ほぼ思いつきで書きました!誤字があるかもしれませんが、暖かい目で見てください!
3m程の巨体に兄譲りのアホ毛が頭頂に聳える青い髪をした大男、
鈴木 跡羅者(アトラス)。
彼の人生は、とにかく波瀾万丈であった。
兄は自覚している程の超お人好し、両親は超が付くほどの理不尽を見せてくるドクズである。
兄が立ち上がった時も、規格外の非常識を見せた両親。
「見て!アナタ!入間が立ったわよ!」
「お〜!偉いぞ入間〜!!」
母親が嬉々とした表情で、父親によたよたと二足で立ち上がっている彼を見せる。
それを見て父親は、にっこりと笑顔を見せながら、微笑ましそうに見ている。
跡羅者はこの時、生まれ年の変わらぬ兄への並々ならぬ対抗心を発揮し、齢一歳にして、70cmという巨体を精一杯、のっそりともたげ、グイと胸を逸らして自慢げに立ち上がった。
「まあ!跡羅者まで立ち上がったわよ!凄いわ!」
「流石僕らの息子達だ!」
母親と父親の満面の笑みを見て、入間と跡羅者はとても嬉しい気持ちになった。
「だーだー!」
「だ!だ!」
「じゃあ今日から自立だな」
「「……だ?」」
その時、突然父親から言い渡された言葉。
まだ幼い二人は、頭の上にハテナを浮かべながら小首を傾げるばかりである。
「さあ!マグロ漁に行くぞ!」
父親は肩からクーラーボックスを下げながら、サムズアップしている。齢一歳をマグロ漁に連れて行こうなんて正気の沙汰とは思えぬ行為だ。
「「……だ?」」
二人は意味もわからぬまま、齢一歳にして社会に放り出される事となった。
それからというもの……
「うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「グオオオォォォォォォォ!!!」
「オラアァァァァァァァァァ!!!」
入間と跡羅者は、クズな両親のせいで、金を求めて東奔西走、様々な修羅場を14年連れ回された。
家出したり誰かに助けを求めることもできたはずだが、兄の入間は元々の性格も相まって、クズを親に持っているとは思えないほどの超ド級のお人好しとなっていた。その為、よっっぽどのことがない限り、親の指示を断れない性分であった。一方、跡羅者にも彼の性格を大きく揺るがす出来事が起きる。
それは、借金取りに居場所がバレてしまった時、両親はボロいアパートの一室に入間と跡羅者をおとりにし、奥に隠した金庫を見逃してもらおうとしていた。だが、親はここでがめつさを発揮し、まだ幼い跡羅者(既にもう成人男性程の身長)に、こう言った。
「いいかい?お前のその力は、何か(金)を守るために使いなさい」
あからさま自立(勝手に)させた息子がこの意味を理解すると判断し、こう言い残したのだ。
だが、跡羅者はこの「何」かの意味がいまいち理解していなかった。
残されたのは大きい毛布にその中に隠された金庫。
跡羅者は、守るものが何かを探し始めた。しかし、彼には守る動機も理由もあるものがない。
彼は両親の期待に応える為に、必死で探した。嫌われたくないし、誇らしく思って欲しかった。
その時…
ドンッガンッ!!
部屋の戸が、何かに蹴られる音がした。
「ひ、ひぃぃ!!」
跡羅者は、すっかり怯えてしまい、縮こまってしまった。
彼は自分が可能な限り身を丸くして、親指を咥えながら目を潤ませていた。
すると、それを見ていた入間は、金庫を覆っていた毛布をスッと取ると、サッと跡羅者の全身を覆う様に被せ、金庫を重たそうに持ちながら、跡羅者の前に来て、
「…これ……持ってて…」
と、跡羅者にゆっくり金庫を手渡した。そして、金庫と跡羅者を隠す様に布を引っ張り、彼は完全に布に隠された。
「ふぇ?お、お兄ちゃ…」
そう言いかけた時、
ガシャンッ!!
「ひっ!」
その言葉は戸の突き破られる音に遮られてしまった。
「…んだよ…もぬけの殻じゃねえか…」
「……あいつら…ガキだけ残して逃げやがったな…」
聞き慣れない低い声に、跡羅者は恐怖で身がすくみ、声を出せなかった。
「…だが、この短時間で金庫を運べるわけがねえ…おい、ガキ」
「な、なに?」
布の外から、兄の震えた声と、低い威圧感のある声がする。
「金庫知らねえか?」
「き、きんこ?」
「あぁ、金庫だ。知ってるだろ?なあ…(チャキッ)…教えろよ」
「ふ、ふぇぇ…」
兄の一層怯えた声に、跡羅者はさらに恐怖を覚えると同時に、自分への悔しさが込み上げた。
何も守れやしない。守ろうともできない。そう思うと、彼の目からは、大粒の涙が溢れ、ポタポタと落ちていった。
「……おぉ…?そこにもいんのか?」
「だ、だめっ!」
涙の音と布が震えていることに気がついたのか、借金取りの一人が布に向かおうとした。そこに、入間は果敢に足にしがみつき、それを阻止しようとする。
「チッ!離せ!撃つぞガキぃ!」
「だめ!跡羅者には…指一本触れさせないっ!!」
その時、跡羅者は目を見開いた。あの、臆病でお人好しで少し頼りない兄が、こうして、身を挺して自分を守ろうとしている事に、彼の中からは、何か、熱いものが込み上げていた。父親の言っていた『お前のその力は、何かを守るために使いなさい』という言葉。彼はこの時不思議と、何を守らなければならないのかを、直感的に理解した。
先ほどまで恐怖で硬直していた身体を、恐怖を容易く塗り潰す、内側から溢れ出る使命感が突き動かす。
普段では到底出せない様な力が、彼の奥底から溢れ出して来た。
「まあ、なんて美しい兄弟愛だ!さっさと死にな」
男の一人が、しがみつく入間の頭を鷲掴みにし、こめかみに銃口を向ける。
「にーちゃんから離れろぉ!!」
跡羅者は、その溢れ出る力で、重い金庫を軽々と持ち上げ、その男に思い切り投げ飛ばした。
「!?!ぐあぁ!」
男の胴体に金庫が直撃し、男は部屋の壁に強く叩きつけられ、壁にはヒビが入る。
入間を足枷のように引きずっていた男は、動揺しながらも、跡羅者に銃口を向けている。
「……そんな物向けちゃダメ!」
跡羅者は、ゆっくり男に歩み寄ると、横から拳銃を引っ掴み、それを空き缶のようにバキベキと容易く握り潰した。男は血相を変え、入間を引き剥がすなり、真っ青な顔をしながら、悲鳴をあげて一目散に逃げていった。
「おにーちゃん!だいじょーぶ!?」
「あ…うん、大丈夫だよ!跡羅者!ありがとう!」
入間は少しよろめきながらも立ち上がると、まるで太陽の様な、キラリと輝く笑顔を見せながら、跡羅者は、幼い頃からライバルとして、兄として見ていた入間という存在を、より一層、好きになり、守りたくなったのを感じた。
「……うん!!これからは、おれが守ってあげるよっ!!」
跡羅者は、鋭い犬歯を見せながら、にんまりと笑いながら、大きく逸らした胸をドンッと叩いた。
「……こほっこほっ…」
「あぁ!!大丈夫!?」
しかし、胸を叩いたのがなかなかきたのか、咳き込んでしまった。
入間はそれを微笑ましげに見ながら、背中を優しく摩っていた。
この時彼は、自分の使命が何かを幼いながらも悟った。
それは……『入間を守る事』である。
時は今に戻る。
「グオオオォォォォォォォ!!!」
「オラアァ!!かかってこいやクマ公ぉぉぉぉぉ!!!兄ちゃんには指一本触れさせないからなぁ!!」
巨大なヒグマ相手に、なんとそれより一回り大きい跡羅者は、目を血走らせながら、拳を構えている。
ヒグマはちょこまかと自分の攻撃を全て避け切る入間に嫌気がさしており、いつにも増して荒ぶっているのだ。
その為、自分より大きい跡羅者に普通なら恐怖して逃げるところだが、今はそんなことを考えている気持ちの余裕などなかった。
「グオォォォォォォォォォォォォォォォ!!!!!!」
クマが前足を振り上げ、爪が太陽の光を受けて輝く。
まもなくして、風を切りながら、クマも逞しい前足が右手を握り締める跡羅者に振り下ろされる。
「……あっぶねぇな」
跡羅者は右に身を逸らしてかわし、後ろにあった木がその鋭い爪の餌食となり、爪痕が刻まれる。
「……横がガラ空きだぞクマ公ぉぉ!!」
跡羅者は木を引っ掻いた後の隙を逃さず、クマの脇腹目掛け、構えていた拳を思いっきり叩き込んだ。
「グオぉぉ!!」
クマは柔らかい脇腹に強いダメージを受け、大きくよろける。
「隙ありぃぃぃ!!!」
すかさず跡羅者はクマに距離を詰め、大きく身を後ろに逸らし、勢いに乗せてクマの額に頭突きを喰らわせた。
「グォ…」
クマは短く唸ると、ドサッと地面に力無く倒れた。
「…ふぅ…なんとか倒せたよ…兄ちゃん!大丈夫?」
跡羅者は、少し血の滲んだ額を腕で拭うと、倒れている入間を助け起こした。
「…うん、大丈夫、いつもありがとね、跡羅者」
入間は少し尻餅をついた為痛む腰を摩りながら、笑顔でそう言った。
「いいよ、兄ちゃんを守るのが俺の役目だからな!」
跡羅者はサムズアップしながら笑顔で答えた。
「それにしても、俺達が釣った魚にここまで執着してくるとはな…さ、帰ろう!今日は焼き魚だろ?楽しみだなー!」
跡羅者は倒れたクマを眉を顰めながら見た後、魚が入ったクーラーボックスを肩に掛け、笑顔で歩き出した。
「そうだね!」
入間も笑顔でそれに続き、二人で他愛も無い会話をしながら、家へと帰るのであった。
入間くんってなんだか守りたくなりますよね〜
続くかはまだ未定です!