イアソンってキヴォトスだと基本的に食事とお酒にしかお金使わないと思うんですよね。プラモデルに関してもロボット系はカルデアやギリシャで見慣れてますし。何よりプラモデルよりもボトルシップの方にお金かけそうです
「……ここまで来れば大丈夫でしょう」
「ふむ……ここをかなり危険な場所だって認識しているんだね」
「えっ? と、当然です。連邦生徒会の手が及ばない場所のひとつですから……」
「俺の方を見るな。いつか手をつけるつもりではあるんだよ」
「ブラックマーケットだけでも、学園数個分の規模に匹敵しますし、決して無視はできないかと……」
「それに様々な【企業】が、この場所で違法な事柄を巡って利権争いをしていると聞きました」
「それだけじゃありません。ここ専用の金融機関や治安機関があるほどですから……」
「銀行はともかく、警察があるってこと……!? そ、それってもちろん、認可されていない違法な団体だよね!?」
「はい……そうです」
「スケールがケタ違いですね……」
「中でも特に治安機関は、とにかく避けるのが一番です……。騒ぎを起こしたら、まず身を潜めるべきです……」
「お前ここに詳しすぎるだろ……」
「先生の言う通りヒフミちゃん、ここのことに意外と詳しいんだねー」
「えっ? そうですか? 危険な場所なので、事前調査をしっかりしたせいでしょうか……」
「だとしても数回は入り浸っていないと地形の把握なんぞできるか。お前出席日数足りてるのか?」
「あうう……」
「よし、決めたー」
「…………?」
「助けてあげたお礼に、私たちの探し物が手に入るまで一緒に行動してもらうねー♪」
「え? ええっ?」
「わあ☆ いいアイデアですね!」
「なるほど、誘拐だね」
「はいっ!?」
「二度と誘拐というなよシロコ。外交問題になったらどうする気だ。トリニティとの戦いなんざほぼ負け戦だぞ」
「誘拐じゃなくて、案内をお願いしたいだけでしょ? もちろん、ヒフミさんが良ければ、だけど」
「あ、あうう……私なんかでお役に立てるかわかりませんが……アビドスのみなさんにはお世話になりましたし、喜んで引き受けます」
「よーし。それじゃあ、ちょっとだけ同行頼むねー」
「アルちゃん、何してんの? 電話でないの?」
「…………」
「表情が暗い……もしかしてクライアント……?」
「うわ、そりゃそんな顔にもなるわ。失敗したって報告しないとじゃん?」
「アル様……」
「……くっ」
「はい……便利屋68です」
『……ふむ、興味深い報告だ』
『ここまでの練習は拝見したよ。で、実戦はいつだ?』
「……うえ? あれが実践だったんです……が……」
「あ、いえ、何でもありません。も、もちろん実戦はすぐにでも……という感じで……あ、えっと、1週間以内には……はい」
「!?」
「!!」
「ふふっ。はい、そうです。……お任せください」
「やつらのデータ自体は正確な物だったはず」
「計算ミスか? いや、しかしあの力は明らかに……」
「それにあの男、確か数日前にラーメン屋近辺の土地を購入した顧客データに似ている……」
「……お困りのようですね」
「……いや、困ってはない。ただ、計算に少しエラーが生じただけだ。アビドスの連中が、データより遙かに強かっただけのこと」
「……データに不備はありません」
「……?」
「これは単に、アビドスの生徒がさらに強くなった、と解釈すべきかと」
「それは一体……」
「アビドスにどのような変化要因があったのか、確認してみましょう。では」
「…………」
「クックックック……シャーレのイアソン先生。キヴォトスの外に存在する神話の一つ、ギリシャ神話に登場する最古の英雄船団【アルゴナウタイ】の船長と同じ名前であり、類まれなる指揮能力の持ち主。……興味深い」
「……はあ」
「やつれたねえ、アルちゃん」
「社長、一体どういうこと……? まさか、また戦うの?」
「……あのクライアントは、私も詳しくは知らないけど、超大物なのよ。……この依頼、失敗するわけにはいかないわ」
「…………」
「だけどアビドスの連中、思ったより強かったじゃん。それに、あの【シャーレ】の先生が一緒にいるから、私たちだけじゃ無理だよ」
「お金も全部使い果たしちゃったしね。どう戦うのさ?」
「わっ、私がバイトでもしてきましょうか?」
「その稼ぎで傭兵を雇うには、全員あとは一年は働かないと……」
「こんな高いオフィスなんか借りてるから、無駄にお金ばかりかかってるじゃ……」
「う、うるさいっ! ちゃんとした会社なら、事務所は基本でしょ! そのほうが仕事の依頼も増えるんだから!」
「別に、私は前みたいに公園にテントでも構わないけどー?」
「黙りなさいよ! みんなうるさい! 静かに!!」
「……融資をうけ……」
「……え?」
「あれ?」
「も、もしかして……」
「……依頼の電話?」
「……!! アル!!」
「はい、便利屋68です」
『よぉ久しぶりだな便利屋68。元気そうで何よりだ』
「その声は、前に一度依頼をしてきたジェイソンかしら?」
『お前らのような実力者に覚えてもらえているとは光栄だな』
「それで? 今回はどんな依頼かしら? 私たちは今とあるクライアントから重大任務を受けているの。あなたには悪いけど、生半可な依頼はお断りよ」
「なんでここでこういうことを……」
「まあアルちゃんらしいねー」
『……へぇ? 報酬金が500万クレジットでもか?』
「ご、500万クレジットですって!!??」
「うそ!?」
「ご、500万ってとんでもない大金じゃないですか」
「アル! 慎重に判断して!」
『この金額はお前らの実力を見込んだ額だ。どうだ受けるか?」
「アルちゃん、どうするのー?」
「アル様……」
「アル……って、気絶してる。変わるよ。悪いけど500万なんてとんでもない額の依頼を簡単に引き受けることなんてできない」
『何、簡単な依頼だ。明日アビドス地区に存在する柴関ラーメンに10時に集合してくれ。そこでお前たちを雇いたい』
「それを信じろと?」
『これは人命が掛かった依頼でもある』
「「「「!?」」」」
『この依頼を受けるかどうかはお前たちの自由だ』
『お前たちがこの依頼を受けてくれることを願っている。それじゃあな』
「ちょっと待って! 人命ってどういう!?……切れた」
「……えっと、どうするのアルちゃん? なんかヤバそうだよ」
「じ、人命って、誰かの命が掛かっているってことですよね……」
「……正直に言って私は反対。人命が掛かってると言われてもそれが事実であることを証明する情報が少なすぎるし、失敗した時のリスクが大きすぎる」
「……いいわ。この依頼受けましょう」
「アル、正気?」
「もし本当に人命が掛かっているのだとしたら、見過ごせないわ」
「くふふ、アルちゃんがそういうなら私も賛成かなー」
「わ、私はアル様に従います」
「はあ……しょうがないか。いいよ、私も賛成。でも明日の説明で不審に思ったらちゃんと断ってね」
「ええ、わかったわ」
「それでこれからどうするのアルちゃん? さっきの依頼を受けたとしても報酬の支払いがいつかわからない以上、傭兵を雇うお金を別口で用意する必要があると思うんだけど」
「……これから融資を受けに行くわ」
「は? アルちゃんはブラックリスト入りしてるでしょ」
「違うわよ! 私は指名手配されて口座が凍結されただけ!」
「そうだっけ? ……あ、そうだった。風紀委員会にやられたんだよね」
「くっ、風紀委員会め……ここまで痛めつけられるとは思わなかったわ」
「中央銀行も、行ったところで門前払いだろーね」
「うるさいってば! 他にも方法はあるんだから!」
「…………」
「見てなさいよ、アビドス。このままじゃ終わらせないんだから」
「便利屋のミッションはこれからなのよ!」
「…………」
「へー、一体どうするつもりなんだろ」
「はあ……しんど」
「もう数時間は歩きましたよね……」
「これはさすがに、おじさんも参ったなー。腰も膝も悲鳴を上げてるよー」
「えっ……ホシノさんはおいくつなのですか……?」
「ほぼ同年代っ!」
「あら! あそこにたい焼き屋さんが!」
「あれ、ホントだー。こんなところに屋台があるなんてね」
「あそこでちょっとひと休みしましょうか? たい焼き、私がご馳走します!」
「えっ!? ノノミ先輩、またカード使うの!?」
「先生の【大人のカード】もあるよ~」
「ううん、私が食べたいからいいんですよ☆ みんなで食べましょう、ねっ?」
「いや、俺のカードを使え」
「ですが……」
「普段食事と酒にしか使わんと言うのに今セリナに酒を禁止されていて貯まっていくばかりだ。たい焼きぐらい買ってやる」
「というか、学生がカードで一括払いばかりするな。どこぞの妖精王みたいなことになりかねん」
「妖精王? のことはよくわかりませんが……ありがとうございます先生」
「それじゃ先生、ゴチになりまーす」
「まいどー!」
「おいしい!」
「いやぁ、ちょうど甘いモノが欲しかったところだったんだー」
「あはは……いただきます」
「ほら……先生も」
「すまんなシロコ。……ふむ、カルデアのキッチンには劣るが悪くない味だ」
「……前から気になってたんだけど、先生がちょくちょく話題に出す【カルデア】って何なのよ?」
「……お前らと同年代の子どもが懸命に戦い抜いた拠点だよ」
「ふーん、なんか訳ありな感じね」
「アヤネちゃんには、戻ったらちゃんとご馳走しますね。私たちだけでごめんなさい……」
「あはは。大丈夫ですよ、ノノミ先輩。私はここでお菓子とかつまんでますし……」
「しばしブレイクタイムだねー。そういえば先生、さっきどこかに電話してたみたいだけど何かあったの?」
「あー……業務連絡してたんだよ」
「ここまで情報がないなんてありえません……妙ですね」
「お探しの戦車の情報……絶対どこかにあるはずなのに、探しても出てきませんね……」
「販売ルート、保管記録……すべて何者かが意図的に隠しているような、そんな気がします」
「いくらここを牛耳っている企業でも、ここまで徹底してブラックマーケットを統制することは不可能なはず……」
「そんなに異常なことなの?」
「異常というよりかは……普通ここまでやりますか? という感じですね……」
「ここに集まっている企業は、ある意味開き直って悪さをしていますから、逆に変に隠したりしないんです」
「こりゃ本格的にアビドスを潰しに来ているな」
「あいつら……!!」
「例えば、あそこのビル。あれがブラックマーケットに名を馳せる闇銀行です」
「闇銀行……!!」
「ブラックマーケットで最も大きな銀行のひとつです。聞いた話だと、キヴォトスで行われる犯罪の15%の盗品があそこに流されているそうです……」
「横領、強盗、誘拐などなど、様々な犯罪によって獲得した財貨が、違法な武器や兵器に変えられてまた他の犯罪に使われる……」
「そんな悪循環が続いているのです」
「……そんなの、銀行が犯罪をあおっているようなものじゃないですか」
「その通りです。まさに銀行も犯罪組織なのです……」
「…………」
「ひどい! 連邦生徒会は一体何やってんの?」
「理由はいろいろあるんだろうけどねー、どこもそれなりの事情があるだろうからさ」
「現実は、思った以上に汚れているんだね。先生にいろいろ教えてもらっていたけど、外のことをあまりにも知らな過ぎたかも……」
「やはりブラックマーケット自体を……だが、そんなことをすれば反感を買いかねん。しかし……」
「先生どうしたの?」
『お取込み中失礼します! そちらに武装した集団が接近中!」
「!!」
『気付かれた様子はありませんが……まずは身を潜めた方が良いと思います……』
「う、うわあっ!? あれは、マーケットガードです!」
「マーケットガード?」
「先ほどお話した、ここの治安機関の中でも最上位の組織です! 急ぎましょう!」
「……パトロール? 護衛中のようですが……」
「トラックを護送してる……現金輸送車だね」
「あれ……あっちは……」
「闇銀行に入りましたね?」
「今月の集金です」
「ご苦労様、早かったな。では、こちらの集金確認書類にサインを」
「はい」
「いいでしょう」
「では、失礼します」
「さあ、開けてくれ。今月分の現金だ」
「見てください……あの人……」
「先生から事前に聞かされてたから覚悟はしてたけど……本当に毎月うちに利息を受け取りに来ている銀行員ね」
「……ホントだね」
「えっ!? ええっ!?」
『……本当ですね。車もカイザーローンのものです」
『……今日の午前中に、利息を支払ったときのあの車と同じです」
か、カイザーローンですか!?」
「ヒフミちゃん、知ってるの?」
「カイザーローンと言えば……かの有名なカイザーコーポレーションが運営する高利金金融業者です……」
「……そんなに有名なんだね」
「あ、いえ……カイザーグループ自体は犯罪を起こしてはいません……。しかし合法と違法のグレーゾーンで上手く振舞っている多角化企業で……」
「カイザーは私たちトリニティの区域にもかなり進出しているのですが、生徒たちへの悪影響を考慮し、【ティーパーティー】でも目を光らせています」
「【ティーパーティー】……あのトリニティの生徒会が、ね」
「ところでみなさんの借金とはもしかして……アビドスはカイザーローンから融資を……?」
「借りたのは私たちじゃないんですけどね……」
「話すと長くなるんだよねー。アヤネちゃん、一応さっき入っていった現金輸送車の走行ルート、調べられる?」
『少々お待ちください』
『……ダメですね。すべてのデータをオフラインで管理しているようです。全然ヒットしません』
「だろうねー」
「……そういえば、いつも返済は現金だけでしたよね。やっぱり……」
「……私たちが支払った現金が、ブラックマーケットの闇銀行に流れていた」
「……それじゃあ私たちはブラックマーケットに、犯罪資金を提供していたってことよね」
『…………』
「…………」
「…………」
「…………」
「さっきサインしていた集金確認の書類を回収する」
「でも、今日はカイザーローンに!」
「ここまで確認できれば連中をクロと断定して問題ない」
「ん、了解」
「ナイスアイデアだねー、先生」
「ですが、書類はもう銀行の中なので……無理な気が……」
「ブラックマーケットの中でも最も強固なセキュリティを誇る銀行の中となると……。それにあれだけの数のマーケットガードが目を光らせていますし……」
「それ以外に輸送車の集金ルートを確認する方法は……。ええっと……うーん……」
「ハッ! どうやらトリニティのお嬢様のお堅い頭では考えられないようだな!!」
「えっ?」
「シロコ!! 当然覆面を持ってきているよな!」
「もちろん。ホシノ先輩、ここで例の方法だよ」
「なるほど、あれかー。ま、しょうがないね」
「……ええっ?」
「そうですね、あの方法で行きましょう!」
「本当ならカイザーローンにやる予定だったけど……やるわよ!!」
「……あ、あのう。全然話が見えないんですけど……【あの方法】って何ですか?」
「残された方法はたったひとつ」
「銀行を襲う」
「はいっ!?」
「そんじゃやりますかー」
「はいいいっ!!??」
「はい☆ それでは悪い銀行をやっつけるとしましょう!」
「えええっ!!?? ちょ、ちょっと待ってください!」
「とことんまでやってやるわ!!」
「あ、うあ……? あわわ……?」
『私も我慢の限界ですので……やりましょう!』
「……えっ? ……ええっ?」
「ごめん、ヒフミ。あなたの分の覆面は準備がない」
「うへー、ってことは、バレたら全部トリニティのせいだって言うしかないねー」
「ええっ!? そ、そんな……覆面……何で……えっと、だから……あ、あう……」
「それは可哀そうすぎます。ヒフミちゃん、とりあえずこれでもどうぞ☆」
「たい焼きの紙袋? おお! それなら大丈夫そうー!」
「え? ちょ、ちょっと待ってください、みなさん……」
「あ、あうう……」
「あうう……」
「ん、完璧」
「番号も降っておきました。ヒフミちゃんは5番です☆」
「見た目はラスボス級じゃない? 悪の根源だねー、親分だねー」
「わ、私もご一緒するんですか? 闇銀行の襲撃に……?」
「さっき約束したじゃーん? ヒフミちゃん、今日は私たちと一緒に行動するって」
「う、うああ……わ、私、もう生徒会の人たちに合わせる顔がありません……」
「ティーパーティーが危険視しているカイザーの本拠地があるブラックマーケットに何回も訪れている時点で、合わせる顔なんぞ残っているわけないだろ」
「あうう……。というより、これ止めなくて大丈夫なんですか先生!」
「もとよりこれは俺が考案した行動だ。言い出しっぺが撤回するわけないだろ」
「あ、あうう……」
「先生はなにか被る物ある? シャーレの先生が素顔で銀行強盗はさすがにまずいと思うんだけど」
「心配はいらない。シャーレの部員からいいものをもらってな」
「わあ☆ 可愛い狐さんの仮面ですね!」
「私がいうのもあれだけど、貰ったものを犯罪に使って大丈夫なの?」
「問題はない。ちゃんと許可を取っているからな」
「ん。それなら安心」
「それじゃ先生、例のセリフを」
「銀行強盗開始!!」
「はいっ!出発です☆」
「あ、あうう……」
『それでは、覆面水着団……出撃しましょうか!』
追い込まれた便利屋にタイミングを見計らったかのように依頼をしてきたジェイソンとは……
黒服というよりゲマトリアはキヴォトスの外のあらゆる神話に精通してる気がします。
イベストと恋愛要素は必要?
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イベストだけ
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恋愛だけ
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どっちも必要
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どっちもいらない