すれ違いムーブ連発の陰の実力者達を止めたくて!   作:星電輝

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第七話 ついに相棒就任!

「よう、シャドウ」

「あ、ステラじゃん。七陰はどうしたの?」

 

 先程まで、俺は七陰に残党狩りを命じて、調べ物をしていた。調べ物の最中にシドの魔力を感知し、合流を優先して迎えにきたってわけ。

 

「七陰には残党狩りを命じておいた。ちょっとお前のことを連れて行きたい場所があるのと、お前と大事な話をしないといけないっぽくてな」

「大事な話?」

「ああ、大事な話」

 

 ディアボロス教団が実在するっていう大事な話。だが、その話をする前にシドをこの隠しアジトにある資料室に連れていく必要がある。

 ディアボロス教団に関する資料とかをこいつ自身の目で見てもらわないといけない。そうしないとこいつは絶対に信じないだろうから。俺も自分の目で見るまで信じられなかったし。

 

「まぁ、その前にまずクレアを助けようぜ」

「そうだね」

 

 それから、シドと薄暗い地下道を歩く。しばらくすると地下牢らしき空間が見えてきた。その地下牢の中には、薄いネグリジェ姿で怪我をして横たわってるクレアの姿があった。

 どんな格好で攫われてるんだよ。はぁ……

 

「シド……? キラ……?」

「我はシャドウ。陰に潜み、陰を狩る者」

 

 なんだよ、その名乗り……ちょっとかっこいいじゃねえか。

 

「俺はステラだ。もう安心していいぞ」

 

 そう言って俺は、クレアの左腕にあった肉を削いだ跡があった箇所を重点的に、魔力を使った治療を始めた。治療が終わった頃には、クレアは既に夢の世界に入っていた。

 すっかり眠ってしまったクレアをここに置いておくわけにはいかず、かといって起こすのも可哀想なので妥協案として俺がおんぶすることになった。

 

「ふふ……シド……キラ……」

 

 俺達は二人して目を見合わせる。

 さっきから本名呼ばれるシチュが多すぎて、内心バックバクなんだけど。

 

「これ、まさかだとは思うが……バレてたりしないか?」

「ま、まさか。姉さんに限って……ねぇ?」

 

 それにしてもこの姉、こんな可愛らしい笑顔できたんだな。迂闊にも悶え死にそうになったぞ。

 

「まぁ、いいか。シャドウ、このまま進むぞ」

「え、これどうするの?」

 

 お前……実の姉のことを指さして、『これ』って言うなよ。

 

「お目当てが一番奥にあるんだよ。クレアは俺がこのままおぶっていく。そっちの方が安全だろ?」

「ん〜、それもそっか。それよりもお目当てって何? お宝?」

「まぁ、そんなところだ」

 

 ある意味お宝なんだろう。七陰にとってはたくさんの情報が眠っているわけだから掘り起こしたくなるぐらいのお宝。俺達二人にとっては、掘り起こしたくない現実なんだろうけど。

 

* * *

 

 そして俺達は、隠しアジトの最深部にある資料室のような場所を訪れていた。

 

「ここは?」

 

 と、シドが問う。俺はその問いに答えで返さず、質問で返した。

 

「なぁ……シャドウ? お前は自分の言った作り話を信じているか?」

「どうしたの、いきなり。信じてるわけないだろう? 僕が適当に作った話なわけだし」

「そうだよなぁ〜。俺も信じたくはないんだけどさぁ。まぁ、とりあえずこれを見てくれ」

 

 そう言って資料室にあったディアボロス教団に関する資料を手渡しして見せた。

 

「なにこれ? なんで僕達が適当に作った話がこんなにも細かく……しかも知らない話もあるし」

 

 おい、訂正しろ。俺は作ったわけじゃない。敵組織の名前を付けただけだ。あれ、あんまり変わらない気がする……

 俺は資料に目を通すシドに向かって残酷な現実を突き付けた。

 

「シャドウ……俺達もそろそろ現実を見る時が来たんだよ。ディアボロス教団は実在する……」

 

 そう。ディアボロス教団は実在したのだ。シドが適当に言って作った設定は丸々資料に書いてあった。どんな確率だよとも思うが、今はそんな話はどうでもいい。

 

「そ、そんなわけ」

「お前が持っているその手元の資料がその証拠だ。ベータが言っていただろ。クレアは英雄の子の疑いで教団に攫われたって。この資料では英雄の子が悪魔憑きになるという記載があり、実際にクレアは魔力暴走を起こしている。そんなクレアに疑いを向けるのはごく自然の事だ」

「ま、まじ? これ全部小道具とかじゃなくて?」

「大マジ。なあ、俺はもう覚悟を決めたぞ。悪魔憑きを既に数人助け、シャドウガーデンという組織を作ってしまった。俺はアルファ達を見捨てることはできないし、する気もない。お前もそうだろ? 昔はどうだったかは分からんが、少なくとも今のお前にとってシャドウガーデンはどうでも良くない、大切で大事なものになっているはずだ」

 

 シドは昔から、前世の時からどうでもいい好きなものとどうでもいい嫌いなもの、どうでも良くないものでキッパリ分けてきた。もちろん、陰の実力者という夢はどうでも良くないものだったが、それ以外は基本的にどうでもいいものとして、分けられてきた。俺自身も陰の実力者という夢に理解を示さなかったら、即切り捨てられていたかもしれない。

 そんなシドでもシャドウガーデンのことは、七陰のことは家族のように思ってると、シドの中でどうでも良くないものになっていると直感的に感じたのだ。

 

「……うん、そうだね。今、分かったよ。僕にとってシャドウガーデンは、アルファ達は、陰の実力者の夢と同じぐらい大事なものになってたんだ」

「あぁ、俺達にとってアルファ達は、もう既に家族同然なんだ」

「そうだね」

 

 もう既にシャドウガーデンは、シドにとってどうでも良くない大切で大事なものになっていたようだ。

 よかった。これでもし俺の思い違いだったりしてたら、俺はこいつを今度こそ刺すところだった。

 

「あ、そういやお前、俺のことをアルファに『相棒』って言ってたらしいな。それ、本当にしてやってもいいよ」

「え!? 昔から頑なに断ってたのに!?」

「それはずっとお前に劣ってる、お前の隣には相応しくないって感じていたからだ。まぁ、最近は俺も強くなってきたしな」

 

 相棒を本当にしてもいいという発言にシドは今日一番の反応を見せる。シドは俺に対して、前世の頃から陰の実力者の相棒ポジションになってくれと懇願することがよくあった。

 だが、昔から夢のために突っ走ってきたシドと違って、俺はその後をついていっただけ。そんな俺だから、こいつに俺は相応しくないと心のどこかでずっと感じていた。

 そのため、ずっと断り続けていたのだが、そんな俺も今日で終わりだ。こんな気持ちのままだと、またどこかで迷いはじめるかもしれない。

 シャドウガーデンは俺達にとって家族なんだ。変に迷ったりして家族を失うわけにはいかないだろ? まぁ、シドの保護者であることは変わらないんだろうけど。

 

「よろしくね、相棒。ただ、僕って情報戦とかそんなに得意じゃないんだよなぁ」

「それは俺もだ」

「……」

「……」

 

* * *

 

 そんなこんなで俺とシドは改めて発覚したディアボロス教団の存在に対抗すべく、タイムリミットを15歳の王都に行く日に設定して、シャドウガーデンの拡大と拠点の整備、資金集めに注力することに決めた。

 その後、俺達は教団の隠しアジトに七陰を残し、クレアを連れて屋敷に戻った。あくまでシドは実力を隠しているため、俺一人が救出したという体で今回の件は事なきを得た。

 あとから分かったことなのだが、あのボスらしき男にはかつて悪魔憑きになってしまったミリアという娘がいた。その子を救うため、仕方なく教団に入り加担していたという事が分かった。シドが持って帰ってきたペンダントには写真が入っており、そこにはあの男とミリアと思われる娘の姿があった。

 

「てかなんでお前、こんなペンダント持ってんだよ」

「あのおっさんから拝借した」

 

 ……まぁ、いいか。




投稿が少し遅れてしまってごめんなさい!
てことで、今回はついにシドとキラがディアボロス教団の存在に気づく……気づいてしまうお話となりました。
え? 三点リーダーをつけた理由? 特にありません。本当にありません。
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