ひめ「ねさー、ひめが置いた塵取りしらない?」
ゆめ「わぬらん」
ひめ「えー、ここらへんに会ったはずなんだけどー...」
ひめ「てかネイルしてないでゆめ手伝ってってばー」
ゆめ「えーん」
ゆめが渋々『ザ・ドリーマー』を発動させると、顔のパーツが流動的な黒い大型犬が3体、周囲の柱の死角などから現れた。大型犬らは鈍いパイプオルガンのような鳴き声を放ち、その後どこかへ走り去っていった。
ゆめ「どういうことだってばよ」
ひめ「あっちにあるんじゃね?ひめ見てくる」
そそくさと移動するひめを、ゆめはぼーっと見つめていた。最近、キャンディーロードのいたるところで"物が消える"という現象が多発しているらしい。ニュースでやっていた。
消える物の内容は様々で、市販の生活用品、小さな八百屋さんの食材から、人の内臓、民家の屋根や柱、大工の手にしていた釘など、あらゆる物がぱっと、その場で消えているらしい。
ゆめ「どろぼうね、わるい子だ」
鈍いパイプオルガンのような鳴き声がフェードインしてくる。ゆめが召喚した三匹の大型犬が、小柄な男を引きずって連れてきた。大型犬に襲われたのか男の服はボロボロで、男は傷だらけで、金銭や生活必需品、塵取りを所持していた。
ボタス「ひっひっ、あ、たっ、助けて!!助けて助けて!!すみません、助けてください!!」
ひめ「ねーワンちゃんたち見失ったんだけどー...って、あー。」
ゆめ「たぶん自分専用スペースをつくる能力、変なにおいするし」
ひめ「人の物奪って、そのスペースに持ち込んで使ってたのねーそっかー」
ボタス「えっ?えっ、はい、すみません。はい!本当にすみません。助けてください、許してください、本当にすみません。本当に許してください。」
ゆめとひめが互いに目配せをすると、大型犬たちは男を放って再びどこかへと消えた。さっきまで押さえつけられていた男が安堵した表情でいると、そこにゆめが近付いてきた。
ゆめ「にげれんよ」
ボタス「あ...分かってます...ただちょっと...魔が差して...。」
男が出血した腕を抑えながら続けざまに口を開く。
ボタス「ところで...その...」
ゆめ「え」
ひめ「マジないわ」
ボタス「...この距離なら、俺の方が有利ですよ。」
男が立ち上がってゆめに触れようとする。しかし、ひめの『ザ・プリンセス』で召喚された騎士が男の頭を踏みつけ、男性器を切断。男が絶叫と共にその場に倒れ込む。
ゆめ「めちゃやるじゃん」
ひめ「ごめんやりすぎちゃった。でもひめって天然だからさ。こういうところも可愛いよね?」
ゆめ「かわい」
ひめ「やったー!嬉しいー!ゆめちゃん、ありがとう!」
ゆめ「すきぴ」
ボタス「あ"あ"あ"あ"っ...ああああぁぁ!!!は"あ"っは"あ"っ...う"あ"あ"あ"ああああぁぁぁ、..あ"あ"...あ"っあ"あ"ああ...はっ...はあっ...あ"あ"あ"ぁぁあああああああああ...あ"あ"あ"あ..」
ひめ「でもさーあ、ニュースになってるの、たぶんこいつじゃないよゆめちゃん」
ゆめ「あほだしびみょいけど、スペースにふつう入れないのはホント」
ひめ「そういう事ねー。てかゆめちゃんの能力、ほんっとよく分かんないよね。絶対に入れん領域に入れちゃったらなんでもアリじゃんね。」
ゆめ「ウチもよくわぬらん!」
ボタス「う"あ"あ"あ"ああぁ"ぁ"...ああ"あ"あっああ"っぁあ...ぁ"ぁぁぁあ"あ"あ"、あ"あ"あ"ああ!!!!あ"あ"あ"ああ...ああ、はあああっはああああ、あ"あ"あ"ああああああ!!」
その後、ひめの連絡で駆け付けたキャンディーロード保安隊たちは、男を回収し、十分な療養の上で取り調べを行った。男は自らをボタスと名乗り、ここ最近起きたあらゆる"物が消える"現象の犯人は概ね自分だと述べたが、その一部については身に覚えがないと主張。
後日ボタスの元を訪れた一人の隊員が、上半身が無いまま死亡したボタスと思わしき死体を発見した。
ひめ「ゆめちゃんなににするー?」
ゆめ「ラテらる」
ひめ「ひめはコーヒーにしよっかなー」
ゆめ「やっぱコーヒーにすゆ」