今際の際で反転術式が使えるようになった夏油傑 作:非術師は猿
私が死の淵から蘇り、早くも半年が経とうとしていたこの半年の間、1000体の呪霊を集めた。呪術界に気取られないよう注意せねばならず、その大半が3〜4級程度。幸いにして、猿どもから得た金もあり、呪術高専から離れた地域で2級程度も取り込めはした。
また、定期的に呪霊構築で特級呪霊を生み出しそれを取り込むことで戦力強化を図っていた。しかしながら、百鬼夜行前と比べればどうしても戦力不足は否めない状態だった。
そんなとき、仙台のとある高校を中心に行方不明者が多発してるらしいという話を耳に挟んだ。
(行方不明…ね。猿どもは呪霊が見えないからそんな噂に落ち着いたんだろう。)
しかし、呪霊の仕業と言っても1日に複数人いなくなることも考えれば、恐らくは2級以上の呪霊が複数湧いている可能性がある。
量と質。両方を一度に補給できるこの件は高専側と遭遇するリスクを負ってでも関わっておきたい話であった。
呪霊たちの活動は夜に活発化することはよく知られている。呪霊操術はその性質上、取り込んだ時点でその力量は確定してしまう。そのため、より強力な呪霊を確保するためには夜に出向かざるを得なかった。
「ハハッ。大漁だね。中々に質もいい。」
すでに現時点で50を超える呪霊を確保できていた。…しかし。
「あまりにも多すぎないか?なにかに引き寄せられているようだ…がっ!?」
バックステップで校舎の影に隠れる。
「なんだ…?呪霊の数が少ない…?報告では多数の呪霊が集まってると聞いていたんだが…」
直後に闇の中から現れたのは伏黒恵。十種影法術の使い手である。それに連れてかれた形で虎杖悠仁も到着する。
(見たところこの学校の生徒ではなさそうだね…。どころか、あの制服。呪術高専の学生じゃないか…?)
彼の出で立ちはどこかで…。まあいい。あとで考えよう。それよりは今だ。学生が来たということは恐らく帳が降ろされているはずだ。私なら帳を内から破ることも可能だが、そんなことをすればまず間違いなく見つかる。
となると、今しがた来た彼の任務が終わるまで待つ必要があるな…。私が見たことのない学生ということは1年だろう。術式まではわからないが、単独で行動してるのを見るに2級以上の実力者。入学してからそれほど経っていないのにこの実力。前途有望だね。担任の顔が見てみたいもんだ。
それと…猿が一匹か。有望な少年だけにあんなに至近距離で猿の匂いをこびりつけさせられてるのは可哀想でならない。今すぐファブリーズを吹きかけてあげたいくらいだ。
1年の少年は…校舎内に入ったか。ここで猿を観察していても仕方がない。私もついていくとしよう。
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俺の眼の前に呪霊が立ちはだかる。伏黒は負傷。オカ研の二人は意識不明。俺の全力のパンチはそもそも効かない。絶体絶命。
それでも…俺は…。
「なんだ。あるじゃん。全員助かる方法。俺にジュリョクがあれば良いんだろ?」
そういったとき、伏黒は馬鹿でも見るような目でこっちを向いたけど、すぐに顔を青褪めさせる。
「バカ!やめろ!」
俺は、呪力の塊、特級呪物「両面宿儺の指」を食べた。