すれ違いムーブ連発の陰の実力者達を止めたくて!   作:星電輝

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第三話 陰の組織の名前はシャドウガーデン

 この前にあった年に一度の一大イベントの盗賊狩りから早1ヶ月。

 あれからずっとあの廃村にあった小屋でシドが悪魔憑きに魔力を流し続けていた。その様子を俺は目で見て自分の中に魔力を流し込むことで、シドが行なっている魔力操作の勉強をしていた。

 なぜ俺もこの悪魔憑きに魔力を流し込まないのかは簡単な話だ。現在、この悪魔憑きにはこの子自身の魔力とシドの魔力が流れ込んでいる。だが、ここに俺の魔力まで混ぜてしまえばシドの魔力と不干渉を起こしてしまい、本来の魔力の流れに導いてあげようと努力していたのが水の泡になってしまう。

 そのため、悪魔憑きの治療もとい、実験はシドがすべて行なっている。そしてついに悪魔憑きの魔力の流れが綺麗に元に戻り、魔力暴走を制御できたのだ。

 

「わぁ、マジか……」

「あんなに腐りかけていた肉塊が元に戻るんだ」

 

 悪魔憑きが治ると同時に魔力の風のような物に包まれ、風が晴れるとそこには金髪美少女のエルフがいたのだ。

 

「おい、シド? この子どうする?」

「う〜ん……あっ! いいこと思いついた」

 

 そう言ってシドは廃屋の壁のそばにあった木箱に腰を掛けた。

 こいつ、またろくでもないこと起こす気じゃないだろうな?

 

「目が覚めたか」

「え? 私の体……嘘……」

「君を蝕む呪いはもう解けた。もはや、君は自由だ」

「あなたが私を? 呪いって……」

 

 本当だよ。呪いってなんの話だ。そんな話一切聞いてないぞ。

 

「ああ、呪いっていうのは……君達、英雄の子孫に掛けられた忌まわしき呪いだ」

 

 はぁ……気づいてしまった。こいつはこの金髪エルフの少女に陰の実力者プレイの一環として作り話を即興で作って話しているのだ。

 話している時に間があったのを俺は聞き逃さなかったぞ。その後も少し早口だったし。

 

「驚くのも無理はない。だが、君も知っているだろう?」

 

 そう言うとシドは座っていた木箱の中から有名なおとぎ話の本を取り出す。

 こいつ、本当は最初からこれをするつもりだったんじゃないだろうな? 準備が良すぎるぞ。

 

「教典にある三人の英雄が魔人ディアボロスを倒し世界を救ったというおとぎ話を。あれは本当にあったことさ」

「えっ!?」

「魔人は死の間際に呪いをかけた……それが君を腐った肉塊に変えた物の正体だ。だが、何者かが歴史を捻じ曲げ、君達を悪魔憑きなどと蔑まれる存在にした」

 

 よくここまでスラスラと作り話が出てくるよ。普通に尊敬に値するレベルだ。

 

「その黒幕の正体は……そうだな、黒幕は……まだ口にすることはできない」

 

 前言撤回、流石のシドでもこれ以上話が思いつかなかったようだ。まあ、ここまで言えばこの少女も素直に故郷に帰るだろう。

 

「知れば君にも危険が……」

「構わないわ!!」

「「えっ」」

 

 シドの遠回しなアピールは金髪エルフの少女が即答することによって、どこかに吹き飛ばされてしまった。

 

「一体何者なの?」

「そうか、ならば教えよう……」

 

 今の今まで陰の実力者プレイを楽しんでいたであろうシド。そんなシドはついに視線で俺に助けを求めてきた。

 えー、そうは言われても俺も思いつかな……あっ……

 そんな時、部屋の隅にある酒瓶のラベルが目に付いた。

 

「ディアボロス……教団……」

「そ、そう! そいつらは魔人ディアボロスの復活を目論む者達だ」

 

 こいつ、人にSOS出しておきながら結局手柄は横取りかよ。こいつのアドリブ力は筋金入りだな。

 シドの話を聞いて、金髪エルフの少女は怒りを隠せない様子。

 

「奴らは決して表舞台に出てこない。我が使命はその野望を陰ながら阻止すること……かな………」

 

 そう言ってシドは青紫の魔力を解き放ち、スライムスーツを身に纏い始めた。

 俺には分かる。これはシドが名乗りでかっこつける場面だ。だが、ここでシドだけがかっこつけるのはなんか解せない。だから、俺も思う存分かっこつけることにしよう。

 俺も白黒の魔力を解き放ち、スライムスーツを身に纏う。

 

「我が名はスタイリ……いや、我が名はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者。」

「俺の名は……そうだな……ステラ………ステラと名乗っておこう。」

「シャドウ……! ステラ……!」

 

 やめろ。へぇー、やるようになったじゃんって視線をこっちに向けるな。別に俺はお前と違って厨二病になったわけじゃない!

 俺に視線を向けていたシド……もといシャドウは改めて金髪エルフの少女の方に顔を向けた。

 

「困難な道のりになるだろう。だが、成し遂げなければならない。英雄の子よ。我と共に歩む覚悟はあるか?」

「病……いえ、呪いに侵されたあの日。私は総てを失いました。醜く腐り落ちるしかなかった私を救ってくれたのはあなたです。だから、あなたがそれを望むなら、私はこの命をかけましょう! そして罪人には死の制裁を!」

 

 あれ? これ完全に忘れてたけど作り話だよな。割とまずいことになってね?

 

「敵はおそらく強大な権力者とかだ。真実を知らずに操られている人達もたくさんいるはず」

「でも、立ち塞がるものに容赦はできない」

「そうそう! そんな感じ!」

 

 適当すぎるよ。こいつにとってはあくまで陰の実力者プレイの一環なんだろうな。

 

「他の英雄の子孫を探し出して保護をする必要があるわね」

「えっ…あぁ。うん」

「組織の拡張と並行して拠点を整備しないと。そのための資金集めも」

「う、うん。ほどほどにね」

 

 ……もしかしなくても俺達は相当優秀な子をこんなお遊びに巻き込んでしまったのだろうか……?

 

「じゃあ、えっと、そうだな。僕達の組織はシャドウガーデン。そして君はアルファと名乗れ」

「分かったわ。シャドウガーデン……そしてアルファ……良い名ね。大切にするわ」

 

 名前がアルファって……こいつ、もし数が増えたらベータとかガンマとかいう名前つけそうだな。まぁ、増えることはないだろうけどさ……

 それよりも最初っからツッコミたかったことをツッコませてもらう。

 

「なあ、いい雰囲気のところ申し訳ないんだけどさ? シド、いつになったらアルファに服を着せてあげるの?」

「あっ……」

「あっ……///」




どっかでシドのキラの過去の日本での絡みが書けたらいいなと思っています。
てことで、今回は悪魔憑きを治療してアルフを救い出しました。ここまでは基本的に原作通りにいくんですよね。とはいっても、原作を忠実に進めてはいくんですけど。
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