「現金輸送車の集金記録にはアビドスで788万円集金したと記されている。私たちの学校に来たあのトラックで間違いない」
「……その後すぐにカタカタヘルメット団に対して【任務補助金500万円提供】って記録がある」
「先生からその可能性がある事聞いていたとはいえ、辛いですね……」
「私たちのお金を受け取った後に、ヘルメット団のアジトに直行して任務補助金を渡してたって訳ね!」
「ええ……まさか、本当にカイザーローンが絡んでいたとは……」
「…………」
「…………」
「…………」
「だとしても理解できません! 学校が破産したら、貸し付けたお金も回収できないでしょうに……どうしてそのようなことを……?」
「ふーむ……」
「貸し付けた金を帳消しにできる程の価値がアビドスにあるってことだろうな」
「うちにそんなものあるのかな? ホシノ先輩は何か知ってる?」
「いやー、お金になりそうなものは見たことないなー」
「この件、カイザーコーポレーション本社の息がかかっているとしか思えない……」
「……はい。そう見るのが妥当ですね」
「みなさん、色々とありがとうございました」
「変な事に巻き込んでごめんなさい、ヒフミさん」
「あ、あはは……」
「今度遊びに行くから、その時はよろしくー」
「はいっ、もちろんです」
「まだ詳しいことは明らかになっていませんが……これはカイザーコーポレーションが、犯罪者や反社会勢力と何かしら関連があるという事実上の証拠になり得ます」
「戻ったら、この事実をティーパーティーに報告します! それと、アビドスさんの現在の状況についても……」
「…………」
「まー、ティーパーティーはもう知ってると思うけどねー」
「は、はいっ!?」
「あれほどの規模を持つ学園の首脳部なら、それぐらいはもうとっくに把握してると思うんだよー。みんな、遊んでばかりじゃなないだろうしさ」
「そ、そんな……知っているのに、みなさんのことを……」
「まあ妥当な考えだな。アビドスの支援をしたところで、見返りなんざ微塵も期待できないのだからやる意味がない」
「もし善意100%で援助したところでゲヘナあたりから「弱者に手を差し伸べることで自分たちは優れた存在であることをアピールしたいんだろ?」って難癖付けられて新たな問題になるだけだ」
「ティーパーティーも暇じゃない。小さな利益のために大きな問題を生み出してしまうのなら関わらない方がいい」
「ヒフミちゃんは純真で良い子だねー。でも先生の言う通り世の中、そんなに甘くないからさ」
「…………」
「ヒフミちゃんの気持ちはありがたいけど、そっちに知らせたところで、これといった打開策が出るわけじゃないし。かえって私たちがパニくることになりそうな気がするんだよねー」
「そ、そうですか……?」
「それもあるけど、アビドスは廃校寸前だからさ、トリニティやゲヘナみたいなマンモス校からのアクションをコントロールできる力がないんだよー。言ってる意味、わかるよね?」
「……サポートするっていう名目で悪さをされても、それを阻止できない……ってことですよね」
「……そうですね、その可能性もなくはありません。あうう……政治って難しいです」
「でも……ホシノ先輩、悲観的に考え過ぎなのではないでしょうか? 本当に助けてくれるかもしれませんし……」
「うへ~私は他人の好意を素直に受け取れない、汚れたおじさんになちゃってねー」
「トリニティの実態についてはブラックマーケットで説明したはずだぞノノミ」
「ですが、全員がそうではないはずです」
「だとしても協力者全員がまともな考え方をしていることを証明するのは難しすぎるだろ」
「それは……」
「【万が一】ってことをスルーしたから、アビドスはこの有様になっちゃったんだよー」
「…………」
「…………」
「まあ、最後の砦としてこの校舎を守ることは出来たんだー」
「そうなんですね。本当に……一日で色んな出来事がありましたね」
「そうだね、すごく楽しかった」
「……楽しかったのはシロコ先輩だけじゃないの?」
「あ、あははは……私も楽しかったです」
「いやぁー、ファウストちゃん、お世話になったね」
「そ、その呼び方はやめてください!」
「よっ、覆面水着団のリーダーさん!」
「みなさん……ヒフミさんが困ってるじゃないですか」
「と、とにかく……これからも大変だとは思いますが、頑張ってくださいね。応援してます」
「というかお前ティーパーティーに報告するとか言ってたが、学校抜け出してブラックマーケットに行ってたって白状してるようなもんだろ」
「あ……」
「あちゃー、これはヒフミちゃん怒られちゃうんじゃないかなー?」
「俺として学校というものにロクな思い出がないから休むこと自体は叱らんが、出席日数はちゃんと足りる様にしろよ? 【シャーレの先生】と関わった生徒としてそれなりに注目されるだろうし」
「平穏な生活を送りたいなら優等生として過ごしておけ」
「はい……」
「先生って不良だったの?」
「そういうわけじゃない。ただ俺は習ったことが何ひとつとして身についてないだけだ」
「たしかに不良ではありませんね。どちらかと言うと怠け者ですかね……?」
「あんなもの覚えられるか!! おれはアキレウスとかと違って武闘派じゃないんだよ!!」
「アキレウスって誰よ?」
「ギリシャで2番目に強いあいつですら知られていないとかこの世界は本当にどうなっているんだ!! というよりお前らアキレス腱が何から来ているのか知らんのか!?」
「誰なら知られているんだ……? 可能性としてはシスターフッド関連でヘクトール辺りか?」
「あ、あの先生は一体何を?」
「気にしなくていいよー、先生たまにこうなっちゃうんだよー」
「そうなんですね……」
「報告の際に少なくとも一回は叱られるだろうから覚悟しておけ」
「あうう……そ、それでは……みなさん、またお会いしましょう」
「みなさんお疲れさまでした。今日はしっかり休んで、明日改めて集まりましょう」
「俺は業務があるから参加できるかわからん。モモトークだったか? それで連絡するからお前らもなにかあったら連絡を入れろ」
「業務ってシャーレの仕事でも溜まってるの?」
「そういえば先生がシャーレのお仕事を片付けているのをアビドスで見たことないねー」
「それなら仕方ありません。午後には来られそうですか?」
「あー……たぶん参加できるはずだ」
「ん、わかった。待ってるね先生」
「それじゃ、解散~」
「おはよー」
「おはよう……」
「うわっ、ビックリした! アルちゃん、徹夜でもした?」
「ううん、ちゃんと寝たわ……」
「社長、何か悩みでもあるの?」
「計画はしっかり立てたじゃん? 人をこれまでの2倍雇って、地の利を生かせる戦場にアビドスを誘き出す」
「ハルカは爆弾を設置しに、朝早く出掛けた。計画では、爆弾を数十か所埋設したゾーンでアビドスをコテンパンにするって感じだよね」
「ただいま戻りました」
「お帰り、ハルカ。お疲れ様」
「主要ポイントに爆弾を埋めておきました。あとは、このボタンを押すだけで……」
「よしよし、頑張ったねー。場所だけは忘れずに、しっかりと覚えといて」
「いつでも言ってください。私がこの手で、全部吹っ飛ばしてやりますから……この手で……」
「はあ……」
「なぁに死にそうな顔してんの? それなら最初から、例のクライアントから手付金をもらって、それを資金に充てればよかったじゃん」
「……手付金はもらわない。それがうちの鉄則よ」
「手付金をもらうと、クライアントの命令に従わざるを得なくなるから……って理由だったっけ?」
「その通り。華麗に仕事を終えてから依頼料を受け取る。この順序が崩れたら、私たちが追及するビジョンは達成できないの」
「ビジョン? そんなのあったっけ?」
「あるわよ!! 法律と規律に縛られない、ハードボイルドなアウトロー! それが便利屋68のビジョンでしょう!!」
「そうだっけ? ああ、思い出した、思い出した」
「さっきカヨコが言ったように、クライアントの依頼も同じ。それが私たちを縛り付ける足枷になることもあるわ。私たちが望まない行動を強いられるかもしれないのよ」
「だから依頼料は、絶対に成功報酬として受け取るの」
「…………そこまでプレッシャーを感じてるのなら、全部投げ捨ててゲヘナに帰るのも手だよ、社長」
「はあ!? ぷ、プレッシャーだなんて言ってないわよ! ただ……ちょっとだけ」
「うーん、今更帰るのは無理なんじゃ? 風紀委員のやつらが黙っちゃいないよ?」
「風紀委員会……か」
「確かに風紀委員会は、私たちを目の上のたんこぶみたいに思ってはいるけど……。今の私たちは、やつらから逃げてきたわけじゃない」
「それと、そもそもうちの風紀委員会が時にキヴォトス最強とも言われてる理由は……」
「風紀委員長、ヒナの存在があるから」
「風紀委員会の戦力の大半は、ほとんど彼女が担っていると言っても過言じゃない。百人力って言葉を体現しているような人」
「言い換えるなら、ヒナ以外の風紀委員会は、大したことないってこと」
「計画さえきちんと練れば、十分勝算はある」
「そうなの? カヨコっち、そこまで考えてたんだ?」
「いつか必ず相まみえることになるだろうから。ヒナ抜きの風紀委員会なら今アビドスにかけている労力を考えれば、難なく戦えるよ」
「逆に言えば、アビドスはそれぐらい侮れない相手ってこと。生徒の数が少ないってことが最大の弱点だけどね」
「え? そんなに強いかな……」
「…………いえ、今更ゲヘナに戻るっていう選択肢はないわ」
「かといって……はあ」
「……一体何がひっかかってるの?」
「わかったわかった。つまらない話はこれぐらいにして、アルちゃん、柴関ラーメン行こうよ。お腹空いたし」
「そう、それよ」
「これから柴関ラーメンで行う依頼の話はこれまでの中で一番私たちに影響を与えることになるわ」
「昨日受けるといったけど、もし失敗したら何かしら心の傷になりかねない。それを考えたら断るべきなのだけど……」
「私たちが依頼を受けることで誰かの命を助けられるのなら受けた方が良いんじゃないかって……」
「はあ……ジェイソンは受けるも受けないのも私たちの自由と言っていたし、もし強要してくるようだったら物理的に抑えればいい」
「私たちもついているから大丈夫だよ、アルちゃん。ほら、行こ行こ♪」
「来たあ!! いただきまーす!」
「ひ、ひとりにつき1杯……こんなに贅沢してもいいんですか?」
「アビドスさんとこのお友達だろう。替え玉が欲しけりゃ言いな」
「……!?」
「こんなに美味しいのにお客さんがいないなんて」
「場所が悪いんじゃない? 廃坑寸前の学校の近くだし」
「まあ、美味しいからいいけど。それじゃ、いただ……」
「なんだもう来ていたのか、お前ら」
「シャーレの先生!? どうしてここに!?」
「やっぱりそういうことか……」
「あれ? カヨコっちは何か気付いてたの?」
「しゅ、襲撃に来たのでしょうか?」
「……シャーレの先生がジェイソンだよ」
「なななな、なっ、何ですってーーーーーーー!!!???」
「とにかくお前らにはひとつ言いたいことがある」
「な、何でしょうか……?」
「柴関ラーメンの付近に埋めた爆弾全部回収してこい」
「……!? 気づいてたんだ」
「というかここはシャーレの敷地だ。取り除かんならシャーレの権限でお前らを連行するぞ」
「はあ……ハルカ取り除きに行くよ」
「おそらくだけど先生は私たちのクライアントに検討がついてるし抵抗するだけ無駄だと思う。それに先生には災厄の狐がついてる。武力行使に出られたら勝てるか分からない」
「「「!?」」」
「そら、さっさとラーメン食べて取り除いてこい。大将ラーメン一つ」
「と、取り除いてきたわ……」
「疲れたー」
「……お前ら仕込み過ぎだろ、殺す気か?」
「まあ、いい。お前らが戻ってくる少し前に俺も食事を終えた。早速依頼の話をしようぜ」
「依頼内容については昨日電話で話した通り、お前らの力を借りたい」
「質問してもいい?」
「ああ、構わんぞ。相互の認識が異なって最悪の状況になるのだけは避けたいからな」
「その人命にかかわるってのはどういうこと?」
「人命ってのはアビドス高校のやつらだ。あいつらは最悪の場合お前らの雇い主であるカイザーに殺される可能性がある」
「……!? あ、あの子たちが殺される? あ、あんなにいい子たちなのに?」
「カイザーからしてみればあいつらは邪魔でしかないんだよ。生きてようが死んでようがアビドス地区から消えてくれればそれでいいと考えている」
「そ、それって殺人じゃないですか。そんな事したらいくら大人でも、大変なことに……」
「それをもみ消せるだけの影響力を持ってるんだよカイザーは。それに連中はアビドスへ嫌がらせばかりしている。お前らがカイザーから支払われる報酬金は十中八九あいつらが汗水たらしながら必死に稼いで返済に充てていた金だ」
「う、うそでしょ……? そんなひどい事……」
「お前らが大人にどんな印象を抱いているかは知らんが、汚い考えをしている奴は自分の利益のためにあらゆるものを利用するぞ」
「純真無垢なガキも、努力し続ければいつか報われると信じて走り続ける真っ当なやつも、誰かの助けになりたいと善意で動いてるやつも、全員言葉で騙して、武力で従わせて、何もかもを奪って自分の利益につながるように使いつぶす」
「……じゃない」
「そんなの、おかしいじゃない!!!」
「あの子たちがどれだけ頑張っているかは私は知らないわ。でも、こないだ一緒にラーメンを食べたときにあの子たちは報われべき努力をしているって感じたのよ!! それなのに……こんなの……」
「……殺される可能性ってのはどれくらいあるの?」
「現状カイザーはアビドス高校からあいつらを排除できればそれでいいと考えている。だからすぐに殺されるってことはない」
「だが、俺たちはカイザーに抗い続けている。そのうち殺してでもアビドス高校は廃校にすると決断するかもしれねぇ」
「だから早いうちにお前らと協力関係を築いておきたい。カイザーがいつ行動にでるか読み切れない以上、実力の高いお前らの力が必要だ」
「……少し、みんなで話させてもらえるかしら」
「ああ、構わん」
「……先生」
「なんだ大将、らしくない顔をして」
「あんたが、不器用なりにアビドスの子たちを助けようとしているのはわかる。だがあの子たちも子供なんだ、一気に話しすぎだと俺は思うぜ」
「……そうだな、これに関しては俺が悪い。あいつの対応に慣れて、キャパシティーってのを忘れてた」
「……あんたがちょくちょく話題にする【あいつ】ってのはどんな子だったんだい?」
「そうだな、あえて言うなら【究極のバカ】だ。あいつの代わりなど誰一人としていないのに、常に前線に出て苦しみを、辛さを、責任を全て背負おうとしたアビドスの連中と大差ない歳のただの
「無理難題を押し付けられているのに、文句を言わずにそれを成し遂げようと足搔き続けるただの
「……その子はちゃんと家に帰れたのかい?」
「俺の記憶通りならちゃんと帰ったはずだ。だがあいつが生まれた国には【二度あることは三度ある】っていう恐ろしい言葉があるのでな、また巻き込まれてるかもしれん」
「……そうか。ちゃんと帰れているといいな」
「決めたわ、先生」
「そうか。答えは?」
「私たちはあなたたちアビドスにきょう……」
「……!! 大将!!」
「うおっ!? 急になに……」
「お前ら全員しゃがめ!!」
本来銃や砲撃といった物理現象では英霊であるイアソンに傷をつけることは出来ず、直撃したところで痛みを感じる程度である。しかしキヴォトスは神代に匹敵するほどの神秘に満ちているため、この世界で製造されたあらゆる武器・兵器に神秘が宿っており、神秘を有す生徒以外が利用しても神秘をまとった攻撃が可能である。それに加えてイアソンは地に属する英霊であるためステータスが知名度の影響を大きく受けてしまう。イアソンをこの世界に召喚したもの、キヴォトスの外から来たものがギリシャ神話のことを知っているとはいえ、シャーレの活動が開始してから間もない現状ではかつて藤丸立香と契約していた時のステータスより大幅にダウンしている。
この2つの問題を持つイアソンはヘイローを持つ一般生徒の攻撃ですら簡単に致命傷になる為、これまでの戦闘において死ぬ気で攻撃を回避していた。
そして現在トリニティとゲヘナはエデン条約という和平条約調停のために動いており、大きな外交問題を起こすわけにはいかない。だから【シャーレの先生】たるイアソンは堂々と便利屋との交渉に挑んでいた。
だがイアソンは2つのミスを犯していた。ブラックマーケットにてマーケットガードの処理を弧坂ワカモに任せたことで風紀委員会の治安意識が上昇していたこと。ワカモが暴れた際にブラックマーケットにいた便利屋が何かしら繋がりがあるのではないかという不安が風紀委員会に流れていたこと。この2つのミスがイアソンの計算を大きく狂わせたのだった。
アニメブルアカ良かったですね。クロコが出てくるってことはエデン条約編も期待してもいいってことですよね。
ベアトリーチェ(cv:能登麻美子)待ってます。まあ正直ベアトリーチェに声がついてくれるならどんな人だって嬉しいです
イベストと恋愛要素は必要?
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イベストだけ
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恋愛だけ
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どっちも必要
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どっちもいらない