今回からついにゲーム開発部編スタートです!!
廃墟の許可って俺が取るのかこれ?
退院から数日、シャーレで仕事中のイアソンの基に一通の手紙が届く
『先生、ミレニアムサイエンススクールから要請が届きました』
『送り主は……ミレニアムのゲーム開発部? みたいです。読んでみますね』
『「ゲーム開発部は今、存続の危機に陥ってます。生徒会からの廃部命令により破滅が目前に迫っている今、助けを求められる相手はあなただけです。勇者よ、どうか私たちを助けてください!」』
『なるほど。すごく面白いと言いますか……かなり切羽詰まっているということは、ひしひしと伝わってきますね……』
『先生はミレニアムサイエンススクールについてご存じですか?』
「トリニティ、ゲヘナと肩を並べるキヴォトスの三大学園の1つ。合理さと技術を重視しており、特に科学の研究を行っている学園だろ。行きたくねぇ……」
『もう! おさぼりはダメですよ先生!』
「なんでか分からんが今ミレニアムに行くとめんどくさいことになる気がするんだよ……」
「だが職務放棄をするわけにもいかんか……はぁ、支度をしてくる」
『あはは……』
あからさまにやる気のない顔をしているイアソンにアロナは苦笑いを浮かべていた。
「ここがミレニアムサイエンススクール……トリニティやゲヘナとはまた違ったデカさだな」
「ゲーム開発部の部室棟はこっちか……」
歩くこと数分、部室棟が見えてきた。それと同時に二人の少女の叫び声も聞こえてくる。
「もういや!! こんなゲームやらない!!」
「ちょっ! お姉ちゃん何する気……!?」
「プライステーションなんかこうだぁぁ!!」
そんな叫び声とともにイアソンの頭上に落下してくるゲーム機。死因がアレであったため落下物に対して過敏に反応してしまい思いっきり殴ってしまう。
「うおおお!!!??? あっっっっぶねぇえ!!! ……なんだこの機械?」
「プライステーションだいじょ……あーーーー!!!!!!??????」
「どうしたのミド……あーーー!!!!???? 私たちのプライステーションが!!!!!!」
窓から身を乗り出して叫んでいたかと思ったらものすごいスピードで外まで出てきてバラバラになったプライステーションなるゲーム機を抱えて泣いてる2人の少女に早速顔が引きつるイアソンであった。
「すみません先生。もとはと言えばプライステーションを外に投げたお姉ちゃんが悪いのに新品のプライステーションを買ってくださって本当にありがとうございます」
「それに新作ゲームも買ってくれるなんて! これが大人の財力……!! ありがとう先生!!」
「躊躇なくぶん殴った俺も悪いからな。何より高々数万の出費で面倒ごとを回避できるなら俺は躊躇うことなく払うしな」
そんなイアソンの発言に目を輝かせるピンクの少女と申し訳なさそうにする緑の少女。
「あらためて……ゲーム開発部へようこそ、先生!」
「先生に来ていただけて、嬉しいです」
「私はゲーム開発部、シナリオライターのモモイ!」
「私はミドリ。イラストレーターで、ゲームのビジュアル全般を担当しています」
「あと今ここにはいないけど、企画周りを担当している私たちの部長、ユズを含めて……」
「私たちが、ミレニアムサイエンススクールのゲーム開発部だよ!」
「ほぉ……ん?」
「よしっ! じゃあ先生も来たことだし、【廃墟】に行くとしよっか!」
「おいちょっと待て。お前ら部員3人って言ったよな?」
「そうだよ?」
「部員数たりてねぇじゃねえか。それに【廃墟】だと? あそこ許可制だろ」
「えっとね、まず私たちゲーム開発部は今までずっと、平和に16ビットのゲームとかを作ってたんだけど」
「ある日……急に生徒会から襲撃されたの!」
「一昨日には、生徒会四天王の一人であるユウカから最終通牒を突きつけられて」
「(あいつそんな2つ名あったのか……)最後通牒だと?」
「それに関しては、私から直接ご説明しましょうか?」
「こ、この声は!?」
ゲーム部の部室に入ってきたユウカにモモイはかみつく
「出たな、生徒会四天王の一人! 【冷酷な算術使い】の異名を持つ生徒会の会計、ユウカ!」
「勝手に変な異名を付けて、人をモンスターか何かみたいに呼ばないでくれる? 失礼ね」
「それよりも……先生」
「……なんだ、シャーレの仕事ならちゃんと進めてるぞ」
「そこに関しては信頼してます。……はあ、こんな形で会うなんて」
「先生とは色々と話したいこともありますが、それはまた後にするとして……モモイ」
「本当に諦めが悪いわね。廃部を食い止めるために、わざわざ【シャーレ】まで巻き込むだなんて」
「けど、そんなことしても無意味よ」
「例え連邦生徒会のシャーレだとしても……いえ、あの連邦生徒会長が戻って来たとしても!」
「部活の運営に関しては概ね、各学校の生徒会に委ねられているんだから」
「ゲーム開発部の廃部はもう決まったことなの、これはもう誰にも覆せない」
「あいつよく一気にあんなにしゃべれるな」
「そうですね」
そんなユウカの口撃に食い下がるモモイ。
「そ、そんなことない! 言ってたでしょ、部員が規定人数に達するか、ミレニアムの部活として見合う成果を出せれば……」
「……それができれば良し。もしできなかったら廃部、部費はもちろん部室も没収する。私、そこまではちゃんと言ったわよね」
「あなたたちは部員数も足りない上に、部活としての成果を証明できるようなものもないまま、何ヶ月も立っているんだから」
「廃部になっても、何も異議はないはずだけど?」
「……そんなに追い込まれてんのか?」
「はい……」
「異議あり! すごくあり! 私たちだって全力で部活動してる!」
「だからあの、何だっけ……上場閣僚? とかいうのがあっても良いはず!」
「それを言うなら情状酌量だろ……」
「先生の言う通りです。それより、今なんて言ったかしら? 全力で活動してる……?」
「笑わせないで!」
「校内に変な建物を建てたと思ったら、まるでカジノみたいに装飾してギャンブル大会を始めるし、レトロゲームを探すとか言いながら古代史研究会を襲撃するし……」
「おかしいでしょう!? 「全力」かもしれないけど、部活動としては間違ってるわよ! それに、これだけ各所に迷惑をかけておいて、よく毎度のように部費を請求できるわね!?」
「真っ当な言い訳くらいしてみたらどうなの!」
「と、時には結果よりも、心意気を評価してあげることも必要……」
「負け犬の言い訳なんて聞きたくない」
「聞きたいのか聞きたくないのかどっちなのさ!?」
「無意味な言い訳は聞きたくないってことよ。ミレニアムでは【結果】が全て」
「け、結果だってあるもん! 私たちも、ゲーム開発してるんだがら!」
「そ、そうですよ! 【テイルズ・サガ・クロニクル】はちゃんと、【あのコンテスト】で受賞も……」
「【テイルズ・サガ・クロニクル】?」
「……そうね。確かに受賞、していたわ」
「その反応を見るに、先生はご存じないようですね」
「【テイルズ・サガ・クロニクル】……このゲーム開発部における、唯一の成果です」
「ゲームそのものもさることながら、レビューが大変印象的でした」
「「私がやってきたゲーム史上、ダントツで「絶望的」なRPG。いやシナリオの内容がとかじゃなくて、ゲームとしての完成度が」」
「このゲームに何が足りていないのか数えだしたらキリがないけど……まあ、一番足りてないのは「正気」だろうね」
「このゲームをプレイした後だと、【デッドクリーム」はもしかして名作の部類に入るんじゃ……って思っちゃうわ」
「わ、私たちのゲームは、インターネットの悪意なんかに屈しな……」
「例えユーザー数が無限にいたとしても、たくさんの評価が収束すれば、それは真実に一番近い結果よ」
「それに、あなたたちの持っている「結果」はその「今年のクソゲーランキング1位」だけでしょう?」
「そ、それはそうだけど……っ!」
「そこまで言われると気になってくるな」
「「………………」」
「なんだその泣きそうな顔は……」
「……とにかく、あなたたちのような部活がこのまま活動していても、かえって学園の名誉を傷つけるだけよ」
「それに、その分の部費を他に回せば、きちんと意義のある活動をしてる生徒たちのためにもなる……」
「だから、もし自分たちの活動に意義があるのだと主張したいのなら……証明して見せなさい」
「証明、って……?」
「何度も言ったでしょう。きちんとした功績や成果を証明すれば、廃部は撤回するって」
「例えば、何かの大会で受賞するとか?」
モモイに代わってミドリがユウカと会話する。
「そう、スポーツならインターハイに出るとか、エンジニア部なら発明品を公表するとか、そういう類のものよ」
「ゲーム開発部なら、そういうコンテストも色々あると思うけど……」
「とはいえ、出せば何とかなるとは思えないわね。あなたたちの能力は、あのクソゲーランキングが証明済み」
「ぐっ……」
「……あんま虐めるなよユウカ」
「虐めてません! どうせなら、お互い楽な形で済めせましょう? 今すぐ部室を空けて、
「………………」
「……おい、今のガラクタ発言を訂正しろ」
「「……え?」」
後ろのロッカーからガタンッと音が鳴ったがそれを無視してユウカを睨むイアソン。
「え、えっと……先生?」
「ユウカ、お前にとってはここにあるものがガラクタに見えるかもしれないが、こいつらにとってはかけがえのない宝物なんだよ」
「自分の物差しで他人の宝物をガラクタと侮辱するのだけは止めろ」
「「先生……」」
「……そうね、少し熱くなり過ぎて言っちゃいけないことを言っちゃたわね。ごめんなさい」
「……分かった。全部、結果で示す」
「そのための準備だって、もう出来てるんだから!」
「そうなのお姉ちゃん!?」
「なんでミドリが驚くのさ!?」
「とにかく、私たちには切り札がある」
「その切り札を使って、今回の【ミレニアムプライス】に私たちのゲーム……」
「【TSC2】……【テイルズ・サガ・クロニクル2】を、出すんだから!」
「!? 言ったわね……!!」
「盛り上がってるところ悪いんだが、ミレニアムプライスってのは何だ? 俺はミレニアムの行事までは把握してないんだよ」
「ミレニアム中の部活が各々の成果物を競い合う、ミレニアムでも最大級のコンテスト! ここで受賞さえすれば、いくら何でも文句は言えないでしょ!」
「受賞できたなら、の話だけど。けどモモイ、自分が何を言ったのかわかっているの?」
「当然!!」
「分かった、そこまでは待ってあげるわ」
「今日からミレニアムプライスまで二週間……この短い時間でどんな結果が出せるのか、楽しみにしてるわ」
「先生、それではまた」
そういってユウカはゲーム開発部の部室を出て行った。
「お姉ちゃん……どっちも確率は低いだろうけど……今から私たちがゲームを作るより、部員を募集する方がまだ良いんじゃないの?」
「それならこの一か月、散々やってみたでしょ……結局、誰も入ってくれなかったし」
「「ぷーっ! VRですら古いのに、何がレトロ風ゲームだよ」ってバカにされるのは、もううんざり」
「何より……先生がここにある私たちの思い出を宝物って言ってくれたことが嬉しかったから、ミレニアムプライスで受賞することを考えるべきだと思う」
「そういえば、さっき言ってた【切り札】って、いったい何のこと?」
「それはもちろん、先生のことだよ」
「……なんとなくそうじゃないかと思っていたが当たっているとは」
「話を戻すと、私たちの目的は【廃墟】にあるの」
「【廃墟】っていうのは……先生はもう知ってるかもしれないけど、元々は連邦生徒会が出入りを制限してた、ミレニアム郊外の謎の領域」
「出入りを制限してたのは「危険な地域だから」って言われてたけど……実際のところ、具体的に何がどうを誰も知らない」
「誰も入ったことが無いのか、そもそも入ることが出来ないのか、それとも戻ってきた人が誰もいないのか……それすらもよく分からない」
「……そういう、謎に包まれた場所があるの」
「なぜ廃墟に向かうんだ?」
「良いゲームが作りたいから!」
「私は証明したいの。たとえ、今の私たちのレベルは「今年のクソゲーランキング1位」に過ぎないとしても」
「私が大好きな……私を幸せにしてくれた、このゲームたちが……」
「決してガラクタじゃない、大事な宝物なんだってことを!」
「……お姉ちゃん」
「そのためには、どうにか廃墟に入って【あれ】を見つけない」
「【あれ】ってなんだよ?」
「あ、順番がよくなかったかも。今度は、この話をしないとね」
「先生、G.Bible……って、知ってる?」
イベストと恋愛要素は必要?
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イベストだけ
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恋愛だけ
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どっちも必要
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どっちもいらない