すれ違いムーブ連発の陰の実力者達を止めたくて!   作:星電輝

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第四話 姉さんが攫われちゃった

 シャドウガーデンが結成してから3年程、月日が流れた。俺とシド、アルファは13歳になり、そして姉のクレアが15歳になった。

 貴族は15歳になると3年間、王都のミドガル魔剣士学園に通うことになるらしい。クレアはもうすぐ王都に行く。つい先日も、カゲノー男爵家の期待としてクレアの送別会が行われたばかりである。

 そんなクレアが王都出発の日に失踪した。いや、攫われた。

 

「なんたることだ!? 寝込みを襲ったとはいえ、あのクレアを……!! 相当な手練れに違いない!」

 

 このダンディーな顔つきをしている男はオトン・カゲノー。俺とシド、そしてクレアの父親だ。

 この人、いい人ではあるんだけどハゲてるんだよな。俺もあんな風になってしまうのだろうか……考えないようにしよう。

 

「で?」

 

 ある女性の一言で部屋が凍りつく。この人はオカン・カゲノー。お分かりの通り、俺とシド、そしてクレアの母親だ。

 ちなみにこの世界では魔力を使えば女性でも強いため、女性が家を継ぐなんてこともあるそうだ。そのため、この家のカーストはオカン、クレア、シドとキラ、オトンといった感じになっている。

 それはそうとして、一体この世界のネーミングセンスはどうなっているのだろうか? シドとどっこいどっこいだぞ。

 

「だから仕方ないと?」

「え……?」

「そういうこと?」

「あ、いや、そういう訳じゃなくてね。ただ事実を述べたまでで……」

 

 このパターンはあれだ。いつものパターンだ。

 俺はアイコンタクトでシドに部屋に戻ろうと伝え、二人して凍りつくような寒さを放っていた部屋から離れる。

 部屋に戻る最中の廊下で、母親の叫び声と父親の断末魔が聞こえた。

 

* * *

 

「ベータ」

「はい、シャドウ様」

 

 部屋に戻ると小さな可愛らしいメイドがいた。シドが名前を呼ぶとスライムで作った変装を解き、銀髪の綺麗な髪をあらわにする。

 この銀髪でエルフの少女はベータ。シャドウガーデン四人目のメンバーだ。

 シドもほどほどにって言ってたのにアルファがどんどん捨て猫を拾ってくるみたいに連れてくるからどんどん増えていってる。現在のシャドウガーデンのメンバーは九人。まさかこんなにメンバーが増えるとは思ってもいなかった。

 

「アルファは?」

「クレア様の痕跡を探っています」

「行動早いな。姉さんは生きてるのか?」

「おそらく」

「助けられるか?」

「可能ですが、シャドウ様とステラ様のお二人の助力が必要です」

 

 へぇ、俺達の力が必要ってことは割と骨のありそうな奴がいるな。

 そのことにシドも気づいたのか、二人してニヤついた顔を隠せずにいた。

 

「犯人はやはりディアボロス教団の者です。それもおそらく幹部クラス」

「教団はなぜ姉さんを?」

「クレア様に英雄の子の疑いをかけていたのかと」

「「なるほど……」」

 

 最近の盗賊は悪魔憑きでも狙っているのだろうか? 確かにクレアは1年程前に魔力暴走を起こしたことがあるけど。まあ、多分偶然だろう。普通に身代金が目当てだろうし。

 それにしても彼女達からしてみればただの盗賊も教団に早変わりか。本当に凄いと思う。

 昔、アルファがシャドウガーデンに入ってすぐの頃。アルファが見たことない文字で記載されている大量の資料を集めてきて『やはりあなた達の言葉に間違いはなかった……』とか、『千年前ディアボロスの子が……』とか、『この石碑からはディアボロス教団の痕跡が……』とか言ってるのを見たら、いつ真実を教えたら良いのか分からなくなってしまった。

 

「ご覧ください。我らが突き止めた奴らのアジトです。しかし、この中のどこにクレア様がいるかは……まだ……」

「ふっ……」

 

 小さくシドが不敵な笑みを浮かべるとスライムを投げナイフの形に変形させ、ベータが机に広げたここら一帯の地図に向かって投げる。

 

「そこに姉さんはいる」

「は?」

「え……? ですが、ここには何も……っ!?」

 

 シドが投げナイフを当てた場所はアルファ達が付けたであろうアジトのマークのどこにも掠っていなかった。

 

「お、おい。シャドウ? 流石にこんな所には」

「ま、まさか! この暗号はブラフ!?」

「え?」

「だとするとこの記述と照合すればすべて繋がる! シャドウ様! ご指摘のポイントに隠しアジトがあると思われます!」

「ええ……」

 

 おい、ドヤ顔でこっちを見るな。腹が立つんだよ。

 

「この膨大な資料を読み取り、一瞬で見抜くとは……流石です!」

 

 ベータも演技派なぁ〜。シャドウの威厳を守るために、ここに隠しアジトがあるっていう体にしてるだけだろうけど……もし本当にここに行って隠しアジトがあったりしたら、俺はこいつに対しての接し方を改めないといけない。

 

「ふっ……七陰に伝えろ。決行は今夜だ」

「はい!」

 

 七陰とはシャドウガーデンの俺とシド以外の七人のメンバーのことだ。

 ベータは手元に持っていたメモ帳に何かを書き終えると一礼し、窓から去っていった。

 

「なあ、シド?」

「なに? キラ」

「賭け事しようぜ。相手にはアルファが助力を求めるぐらいな強者がいるのは分かってるだろ?」

「そうだね」

 

 アルファ達にはシャドウガーデンに入ってから、身を守れるぐらいにはしてあげた方がいいということで修行をつけさせていた。その中でもアルファは一番の実力を持つ。強いものしか認めないという獣人の考え方を持つデルタでさえも、俺とシド以外にアルファのことも認めているぐらいには強い。

 

「お前が指した場所に隠しアジトがなかったら獲物は俺のものな」

「いいよ。あったら僕のものね」

 

 なぜ適当に指したであろう場所に隠しアジトがあると、ここまで自信を持って言えるのだろうか。

 まあ、いい。この勝負……俺の勝ちだ!!




今年最後の投稿になりましたね。
てことで、今回は……なんだろう。まぁ、クレアが誘拐されたお話でした。
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