イアソン先生   作:這いよる混沌

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誤字報告ありがとうございます!!
今話に関して原作で明言されていない部分がかなり含まれるので個人の解釈を多く含ませていただいております。



もうほんと……勘弁してくれ……

アロナから告げられた情報に思考が停止してしまうイアソン。

 

「(キヴォトスには存在しない技術? それを用いて生み出されたと考えられる生命体?)」

「アロナ!! リンに俺がさっき言っていたことを全部送信しろ!! ワカモはモモイとミドリを守れ!!」

 

『は、はいっ!!』

 

「承知いたしました!」

 

「あ、先生! この子目を覚ましたよー!! ……ってそんな急いでどうしたの!?」

 

「良いから下がってろ!!」

 

「え? ど、どういうことですか? 先生もワカモさんも、どうしたんですか?」

 

モモイとミドリを謎の少女から守るように前に出るイアソンとワカモ。

 

「(機械生命体だってのにヘイローがあるってことは、間違いなくギリシャと同等の技術がある……!!)」

「(ゲマトリアの可能性も捨てきれねぇが、あの時感じた神秘はコイツよりも何倍も薄い!!)」

「お前は何者だ、何を企んでやがる」

 

凄んだ目で睨んでくるイアソンに、少女は困惑しながら口を開く。

 

「状況把握、難航」

「会話を試みます……説明をお願いできますか」

 

「それはこっちのセリフだ。お前はだれに生み出された。お前が生み出された目的は何だ」

 

「本機の自我、記憶、目的は消失状態であることを確認。データがありません」

 

「それを信じろと? こんなあからさまに怪しい場所で眠っていたお前を?」

 

先程までの頼れる姿からかけ離れた先生に怯えながらモモイが問いかけてくる。

 

「せ、先生、どうしちゃったの? 何でこの子をそんなに責めるように問い詰めてるの……?」

 

「……お前らも話していたが、ここは本来連邦生徒会長によって封鎖されていた場所だ」

「そんな場所に俺の判断でお前らを此処に連れてきた」

「だから俺には、お前らを無事に学校へ連れて帰る義務がある」

「そのためにも、こんな卑怯じみた問答や最悪の事態を想定しなきゃいけねぇ」

 

「………………………」

 

「あなたは、私たちに攻撃したりしないっ?」

 

少女の表情が暗くなっていくのに耐えきれなかったミドリが、言葉を選びながら話しかける。

 

「肯定。接触許可対象への遭遇時、本機の敵対意思は発動しません」

 

「うわ、すごい! ロボットの市民ならキヴォトスによくいるけど、こんなに私たちに似てるロボットなんて初めて」

 

先程までの怯えた姿など一切ない楽しそうな声色に空気が緩む。

 

「お姉ちゃんってば……先生、この子どうなっちゃうんですか?」

 

「こいつの出生、所属、思考、目的が明確じゃない以上判断しきれん。とりあえずは連邦生徒会とミレニアムの生徒会長への報告、当分はシャーレで観察だろうな」

 

「えー!? うちに連れてこうよー!!」

 

モモイの発言にとうとう頭を抱えるイアソンとワカモ。

 

「あのなぁ、連れてくって言うのは簡単だが責任を取れるのか?」

 

「責任?」

 

「こいつが何らかの理由で暴走して誰かを怪我させたとき、誰かを……殺してしまったときにお前はその責任を取れるのか?」

 

「殺すなんて物騒なこと言わないでよ先生! それにこの子がそんなことするわけないって!」

 

「はぁ……とりあえずこいつと周囲の写真を取ったら廃墟から出るぞ。ワカモはモモイとミドリ、AL-1Sを部室に連れて行って監視しておいてくれ」

「俺は連邦生徒会に報告した後に、調月リオに会ってくる」

 

「お任せくださいあなた様。どうかお気をつけて」

 

 


 

 

連邦生徒会にてイアソンはリンとAL-1Sについて

 

「……残念ながらAL-1Sに該当する戸籍情報は一切見つかりませんでした」

 

「だよなぁ……もうやだほんと……」

 

「……先生があの少女に対してしっかりと警戒心を持ってくださっていることは助かるのですが、いささか過剰に感じます。何か理由が?」

 

「あー……地元にあんな感じのがそれなりにいてな。そいつらにとにかく振り回されたんだよ」

「しかもあのガキ、そいつらと同等のスペックを持ってる可能性があってな……」

 

「なるほど……色々あったのですね」

「この後のご予定は?」

 

「17時からセミナーの会長に報告。そんでもって所属をどうするかの話し合い」

「シャーレ主体の調査や、連邦生徒会主体の調査だったら俺たちが観察してればいいんだが……」

 

「ミレニアムの生徒が当事者になってしまったためそういうわけにもいきませんからね」

「何か必要なもの等が発生しましたら連絡を入れてください」

「できるだけ早く対応しますので」

 

「すまんな。はぁ……本当にどうしてこうなったんだ」

 

 

 

「初めまして、シャーレのイアソン先生」

「私は調月リオ、ミレニアムサイエンススクールの中枢――セミナーの会長よ」

 

「シャーレのイアソンだ。早速AL-1Sについて話し合おうぜ」

 

「そうね。私は現状は監視にとどめておくべきだと思うわ」

 

「ま、無難な判断だな。情が湧く前に白黒はっきりできたらいいんだが……」

「AL-1Sの所属についてははどうする? きついようならシャーレで面倒を見るが」

 

「いいえ、彼女はミレニアムに入学させることにするわ」

 

「……本気で言ってんのか?」

 

「ええ、シャーレよりもミレニアムに所属させた方が対処しやすいわ」

 

「すまん、正直に言って助かる。そういや、そこのメイドはC&Cのメンバーか?」

 

「そのとおりよ。トキ、先生に挨拶をしてちょうだい」

 

「C&C所属、コールサイン04飛鳥馬トキです。現在はリオ会長専属のボディーガードを務めております」

 

彼女が専属の割にはかなりの距離感があるなと思いながらも口に出すことを控える。

 

「先生は彼女を廃墟から連れてきたことをどう考えているのかしら?」

 

「……俺があいつを廃墟から出した時点で最悪の場合ヘイローを破壊すべきだと考えてはいる」

「クソッ……まじでやらかした」

 

ネガティブな発言に目を見開くリオ。

 

「ん? 俺の反応そんなにおかしいか?」

 

「そうじゃないわ。……先生が私と似た考え方をしていることに驚きはしたけれど」

 

「AL-1Sを生み出した技術を考えると最悪の事態を想定しておかないとまずいからな」

「リンにも言ったんだが、ギリシャにはAL-1Sに似たやつがそれなりにいたんだよ」

「そいつらは人間よりも上位の存在でな、気まぐれでとにかく面倒ごとに巻き込まれたんだよ」

祝福(呪い)、戦争、試練、裁き……という感じでな」

 

「先生にとってはAL-1Sは見慣れた存在でもあるのね。心強いわ」

 

会話の最中に調月リオが抱えている問題に気付いたイアソンはどこまで触れるべきか探りながら話題に出す。

 

「一応聞きたいんだが、AL-1Sが問題を一切起こさなかったらヘイローを破壊する必要性は無いんだよな?」

 

「そうね。それが一番良い結末だもの。……でもそう簡単にはいかないと思うわ」

 

「お前の考えに肯定的、正確にはその選択も視野に入れておくべきだと判断した奴は俺以外にいるのか?」

 

「……いいえ、ヒマリにも話したのだけれど反対されてしまったわ」

 

「……ヒマリってそんなに有名なのか?」

 

「そうね。ミレニアム史上三人しかいない【全知】の学位を獲得した凄腕のハッカーよ」

 

「全知ねぇ……」

 

イアソンの微妙な反応に疑問を抱くトキとリオ。

 

「……【全知】の選考基準について説明したほうがいいかしら?」

 

「いや、そうじゃなくてな。全知って言われても全知全能がいたからなぁ……」

 

「ユウカから先生の出身地について聞いたいたけれど、本当に神がいたのね……」

「……どうしてヒマリは先生と面識が無いのかしら。デカグラマトンの討伐に出身地、アビドスで使用していた神秘……どれも彼女が興味を持つはずなのだけれども」

 

「……ヒマリって超天才清楚系病弱美少女ハッカーって自称してるやつか?」

 

「……そうね。彼女はそういった呼称を多用しているわ」

 

「怪しすぎたから無視してたわ」

 

「「………………え?」」

 

「初対面の人間にあんな内容書くやつ危険すぎるし、そもそもトリニティで入院してたから呼ばれた場所まで行けねぇし」

「(何より……あの文面だとアルゴノーツ(あいつら)とは相性悪いだろうしな)」

「後で謝りに行かねぇと……」

 

「……ふふ」

 

あのヒマリがあんまりな扱われ方をしていることに思わず笑ってしまうリオと、そんな彼女に驚くトキ。

 

「あんま褒められたやり方ではないが、肩の力が抜けたようで何よりだ」

 

「先生、あなたは……」

 

「まぁヒマリってやつの考えも聞く必要があるからな」

「この問題は善悪の範疇を超えている。俺が【先生】としてどちらかにつくわけにはいかねぇ」

 

「そうね。私もヒマリと一緒に廃墟とAL-1Sについて調査を続けておくわ」

 

「悪いな。廃墟の調査に関しては連邦生徒会に申請してくれ。認可に関しては俺の方からも言っておくから数日で降りるはずだ」

 

肩の力が抜けて少し表情が柔らかくなったリオにまだ少し不安を覚えるイアソン。

 

「(これまでの会話から人付き合いが難しいタイプの人間だってことはわかったが……あまりにその影響が出てるな)」

「なぁリオ、お前にとって飛鳥馬トキはどんな存在だ?」

 

「……そうね、彼女は私のボディガードよ」

 

「はぁ……、次会う時までによく話し合っとけ。それがお前に出す課題」

 

「課題……? 先生の意図は分からないけど、トキと話し合っておくわ」

 

「もう19時ね。見送るわ」

 

校舎入口まで二人は特にしゃべることなく歩き続けた。イアソンが靴を履き終えると、頬を少し赤らめたリオが口を開く。

 

「……先生、あなたは私の考え方に初めて寄り添ってくれた人だわ」

「……その、ありがとう」

「……気を付けて帰って頂戴」

 

「……へいへい、お前も気を付けてな」

 

シャーレへ向かいながらイアソンは連邦生徒会に先ほどの話し合いの内容を転送する。あまりの出来事の多さにシャーレに着くと同時に泥のように眠ってしまったイアソン。ワカモからメッセージが届いていないことに疑問を抱きながらミレニアムへ向かい、ゲーム開発部の扉を開ける。

 

「先生! アリスは勇者になりました! ワカモから先生は勇者であったとも聞きました! 先代勇者としてアリスに勇者の心得を伝授してください!!」

 

あまりの衝撃に白目をむいて膝から崩れ落ちたイアソンであった。

イベストと恋愛要素は必要?

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