流行りが過ぎ去ってからネタにしてもいいじゃない、脳を焼かれた独立傭兵だもの。 みつを
それと、なんか予約ミスで15分遅刻しました。
遅れて悪いが二次創作なんでな、読んでもらおう。
前提として、先生は今や多忙の身である。
各学園の様々なイベントやトラブルに関わり、生徒たちの悩みを解決もしくは解決の協力をしてきた、連邦捜査部シャーレ。
その果てに、先生はエデン条約調印式で発生したテロリズム被害の主要人物の1人となり、またこの騒乱を収めた中心人物の1人となった。
そうなれば当然、各学園から事情聴取や来賓としての招集もあり。
そういったイレギュラーなイベントを除いたとしても、シャーレが開催する学園を跨いだイベントの開催や、日々の細やかな業務もある。
シャーレの当番の生徒や連邦生徒会、シッテムの箱に住む強力な相棒の手伝いがあるとはいえ、1人の人間に任せるべき業務量でなくなりつつあるというのが実情だ。
……が、それでもなお、先生は生徒たちの様子を見に行くことを止めない。
それはひとえに、先生がただ生徒たちを管理する者ではなく、「先生」であるから、だろう。
そんなわけで、本日の先生はゲーム開発部の様子を見に行くことにした。
ミレニアムサイエンススクールの部活の1つ、ゲーム開発部は、数か月前先生も関わったことのある一団だ。
部長であり、引っ込み思案だが抜群のゲームセンスを持つ花岡ユズ。
調月姉妹を除くもう一組のミレニアムの双子姉妹、姉のゲーム大好きで天真爛漫な才羽モモイと、妹の冷静沈着なイラストレーター才羽ミドリ。
そして、廃墟で巡り合った謎の少女であり、現在はミレニアムの学生として元気に活動している新人勇者、天童アリス。
この4人が、ゲーム開発部のメンバーとなる。
先生が訪れた時にはゲーム「開発部」とは名ばかりで、実際に作ったゲームは1つきり、ゲームで遊ぶばかりでセミナーのユウカにはため息を吐かれるばかりだったが……。
数か月前のミレニアムプライズで結果を残してからは、そこそこの頻度でゲームを発表している。
ゲーム自体の評価は……良ゲー3割、スルメゲー2割、賛否両論3割、クソゲー2割といったところで、決していつも評判が良いわけではない。
しかし先生からすれば、本人たちが、特にかつてはそれをトラウマにしていたユズが、楽しんでゲームを作れているというだけで十分だと思えた。
……まぁ、時々あり得ないレベルで大ヒットするゲームを作ったり、すさまじい規模で関連グッズを作ろうとしてすさまじい勢いで借金を負ったりと。
毎日賑やかな騒動が絶えない部活でもあるのだが。
* * *
さて、そんなわけで。
今日も今日とて先生は、彼女たちが何かやらかしてないか……もとい困ったことが起こってないかと、ミレニアムの部室を訪れたのだが……。
「ミドリ空中機動多すぎ! 食らえっハンドミサ! コーラル! コーラル! ハンドミサ! QB吐けオラッ!」
「ちょ、ちょっと待って!? あと1秒待って!」
「駄目~~~! エネルギー切れてフラフラ落ちてるところに天使砲ドーンッ!! はいスタッガーにぶった切り!! からアサルトアーマー!!
はい勝ち~~~!! BASHO腕さいきょ~~~!! なんで負けたか次回までに考えといてください!」
「うっ、ぐぅ……! オリ先輩、容赦なさすぎ……」
「すごいすごい! これでミドリに3連勝だよ!」
「次はアリスとやりましょう! 今度こそゲロビぶっぱでオリを倒します!」
「アリスちゃん、両手ウォルターライフルはEN負荷も直当ても厳しいよ。片方はスタッガーを取れる武器かプラライとかにしないと……」
先生が訪れた時、ゲーム開発部の部室では、2台のPCを囲んでのゲームでの対戦会が行われていた。
しかし、そこにいるのはゲーム開発部の4人の他にもう1人、参加者がいて。
“オリ、来てたんだ”
「お、先生! いらっしゃーい、奇遇だね~! 今はちょうど年上としての『格』の違いを『理解』らせてたところだよ!」
調月オリ。
ゲーム開発部とも親しくしているらしい少女は、3連敗に項垂れるミドリに「国へ帰るんだな、お前にも姉がいるだろう」とドヤ顔で胸を張った後、先生の方に手を振って来る。
オリは特定の部活には所属していないが、その分図抜けた身体能力を活かし、様々な部活の助っ人に入っている。
今日ゲーム開発部に訪れたのもその一環……。
……というわけではなく、ただゲームで遊びに来ただけらしい。
オリは最近、ゲーム開発部に定期的に出入りしていた。
元より3人とは親しかったが、今やアリスとも距離を置かない仲になっている。
今も体を揺らして再戦をねだってくるアリスと「なはは、アリスちゃんのゲロビ発生分かりやすすぎるんだよ~!」「次のアリスは今までのアリスではありません! アリス弐式の力を見せてやります!」などと言い合っている。
そんな光景を見ながら、先生はオリに声をかけた。
“オリもゲームってするんだよね。あまり印象になかったかも”
「え、本当? 私めっちゃオタクだよ?」
「うわ今の聞いたミドリ? 私たちと絶対分かり合えない人種の発言だよ」
「めっちゃワ◯ピースとか読んでそう。それと先生、いらっしゃいませ」
「こんにちは! アリスたちは今、強化人間勇者となって戦いの日々に身を置いています!」
「ようこそ、先生。来てくださってありがとうございます」
ミドリに続き、アリスとユズも先生に挨拶を投げかける。
ゲーム開発部ともかなり仲を深まった。
かつては先生の前に顔を出すこともなく、出してもおどおどとしていたユズも、今では笑顔を向けてくれるまでになった。
先生に向けられる歓迎のムード。
しかし、その中でポツリとオリが呟いた。
「……実は私ワン◯ース読んだことないんだよね。縁がなくて」
「え!? 何それ人生の全部損してるよ!?」
「◯ンピースだけが生きがいの人じゃん」
「でも確かに、オリ先輩ってあんまり漫画読まないよね……」
「習慣がないんだよねー。ゲームは『あの子』の影響もあってよくやるんだけど」
「あの子? 誰?」
ピクリと、先生の眉が動く。
『あの子』……ゲマトリアのオリヒメ。
オリに少なからぬ影響を与え得る、脅威となり得る存在。
その名を聞いて、少なからず思うところがあったのかもしれない。
“……『あの子』は、ゲームが好きなの?”
「うん、好きらしいよ? 私にこのゲームのアセンの基本とか教えてくれたのも『あの子』だし。昔これにすごくよく似たゲームやってたんだって」
“そうなんだ”
先生の知る限り、オリヒメは肉体を持たず、オリの体に寄生している精神体のような存在。
しかし「昔」「ゲームをやっていた」。そしてオリがそれを「らしい」という伝聞系で語っていることからして……。
オリヒメはかつて、自らの肉体を持っていた、あるいはオリ以外の誰かの肉体を操っていたことになる。
かつて自らを寄生生物に例えたオリヒメ。
けれど、もしもオリヒメが肉体から肉体へと移り替わる能力を持つのならば……。
「不必要」となったオリの肉体を使い捨て、新たな宿主へと移り住む可能性がある、ということだ。
それは、オリヒメの脅威性をより高める推論であり……。
……しかし同時。
先生はこの結論に対し、どこか作為的なものも感じた。
そもそも、オリヒメはこれまでずっとオリの夢の中に潜み、決して外に出てくることはなかった。
その事実からは、ゲマトリアらしい警戒心の強さや、徹底的なまでに情報を隠匿する方針が窺える。
けれど……それなら何故、オリヒメはあそこで多弁に語ったのか。
寄生生物という自身の脅威性を高めかねない比喩を、そして「ゲマトリアを警戒するのは良い方針だ」と語った……。
その語り口調からは、こちらの警戒を解かせるどころか、むしろ強く警戒させるような方向性を感じる。
であれば、オリに「かつてゲームをしていた」と語ったのも、あるいは印象操作の一環の嘘である可能性もあるだろう。
……そんな印象操作によって、オリヒメが何を得ることができるのか、先生には全くと言っていい程想像も付かないのだが。
そうして、胸中ではより警戒を深めながらも……。
「先生もやろーよ! このゲームやったことあるんでしょ?」
“うーん……そうだね、参加しようかな”
オリの言葉に、先生は笑顔で頷いた。
このゲームは発売当時かなり噂になっていたこともあり、先生もプレイしたことがある。
……というか、過去作も含めてほぼ全作プレイしている猛者である。
今回のナンバリングも、まずは普通にクリア、そしてOS強化縛りでクリアした後、そのまま全ミッションSランクを取るくらいにはやり込んでいる。
ただ、それ以来触っていなかったのでブランクもあるだろうが……。
それでも盛り上げるくらいのことはできるだろう、と。
そう思い、参戦することにしたのだった。
「よし! それならゲーム大会しようよ! 6人もいるし、総当たりじゃなくて勝ち抜き戦!」
「賞品は何かあるの? お姉ちゃん」
「賞品は……うーん、次回販売するゲームのラフ画!」
「まだ書いてすらいないんだけど……」
* * *
ゲーム開発部で突発的に始まった、ゲーム大会。
これは勝ち上がりのトーナメント形式であり、まずはモモイとミドリの姉妹対決、アリスと先生の勇者対決が始まったのだが……。
「ここで右腕をパージッ!!」
「パージ!? なら今……!」
「残念アサルトアーマー! からのっ、モモイダガー! モモイパンチ! モモイパンチ! そして再度のモモイダガー! 更にモモイキック!!
どうだっ、これが新たな私の最強コンボ! スーパーモモイカラテだっ!!」
「コンボはすごいけど……まだAP残ってるけど、右腕パージしてどうやって戦うの?」
「…………な、なんとかなれーッ!!」
「せ、先生が照準で捉え切れません! 大人しくアリスの主砲で消し炭になってください! 生徒相手に本気の回避行動は大人げないと思います!」
“この際プライドは抜きだよ。今この瞬間は力こそ全て、私を越えてみせるんだ”
「そもそも軽量機体はズルです! 逃げ回りながらミサイル撃ってるだけで、こっちが一方的に追い詰められます! ノーカウントです! ノーカウント!」
“要らないよね、重武装なんて。それで勝てるって言うんだから”
「そんな、アリスは勇者ですよ!? 最後の、手段を……!!」
“この距離だとワーム砲はまず当たらないし、足を止めるとミサイルに当たるよ”
「うわーん!! ガン逃げは流石に不愉快です!!」
結果として、1回戦はミドリと先生が勝ち上がった。
ここから先は、シード枠にされているオリとユズが参加。
ミドリvsオリ、ユズvs先生の戦いとなる。
……が。
この2戦は、1戦目よりも早く片が付いた。
「はいハンドミサ」
「くっ、甘んじて!」
「え、いいの? じゃあコーラル……はい終わったように見せかけてもう1コーラル」
「それってそんなに遅らせることできるんですか!?」
「できるんだなぁこれが。
ほい天使砲からブッタブッタ、更にキック、後ろQBに併せてアサルトアーマー」
「ぐぅぅぅっ!! ほ、ホントに大人げないです、先輩!」
“攻撃が全然当たらない!?”
「先生のFCS、VE-21Bですよね。近距離の補正が低いから、後は常に照準を切る動きをし続ければ……」
“なんで、ミサイルも……ッ!?”
「ミサイルは見てからQBすれば間に合いますから。これでスタッガー、後はとっつきで!」
“大きすぎる……修正が必要だ……!”
「逃がしません! AB溜めHARRISで終わりです!」
“ぐああっ! ユ、ユズ……インビンシブルだ……!”
どちらも隔絶したプレイヤースキルによって、開始して2分弱で事は済んだ。
特に飛び抜けていたのはユズで、AP……つまり体力の20%も削られないまま、余裕で先生の機体を落とし切った。
試合運びも一方的。終始先生が押され、退こうとして更に詰められ、殆ど抵抗もできずに一方的にしてやられた形だ。
「流石はUZQueen、ゲーム開発部の秘密兵器!!」
「ぱんぱかぱーん! 『ミッション:アリスの敵討ち』達成です!」
「ユズちゃん、あとはオリ先輩を倒せば大会優勝だよ!」
敗れ去ったゲーム開発部3人に背を押され、ユズはオリの前に立つ。
「オリ先輩……」
「ユズ……認めよう、君の力を。今この瞬間から、君は私のライバルだ」
ふざけてそう言うオリに……。
ユズは、小さく、しかし不敵に笑った。
「……勝つのは、私です」
おおっと、ゲーム開発部にどよめきが走る。
ユズは普段、強気な発言はしない。
自分の実力は高いと認めていてもそれをひけらかしたりはせず、誰かと対戦する時も低姿勢で挑むことが多い。
それなのに、今回はオリに「勝つ」と断言したのだ。
これはとても珍しいことだと言えた。
そう思ったのはオリも例に漏れず、目を見開いて言う。
「へぇ……まぁ正直操作精度で勝てる気はしないけど、言うねぇ。ラッキーパンチが当たるかもよ?」
「いいえ、必ず勝ちます」
そう言って、ユズは画面に向き合う。
そうして、懐かしむように一度まぶたを閉じた。
「オリ先輩の動きは……ずっと、見てましたから」
今回のゲーム大会の優勝者は、花岡ユズ。
決勝で見せたのは、APを5%も削られない、一方的な圧勝だった。
「ボコられすぎてあっぷあっぷで、試合内容全然覚えてない……」
“細かいQBでオリの攻撃ほぼ全部避けてたよ”
「イレ、ギュラー……!」
わかる人にはわかるけど分からない人には意味不明回になって申し訳ない。ちょっと遊び過ぎました。
あんまり早く話題にし過ぎるとネタバレとかもあって難しいねんな……。
AC6、今でも定期的にプレイしてるくらいすき。
好きなミッションはレッドガン部隊迎撃とコーラルリリース。
(追記)
誤字報告をいただき、訂正させていただきました。ありがとうございました!