陰陽姉妹が家だと陽陰姉妹になるんですがどちらが素ですか? 作:橘田 露草
ダラダラ更新しているこの小説もついに9話目です!だからなんだと言われたら特にありませんっ!ないんかいっっ!テンションっっっ!
いよよい第9話、投稿します。
「あれ?水筒なんて珍しいな、よーちゃん」
「ちょっと金欠でね」
義妹たちにクレープを奢って、次の日もクレープを奢ったまたまた次の日のお昼休み。お小遣い支給日まで余裕のない僕は、家で詰めてきた水を飲んでいた。うめぇ、水道水。
朝僕が作った弁当片手に勝手に前の席の椅子を借りる茎太郎だが、向こうで持ち主の"もう椅子洗えない〜!"という嬉しそうな悲鳴が聞こえていた。イケメンはいいねぇ。
「昼休みはヒーもメイも用事あるんだってさ」
「へぇ、最近忙しそうだよね2人とも」
「まあ忙しいっていうか、告白されているだけだからなぁ」
「へぇ、告白……告白っ!?」
思わず大きな声を出してしまった僕にクラスメイトからの視線が突き刺さる。前のブラコンシスコン宣言により目立たない存在というのはギリギリ保ちつつも変なやつと思われるようになってしまった。これ以上のマイナスイメージは避けたいので、小さな声で茎太郎に聞く。
「2人ってそんなにモテるの?」
「ああ、中等部に入学してから3日に1回は告白されているらしいな」
「それは…すごいねぇ」
まだ1年ちょっとなのに単純計算で月10回以上告白されているのだ。ちなみに目の前にいる彼は毎日2、3人から告白されている。妹のすごさを霞ませるんじゃないよ。
「いつもは放課後なんだが今日は昼休みか。大変だなあいつらも」
「放課後って昨日とか一昨日も?」
「昨日は知らねーけど、一昨日なら呼び出したのウチのバスケ部のやつだぞ」
「えっと、江村くんか別田くん?」
「いや、志村だ」
「バスケ部ってアルファベット縛りなの?」
そんなどうでもいいことは置いといて、告白かぁ。なんだろ、義理とはいえ妹に向ける感情じゃないかもだけどモヤモヤする。
「気になるなら見に行くか?」
「え、でもお昼が…って早っ!?もう食べたの!?」
「おうっ!で、どうするんだ行くのか?行かないのか?」
「…ば、場所わからないじゃん」
「屋上だってよ。さっきの返事に書いてあった」
「……」
ところ変わって屋上。うん、まあそりゃ見たいさっ!気になるさっ!
僕と茎太郎は屋上のドアを開けた隙間からこっそり覗く。階段の下から見たら完全にヤバい2人だが昼休みも後半の今から来る人も中々居ないだろう。
屋上には4人の姿が見える。そのうち2人は義妹の日種と芽衣叶の姿。いつも通りの無表情とニコニコ笑顔だ。残りの2人は見覚えのない男子だったが、制服的に中等部の生徒だと思う。
「花守日種さんっ!俺と付き合ってください!」
「芽衣叶ちゃん、好きだっ!付き合ってくれっ!」
男子2人が告白し手を差し出す。え、今の子って連れ告白とかするの?イマドキなのそれ?えぇぇ、若い子わからん……。
「……よく知らない人に割く時間はないので」
「わたしも誰か分からないような人と付き合えないかなぁ〜」
男子たちの告白は残念ながら届かず。ちょっとだけ安心した気持ちで胸を撫で下ろすと。
「そ、そんな言い方ないだろっ!」
「そうだ、友達からとかどうだ?いいだろ?」
振られたのに諦めないのかコイツら。義妹たちにもしものことがあったら、と隠れていることも忘れて飛び出しそうになった瞬間。
「はい、そこまでだ。出川に井伊、振られたんだからしつこくすんな。みっともねぇぞ」
「は、花守先輩……」
「ヒーとメイもだ。コイツらはこんなんでもお前らの先輩だしお前らに告白してくれたんだろ。無理に付き合えとは言わないが優しく振ってやれ」
「「…はーい、おにぃ(にぃに)」」
おぉ、何という完璧な仲裁。僕の出番無かったなぁ。
「……告白ありがとうございます。でもアタシはお兄ちゃんぐらいカッコよくないと付き合いたくないので」
「ありがとうございます、先輩〜。でもわたしはお兄ちゃんぐらい優しくないと恋人にはしたくないの〜」
「お前らなぁ…まあそういうことだ諦めろ」
「「ぐっ……!」」
ちゃんとした返事、と言えるかは分からないが正式に振られた彼らは屋上のドアの方に来る。あ、やべ僕隠れなくちゃ。
「花守先輩ぐらいってあんなモテ男みたいになれるわけないだろ…」
「なぁ。妹にもモテモテですって見せつけられただけじゃねぇか…」
そんな捨て台詞を言いながら階段を降りていく彼ら。めちゃくちゃ真横通ったのに僕の存在気付かれなかったんですけど。え、僕生きているよね?
「……何やってるんですか、せんぱい」
「あ、センパイだぁ。覗きですか〜?」
と、義妹たちの声が聞こえて振り返ると呆れた顔して僕を見る2人が居た。え、茎太郎?"イケメンは視界に入らない病"だから僕。
それにしても、"
───ん?なんか引っ掛かる。なんだこの引っ掛かり。
頭の中に僅かな疑問が浮かぶが、そんなことより僕には気になることがあった。いや割と切実系のやつ。
「僕って生きているよね?」
「「…は?」」
え、生きているよね?