最も偉大なファラオ「貴様が余のマスターか?」   作:三島溪山

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 ブルーアーカイブダウンロード記念に執筆しました。シナリオは主に二次創作から得ています。


一話

 キヴォトス───力こそ全てと言わざるを得ない超銃器社会が浸透した巨大な学園都市である。数多の学園が運営する自治区とキヴォトス全体の行政を司る組織が管理する地域で構成される世界であり、殆どが子供の手によって主導されている。

 その数多の学園の一つであるアビドス高等学校は砂漠と密接した地域であり、かつてキヴォトス一のマンモス校と評されたものの、今ではすっかり零落した学園である。零落の原因である砂嵐等の自然災害は数十年に渡り自治区を蝕み、今や生徒数も二人しかいない状況だ。そしてその数が二から一へと変貌しようとしていた。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 「うぅ……あぁ……」

 

 意識が明滅する。全身を打ち付けたのか、体が言うことを聞かない。脳震盪と頭からの出血で視界も覚束ない。

 

 「あぁ……あぁ……」

 

 それでも前を見据えこうなった原因を必死に睨み付ける。でもあいつはそっぽを向いて砂に潜っていった。

 

 「あぁ……あぁぁ……うぅぅぅぅ……!」

 

 死神が去っていっても視界が歪み、体から力が抜けていく。このままではまずい。それは分かっているが体が動かない。意識が落ちようとしているのがはっきりと分かる。

 

 「(もう駄目なんだろうな……)」

 

 耳から破滅の音が聞こえる。このまま私は砂漠で果てるのだろう。このまま砂嵐にのまれ、誰にも見つからずに骨になる。

 

 「(ごめんね……ホシノちゃん……)」

 

 脳裏に一人の後輩が浮かぶ。ケンカ別れみたいになっちゃったけど、これで良いのかもしれない。

 

 「(ごめんね……ホシノちゃん……)」

 

 いつもツンツンで怒ると怖い子だけど、根は優しい子なんだって知ってるから。

 

 「(ごめんね……ホシノちゃん……)」

 

 夢見がちで頼りない先輩なんて忘れていいから。

 

 「(ごめんね……ホシノちゃん……)」

 

 最後の最期までごめんね。

 

 「(ごめんね……ホシノちゃん……)」

 

 ……もう意識が保てなくなってきた。このまま闇に飲まれ、永遠に眠るのだろう。

 

 「ご…………ね……ホ……ノ…………ん……」

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 「ただいま」

 

 小鳥遊ホシノ奪還作戦成功により、アオハルチックなやり取りを交わす対策委員会一同。本来ならここで舞台の緞帳は下りる───筈だった。

 

 「……何か音が聞こえますねぇ」

 【……!構えて!】

 

 砂中から砂塵を舞わせて飛び出したモノは───機械的な大蛇だった。大蛇の音無き咆哮に素早く戦闘態勢に移る。

 

 「ちょっと何あれ!?砂蛇にしてはでかすぎるわよ!?」

 「ん。未だかつてない獲物」

 「こちらが獲物のような気がしますが……」

 

 呑気な感想をぼやきながらも戦闘態勢は決して解かない。【先生】と呼ばれる大人は戦闘指揮を取ろうと考えるも───

 

 【……撤退しよう。こちらは弾薬もないし、疲労困憊だ。それに相手が何か分からない】

 「……仕方がない」

 「うへぇ、でも奴さんは逃がしてくれるかな……?」

 

 真っ直ぐ見据えるホシノの言葉は正鵠を射ており、目と思われるパーツは此方から視線を外そうとしない。それとゆっくりと口腔部分は開かれて、中身を露にする。

 

 「あれは……砲門?」

 「光が収束して……」

 「ん。毛が逆立つ」

 【皆射線上から離れて!】

 

 【先生】の言葉を機に皆左右バラバラに、シロコは【先生】を抱えて散開する。大蛇はそれを意に介さずにこの場で最も強い者に照準を定めた。

 

 【ホシノ!】

 

 盾はアビドス高等学校に置いてきた筈だ。防具無しで受け止められるか【先生】は判断できなかった。ホシノは先生の叫びで照準を向けられたことを察知し、後輩達を巻き込まないように進路を変えた。

 

 『ーーーーーー!!!!!』

 

 今この瞬間誰もがホシノへの着弾を頭によぎらせた。徐々にスローモーションになっていく視界は何もできない【先生】を嘲笑うかのように無惨な光景を映し出す───筈だった。

 

 「惰弱惰弱ッ!」

 

 何処からともなく響く男性の大声と共に大蛇の顔面へ天空から光が放たれる。太陽が如き灼熱光線は大蛇の顔面を容易に融解させる。皆が天を見上げると何かが砂上に着地して砂塵を舞い上がらせる。

 

 「ファラオの神威を見るがいい!それが貴様の最後の記録になるだろう!フフフフ……フハハハハハハハハハッ!」

 

 ホシノの目の前に降り立った男性は褐色肌に高貴な宝飾品を身に纏う青年だった。誰もがその煌めきに目を離せない中、脇に抱えられた女性は文句を言い放った。

 

 「ちょちょちょ王様!?何で空から私を抱えて飛び降りたの!?」

 「慈悲である!神たるファラオに討たれるのに余の尊顔を知らぬまま朽ち果てるのがあまりにも憐れなのでな!」

 「それにしてもあの高さから飛び降りるのは恐怖だよ!?私はあのまま空飛ぶお船に待機してても良かったじゃん!」

 

 見知らぬ二人の言い争いに対策委員会一同は逃げるのをやめて二人を見つめる。

 

 「ユメ……先輩?」

 「あ、ホシノちゃん。何か痩せた?」




 アビドス編は砂漠を舞台としたシナリオなのにファラオが出てる小説が見当たらなかったので書いてしまいました。連載するなら成り代わりとかになるかもしれません。本物のファラオが協力するとはあまり思えないので……。
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