陰陽姉妹が家だと陽陰姉妹になるんですがどちらが素ですか? 作:橘田 露草
特に話すことがない時どうやってこの前書きを埋めたらいいのだろうと思います。あ、なんか一曲できそう。特にーないーこのひーびをーうめるーことばーをさがーしーてる。今年は紅白目指します。
いよよい第13話、投稿します。
GW最初の日。僕と芽衣叶は、同級生がバイトしているお店に来ていた。そのお店というのが。
「「「「「にゃーん」」」」」
「……か、かわいす、すぎるよぉ〜」
この猫に囲まれて悶える可愛い女の子はどこでお持ち帰りできますか?元々ウチの子だったわ、やったぜ。
というわけで、猫カフェなうである。入っていきなり猫に囲まれた我が義妹の姿を収めようとスマホを取り出した僕の肩に手が置かれる。
「お客様ぁ、盗撮は犯罪ですぜっす?」
「ちなうんですちなうんです、ウチの義妹が可愛すぎて写真に撮ってハァハァスーハーしなきゃいけないって思っただけなんです」
「うん、ホントに通報しなきゃって思っちゃうからやめてくれるっすか佐藤くん」
旧姓を呼ばれて振り返ると知ってる人だった。
「ってなんだ委員長か」
「なんだ、は失礼じゃないっすかね?委員長っすけど」
彼女の名前は委員長。本名は……忘れた。いやだってみんな委員長って呼ぶしさ。僕と茎太郎とは中等部3年間同じクラスで、副委員長をやらされてた僕とは多分そこそこ仲がいいと思う。クラスが離れた今でもたまに連絡取ってるしね。
ちなみに、喋り方は後輩っぽいけど普通に同級生だし身長とか僕より10センチ近く高いし、髪も金髪でピアスめっちゃしているギャルギャルしい人だ。でも真面目な委員長だから脳が壊れちゃう。そして、だ。
「と、ところで花守先輩はどこっすか?」
ご多聞に漏れず、茎太郎に恋する女の子。具体的にはバイト先の1日限定の割引券を僕に送りつけてくるくらいには。
「茎太郎は部活だって。委員長に謝っておいてくれって言われたけど」
「了解、じゃあその謝罪動画を5分ぐらい撮って送りつけてくれて欲しいっす。ウチの名前呼びしてくれると捗るっす」
「捗るっすじゃねぇよ。ウチの義兄に何させんだ」
まあ貴重な僕を僕一個人だと認識できる人だし、この茎太郎大好きっぷりにも呆れながらも割と気に入っているぐらいには好感度高いんだけどね。
「もう相変わらず佐藤くんは…って名字そう言えば変わったんっすね」
「うん、これからは僕も茎太郎も名前呼びでいいよ」
「ムリムリムリムリかたつむりっす!花守くんを呼び捨てなんて無理っす!」
「……じゃあ僕は?」
「え?よーいちくん?」
「なんで言えんだよ」
アッサリと、しかも何か親しげな呼び方でドキドキしちゃうじゃないか。チョロいんだぞ僕。
「ところで、よーいちくん?」
「うん?なにさ委員長?」
「えっと…妹さんめっちゃおこなんっすけど」
振り返るとすんごい頬を膨らませた芽衣叶がいた。うん、委員長じゃなくてもわかるわこれ。激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリーム感バリバリだもん。え、タヒ語なんすかこれ。
先ほどまで芽衣叶に撫でられていたネコたちも、シャー!と僕と委員長を威嚇していた。この数分で猫カフェ支配してるんですけど、ウチの義妹。
「おに……せんぱぁい随分楽しそうなお話してますねぇ〜。あたしも混ぜて欲しいですぅ〜」
あ、キレてますなこれワロタ。雰囲気に押されたのか、委員長が僕に引っ付いてくる。あぁぁ、推定Dの柔らかみがぁぁ。
「せんぱぁい?」
「なんでもないですやわらかいとかおもってないです」
「ふぅん、そうですかぁ〜」
「う、ウチバイト中だから失礼するっす!」
あ、こいつ逃げやがった!休み明けに学校でいじめたる!
「よーいちくん、休み明けウチのおっぱい触った代でジュース奢ってもらうっすからね!」
あ、こいつさりげなくバラしやがった!ありがとう、ジュース5本でいい?
委員長が逃げた途端、ネコたちが彼女を追いかけるようにバックヤードへと駆けていく。同時に悲鳴と『よーいちくん助け…』という声が聞こえた気がするが僕は無視する。所詮はワンナイトの付き合いなんだよっ!
ネコが1匹も居なくなり、僕と芽衣叶だけになった空間が完成してしまう。ふぇぇ、気まずいよぉ。
「…お兄ちゃん?」
「はいっ!」
「…せ、せいざっ」
「はいっ!正座っすね!」
思わず敬語になりつつも僕は言われた通り正座する。芽衣叶の方に目は向けない、だって怖いもん。
「…んっ!」
そんな声とともに膝に柔らかい衝撃と、暖かさが。
「…芽衣叶?」
「……お、おに、いちゃんに、ば、ばつ!」
膝の上には芽衣叶の後頭部。つまり、膝枕ってやつだ。
「……じ、時間になる、までわたし、を撫でて!」
「えっと、それが罰?」
「……(コクッ)」
え?罰?ご褒美の間違いでは?普段なら店でこんなバカップルみたいなことを、と躊躇してしまうが今は2人きり。僕は意気揚々と芽衣叶の頭を撫でる。
「(ビクッ)」
「ん、芽衣叶痛い?」
「……だ、いじょ、ぶ」
「そっか」
了承得たので僕は撫で続ける。残念ながら僕からは芽衣叶の顔は見えない。多分嫌がってはないんだと思う。そうだと信じたい。
「……おに、いちゃん」
「うん?」
「……わたしと、居る時は、わたし、だけ見て」
「もちろん。僕は芽衣叶だけ見ているよ」
「……えへ」
なんかご満悦っぽい。言われた通り芽衣叶を見続けながら頭を撫でる。猫を愛でに来たはずがなぜこんなことになっているかは分からない。他のお客さんが来ないことを祈るばかりである。
結局残りの40分間。僕はひたすら芽衣叶の頭を撫で続けていた。引きこもりの腕が筋肉痛になったのは言うまでもない。