イアソン先生   作:這いよる混沌

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おいおいおい……どうなってんだよ

「先生、G.Bible……って知ってる?」

 

「知らねぇな。名前的に何らかの聖書であることはわかるが」

 

「昔ミレニアムに所属していた伝説的なゲームクリエイターがいたの」

「その人が【G.Bible】を作ったの」

「詳しい内容までは分からないんだけど……その中には、【最高のゲームを作れる秘密の方法】が入っているんだって」

 

「……それ、どこかのゲームクリエイター学校の広告じゃなくて?」

 

「違うよ! G.Bibleはあるって! 読めば最高のゲームを作れるようになる【ゲームの聖書】は、絶対にある!」

「そのG.Bibleを読めば、最高のゲーム……【テイルズ・サガ・クロニクル2】が作れるはず!」

 

「そんな便利な物があるか普通? どーせ【楽しむ心が大切】とか【ゲームを愛しなさい】とかだろ」

 

自信満々なモモイに対してかなり冷めた返しをするイアソン。

 

「そんな夢の無い現実的な内容なわけないじゃん!! 確かにそれは大切だけど核心的なものがあるはず!!」

「先生はお宝とかそういうの嫌いなの!?」

 

「別に嫌いじゃないぞ、海賊やってたしな。だが、俺が好きな宝ってのはお前らが求めているようなものとは違うからな」

 

イアソンの海賊発言に目を光らせるモモイ。

 

「今、海賊やってたって言ってたけど本当!? あとで色んな話聞かせてよ!!」

 

「別にいいが、聞いてから文句とか言うなよ」

 

「絶対言わないからちゃんと教えてよね! 約束だよ!!」

 

海賊の話を聞けるとウキウキしているモモイと、先生が自身の姉の為にそれっぽい話をしてくれると考えているミドリ。

 

「話は戻るが、なんで廃墟に行くんだよ。あそこ一応連邦生徒会の監視下だぞ」

 

「私としてはそのことを先生に聞きたかったの! 連邦生徒会長がいなくなってから連邦生徒会の兵力が撤収したってヒマリ先輩から聞いてたんだけど!?」

 

「そりゃ俺が指示したからな」

 

イアソンの発言を聞いたモモイは石のように固まってしまう。

 

「あんなあからさまな場所を監視下に置かない方がダメだろ」

 

「せ……先生の裏切り者ーー!!!」

「どうしてそんなことしちゃったのー!! これじゃあ廃部するの確定だよー!!」

「ヴェリタスにG.Bibleの捜索してもらったの無駄になっちゃったじゃん!!」

 

泣きながら思いっきり揺さぶってくるモモイを引き離したイアソンは連絡用に買ったスマホを取り出し操作する。

 

「先生、何をしていらっしゃるんですか?」

 

未だに泣いている姉の代わりにとミドリが質問してくる。

 

「主席行政官にメールしてる。このまま泣かれててもめんどくさいから許可取ってくる」

 

「本当!? 先生ありがとう!!」

 

「調子いいなお前……」

「………許可自体はとれたが、少なくとも午後まで待ってくれだとよ」

 

「やったー!! 早く午後にならないかな」

 

「ちゃんと市場調査とかはしてるんだよな?」

 

「そこら辺はちゃんと毎回行っていますよ先生。ただ私たちが作りたいゲームがレトロ風なのもあって毎回需要はほとんどないんですが……」

「一応市場にあったゲームを作ったこともあるんですが……途中から義務感で作成してる感じになって未完成のままなんですよね……」

 

「まぁ惰性で作るよりかは良いな」

「そういやヒマリって誰だ?」

 

「ヴェリタスに所属してる車椅子に乗った美人の先輩だよ」

「ヒマリ先輩によると廃墟って言うのは「キヴォトスから消えて忘れ去られたものが集まる、時代の下水道みたいな場所なのかもしれない」……って」

 

「消えて忘れ去られたもの……ね」

 

 


 

 

待ちに待った廃墟探索ということでワクワクしているモモイとどこか不安そうなミドリの前を歩くイアソンとワカモ。

 

「……ってなんで七囚人がここにいるの!?」

 

「お前らだけだと詰みかねないからな。頼りになる戦力を呼んだわけだ」

 

「あぁ、先生が私を必要としてくださっているなんて……!!」

 

「……なんていうか想像してた凶暴さとかありませんね。普通の恋する女子高生みたい……」

 

「あら、そう見えましたか? 破壊行為や略奪行為は今も好きですよ、先生の迷惑になりますので控えていますが」

 

聞こえていないのか、無視しているのか一切反応することなくイアソンは進んでいく。

 

「座標からしてあの建物だな。問題は入り口付近に固まってるロボットだが……ワカモ、頼めるか?」

 

「ええ、お任せください。あなた様の手を煩わせることなく片付けて見せましょう」

「あなた方には念のため先生を守りながら工場に侵入してください。もし怪我を負わせたら……」

 

ワカモの軽い脅しにビクビクしながらモモイが答える。

 

「もっ、もちろんだよ! 任せて! ね、ミドリ!」

 

「うっ、うん! 任せてください!」

 

「それじゃ行くぞ!」

 

イアソンの掛け声とともにロボットの前に飛び出し戦闘を開始するワカモ。少なくとも30体はいるというのに傷一つ追うことなく戦う姿を見て合同で戦わずにワカモに任せるべきという選択が正しかったことを確信する。

 

七囚人として数多くの甚大な被害を生み出してきたワカモと、一般的な戦闘力しか持たないモモイとミドリではリズムが合わずに大きなダメージを追っていただろう。

 

こちらが動き出したのを認識したロボットたちが恐ろしい勢いで追いかけてくるが、その全てをワカモが打ち抜く。

 

「とーちゃく!! 先生、けがはない?」

 

「問題ない! お前らはどうだ!」

 

「私たちも問題ありません」

 

自分たちが工場内に入った途端、ロボットの追跡がやんだことを見逃さなかったイアソンはワカモに指示を飛ばす。

 

「ワカモ! お前も工場内に入れ! こいつらはこの工場には入れない!」

 

「承知いたしました!」

 

「俺らは念のためワカモが認識できる程度に奥に進むぞ!」

 

「ちょっ!? 急に走らないでよ先生!?」

 

距離を保ちながら走る事数分、4人はようやく足を止めて休憩する。

 

「疲れた~~、5分ぐらい休憩しよ~よ~」

 

「この程度でですか?」

 

「私たち基本的にインドアだからなぁ……」

 

「…………………」

 

「ところで先生は何やってるの? 壁をずっと見てるみたいだけど」

 

「……おかしい」

 

イアソンの発言に興味を持ったモモイが疑問を投げてくる。

 

「おかしいって何が? ロボットたちが急に追跡を止めるようなところなんだからおかしいのは当たり前じゃない?」

 

「それもあるが……この壁、今のキヴォトスの建築様式じゃ見ないやつだぞ」

 

「え!? そんなことも分かるの先生!?」

 

「ミレニアムの特性上、可能な限り調べてはおいたんだよ。まさかここまで効果があるとは想像もしたくなかったが」

「アロナ、この建物の解析を任せる」

 

『お任せください! ……ですが、この工場がかなり広いのでそれなりに時間がかかると思います』

 

「ネットワーク補助等最低限の機能以外は停止して解析に集中してくれ」

 

『……無茶はしないと約束してくれますか?』

 

「当たり前だろ。そもそもここにはワカモもいる。俺自身の耐久も知名度補正で上がりつつある。だから任せたぞ」

 

『……分かりました! スーパーアロナちゃんにお任せください!』

 

「もう少し休憩して息を整えるぞ。万全の状態で進むべきだしな」

 

「ええ、そのほうが良いかと」

 

「やったー! 休憩だー!!」

 

休憩の指示が出たことが余程嬉しいのか、かなりだらけた姿勢を取るモモイ。角度によってはスカートの中身が見えかねないほどにリラックスしており、ミドリとワカモが視線を遮れる位置に移動するもイアソンはモモイたちに目もくれずに壁の調査をしている。

 

あまりのはしたなさにワカモが注意すると、少し怯えながら通路の真ん中にちょこんと座るモモイ。

 

[接近を確認]

 

突如発声された機械音声に警戒態勢を取るワカモとイアソン。少し遅れながらモモイとミドリが銃を構える。

 

[対象の身元を確認します。才羽モモイ、資格がありません]

[対象の身元を確認します。才羽ミドリ、資格がありません]

 

「え、え!? 何で私たちのことを知ってるの?」

 

「余計なことをしゃべらないように口を閉じていなさい」

 

ワカモの言葉に背筋を伸ばしながら従う才羽姉妹。

 

[対象の身元を確認します。狐坂ワカモ、資格がありません]

 

「(私のことも把握しているわけですか……一体どうやって?)」

 

[対象の身元を確認します……【イアソン先生】……否、【イアソン】]

[資格を確認しました。入室権限を付与します]

[才羽モモイ、才羽ミドリ、狐坂ワカモの三名を、彼の【生徒】として認定]

[同行者である【生徒】にも資格を与えます]

[……承認しました。下部の扉を解放します]

 

「ッッッワカモ!! モモイとミドリをこっちに引き寄せて固まれ!!」

 

「え、ちょっ、先生なにを……うわあぁぁあ!?」

 

「ど、どうしたんですか先生?」

 

「舌を噛まないように口を閉じてろ!! 落下するぞ!!」

 

「「……え?」」

 

2人が疑問符を浮かべた瞬間、ガチャンッ!! と床が無くなり、落下していく。事前に注意されたこともあって比較的パニックにならずに落ちていく4人。

 

ワカモはイアソンが度々口にする知名度補正について理解しているため、この状況で取り乱すことは無いのだが、怪我をして欲しくないという思いからイアソンを引き寄せ、片手で抱きかかえる。

 

 

 

数秒間の落下を終えて4人は怪我をすることなく着地する。

 

「お姉ちゃん、ワカモさん、先生! 大丈夫ですか?」

 

「だ、大丈夫~……」

 

「私は問題ございません。先生は大丈夫ですか?」

 

「俺も問題ねぇ。そこまで深くに落ちたわけでは無いみたいだが……どうなってやがるこの空間は」

「さっきの壁とは比較にならんほどの技術だぞ」

 

辺りを見渡していたモモイが何かを発見し声を上げる。

 

「……えっ!?」

 

「ん……? どうしたのお姉ちゃん……?」

「えっ……!?」

 

2人が指をさしている方を向くとそこには全裸の少女が玉座のような椅子に目を瞑って座っていた。

 

「なんだ……あのガ……何しやがるワカモ」

 

「あなた様が邪な感情であの少女を観察するとは微塵も考えておりませんが、念のため目を覆わせていただきます」

 

「いや、助かる。この状況で訴えられたら俺が絶対負けるからな」

「お前らから見てあいつはどんな感じだ?」

 

「怪我とかじゃなくて……【電源が入ってない】みたいな感じです」

 

「名前とか書かれてないか?」

 

「うーんとね……AL-IS……アリス? って書かれてるよ」

 

「待ってお姉ちゃん。よく見ると……AL-1Sって書かれてます」

 

「そいつになんか着せてやってくれ。いつまでも俺の視界が覆われたままなのはきついんだが」

 

「分かりました。……先生、ワカモさんと一緒に少し離れててくださいね」

 

「ハイハイ」

 

モモイとミドリが少女に予備の服を着せている間、それなりに距離を取ったイアソンはようやく視界を解放されたのだった。

 

「ワカモ、俺はAL-1Sに近しい戸籍情報がこれまでにあったのか確認するために連邦生徒会に電話をかける。お前はいつでも攻撃できるように構えておいてくれ」

 

「承知いたしました」

 

イアソンが携帯を取り出したのと同時にアロナから連絡が入る。

 

『先生! 解析が完了しました! ここは現在のキヴォトスには存在しない技術で構成されています!』

『そして今、先生たちがいらっしゃる場所にいる女の子はその技術を用いて生み出されたと考えられます!!』

 

「………は?」




歯車は歪み始めている

イベストと恋愛要素は必要?

  • イベストだけ
  • 恋愛だけ
  • どっちも必要
  • どっちもいらない
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