俺の所属する一党は皆なんかちょっと変。   作:カツカレーうどんパンマン大盛

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だらだらとくっちゃべるファンタジー良いよね。


01 

 

「正々堂々って言葉あるでしょ。あれってさ、どのくらいの戦いまで成立すると思う?」

 

「え、なに? 今お腹ペコペコのハングリーウルフに囲まれてる状況でする話なのか。それ」

 

 日常会話のノリを緊迫した状況にぶっ込んでくる、このアホの名前はリトセラと言う。もしくは、勇者リトセラである。

 

「私……気になった事が頭に残っちゃうタイプなのよ。だから、さっさと答えて欲しいんだけど?」

 

 ハングリーウルフ共がこちらに来れないように、透明な幕のような、ぼんやりと写る光の盾を必死に維持しながらアホの話に乗る。

 

「そりゃ……主義やら何やら色々あんだろ! でも、自論なら……勝てる勝負なら相手に正々堂々やれって言うし、負けそうなら知ったこっちゃ無いな」

 

 光の盾に小さな穴をわざと開け、そこにアホの剣が差し込まれて狼共が少しずつ物言わぬ塊へと変化していく。

 

「そう……貴方って本当に卑怯よね。まあ……それでこそ我らが一党の頭目に相応しいのだけど」

 

 一党(クラン)の頭目、言い換えるなら……こいつみたいなアホが所属するたむろ場の管理人である。残念ながら押し付けられたソレの辞め方は3年経っても全く見つかってない。

 

「……ちなみにお前ならどうすんの」

 

 多分ろくな事言わないんだけど一応聞いておく。でけぇ独り言じゃ無くて会話って言うのなら……多分聞き返すとこまでがワンセットだしな。

 

「勿論! 正々堂々と無視するわ。だって、勝てば官軍なのよ!」

 

「そっすか……。それが勇者のやること云々って前に詰められて無かったか?」

 

「有ったわね。でも、あの貴族は不幸な事故で亡くなったわ。……何か言うことある?」

 

 そういや……死んでたか。

 俺らの所属するミステア王国は別名、内ゲバ王国なんて言われてる。

 

 大事なのは、ポコポコと貴族やら何やらが死んでんのに、優秀な人材が雨後の竹の子のように生えてくる人外魔境ぶりのほうである。

 まあ、普通は内ゲバなんてしてたら国が潰れるのに建国150年超えてまだ元気と、なんかヤバイ国って思われてるとかなんとか。

 

 とりあえず言えることは、正々堂々ってのは勝者の言葉ってことだな。

 

 

 *

 

 

「ところでさー、これ……どう処理すっかね」

 

 ハングリーウルフ……こいつらは狼の形をした砂漠飛びバッタみたいなモンで……簡単に言うなら生きた天災である。こいつらは辺り一帯の生態系をぐっちゃぐちゃにしながら最後の一匹が息絶えるまで移動し続ける。

 

 そして、一番クソなところが……()()()に再現が可能な処である。

 

「一番美味しいのは……勇者の権限でケツの毛一本残さずに身包み剥ぐ感じかしら」

 

「それ半年コースじゃん……だりぃよマジ」

 

 勇者の権限という、国を超えて無茶を言える一種の越権を行使する権利が勇者にはある。

 まあ……権利があるからってそう簡単に使えないんだが……事件に巻き込まれて、()()()()権限を使用することは可能だ。前にやったしな。

 

「あれは美味しかったわね。大貴族の一族郎党が路頭に迷う羽目になったとは言え、私の功績にケチを付ける奴も現れなかったしね」

 

「そりゃ……首元に良く斬れる剣を当てられた状態で馬鹿みたいにピーチクポーチクさえずる奴なんか居ねぇよ」

 

 ちなみに……その路頭に迷った彼らの元領地、それが今俺らの居る場所だったりする。

 

「でも、変ね。彼らにハングリーウルフの大暴走なんて……仕込める程の財力も人材も無いはずよ。それに、札束の積まれた金庫に山羊を放つような真似、()()()()()()なら絶対にやらないわ。復讐云々でこんな手段取るかしら」

 

 そりゃそうだ。

 資源に土地と住民、ことごとくぶっ壊れるのが決まってるんだから、土地が欲しい奴ならまずやらない。税収どころか責任追及で頭と体が泣き別れするからな。

 

「他国……でもなあ、こいつら放置したらお隣の帝国に真っ先に突っ込むし、くそ真面目な例の王国はまずやんねぇしな」

 

「面倒だから山羊子にでも任せましょう」

 

「は? いや、まだ数百頭は居んだけど……徹夜だぞお前」

 

 今も光の盾にはバウバウガウガウと俺らを喰おうと元気に噛みついてきてる狼ちゃん達である。

 

「光の勇者が宣言する。我が鋭き一振りにて……魔の物達を粉砕せん。光よ!我が剣となりて……彼らに慈悲を与えたまえ!」

 

 このアホが勇者の力を解放した瞬間、俺は急いで狼ちゃん達を一塊になるように誘導、圧縮していく。

 当然のように魔力がゴリゴリと減っていく感覚と、広く展開したことで薄くなった光の盾が……触れ合い広場といった様相のハングリーウルフちゃん達を防ぎ止める。

 風呂入ってねぇヤバイ獣臭と、くっせぇ唾液の匂いが立ち込める中、一発でこいつらを消し飛ばせるようにしていく。

 

 というか合図ぐらいしろ。

 

「シャインスラッシュ!!!」

 

 まるで星でも落ちてきたかのような衝撃と光が、ハングリーウルフと、森と周りを消し飛ばしていく。

 

「終わったわね。そもそも、徹夜なんかしたら……私の肌が荒れちゃうかもしれないでしょ?頭目なんだからそこら辺考え無いといけないんじゃないかしら」

 

 お前らの肌事情とか知らねぇよ……。と頭の中で言い放ちつつ、同時に伝令の魔法で懇意の大臣へと事の詳細を送り込む。

 

 さて、後始末は頭良い奴らに任せて、バカンスにでも行くとするか。

 

 了

 

 

 

 

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