな?
あっ鍵が開く音がした。さては二人とももういるな?
「葵くんが変なの着てないか見にきたよ」
「変な物を着た覚えはない。僕は好きで和服を着てたんだ。アイデンティティだったの!」
「和服を着てなくても葵は葵だ。気にするな」
違う。そういうことじゃないんだ綾小路くん。
コミュ力が低いと言われる所以はそういうところだぞ綾小路くん。
「思ったより普通だね。ザ・普通って感じのコーデ」
「それ褒めてるの?」
「普通なのに似合ってるから褒めてたの」
わかりにくいぞそれ。
普通に、似合ってると言ってくれ。「似合ってる」と言ってくれ。
「それで、今日はどこに食べにいくんだ? オレは店わからないぞ」
「マジか。華族ってチェーン店とか使わないの?」
「オレの場合は多分特殊だ。他所の家は使ってるんじゃないか? 正直他の家のことはよくわからない」
そんなもんか。交流がなかったのかな? 上流階級のことはよくわからない。箱入りっぽいし相当大事に育てられたんだろう。
「うーん私も葵くんも、外で食べることはほとんどなかったからなぁ。どこが美味しいとかよく知らないや」
…………。
「まさかどこ行くか決まらないなんてことある?」
「オレは知らないし」
「私も外で食べるよりも家で食べたいし」
「そもそも外食って言い出したのは葵じゃないか」
「ま、まあそうだね」
「葵くんが外で食べたいって言い出したんだから、好きに決めていいよ」
うちでいい気がしてきた。
スーパーでちょっといいお肉を買ってステーキとかでいい気がしてきた。
でも、外食もしたいしなぁ。なんか響きがいいよね。二月ぶりの外食です! って。贅沢してる感じ。
「ほら、櫛田さんは友達と食べに行ったりしてたじゃん。なんかいいお店なかったの?」
「葵くんが作る料理の方が美味しかったかな」
「えっ? あ、そ、そっか。ありがとう」
「おおー。これがカウンターってやつか」
ちょっと嬉しい。僕も櫛田さんが作ってくれる料理好きだよ!
あと綾小路はそういうこと覚えなくていいから。わざわざ解説しなくていいから。なんか恥ずかしいからちょっとやめて。
「誰も行きたいところがはっきりしてないなら、部屋で料理すれば良くないか?」
「うん。それでいい気がするな。葵くんはどう?」
「外食はいいかな。なんとなく贅沢な気がするから言っただけだし。スーパーでいい肉買ってステーキとか、ちょっとお高いケーキを買うとかでもいいしね」
「じゃあ今日はオレが作ろう。櫛田と葵はスーパーに買い出しを頼む。オレは部屋に戻って準備をしておこう」
ソースからしっかり作ってくれるらしい。気合い入ってるなあ。
ガッツリ料理にハマってるみたいだ。
「わかったよ。じゃあ葵くん、行こっか」
「はーい。料理は任せたよ綾小路」
僕の部屋を出て綾小路は自分の部屋に戻り、僕と櫛田さんはスーパーに向かう。
綾小路じゃないけど、なんかこれ青春っぽい。ぽくない?
「今更感あるけど、僕と二人で買い物とかしてて大丈夫なの?」
「なんで?」
「だって、男と二人で遊びに行かないってイメージがあるじゃん。それに、普段教室で話してないし」
「あーうん。確かにそうかもしれないけど、たまたまスーパーに行く途中であってせっかくだから一緒に来た。とか、言い訳はなんでもできるから気にしなくて平気だよ」
「そういうもんなの?」
「そういうもんだよ」
じゃあいっか。
でも僕は櫛田さんと仲良くしてたから刺されかけた事があるんだ。
一緒に買い物に行けるのはいいんだけど、それが怖いです(真顔)。
あれから鍛えるようになったんだよなぁ……。マジで怖かった。やっぱり地元は魔境だった。この学校でも刃物持ち出すことは流石にないと思いたい。
そう考えると、十分安全が確保されている(?)敷地内だとは思うが、店員とか生徒とかに変なストーカーとかいる可能性は捨てきれない。ありえない事があり得るのがこの学校だ。この学校の敷地に交番とかないから万が一があった時にどうにもならなそう。
警察入れるのかな? 後ろめたい事がこの学校にあり過ぎて入れなそう。
ま、そんな事にならないようなシステムくらいできてるはずか。定期的に面接があるとか。不審な行為をしてないかどうかとか。流石にチェックしてないなんて事はないだろう。
ストーカー騒ぎとか起きるわけないよな(フラグ)。
特に知り合いの誰かと会う事なくスーパーについた。
僕の知り合いなんて片手で数えられる程度の数しかいないので、なんの安心要素にもならないけどね。
そんなことはどうでもいいか。
「ケーキ食べたいなあ。櫛田さんは何にする?」
「私はショートケーキにしよっかな」
「そっかー。じゃあ僕は違うのにしようかな……チーズケーキにしよっと。あ、綾小路の食べたいやつ聞くの忘れてた」
なんでも美味しく食べそうだけどな。
櫛田さんに断りを入れて連絡を入れておく。
『何ケーキが食べたい? あと何か買ってきて欲しい物あったりする?』
『いちごタルト あとバニラアイス』
なるほど。承知した。
「綾小路はいちごタルトとバニラアイスが食べたいらしいよ」
「いちごタルト……なんか綾小路くんかわいいね」
「あの見た目からいちごタルトとか言ってるのを想像すると、ちょっとかわいいのはわかる」
綾小路が謎に可愛いのは櫛田さんも同じだったらしい。
多分いちごタルトを前にした綾小路は目をキラキラさせてるよ。周りに星が飛んでると思う。
話してみると面白いのに、なんで綾小路に友達ができないんだろうか?
僕も友達が少ないだろうって? 四人くらいいるから大丈夫。
櫛田さんに綾小路。一之瀬さんに堀北さん。顔面偏差値つよつよである。大丈夫? 僕霞んで見えない?
勉強会の四人とは連絡先すら交換してない。沖谷くんはしてくれても良かったと思うけどなぁ……。
自分から積極的にいかないのは僕の悪いところだ。
…………仲良くなりたいと思えれば割とグイグイいけるんだけどなぁ。綾小路にしたみたいに。
「六千円もしたよ……お肉。ケーキもホールで色々入ってるやつ買っちゃったし」
「高級なお肉だ。ケーキはちょっと多かったかもね? 明日に持ち越さなきゃいけなそう」
僕は若干ビビりながら言うが櫛田さん的にはそうでもないらしい。
綾小路が調理に失敗したらその分払ってもらう予定のようだ。確かに料理を初めて二週間くらいの綾小路に任せる値段の肉ではない気がする。
けど、異様なスピードで上手くなってるから大丈夫だと思う。
あいつ学習スピードというか、コツを掴むのがめちゃくちゃ早い。羨ましい限りだ。
「あれ? 櫛田さんに藍葉くんだ。やっほー!」
寮へ戻る途中でまさかの遭遇をしてしまった。
この学校唯一の良心(友達四人の僕調べ)である一之瀬さんだ。
「こんにちは一之瀬さん」
「こんにちは櫛田さん…………二人で買い物かにゃ?」
にゃ? だって。にゃ。
これ一之瀬さんだから許されてる感あるよね。普通の高校生にはそれきついよ。
なのになんで一之瀬さんのはキツくないんですか?
僕は、星之宮先生がやってたら思わず手が出てしまう可能性があるぞ。三十路の女教師に「にゃはは、藍葉くんは可愛いにゃあ」とか言われたらセクハラで訴えるわ。あいつの普段の馴れ馴れしい態度はマジで許せない。身体に触るな。近寄るな。動き回るな。これ僕との約束ね。果たされないと思うけど。
そんなくだらないことを考えているうちに、二人は寮の方へ歩き出していた。
「葵くん? ほら行くよ」
「あ、わかった。ちょっと待って」
「藍葉くんってもしかしてマイペース?」
「そうだね。私から見てもそう思うな」
僕はマイペースじゃないだろ。マイペースなのは綾小路の方だ。
「で、これから綾小路くんとちょっとしたパーティーするんだ」
「へー。いいなぁ私もそういうのやってみたいけど、クラスの友達に止められちゃったんだよね」
宗教法人作らない?
教祖 一之瀬帆波
で経営を綾小路に任せる。櫛田さんは営業で、僕はサクラ。完璧な布陣だ。多分結構稼げるぞ。
「そうなんだ、一之瀬さんも大変なんだね」
「それでみんなが仲良くできるなら私はいいんだけどね」
この人素でこういう事を言えるの本当にすごいよね。
本当になんでこんなところに来てるんだろうか?
櫛田さんの表情が笑顔のまま固まってる。
さては善人オーラに当てられたな。僕たちみたいな薄汚れて澱んだ人間にはつらいぜ。素直に尊敬できる。
「……なら今度私たちと遊びに行かない?」
「うーん私も遊びたいんだけどね」
「偶々ショッピングモールで会って流れで遊んだくらいなら、クラスの人も許してくれるんじゃないかな?」
偶々だからね。それなら仕方ないよね?
というか友達に止められるってどんだけ好かれてるの?
「葵くん、急に話し出してどうしたの? 一之瀬さんが可愛いから緊張して話せないのかと思ってたよ」
「失礼な。確かに一之瀬さんは可愛いけど、それで話せなくなるほど美人に弱くないよ」
何年櫛田さんといると思ってるんだ。
耐性くらいつくに決まってるだろう。
そもそも美人と話せないと思われてるの? 誰とでも普通に喋れるよ僕。
なんでか知らないけどあんまり友達できないけど。
「友達できない」って櫛田さんに言ったら「名前覚えてないんだからできる訳ないでしょ」と返された。
うーん確かに。友達できないのは残当だったかぁ。
それじゃあ、席が隣の佐倉さん(名前覚えた)に毎日おはよう言ってるのに怯えられているのはいったいどういう事?
そ、そんなに性根腐ってる様に見えるのかなぁ……?
「にゃは、直接言われると照れるなぁ」
一之瀬さんは容姿を褒められたことに照れている様だ。
こんな言葉言われ慣れているだろうに。
さては一之瀬さん。男子の初恋キラーだったな?
そういうあざとさと天然具合で、数多の男子生徒を落としてきたんだろ! すごい(勝手な妄想)!
間違いない。
…………やっぱり間違いかも。
善性に網膜焼かれた人間大量発生させてるな。こっちの方が納得できるわ。いや、どっちでもあんまり変わらない気がするけどね。
「ごめんね一之瀬さん! そろそろ行かなきゃ。またね。…………葵くん行くよ」
「わかった。一之瀬さん、今度は一緒に遊びに行こうね? バイバイ」
「うん! じゃあね!」
「なんで一之瀬さんと出かけようとしてるの?」
「ん? 友達だし。せっかくなら遊びたいと思ったんだよ。遊びたいのに行きづらいって可哀想じゃない? いつ行くとか決めてないし、そもそも行ってくれるかどうかもわからないしね」
「…………その時は私も行くから」
「はーい。………………別に、そこまで心配する必要もないんだけどなぁ」
僕の中で最も優先するべき人は、変わらず君だから。
「いらっしゃい。後は焼くだけだ」
「了解。じゃあ渡しちゃっていいよね? ……はい」
綾小路は僕から肉を受け取ると早速焼きにかかって行った。やはり気合いが違う。
ケーキは冷蔵庫に入れておいていいそうなので、一言断ってから冷蔵庫を開けて入れる。
綾小路はキッチンに立っているが、櫛田さんはリビングの安楽椅子でくつろいでいる。
元はほとんど物がないこの部屋であったが、僕たちが度々遊びにくるので今櫛田さんが座っている安楽椅子を筆頭に物が増えた。
物が少ないのが好きなのかと思っていたがそうではないらしく、ただ何を並べればいいかわからなかったらしい。物が増えた事は本人的に嬉しいらしく今の内装で満足しているとのこと。
本人が納得してるならいいんだ。
もちろん僕は座布団を敷いて床に座る。
「ところで、堀北さん呼ばなくて良かったの? なんだかんだ言って頑張ってたじゃん」
「オレは呼んだんだがな……」
「断られちゃったの」
断られたんだ。
「それはまたなんで?」
「堀北曰く『一度迷惑をかけているもの。私が参加するのは申し訳ないわ』だと」
「結果オーライだったんだし気にしなくてもいいのにね」
それを言ったら僕は何もしていない。綾小路や沖谷くんと話しながら勉強していただけである。ギリギリの方々は御二方に任せっきり。肝心な時にいない。
堀北さんのせいで一瞬危ぶまれた勉強会も、アレを機にいい方向へと転がった。
…………あれ? これ僕の力必要だったか? いてもいなくても変わらなかった説あるな。
「今度は堀北さんも来てくれるといいね」
櫛田さんがまとめる。
櫛田さんの言葉からは敵愾心とでも言うべきものが、あまり感じない。
何か心境の変化でもあったんだろうか。
「そうだな。オレの料理の上達具合も見せたい」
「綾小路は本当にうまくなったからなぁ。すごいハマってるみたいだし」
「もう私達よりもうまくなったんじゃないかな?」
「そこまでじゃない。オレでも二週間やそこらで櫛田達ほど上手くなる自信はないぞ」
僕らの料理の腕をかなり買ってくれている様で嬉しい。
食べてくれる人がいて、それを喜んでくれるのは何よりのモチベーションになるからね。
ソースは僕。多分間違いないと思います。
綾小路は出来上がった料理を並べて、僕たちは席に座る。
「中間テストを無事退学者ゼロで越えられたことを祝して」
三人でコップを持ち当てる素振りをする。
グラスとかの方がかっこいいけど、こんなのは雰囲気でいいんだよ雰囲気で。
「───乾杯!」
綾小路の音頭で夕飯を食べ始める。
「おお、これがお高いお肉…………すごい。めちゃくちゃ美味しい」
「焼き加減もとってもいいし、肉汁がすごいね!」
「我ながらいい焼け具合だ。……何より肉がうまい」
櫛田さんと綾小路がすごくいい顔しながら食べてる。間違いなく僕も同じ様な顔しながら食べてるよ。美味しい肉って、本当に美味しいんだ……!
今度はいいお肉ですき焼きとかしたいなぁ。絶対美味しい。夏休みとかにやりたいなぁ。
「ソースも肉にあってるし、綾小路はもう僕らの腕越えてるんじゃない?」
「そこまで言われると照れるな」
「でも、ほんとにおいしいね。高いお肉ってこんなに美味しいんだ……六千円でこれなら、あそこにあった一万二千円のはどんな味なの……?」
確かに。高いからやめとこうって話してたアレはどんな味が……。
誕生日だな。誕生日にかこつけて食べてみよう。お祝い事だしね!
「ちなみに綾小路の誕生日はいつなの?」
「オレか? オレは十月二十日だ……それがどうかしたのか?」
「その日は12000円の肉を食べよう!」
「?! …………つまり誕生日パーティーってやつか?!」
「そう!」
「いいのか? オレ期待しておくぞ?」
「任せておいてよ。盛大にやろうじゃないか! ね、櫛田さん!」
「ん? そうだね。私に任せておいてね! 葵くんはこういう時頼りにならないから」
僕にも料理とか飾り付けとかできるから。芸術系得意だから。
「そうか…………楽しみにしてる」
「いやー美味しかったね」
「偶にはちょっとした贅沢もいいね」
「どういたしまして。じゃあもうケーキ出してもいいか?」
綾小路の言葉に頷いて、大人しく待っておく。
ステーキにケーキ。贅沢だ。僕たち五月末なのに、クリスマスみたいなもの食べてるな。
「…………多くないか?」
「少ないよりも多い方がいいんだよ。今日の僕らはお大尽様だから」
「うん。せっかくだから堀北さんにもあげる分も買ってきたんだ」
おー。さすが桔梗ちゃん優しい。
私たち三人は仲良くご飯食べたけどお前はぼっちで食べてたんでしょ可哀想だから私が恵んであげるよ感謝してね。
的なアレじゃなくて?
「明日も学校休みでしょ? だからお昼くらいに届けてあげようと思ってるの」
本人がやると言ってるならやるんだろう。
僕と綾小路はついて行かなくていいらしい。
……それ僕たち薄情者にならない?
いや、堀北さんを誘おうとしなかった僕が言えたことじゃないけどさ。
あら? これ僕普通に最低じゃないかしら? だから友達できないのでは? もしかしてこういう所を佐倉さんに見抜かれてた……?
でも櫛田さんが嫌がってたの知ってたから、僕が堀北さんを誘うのはなぁ…………。
「わかったよろしく伝えておいてくれ」
「僕からもお願い」
「わかったよ。しっかり渡しておくね。……じゃあ食べよっか」
僕はチーズケーキ。櫛田さんはショーケーキ。綾小路はいちごタルト。をそれぞれさらに載せる。
これも高級とはいかないが、それなりの値段のものだ。美味しいこと間違いなし。そもそもおいしくないケーキとか聞いたことないよ。
「これがいちごタルト……オレ初めて食べた」
「そうなんだ。綾小路くんはかなりの箱入りだったんだね」
「入学して初めてカップ麺を食べたらしいよ」
「……次はこれを作れる様になるぞ」
綾小路は初めていちごタルトを食べた感動で、お菓子作りに目覚めたらしい。
頬を緩ませながら食べている。めちゃくちゃ幸せそう。
僕のチーズケーキも美味しい。
「僕のも一口食べる?」
「いいのか?」
「お、おう。いいよ」
ちょっと食い気味の返答だった。
いいよいいよ食べておくれ。食べ物のシェアは青春だから。
「オレのも食べていいぞ。櫛田も食べていいからな」
「いいの? ありがとう綾小路くん」
櫛田さんはそういうと、自分のショートケーキをフォークで切り綾小路の皿に乗せる。
櫛田さんが食べてから僕の方に回ってくる。
タルトもう少ないじゃん。元からそんなに大きくないのに分けちゃって良かったの? ……いいんだ。ありがたくいただきます。
おっ、いちごタルトとかなかなか食べないけど美味しい。
ケーキを買いに行ってタルトを買うって発想がないから、どんなもんか知らなかったけどめちゃくちゃ美味しいな。甘すぎず酸っぱすぎず。今度僕も買おっと。
綾小路くんは画面外でチーズケーキとショートケーキに感動してます。
なんかトリップしてるわ。美味しそうでなにより。
「櫛田さんもチーズケーキ食べる?」
「ん、せっかくだからもらおうかな?」
「いいよ。……はい、あーん」
「ありがと。…………うん美味しいね」
でしよ? チーズケーキ美味しいんだよ。
「私のもあげるよ。…………あーん」
「ありがとう…………ショートケーキはどこのお店でも間違いないね」
「片付けも終わったし、僕は部屋に戻るよ」
「私も帰るね」
僕と櫛田さんは帰り支度を済ませて綾小路にいった。
綾小路はちょっと残念そうにするも時間を見て納得した様子である。
「楽しかった、ありがとう。またしような」
「こんな贅沢はなかなかできないけど、偶にこういうのするのもいいね」
「次やるなら綾小路くんの誕生日かな?」
いつやるにせよ楽しみである。
その時には三人じゃなくて、もう少し増えてるといいな。
一之瀬さんとか、最近仲良くなりたいと思ってる佐倉さんとか。平田くんも呼びたいなあ。本当に呼べるかどうかはわからないが、夢はでっかく持った方がいいのだ。
まだまだ、先は長そうだけどね……。
ひとまずの目標は佐倉さんに挨拶を笑顔で返してもらうことだ。
「バイバイ綾小路。おやすみ」
「おやすみなさい綾小路くん」
「ああ、またな。おやすみ」
玄関で挨拶を済ませて櫛田さんと外に出る。
うん。美味しかったし楽しかった。
僕と櫛田さんは部屋の階が違うのでエレベーターでお別れだ。
今日は僕の部屋に来ないと言っていた。久しぶりに部屋に来ない気がする。それが普通のことなんだけど、僕らの普通はどちらかの部屋に行くことだったから、変な感じだ。
別に櫛田さんがいなくて寂しくはないが、寂しい。
「おやすみ櫛田さん」
「うん。おやすみなさい葵くん。また明日」
櫛田さんを見送って、僕も部屋に戻る。
楽しかった今日もおしまいだ。
櫛田さんもいないし、今日は長風呂でもしようかな。
「こんにちは堀北さん」
「櫛田さん? どうかしたのかしら」
私が部屋で勉強をしているとチャイムが鳴ったので、出てみると櫛田さんが玄関の前で待っていた。
私と彼女との関係は良好とは言い難い。そんな彼女がなぜ私の部屋に?
「これ、昨日堀北さんは来なかったでしょ? 堀北さんの分も買っておいたんだ。良かったら食べてね」
「これは?」
「ケーキだよ。何が好きなのかわからなかったから、ショートケーキとチーズケーキ、いちごタルトにしておいたよ」
明らかに普通の組み合わせではない。
おそらく、昨日綾小路くんの部屋でやったというパーティーで食べたものだろう。
私への当てつけかしら。
そう思ったが、態度には出さない。それで一度勉強会を台無しにしそうになったのだ。
私もこれくらいのことはできる。
「そう、ありがとう。ありがたく頂いておくわね」
「うん。そうしてもらえると嬉しいな」
要件は終わった様だし私としては帰って欲しいのだけど、櫛田さんにその様子はない。
「それで、何かしら? 用がないなら帰ってちょうだい。と言いたいのだけど、何かありそうね」
「あはは、うん。ちょっとだけね」
そう言うと櫛田さんは、にこりと笑った。
「だから、申し訳ないんだけど、お邪魔してもいいかな?」
「…………ええ。いらっしゃい。何か出せるものもないけれど、それでもいいなら」
「気にしないで。押しかけちゃった私が悪いから」
扉を開けて櫛田さんを迎え入れる。
そう言えば、人を部屋に入れたのは彼女が初めてになるわね。
テーブルに案内して椅子に座っててもらい、お茶の準備をしてから、私も彼女の対面に腰を下ろした。
「それで、話という言うのは何かしら」
「うん。それはね─────────」
彼女は表情をガラリと変えて話し出した。
結論としては、私と櫛田さんは『和解』した。と言う所でしょう。
私が彼女達の事を周りに話さない。櫛田さんはAクラスを目指すために協力する。
私たちの間にあった暗黙の了解をはっきりとさせただけの事だった。
だから今日のことを私から話すことはない。
けれど一つ言わせてもらうのなら、惚気話をやめてくれないかしら?
私だって兄さんと…………。
藍葉くん
隣の席の人と仲良くなりたいな。
櫛田ちゃん
一之瀬さんに靡かないなら堀北に靡くとかないな。
ブラコンは卒業したら?
綾小路くん
ぱーてぃたのしい
堀北さん
櫛田さんに目の敵にされてた理由を知った。
中学時代の事を知ってるからだと思っていた。それもあるが、それよりも大きい理由に正直引いた。
惚気話しないでくれる?
坂柳さん
二話目でしばかれてた。綾小路くんは見つけてびっくり。
次に藍葉くん達とゲームする時は、多分五次元チェスをやらされる。
ちょっとチェスができる程度で勝った気になるなよ。
佐倉さん
櫛田さんと藍葉くんが苦手みたい。
藍葉くん→初めは興味なさそうだったのに急に話しかけてきて怖い。もしかして最近ストーカーしてきてる??
櫛田さん→なぜかちょっと私に怒ってる?気がする。
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