陰陽姉妹が家だと陽陰姉妹になるんですがどちらが素ですか? 作:橘田 露草
ついにこの小説も節目の10話です!あれ、この話前回した気がするw
10話と言えばもうすぐ1クールですね。1クールがどれぐらいか分かんないけどっ。今日もクールな橘田さんでいきます。
いよよい第10話、投稿します。
"年上のお姉さんの家にお呼ばれした"───もしこんなことがあったらそれこそラブコメ的展開だ。大人なお姉さんとの甘々なイチャイチャをしたり、あるいは意外とだらしない生活をしているお姉さんにギャップを感じたり。どんな状況であれそこにはラブが生まれる、それがラノベオタクにして彼女いない歴15年&告白された回数0回の僕のイメージである。だから、だ。
「…ごめん波都ちゃん。これなに?」
「ビールの缶で作ったガン◯ムだよ〜」
「ちなみに缶何個分?」
「200個ぐらい?いっぱい飲んだねぇ」
「…捨てるよ?」
「…え?」
「捨てるからね?」
「あ、はい」
波都ちゃんの家、名付けてハト小屋はそんな幻想◯ししていくような空間だった。レー◯ガンぶっ放していい?
ただのゴミだらけの家ならまだいい。だが、床には一面の酒!酒っ!さけるチーズっっ!酒っっっ!
スーパーでドライした定番な缶から、凶器でしか見ないような重ための瓶などが様々だった。
「うっわ、冷蔵庫の中にもお酒しかないし…」
「葉一くん知ってる?お酒って命のガソリンなんだよ?」
「むしろガソリンまみれでよく燃えそうだよねこの家」
さて、今の状況説明兼前回のおさらいを今北産業的な説明をするとだ。
・伊藤波都と花守葉一は遠い親戚で教師と生徒
・波都パパママより週に1回彼女のアパートに様子を見に行くよう頼まれている(1回500円)
・2人ともカップ焼きそばにかやくは入れない派
というわけである。2行しか要らなかった。
棚やベッドなどの家具は女の子らしい可愛いやつなのにその上に侵食する酒の空き缶と空き瓶。独身用のワンルームアパート一面を覆い尽くすそれに頭痛を起こしながら僕は片付ける。え、酔ってないよね僕?
学生の貴重な日曜日に何をしているんだろうという真理は考えないようにしながら約2時間。袋パンパンに入った空き缶とまとめた空き瓶をゴミ捨て場に置いてくる。ごめんなさい、明日の収集員さん。腰壊さないでくださいね。
「おかえり、葉一くん。お疲れ様、ありがとね」
家に戻ると、プシュっという音とともに波都ちゃんが僕を労ってくれる。……プシュ?
「っはぁ!広い部屋だとお酒もなおさら美味しいねぇ」
「……」
「んー?どったの葉一くん、私のほっぺに両手を添えて。ちゅーする?葉一くんなら大歓迎だよぉにゃぁらぁ!?」
僕は波都ちゃんのほっぺを持つと───全力で揺さぶった。バーテンダーがシェイクする如く、全力でだ。そして数分後。
「……おえぇぇぇ」
綺麗になった床にキラキラした何かを吐き出す波都ちゃんが出来上がった。嘔吐フェチなら垂涎の光景よね。僕?腹パンしたくなるぐらい興奮してるけど。
「ひどいよぉ、葉一くん」
「ひどいのはどっちだよ、人が頑張って片付けた数秒後に開けんな」
「…3秒耐えただけで偉くない?」
「野良犬でももうちょい我慢できると思う」
こんなアルコール依存症に肩までどころか全身浸かった末期患者の娘を心配するおじさんおばさんの心労には同情しかできない。いや、おじさんおばさんって言ったけど僕あの人たちとの家系図的な関係わかんないけど。誰なんだよぉ、あの人たち。
「健康診断の結果は?この前あったんでしょ?」
「…見せなきゃダメ?(きゃるるーん)」
「いいけど、おじさんたちにさっき撮った娘の部屋の惨状送るけどいい?」
「はい、これっ!お納めくださいっ!」
すんごい素早く土下座をするとカバンから紙を取り出した。グッシャグシャなんですけど。
「…マジかぁ」
一言で言うなら結果はオールA。肝臓も中性脂肪も全て優判定だった。
「マジでどこに消えてるの、このアルコールたち」
「確認するー?ほら、さわさわしてみたら?」
「…しません」
「迷ったぁ〜」
そんなに自慢できるほど大きくないでしょうがあなた。いやまあそりゃ、見慣れた2人よりは大きいけども。
A寄りのBガールこと波都ちゃんはお酒を奪われたからか、仕方なくペットボトルのお茶を飲む。いやそれ僕の飲みかけなんですけど。すげぇ舐め倒しながら飲んでるんですけど。
飲み口が波都液でベットベトになったペットボトルを僕に返すと、うーんと伸びをする波都ちゃん。薄手のセーターだからか普通サイズの波都ちゃんでも強調されるある部分に目がいってしまうが、男の子だから仕方ないとガン見する。
「お腹空いたね〜。ご飯にしよっか」
そう言われて僕も時計を見ると時刻は午後2時ちょい前。11時にはここにきていたはずだからなんだかんだ片付けと休憩で3時間近く経っていたらしい。お昼を食べるならそろそろ食べておかないと夕飯に響きそうだ。
「片付けのお礼にお姉ちゃんが美味しいもの奢ってあげようっ!」
「お、マジで?」
嬉しい言葉に僕もテンションが上がる。生活能力皆無な波都ちゃんだけど食べ歩きが趣味だから美味しいお店に詳しいのだ。
「なんなら夕飯まで一緒に居てもいいんだよ?」
「いや、今日芽衣叶が作る日だから家帰るけど」
「このシスコンめっ!じゃあご飯終わったらモール行くよ!夕方まで付き合ってねぇ♪」
「はいはい、お供しますよ」
そして連れてかれたお店がめちゃくちゃ美味しかったり、服選びといいながら下着ショップに連れ込まれたりと疲れ切って家に帰ることになった話は……またするかも。