最も偉大なファラオ「貴様が余のマスターか?」   作:三島溪山

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遅れました。誤字脱字があれば報告お願いします。


三話

 「ユメ先輩をS.C.H.A.L.E(シャーレ)で雇って欲しいんだ」

 

 ホシノの提案に【私】は首を傾げる。そのまま復学すると思ったんだけど……。

 

 【理由を聞いていいかな?】

 「先輩の学籍データ見るともう卒業してるんだよね。まあこれは連邦生徒会に捜索願出してなかったおじさんのせいなんだけど……」

 「借金返済に奔走してた頃はテストどころじゃなくて在籍さえしてれば自動的に三年で卒業できるんだよね……」

 

 ああ、今のユメは卒業生だから『学生』という身分証明が出来ないのか。

 

 「ん、身分偽造して一年生からやり直せばいい」

 「それも有りかと思ったけどね〜。アヤネちゃんとセリカちゃんに悪いかなあって」

 「酷いよ!?」

 

 留年した先輩(同級生)みたいで対応に困るよね。セリカとアヤネは気を使いそうだし。

 

 「それに企業強盗したお金もう残ってないって言うからね。後輩としては自宅警備員(ニート)になったユメ先輩は見たくないわけで……あ、先輩の借家解約したんだった」

 「うえぇ!?」

 「そりゃ二年もいなけりゃ解約するわよね……無駄金になっちゃうし……」

 【家も残ってないのか……】

 

 ……段々とホシノの意図も読めてきた。ホシノは王様を手元(アビドス)に置くことを望んでない。

 

 「このままだと野宿になりますね」

 「廃墟かブラックマーケットで野宿になる」

 「ブラックマーケットだと浮浪者は身ぐるみ剥がされて売られちゃいますね☆」

 「アビドスに所有者不明の建物はあるけどそんな所で寝泊まりされても困るよ~」

 「その点S.C.H.A.L.E(シャーレ)の居住区なら安心安全よね。【先生】も仮眠室で寝泊まりしてるって聞くし、コンビニだって内部にあるらしいじゃない?昔に求人で見たわよ」

 

 確かに王様の力はキヴォトスの力関係を覆す武器だ。だが、とんでもない劇物には違いない。他の学区にも同じ存在(サーヴァント)がいなければ均衡を生めないのは不味い。

 

 【分かったよ。ユメをS.C.H.A.L.E(シャーレ)所属のスタッフとして雇おう】

 「うへ~、【先生】なら分かってくれると思ったよ~」

 「これで自宅警備員(ニート)にならずにすみますね!」

 「ぐはぁっ!後輩の……裏のない労りが……逆に辛い……ぱたり……」

 「衛生兵ー!」

 「アヤネちゃん……少しは言葉を選びなさいよ」

 「アヤネ、ぐう畜」

 「ええっ!?そ、そんなつもりは……!」

 

 寸劇を他所に先程から何も口を挟まない男を見やる。

 

 【これは貴方の思い通りかな?】

 「アビドスに引きこもり整地に励むのも悪くはないが、S.C.H.A.L.E(シャーレ)に所属する方がこの地に派遣された目的を果たせるだろう」

 【目的……?】

 

 男は口をつぐみ、これ以上言葉を紡ぐことはなかった。

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 太陽も西に降りそうになり、順々に解散していく。私はノノミと教室に残っていた。

 

 「……これで良かったんですか?」

 「まあ、ね……」

 

 【先生】ならともかく、あの男は胡散臭い。言動に嘘はないが重要なことを言ってない。そんな気がする。

 

 「あのままユメ先輩をアビドスに居させたらシロコちゃんと一緒に強盗を繰り返しちゃうよ」

 「あはは……否定できませんね」

 

 だから社会的地位を与えて無茶出来ないようにした。二度としないようにと念押しはしたけどね。

 

 「……」

 

 空気が静かになる。此処の所は色々とあった。黒服に身を売って、ノノミちゃん達が助けに来て、死んだと思ってたユメ先輩が帰ってきた。口喧嘩から行方不明になった先輩……盾しか見つからなくて、砂漠で叫んで、教室で泣き崩れて……後悔が積み重なっていく日々だった。悪夢で眠れない夜もあった。

 

 「(でも、でも……ユメ先輩はアビドスに戻ってきてくれた。可愛げのない私を、酷いこと言った私を助けにきてくれた……!)」

 

 もう失いたくない。次は絶対守り抜くんだ……!

 

 「……さあ~て、そろそろ帰ろうかな。ノノミちゃんも早く帰るんだよ」

 

 借金はなくなったけど土地はまだカイザーの手元にある。明日からはそこら辺を会議しないとね。

 

 

 

 

ーーーーーーーーー

 

 

 

 「囧」

 【囧】

 

 翌日のS.C.H.A.L.E(シャーレ)、そこには地獄が顕現していた。

 

 「泣いてないで手を動かさんかー!」

 「うわあぁああああーホシノちゃんの馬鹿ー!」

 

 初出勤から研修なしで部屋の半分を占領した書類の山を捌くことになったユメ。その原因となった後輩へ恨み言を叫ぶ。元生徒会長故か要領良くこなしていく。

 

 【ここ数日S.C.H.A.L.E(シャーレ)に帰れてなかったからね……】

 「貴様は生徒に応援を求めろ!今更大人の体面を気にするな!」

 

 既に仕事開始から半日が経過していて、【私】は虚ろな目で書類を眺めている。書類の山は増減を繰り返しているが三人もいると減りの方が早い。

 

 【応援は明日の朝から来るよ……というか書類仕事出来るんだね……】

 「地上に在って神王(ファラオ)に不可能なしー!」

 

 最初はソファに頬杖ついて寝転びながら眺めるだけだった王様だが、自身に書類の山が雪崩れ込んできたことで業を煮やして自発的に手伝ってくれている。

 

 【今回は三徹で通常業務に戻れそうだね】

 「うへぇ……これいつも一人でやってたの……?」

 【当番がいない時にはね】

 

 あまり生徒の時間を拘束するのも良くないからね。でも、ユウカは当番がなくても頻繁に来るんだよなあ……何でだろうか?

 

 【それにこれからは人数増えたし、溜め込まなければ定時上がりも出来る筈だよ】

 「王様も頭数に入れてるの……?後が怖いよ……?」

 

 想像より何か十割増しで優しいから大丈夫だよきっと。うん、大丈夫。

 

 【さあて、もう一踏ん張りしようか……!】

 

 この後、朝から来たユウカと一悶着あったが蛇足なので割愛しよう。




アビドス第三章できてませんので矛盾ができるかもしれません。この後は一つや二つ閑話を挟んでゲーム開発部編にいくと思います。
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