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「―――」
ふと、目が覚めた。
誰も彼も居ない草原、木の葉や花々を撫でる風で瞼を開く。
青い空。
其処には、自分だけが居る。
「……」
世界には、死が溢れていた。
青い空にも。緑の地にも。
草木にも。花にも。
あれもこれも。そう―――この天地を見下ろす、太陽にさえも。
この眼に映る景色全てに、確かな終わりが刻まれていた。
まるで、白に色濃く残った黒の様に。
「消えなかったか…」
小さく、吐き捨てた。
恨む様に。憎む様に。
淡々と。吠える事もせず、ただ一言で、心の中で燃え続ける
死に満ちた世界は、嗚呼…なんて醜く、酷いものだろう。
しかし、まぁ…酷いのは自分か。
滑稽か。或いは、無様か。
こんな事になったのは、こんなモノを視る羽目になったのは―――全て、自分自身の所為なのだから。
「……」
むくり、と、体を起こす。
ゆっくりと起こした体は、小さなものだった。
かつての大きな体はなく、幼い子供の体が此処には在った。
脆く、弱い。小さな、小さな子供の体だ。
そんな子供は、しかし、誰もが視る事の適わない死を視続けている。
「―――哀れだな」
鼻で笑う。
嘲る様に、己を嗤う。
重たい腰を上げ、立ち上がれば、先程よりも
此方に来る人影が見えた。自分と同じくらいの少女が、歩いて来ている。
「やっと見つけた…またこんな場所でサボって」
呆れた様に、黒髪の少女は頭を振っていた。
記憶を辿る。少女を探す。
この少女は誰だろうか。この子供は誰だろうか。
『クレア』
見つけた―――それが、彼女の名前だ。
「クレア…か」
「そうよ。他に誰か居る?」
「居ないな。ところで、何か用か?」
「はぁ…時間になっても、貴方が来ないから探してたのよ、バカ」
「…あぁ、修行か。そうだったな、すまない」
「いいから、さっさと行くわよ。遅れた分、しっかり動くから」
「あぁ、そうだな」
眼に視える
さて。
此処では、何処まで生きていられるのだろうか。或いは、何度死を繰り返すのだろうか。
考えれば考えれる程に―――何も考えたくないと思う。
「……貴方、何かあったの?」
「どうした、いきなり」
歩きながら、問いかけれる。
クレアという少女から、僅かに不信感が漏れた。まるで、見知らぬ人を見ているかの様だ。
だが、それは事実だ。
しかし、それを答える訳にはいかない。
仮に答えたとして―――荒唐無稽な話しにしかならないのだ。
だから、答えはしなかった。
「なんか…雰囲気が違うから。まるで、別人みたいに」
「そうか?」
自然を装い、とぼける様に。
処世術の一種というよりは、演技と言った方が近しいかもしれない。
仮面を造る、自然を装う。どれも、手慣れたものだ。
「悪い夢でも見たからかな。あまり良い気分じゃないのかもしれない」
「ふーん……ちなみに、修行をサボっていい言い訳にはならないわよ」
「それは残念だ」
困ったと、肩を竦める。
修行は疲れる。気苦労が凄まじい。
誰かを殺さない様にするのは、難しいから。