なんとか今週中に出せました
「……それでは、アビドス対策委員会の定例会議を始めます」
「本日は問題解決の要である先生にもお越しいただいたので、いつもより真面目な議論ができると思うのですが……」
「は~い☆」
「もちろん」
「何よ、いつもは不真面目みたいじゃない……」
「うへ、よろしくねー、先生。でも大丈夫?顔色悪いよ」
「……気にするな、ちょっとした悪夢を見ただけだ」
「あまり無理はなさらないでくださいね」
「コホン、早速議題に入ります。本日は、私たちにとって非常に重要な問題……「学校の負債をどう返済するか」について、先生から説明していただき、それに基づいた具体的な計画を議論します」
「それでは先生、お願いします」
「はいはい。まず俺たちの現状から再確認していくぞ。現在この校舎と周辺地域を除いた自治区の所有権がカイザーコンストラクションに渡っている。大方生徒会の連中が借金を返すために売り払い続けていたんだろうな」
「何やってんのよ、その生徒会のやつらは!! いくら借金の返済のためとはいえ学校の土地を売る? それもカイザーコーポレーションなんかに!? 学校の主体は生徒でしょ!? どうしてそんなこと……っ!!」
「ムカつく気持ちは分からんでもないがそこまでにしておけセリカ」
「だって先生……!!」
「人間追いつめられると自分の行いが正しいことなのか理解できなくなるんだよ。そうして間違い続けて挫折して初めて気付けるんだよ」
「第一それぞれの学校の自治区は学校のものと考えて当然だ。何か問題が起きなければ所有権なんか気にもしないだろうし、ましてやお前たちは借金返済に集中していたのだから気づけなかったのは……しょうがないことだ。取引の書類ぐらい保存してあるだろうから後で確認しておけ」
「無理してフォローしなくて大丈夫だよ先生。そっかー、生徒会がかぁ……」
「ホシノ先輩……」
「大丈夫だよシロコちゃん、ただ副会長だったのにちゃんと詳細を把握してなかったんだなぁって」
「え!? ホシノ先輩副会長だったの!? 初めて聞いたんだけど!?」
「言ってないからねー、まあ私もその辺の生徒会の先輩たちとは、実際に関りは無くってさー」
「私が生徒会に入った時には、もう生徒会の人たちはほとんど辞めちゃってたから」
「その時はもう在校生も二桁になってたし、教職員もいない。授業なんてものは、もうとっくの昔に途絶えてた」
「生徒会室も、そうと言われなければただの倉庫にしか見えないところだったし、引継ぎ書類なんて立派なものは一枚も無かった。ちょうど砂漠化を避けようとして、学校の建物を何度も移してた時期だったってこともあってね」
「そもそも最後の生徒会って言ったって、新任の生徒会長と私の二人だけだったし」
「……その生徒会長は無鉄砲で、会長なのに校内でも随一のバカで……私の方だって、嫌な性格の新入生でさ」
「いや~……何もかもめちゃくちゃだったよ」
「校内随一のバカが生徒会長……? 何それ、どんな生徒会よ……?」
「個人の能力や成績と役回りは別だぞ」
「ん、先生の言う通り」
「そもそも、セリカちゃんも成績はそんなに……」
「わ、分かってるってば!! どうして急に私の成績の話になるわけ!? 一応ツッコんでおいただけじゃん!?」
「うへ~、いやいや、正にその通りだよ。生徒会なんて肩書だけで、おバカさん二人が集まっただけだったからね」
「何の間違いだか、生徒会なんかに入っちゃって……いや~、あの時はあちこちに行ったり来たりだったねぇ」
「ほんっとバカみたいに、なんにも知らないままさ……」
「…………」
「ホシノ先輩……」
「その言葉を今すぐ訂正しろ小鳥遊ホシノ」
「先生……?」
「えっと、どうしたの先生? おじさん何か変な事言っちゃったかな?」
「確かに何も知らなかったことは愚かに違いない。だがお前だけはその行いを侮辱することは決して許されないことだ。当事者であるお前が侮辱してしまえばお前と共に駆け回った生徒会長すら侮辱することになる」
「それは……」
「いいか!! 俺たちは最後の生徒会長を知らない。俺たちは残された情報を基にどんな人物だったのかを考えるしかない。だがお前は、お前たち生徒会はこの校舎を守り切った!! 例え所有権のことに気づけなかったとしても、借金をどうにかすることが出来なかったとしてもお前たち生徒会はこの校舎を最後の砦として守り切った!! その活躍を、その意思を直接見ていたお前だけは侮辱してはならないんだよ!!!」
「
「そっか……ありがとね、先生。私は意思を紡げたんだね」
「話を戻すぞ。カイザーにアビドスのほとんどの土地の所有権が渡っていたのに、連中はヘルメット団をけしかけてきた。つまりアビドス全域を手に入れることがカイザーの目的と考えられる」
「アビドス全域って一体何が目的なのかしら。こんなこというのもあれだけどうちには砂漠ぐらいしか残ってないわよ」
「何か砂漠にでも埋まってるんだろうな。まぁそんなことは置いておいて、土地の所有権の大半がカイザーになっていることに気付いた俺は急いでカイザーから柴関ラーメン近辺の土地の所有権を購入した」
「ちなみに金額は……」
「…………さて、そうして土地を購入した俺はお前らと出会いカイザーのことを話したわけだ」
「ちゃんと金額を教えてよ先生!」
「私たちが所有権を取り戻すときの参考にしたい」
「バカにならん金額だから言えないんだよ!!」
「とにかく、これが俺たちの現状だ。これからの計画だが、まずこの間話したようにカイザーの襲撃を行う」
「ん、銀行強盗!」
「余計なことはするなよシロコ! 俺たちはお前たちからの集金を記録している書類を回収をする」
「毎月の返済額はいくらになってるんだセリカ」
「利息だけで788万円よ。私たちも頑張って稼いでいるけど全然追いついてない」
「利息だけで788万!? よく稼いでるなお前ら!? そんだけあればヘルメット団に補助金として提供できるだろうな」
「あいつら……!!」
「前にも話したが次の集金日にカイザーローンを襲撃する。各々準備や覚悟をしておけよ」
「準備って何を準備するのよ?」
「そんなの覆面に決まってる。はい、みんなの分も準備しておいた。でもごめん、先生の分は用意してなかった」
「逆に用意できてたら怖ぇよ……」
「いつの間にこんなものまで……。シロコ先輩、もしかして以前から銀行強盗を考えていたんですか?」
「ん、5分で一億稼げる!」
「……提案した俺が言うのもあれだが、強盗は犯罪行為だぞ」
「うわー、これ、シロコちゃんの手作りー?」
「わぁ、見てください!レスラーみたいです!」
「…………」
「いやー、いいねぇ。人生一発でキメないと。ねぇ、セリカちゃん?」
「そんなわけあるか!! 却下! 却下ー!!」
「そっ、そうですっ! 今回は集金書類を回収するために銀行強盗をするのであって、本来犯罪はいけませんっ!」
「…………」
「そんなふくれっ面してもダメなものはダメです、シロコ先輩っ!」
「現状話せるのはこれぐらいだ。前にも言ったが普段通りに生活してくれればそれでいい」
「ちゃんとゲヘナとトリニティに協力してもらえるのよね先生?」
「まぁ何とかなるだろ」
「何とか!? もしかして先生、あれだけ豪語しておいてノープランだったなんて言わないわよね?」
「不確定要素が多すぎるんだよ!!」
「とにかく! 借金問題の具体的な解決策は俺が練っておくから、お前たちは個人個人の案を挙げて行けばいい」
「カイザーの関係者がいつどこに潜んでいるか分からんというのもあるが、純粋にお前らがどんな案を出すのか気になってな」
「いやぁー、悪かったってば、アヤネちゃーん。ラーメン奢ってあげるからさ、怒らないで、ねっ?」
「怒ってません……」
「はい、お口拭いて。はい、よくできましたねー☆」
「赤ちゃんじゃありませんからっ」
「……なんでもいいんだけどさ、なんで、またウチに来たの?」
「アヤネ、チャーシューもっと食べる?」
「ふぁい」
「……先生、あんた大丈夫か?」
「助けてくれヘラクレス……」
「何を言っているか分からんがこれは重症だな」
今まであんなノリと勢いで定例会議をしていたとか嘘だと言ってくれ……。泥酔したアルゴノーツメンバーの方がまだマシな話をできるとか信じたくねぇよ……。
というよりセリカの教育をちゃんとしておけよ、なんであんなあからさまな詐欺に引っかかってるんだよ。スクールバスをハイジャックとか正気か? 思いっきり犯罪だろそれ。
もしかしてキヴォトスの治安はギリシャよりひどいのか? いつどこにいても銃声聞こえるし。だが神の領地や神殿に迷い込むこともなければ、神の気まぐれに巻き込まれることもない点でいえばまだマシな気がしてくる。
スクールアイドルは一番マシな案だが、運営とかやりたくないので却下。
「もう考えるのを止めて力技に走るべきか? だがこれでは根本的な問題の解決には……」
「先生も何か食べてくか? 見たところ今日は弁当持ってないようだが」
「今は何も食えねぇ……」
「…………」
「あ……あのう……」
「いらっしゃいませ! 何名様ですか?」
「……こ、ここで一番安いメニューって、お、おいくらですか?」
「一番安いのは……580円の柴関ラーメンです! 看板メニューなんで、美味しいですよ!」
「あ、ありがとうございます!」
あいつ便利屋の伊草ハルカか。ここで出会えたことは大きいが、なんで安いメニューなんか聞いたんだ? この間依頼した時にそれなりに報酬金を出したはずなんだが……
「えへへっ、やっと見つかった、600円以下のメニュー!」
「ふふふ。ほら、何事にも解決策はあるのよ。全部想定内だわ」
「そ、そうでしたか、さすが社長、何でもご存じですね……」
「はぁ……」
「4名様ですか? お席にご案内しますね」
あの背の高い長髪が「金さえもらえば何でもやる」便利屋の社長陸八魔アルか。アウトローを名乗っているらしいが、異聞帯のクリプターと同じように表情や凝った服装で誤魔化してるだけに違いない。
大方高校デビュー?とやらをした善人だろうが確かな実力とカリスマを持った存在でもある。こいつらもこっち側に引き込めれば勝ち筋が見えてくる
「んーん、どうせ1杯しか頼まないし大丈夫」
「一杯だけ……? でも……どうせならごゆっくりお席へどうぞ。今は暇な時間なので、空いてる席も多いですし」
「おー、親切な店員さんだね! ありがとう、それじゃあお言葉に甘えて」
「あ、わがままのついでに、箸は4膳でよろしく。優しいバイトちゃん」
「えっ?4膳ですか? ま、まさか1杯を4人で分け合うつもり?」
「ご、ご、ごめんなさいっ。貧乏ですみません!! お金がなくてすみません!!」
「あ、い、いや……! その、別にそう謝らなくても……」
「いいえ!お金がないのは首がないのも同じ!生きる資格なんてないんです!虫けらにも劣る存在なのです!虫けら以下ですみません……!」
……勝ち筋が見えてくる、はずだ
「はぁ……ちょっと声デカいよ、ハルカ。周りに迷惑……」
「そんな! お金がないのは罪じゃないよ! 胸を張って!」
「へ? ……はい!?」
「お金は天下の回りもの、ってね。そもそもまだ学生だし! それでも、小銭をかき集めて食べに来てくれたんでしょ? そういうのが大事なんだよ! もう少し待っててね。すぐに持ってくるから」
「……何か妙な勘違いをされてるみたいだけど?」
「まぁ、私たちもいつもはそんなに貧乏ってわけじゃないんだけどね。しいて言えば、金遣いの荒いアルちゃんのせいだし」
「この間も言ったけど「アルちゃん」じゃなくて社長でしょ?ムツキ室長、肩書はちゃんと付けてよ」
「ん? だってもう仕事終わった後じゃん? ところで、社長のクセに社員にラーメン1杯奢れないなんて」
「…………」
「今日の襲撃任務に投入する人員を雇うために、ほぼ全財産使っちゃったし……」
「この間の任務でこの付近のヘルメット団を片付けたせいで、そのお金も今回使う羽目になったしね」
……襲撃任務ね、大方あいつ等もカイザーに雇われてるんだろうな。
「ふふふ。でもこうして実際ラーメンは口にできるわけでしょ? それぐらい想定内よ」
「たったの1杯分じゃん。せめて4杯分のお金は確保しておこうよ……」
「ぶっちゃけ、忘れてたんでしょ? ねぇ、アルちゃん。夕飯代取っておくの、忘れてたんでしょ?」
「……ふふふ」
「はぁ。ま、リスクは減らせた方がいいし。今回のターゲットは、ヘルメット団みたいなザコには扱えないってことには同意する」
「でも全財産をはたいて人を雇わなきゃいけないほど、アビドスは危険な連中なの?」
「依頼主から聞いた情報によると、ある日突然アビドスの兵力が増強されたそうよ。さらにはアビドスを襲撃しようとしたカタカタヘルメット団が一瞬のうちにやられたみたいね」
「カタカタヘルメット団の殲滅に関しては見当がつかないけど、アビドスの兵力が増強されたのは恐らく最近噂の……」
「あそこに座ってるシャーレの先生だろうね」
「あ、あの人がですか……」
この間の依頼人でもあることはバレてないみたいだな。なら依頼のやり取りを此処に呼び出して行えば比較的スムーズに進むだろ。陸八魔そういうのすきそうだし
「ふふふ、失敗は許されない。あらゆるリソースを総動員して臨むわ。それが我が便利屋68のモットーよ!」
「初耳だね、そんなモットー……」
「今思いついたに決まってるよ」
「うるさい! じゃあ今回の依頼を成功させて報酬が手に入ったら、すき焼きにするわ! だから気合を入れなさい、みんな!」
「すっ……すき焼きとはっ……!? それは一体!?」
「大人の食べ物だね、すごく高価な……」
「う、うわあ……私なんかが食べていいものなんでしょうか?食べた後はハラキリですか……?」
「ふふふ。うちみたいなスゴイ会社の社員なら、それぐらいの贅沢はしないとね」
「へえ~やる気満々じゃん、アルちゃん」
「「アルちゃん」じゃなくて、社・長!!」
「はい、お待たせしました! お熱いのでお気をつけて!」
「ひぇっ、何これ!? ラーメン超大盛じゃん!」
「ざっと、10人前はあるね……」
「こ、これはオーダーミスなのでは? こんなの食べるお金、ありませんよう……」
「いやいや、これで合ってますって。580円の柴関ラーメン並! ですよね、大将?」
「ああ、ちょっと手元が狂って量が増えちまったんだ。気にしないでくれ」
「大将もああ言ってるんだから、遠慮しないで! それじゃ、ごゆっくりどうぞー!」
よし、これで便利屋からのこの店の評価は高まった!! よくやった! セリカに大将!!
「う、うわあ……」
「よくわかんないけど、ラッキー!いっただきまーす!」
「……ふふふ、さすがにこれは想定外だったけど、厚意に応えて、ありがたく頂かないとね」
「食べよっ!」
「「「「!!」」」」
「お、おいしいっ!」
「なかなかイケるじゃん? こんな辺鄙な場所なのに、このクオリティなんて」
「でしょう、でしょう? 美味しいでしょう」
「あれ……? 隣の席の……」
「うんうん、ここのラーメンは本当に最高なんです。遠くからわざわざ来るお客さんもいるんですよ」
「そうなのか大将?」
「ああ、ありがたいことにな」
「ええ、わかるわ。色んな所で色んなものを食べてきたけど、このレベルのラーメンはなかなかお目にかかれないもの」
「えへへ、私たち、ここの常連なんです。他の学校のみなさんに食べていただけるなんて、なんか嬉しいです……」
「その制服、ゲヘナ? 遠くから来たんだね」
「私、こういう光景を見たことがあります。一杯のラーメン、でしたっけ……」
「うへ~、それは一杯のかけそばじゃなかったっけ?」
「……連中の制服……」
「あれ、ホントだ」
「うふふふっ! いいわ、こんなところで気の合う人たちに会えるなんて。これは想定外だけど、こういう予測できない出来事こそ人生の醍醐味じゃないかしら」
「アルちゃんはアビドスどころか先生にも気づいてないみたいだけど?」
「……言うべき?」
「……面白いから放っておこ」
お前ら仲良くしてるところ悪いが、この後戦うことになるぞ。言うべきか? いやこの間盛り下げるようなこと言うなって言われたから今は黙っておくか
3月は色々と忙しいので更新頻度がよりひどくなるかもしれません
イベストと恋愛要素は必要?
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