最も偉大なファラオ「貴様が余のマスターか?」   作:三島溪山

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対策委員会編第三章更新前に投稿。過去編らしいので矛盾が生じて書き直す前に投稿しておきます。
それと最近のガチャの限定枠は無料分と二天井あわせてマコトとワカモ以外は手に入れました。ミカがこんなに早く手に入るとは思わなかったですね。


二話

 「ユメ……先輩?」

 「あ、ホシノちゃん。何か瘦せた?」

 

 温度差のある応酬だが目の前の脅威は消えたわけではない。顔半分が焼け爛れても撤退の意思はなく、大蛇の胴体から動きを見せる。

 

 【あれは……VLS!?】

 「フンッ!」

 

 杖を地面へ鳴らせば再び天空から光が降り注ぐ。男は先程のダメージから容易に撃破できると踏み、一気に畳み掛ける。一つ一つが神秘を宿す装甲を焼き溶かす光柱は王に歯向かう者を断罪するかのように咎人に穴を空ける。

 

 「何よアレ……空に船……?」

 「ミレニアムやカイザー製……?でもあのような照射兵器なんて聞いたことないですね☆」

 「……太陽の力?」

 

 絶え間無い太陽の光は大蛇が地に沈む迄降り注いだ。その姿は神に歯向かった愚か者の末路みたいだった。

 

 「空を仰げ、地を這え。お前の見上げる太陽の輝きが余である」

 「さっすが王様!戦うところ見たの二度目だけど偉大さ溢れる蹂躙感が凄いね!」

 【……まるで神罰みたいだ】

 

 神罰───【私】含む対策委員会達はこの光景を見て恐れおののくしかない。脇に抱えられた女性───ユメがホシノと知己でなければとっくに逃げ出していただろう。

 

 「さて、一年(・・)振りだねホシノちゃん。後ろの子達は転校生かな?トリニティの選民思想に苛められた子?ミレニアムのカリキュラムについてこれなくなった子?ゲヘナの混沌にうんざりした子?」

 「い、一年?先輩がいなくなってから二年(・・)ですよ?それにこの子達はそんなんじゃ……」

 「二年……?あーうん、そうだったそうだった……それじゃ後輩!?どうやったのどうやったの!?脅し?誘拐?」

 「してません!誤解を招く発言しないでください!」

 

 ホシノを除く対策委員会達は定例会議のホシノの発言内容を思い出し、昔からやりそうな人間だったんだと先輩の評価を改めたようだ。口調も昔に戻ってるのかな?

 

 「そ・れ・よ・り!今まで何をしてたかその男のことまでみっちり聞かせてもらいますからね!」

 「うへ~!?ホシノちゃんそれはその~……」

 

 皆の視線がファラオを名乗る男に集中する。男はそれを意に介さずに言葉を紡ぐ。

 

 「語るのは良い。だが、この場では余計な虫が入るかも知れぬ」

 【……そうだね。皆アビドス高校に戻ろう】

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 「余はオジマンディアス。王の中の王であり、古代エジプトの神王(ファラオ)である」

 「エジプト……?」

 「何処のことよそれ?」

 【キヴォトスの外の国のことだよ。キヴォトスだとアビドスみたいな環境で連邦生徒会長として働いていた感じかな。歴代でも最高の神王(ファラオ)と称された希代の名君だね】

 「王様は凄いのよ!」

 「何でユメ先輩が胸を張るんですか……」

 

 アビドス高校の教室の一角で行われる説明会。男はまず自身の存在について語る。

 

 【でも、彼の治めたエジプト王朝は三千年以上前の筈なんだけど……】

 「無論本体は今もミイラとして博物館に納められているであろう。今の余はサーヴァントという『英雄の魂から複製された使役可能な幽霊』である。例えば……」

 「消えたっ!?」

 「凄いです……」

 「(……うへぇ、目の前で消えてなければそこにいることすら気付かないよこれ)」

 「これを『霊体化』という」

 

 目の前から消えたり現れたりを繰り返す男。サーヴァント……聞いたことのない存在だ。

 

 「英雄が死後、祀り上げられ精霊化した存在が座する『英霊の座』。そこから生前の人格を模倣したものを此方で言うなれば神秘の塊に与えて召喚される。今回の余はユメの下へ降り立ったのだが……」

 「えへへ、アビドスの砂漠で死にかけた所を王様に拾われたみたいなんだよね」

 「死にかけたって……」

 「うん……あの大蛇に殺されかけた。トドメを刺されてたらここにはいなかったなあ」

 

 新たな真実に驚愕する対策委員会達。ホシノの表情は少し暗い。

 

 「余はユメを拾った後、ヘルメット団とやらを叩きのめしながらゲヘナ自治区の病院へ入院させた」

 「あれ?目覚めた時はミレニアムにいたような……」

 「……病院付近が温泉開発部や美食研究会のテロに巻き込まれたから転院したのだ。よもやあそこまで治安が悪いとは……風紀委員会も不憫であろうな」

 

 頭を抱える男。王様として生徒会組織である万魔殿(パンデモニウム・ソサエティー)に憤りを感じているようだ。

 

 【……ゲヘナってそんなにヤバイの?】

 「……まあアビドス(うち)が言えたことじゃないけどよく学校の体を成してると思うわ」

 「便利屋68の皆さんはゲヘナじゃなければ退学させられてると思います……」

 「温泉開発部や美食研究会は他校の自治区にも悪評響く有名なテロリストで矯正局に入ってないのが不思議なくらいです☆」

 「シロコちゃんがゲヘナ生だったらもう二桁は銀行強盗してると思うよ~」

 【えぇ……】

 「ん、心外」

 

 一度入ったことのある【私】は銀鏡イオリに絡まれただけで済んだのはもしや奇跡なのでは、と思い始めていた。

 

 「……話が逸れたな。ユメが目を覚ますまで情報収集と入院代の手配に努めていた。一年も寝転けてるとは思わなんだが……」

 「「「「「一年!?」」」」」

 【だから一年振りって言ってたのか……】

 「えへへ、その節はお世話になりました……」

 「最近となって【先生】とやらがアビドスに通い詰めていると情報を得たのでな。リハビリが終わり次第接触を試みようとしていたのだ」

 

 タイミングとしては多少遅れたかもしれんがな、と言って一旦間を置く男。

 

 【質問いいかな?】

 「許す」

 【貴方の戦闘を見る限り、サーヴァントをキヴォトスの生徒が御せるとは思えないんだけど……】

 「ユメの右手を見ろ」

 

 男の言葉でユメに視線が集まる。ユメは右手の甲を皆に晒す。そこにはアビドスの校章が刻まれてあった。

 

 「『令呪』という三回限りの絶対命令権である。マスターに配られるそれは具体的かつ限定的であればある程拘束力を増し、思考と行動が命令に縛られる。サーヴァントである限りこれには逆らえないのだ」

 「どんな命令でも……!?」

 「サーヴァントの意にそぐわない令呪の使用は反感を買いかねない諸刃の剣でもあるがな」

 「アビドスの校章……あれ?三角模様がないですね」

 「あ、あはははは……」

 「……」

 

 アヤネの疑問にユメは苦笑いを浮かべ、男は明後日の方向を向いて口をつぐむ。不審に思ったホシノはユメを問いただす。

 

 「まさか……ユメ先輩?」

 「……説明を聞いた時って昨日今日でおふざけ半分で『アビドスの借金を無くして!』って言っちゃったの。そしたら……」

 

 ユメは最新機種の携帯機器の画面を皆に見せる。新調したと思われる。

 

 【昨日のニュース画面……?】

 「『カイザーローンとカイザーコーポレーション所有の倉庫が複数爆発!!生存者ほぼ0!?天から謎の光柱と空飛ぶ獣に乗る覆面の正体とは!?』……ユメ先輩?」

 「……」

 

 ユメも明後日の方向を向いて口をつぐんでしまった。

 

 「ん、先生。どういうこと?」

 【うーん。そもそも私はカイザー側に利子が法外であることと生徒(ホシノ)を誘拐したことを連邦生徒会から追求させる予定だったんだ。カイザー側は生徒誘拐の罪をカイザーPMC理事に擦り付け、利子の金利を下げた債権を他所の消費者金融へ売り渡すことで連邦生徒会の追求を躱すだろうと思ったんだけど……】

 「カイザーを襲撃して無理矢理借金返済したってこと……!?」

 「はい……」

 

 セリカはスケールのデカさに驚き、アヤネは残金どれくらいあるんだろうと思い、ホシノは先輩の無鉄砲さに震え、ノノミは苦笑いを浮かべ、シロコは尊敬の眼差しをユメに向ける。銀行強盗より規模がでかいからって師事しようとしないでね……?

 

 「ユメ先輩~?」

 「いや、あのね?これは、あの、その……」

 「……その?」

 「……マネロンはバッチリだよ!」

 

 そういう問題ではない。あはれユメはホシノに連れ去られてしまった!

 

 「あはは……す、凄い先輩ですね」

 「先輩としてセリカちゃんに諭してたのに、自身の先輩がそれ以上の力技でひっくり返されたら立つ瀬がないですよね……」

 「ん、諸行無常」

 「何か違う……てかあんたは泥棒の片棒担がされて大丈夫なの?」

 

 思わぬ所で借金問題がなくなり、反応に困る対策委員会達。セリカは心情的にどうなのか男に聞いてきた。

 

 【其処んところどうなの?】

 「無法が法なれば此方もそれに合わせるまでよ」

 【キヴォトスに染まってきてる……!?】

 「【先生】もノリノリで銀行強盗やってましたよね……?」

 

 ぐうの音も出ない。

 

 「ホシノ先輩救出作戦の裏側で行われてたんですね……」

 「写真見るとボロボロですねぇ」

 「憎きカイザーだけど、こうなると哀れね……」

 「ん、私達が柔の強盗ならこれは剛の強盗。これは強敵」

 【シロコ?】

 

 ライバル視しないで欲しい。

 

 「それよりアビドスの問題は借金だけではなかろう。ユメが言うには砂漠化に砂嵐、地元企業の撤退、オアシスの枯渇、生徒数の減少……」

 「そ、そうね!まだまだ問題は山積みだわ!」

 「カイザーに買収された土地もどうにかしないといけないですし……」

 【借金は大きな問題だったけど、問題の一つでしかないか……】

 「ん、でも借金完済はありがたい」

 「学校の備品類も買い揃えたいですし、利子の支払い分をそこにまわせますね!」

 

 そのままわいわいと四人で喋り出す。少し距離をとってその光景を眺める【私】と男。すると遠くから足音が聞こえてきた。ホシノとユメだろう。

 

 「うへ〜、ただいま」

 「あ、いつもの先輩に戻った」

 「ユメ先輩が居た頃はあんな風でしたよ〜」

 「え?前はもっと尖ってたような気が……」

 「ユメ先輩?」

 「何でもないです……」

 

 力関係は変わってないようで一睨みで黙らせた。目元が少し赤いことからわだかまりは解けたようだ。

 

 「それで先生?お願いがあるんだけど……」

 【何かな?】

 「ユメ先輩をS.C.H.A.L.E(シャーレ)で雇って欲しいんだ」




因みにユメ先輩はサーヴァントに令呪以外で魔力(神秘)を受け渡してはないです。他が肩代わりしてます。でないとトップサーヴァントであるオジマンディアスの宝具をバンバン打てません。カルデアの戦闘見るとそこら辺勘違いしそうになりますよね。
それとキヴォトス人に分かりやすくサーヴァントの説明してる部分は原作と矛盾してるかもしれません。何かあればご報告お願いいたします。
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