イアソン先生   作:這いよる混沌

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成人式に行ったり各メインストーリーのfgo風タイトル考えてたらかなりの時間が経ってました。
イアソン、メディア・リリィに女性にだらしないと言われてたけどギリシャの人間的に多くの神話の神がモチーフとされている生徒にデレデレするんでしょうか?私としてはロクなことにならない予感がするって理由で距離感ちゃんと作りそう


しばらくメディアが夢にずっと出てきて怖かった

ヘリを使うことができないため、実に遺憾ながら約30㎞を歩いて移動しようやくシャーレのビルが見えてきたのだが、そこは弾丸飛び交う戦場となっていた。

 

「な、なに、これ!?」

 

移動中に冷静さを取り戻した早瀬ユウカだが想像以上に悲惨な現場に再び取り乱している。分かるぞその気持ち。

 

「なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!!」

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから……」

「それは聞いたけど……!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が……!」

「おい!しゃべってないで前をしっかりと見ろ!早瀬ユウカ!!」

「っへ?いっ、痛っ!!痛いってば!!」

 

ほら見ろ思いっきり攻撃を食らってるじゃないか!こいつら本当に戦えるのか?私ですらこれくらいのことはできるぞ。

 

「あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」

「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません」

「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!

 

学校ごとに武器の制限まであるのかよ!!ドンだけめんどくさいところなんだよここは!!

 

「今は先生が一緒なので、その点に気を付けましょう」

 

今の私の身体能力はサーヴァントの時と大差ないがこの世界が神秘に満ちているからか普通の弾丸ですら神秘を帯びているため攻撃をされればダメージを受けてしまうに違いない。正直に言ってさっさとここから離れたい、なんで俺がこんな目に……

 

「先生を守ることが最優先。あの建物の奪還はその次です」

 

頼むから常に私を最優先してくれ!!!私は弾丸を食らっても平然としているお前らと違って簡単に死ぬんだぞ!!!

 

「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので……」

「私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」

「分かってるわ。先生、先生は戦場に出ないでください!私たちが戦っている間は、この安全な場所にいてくださいね!」

「ここが安全!?戦場には出るな!?もう戦場に出てんだよ俺も!!なんなら前線にも出てるわ!!いいか!!戦場ってのはなにも戦闘が起きているところだけを指してるんじゃないんだよ!!安全な場所に避難していいならとっくに避難してるわ!!」

「そもそも私は指揮官であって戦士ではない!!だいたい指揮官が戦場に、それも前線に出てどうする!!??指揮官とは後衛で輝くものだろうが!!」

 

なんでこんなことも理解できてないんだよ!!この世界の教育はどうなっていやがる!!!頼むから俺を座に還らしてくれ!!!

 

「……先生って本当に頼りになるのかしら?」

「さぁ……分かりませんね……」

「泣き言はそこまでにしてくださいイアソン先生、危険ですからここで待機を」

「ハァ!!??これは泣き言ではなく事実だ、ってあっぶねぇ!!!

「イアソン先生大丈夫ですか!?」

「クッソォ……どいつもこいつも……ええぃ!!もういい!!

「おいお前ら名前は!?」

「私は早瀬ユウカですって言ったじゃないですかイアソン先生!!」

「お前じゃない!!黒の長髪とブロンドヘアーと銀髪のお前らに聞いてるんだよ!!」

「トリニティ総合学園3年正義実現委員会の羽川ハスミです」

「同じくトリニティ総合学園2年自警団の守月スズミです」

「ゲヘナ学園1年風紀委員会の火宮チナツです」

「ユウカにハスミ、スズミにチナツだな!いいか、今から私の指揮に従え!!」

「え、ええっ!?戦術指揮をされるんですか?まあ……先生ですし……」

「だから私は先生ではなく船長だ!!!」

「分かりました。これより先生の指揮に従います」

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします」

「だから俺は船長だ!!!」

「よし、じゃあ行ってみましょうか!」

 


 

「なんだか、戦闘がいつもよりもやりやすかった気がします。いえ、確実にやりやすかったです」

「……やっぱりそうよね?」

「先生の指揮のおかげで、普段よりもずっと戦いやすかったです。傷も普段より格段に少ないですし」

「なるほど……これが先生の力……まあ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か……」

「……相手の練度の低さに助けられたな」

「そうなんですか、先生?」

「あの程度の連中なんざお前らなら俺の指揮が無くてもどうにでもなるレベルだ。そもそもこの程度の練度しかない奴らが自分たちだけで占拠しようなんていう愚策に走ったんだからな」

「なるほど……」

 

だが油断できねぇ、間違いなく何かがいる。どうしようもないぐらいめんどくさいことを引き起こす奴がいるという確信がある。幸い指揮の最中に宝具が使えることが確認できたのだから、ヘラクレスさえ呼ぶことができればこんな問題簡単に片づけられる。しかし私の、俺の直感がまだ使うべきではないと叫んでいる。幸いユウカたちだけで何とかなる連中だ、無駄に宝具を使って魔力を消費する必要もない。だがこの感覚は何なんだ……

 

「にしてもどうなっているんだここは?見渡す限り女しか見当たらない。まるでレームノス島のようだな」

「レームノス島?とはいったい何なのですか先生?」

「昔旅の最中に寄ったギリシャにある女人島のことだ。お前らはまずギリシャを知らんのだから別に忘れて構わん」

「まぁいい、そらさっさと進むぞ」

「ええ、そうですね。それでは次の戦闘もよろしくお願いします、先生」

 

「クソッ……普段とは違い陸で、それも大多数を相手にする指揮は疲れる…!!何より相手の練度が俺の想定よりもばらついていて感覚がぶれる!!」

「もうシャーレの部室は目の前です!頑張ってください先生!」

『今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました』

『ワカモ。百鬼夜行連合学園で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です』

『似たような前科がいくつもある危険な人物なので、気を付けてください』

「よくやった、七神リン!正直言ってとんでもない奴と戦う破目になりそうでやってられないが情報があるだけましだ!!」

「このまま突き抜けるぞ!!」

「「「「はい!」」」」

 

「騒動の中心人物を発見!対処します!」

「無理に突っ込むなよハスミ!(あれがワカモ。……クソ、明らかに練度が高ぇ!!下手に攻めれば普通に全滅させられる!!せめてアルゴー号があれば!!)」!!

 

ハスミを筆頭に攻撃してるが実力差がありすぎてまるで効いてね!このままだとあいつら以上の火力を出せるやつが必要になる!!今この瞬間にそれを用意できる可能性があるのは俺の宝具だ。今の俺の立場は暴徒の鎮静と学生を守るために戦っているわけだ、少なくともアタランテやメディア、ヘラクレスは俺の呼びかけに応じるはず!だがここで使うのはあまりに障害物が多すぎる……!!どうするべきだ!?

 

「ふむ、私はここまで、後は任せます」

「逃げられてるじゃない!?追うわよ!」

「バカを言うな早瀬ユウカ!!あいつの実力はお前らよりも高すぎる!!勝算もなければ勝つための布石を敷いてない状態で突っ込むのは負けに行くようなものだ!!そもそも俺たちの目標はシャーレの奪還であり、あの脱獄犯を捕獲することじゃない!!!優先順位をしっかりと理解しろ!!」

「先生の言う通りです、ユウカ。私たちの目標はあくまでも、シャーレの奪還。このままシャーレのビルまで前進すべきです」

「……うん、そうね。あいつを追うのは私たちの役目じゃないってことね」

「罠かもしれませんし」

「はい。建物の奪還を優先で。このまま引き続き、進むとしましょう」

「切り替えられたのならなんだっていい!!警戒を怠るなよ!!」

 

あの狐女はどっかいったようだが油断できねぇ……何事もなく済めばいいのだが……

 

「よし!建物の入り口まで到着!」

「まだだお前ら構えろ!」

「え?……うん?この音は……」

「お前らさっき戦車がどうとか言ってたよな、ならここに敵としてくるなんてこと普通にあり得るんだよ!いいから構えとけ!!」

「先生のお考え通りです!気を付けてください、巡航戦車です……!」

「クルセイダー1型……!私の学園の制式戦車と同じ型です」

「不法に流通された物に違いないわ!PMCに流れたのを不良たちが買い入れたのかも!」

「つまり破壊しても問題ないってことだよな!」

「やっちまえお前ら!!」

 

「あー……ようやく着いた」

『「シャーレ」部室の奪還完了。私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう』

「そういうわけで俺は地下に行くがお前らはどうする?」

「私たちは先生が認証を完了するまでここを警備しておきます」

「そうか悪いな」

「先生、念のためお気をつけて」

 

「うーん……これが一体何なのか、まったく分かりませんね。これでは壊そうにも……」

「……あら?」

「ゲェ!!??」

 

嘘だろ!?なんでここにこの女がいるんだよ!?なんか壊したらやばそうなものしかないから宝具も使えねぇ!!()()()()()()()()()()()()()

 

「私はイアソンだ。お前の名は何という?」

 

…………………………ん?()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「あら、あららら……」

「……。あ、ああ、……し、し……」

「失礼いたしましたー!!」

「…………は?」

 

なんだあいつ?勝手に逃げて行ったぞ?だがまぁいい。これで問題はなくな、ッ!!??なんだ急に寒気がしてきたぞ!?

 

「(イアソン様?何をしたんですか?)」

 

してないしてないしてない!!!何もしてねぇえって!!!

 

「お待たせいたしました」

「……?何かありましたか?」

「……いいや、何でもない。それよりここは?」

「……そうですか。ここには、連邦生徒会長の残したものが保管されています」

 

そういうと七神リンはタブレット状の何かを確認し始める。そういやマスターもあんなの使ってたな。にしてもまぁ魔術を使わなくても多くのことを記録できるなんて便利な時代になったもんだ。

 

「……幸い、傷一つなく無事ですね」

「……受け取ってください」

「タブレット端末……でいいんだよな?」

「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残した物。「シッテムの箱」です」

「(どこかで聞いたことのある名前だが……)」

「普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明です」

「おい、本当に大丈夫な物なんだよな!?」

「連邦生徒会長は、この「シッテムの箱」は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました」

「私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも……」

「そもそもこの都市で長いこと生活しているお前らに起動できなかった代物を此処に来たばかりのやつが起動できるとは思えんが……」

「………………」

「……では、私はここまでです。ここから先は、すべて先生にかかってます。

「邪魔にならないよう、離れています」

 

七神リンはそういって端の方へ移動していく。はぁ……全くどうなっているんだか。にしてもこれどうするべきなんだ?触ればいいのか?

 

「うおっ!?なんだ簡単に起動するではないか」

「さて何々?『システム接続パスワードをご入力ください』……か」

 

さて全くと言っていいほど心当たりがない。俺の知っているパスワードなんざマスターのマイルームにあるパソコンの秘蔵フォルダのパスワードぐらいなんだが。……ふと文章が脳裏に浮かんでくる。その文章こそがパスワードであると直感した。

 

「『……我々は望む、七つの嘆きを』」

「『……我々は覚えている、ジェリコの古則を』」

 

『「シッテムの箱」へようこそ、イアソン先生』

『生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します』

 

気が付くと俺は見たこともない壊れかけた教室の中で一人のガキが机の上にうつぶせで居眠りしているのを見ていた。周りを見渡せば澄んだ青色の空と海が広がっており、まるで大西洋異聞帯のようだった。……ロクでもない世界を思い出してしまった。あんなことなど忘れて今は現状に向き合わねばなるまい。

 

「くううぅぅ……」

「……随分とのんきに寝てるやつだな。おい起きろ、起きてここの説明をしろ」

「むにゃ、カステラにはぁ……いちごミルクより……バナナミルクのほうが……」

「いいから起きろ小娘!!!」

「えへっ……まだたくさんありますよぉ……」

「なんで起きないんだこいつは!!??ハァ……ハァ……にしてもこいつ人間ってわけじゃなさそうだな」

 

このガキは確かに命のある生き物だ。だがギリシャの神のように機械に関連してんだろうな。どっちかというとBBとかのAI系列か?

 

「おい、いつまで寝てんだ!さっさと起きろ!!」

「うにゃ……まだですよぉ……しっかり噛まないと……」

 

……いいだろう、私は船長ということもあって声量にはそれなりに自信があるのだよ。

 

「いい加減起きろ小娘!!!!!」

「うわぁっ!!??……ありゃ、ありゃりゃ……?え?あれ?あれれ?」

「よう小娘、ようやく起きたか?」

「せ、先生!?」

「だから俺は先生ではなく船長だ!!!」

「この空間に入ってきたっていうことは、ま、ま、まさかイアソン先生……?!」

「誠に遺憾だが、その通りだ。で、お前は?」

「う、うわああ!?そ、そうですよね!?もうこんな時間!?」

「いやだからお前は?」

「うわ、わああ?落ち着いて、落ち着いて……」

「…………(落ち着いて……普段通りに……)……ハッ!?いま恐ろしい幻聴が!」

 

アルトリア・キャスター(過労キャスター)がいつも言っていた言葉の幻聴が聞こえてくるからさっさとしろ!!

 

「えっと……その……あっ、そうだ!まずは自己紹介から!」

「私はアロナ!この「シッテムの箱」に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!」

「俺の秘書だと?」

「はい!やっと会うことができました!私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」

「……お前寝てただろうが」

「あ、あうう……も、もちろんたまに居眠りしたりしたこともあるけど……」

「……お前ヘラって名前を知っているか?」

「ヘラ……ですか?すみません、聞いたことないですね。先生のお知り合いですか?」

「……(女神ヘラを知らねえってことは試練でもないってことか。俺は一体何に巻き込まれたんだよ)。ハァ……まあいい、よろしくな」

「はい!よろしくお願いします!」

「あっ!まだ身体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが……。これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね」

 

そう言って薄っぺらい胸を張りながらドヤ顔をするアロナとかいう娘がメディアと重なって見えてつい目線をそらしてしまう。メディアもこんなことを言っていたな。イカレタところはあったが献身的な奴だったのに、あんな魔女になったm、嫌な予感が……ギャア!!!嘘です嘘です!!!冗談です!!!

 

「あれ?イアソン先生大丈夫ですか!?顔色が悪いですよ!?」

「き、気にすることはない。この程度慣れているからな」

「そうですか?あ、そうだ!ではまず、形式的ではありますが、生体認証を行います♪」

「うう……少し恥ずかしいですが、手続きだから仕方ないんです。こちらの方に来てください」

「ん?なんだ、いったい何をするのだ?」

「もう少しです!さあ、この私の指に、先生の指を当ててください」

「………………」

「あれ?先生?何してるんですか?早く指を当ててください!私も恥ずかしいんですよ!」

「落ち着け、落ち着くんだ私。これはただの生体認証だとこいつも言っていただろう。別に変なことをするわけではないんだから怒られるはずがない!」

「イアソン先生!」

「あー分かった、分かったから落ち着け。ほら、これでいいんだろ?」

「うふふ。まるで指切りして約束するみたいでしょう?」

「縁起でもないことを言うなお前!大丈夫だよな!?俺生きてるよな!?これは生体認証であってこの娘が変なことを言っているだけだからな!!」

「ええ!?ひどいですよ!イアソン先生!!」

「指切りとかにはロクな思い出が無いんだよ俺は!!それにどっちかというと宇宙人の映画のワンシーンみたいだぞこれ!!」

「えっと……実は、これで生体情報の指紋を確認するんです!」

「画面に残った指紋を目視で確認するのですが……すぐ終わります!こう見えて目はいいので」

「…………(ますますギリシャの機神じみた能力だな)」

「どれどれ……うう……(うーん……よく見えないかも……。……まあ、これでいいですかね?)」

「……はい!確認終わりました♪」

「おい本当にできているんだろうな!?真面目にやってないとか、手抜きして俺が死んだらどうする!?」

「そ、そんなことありません!」

「最近どころか神代の機械ですら指紋認識なんて自動で終わってるぞ!それも一秒もいらんぐらいだ!」

「え、ええ!?わ、私にはそんな最先端の機能はないのですが……」

「そ、そんな能力なくてもアロナは役に立ちますから!?目でも十分確認できますから!」

「その程度の能力がなきゃお前はギリシャじゃ鉄クズだよ!!信じられるか!!」

「……うう……だったらその最先端のナントカさんのところに行ってしまったらどうですか!」

「俺に死ねと!?あんなロクでもない神がそこら中で面倒ごとを起こしている神代のギリシャに行けと!?おい待て!泣くな!お前みたいな子供に泣かれると俺が大変nギャア!!!アタランテ!!俺は事実を言っただけだ!!!グオォ!!!嘘です!!!冗談です!!!だから攻撃を止めろ!!!!おいアロナ!!!!さっきのは冗談だから泣き止んでくれぇ!!!!」

「くすん……」

 

幻覚なのに痛みの生じるアタランテの矢を堪えながらとにかく慰めた。アロナが泣き止んでからアタランテの幻覚は消え去っていった。そんなんだから嫌われるんだよ。

 

「……なるほど……先生の事情は大体わかりました」

「連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段が亡くなった……」

「挙句の果てには会ったことも話したこともない俺に先生なんて役目を与えていきやがった」

「あはは……」

「お前は連邦生徒会長について知っているか?」

「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが……連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女が何者なのか、どうしていなくなったのかも……」

「お役に立てず、すみません」

「気にする必要はない。連邦生徒会の主席行政官ですら足取りがつかめていないのだから、知らなくても仕方はあるまい。それにお前ですら知らないという情報が手に入ったのだからな!」

「そういってくださると助かります」

「ですが!!サンクトゥムタワーの問題は私が何とか解決できそうです」

「そうか、なら頼んだぞアロナ」

「はい!分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!少々お待ちください!」

 

大きな物音と同時に部屋の電気がつく。ほう中々いい部屋じゃないか。

 

「サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了……」

「先生、サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収できました。今サンクトゥムタワーは、私アロナの統制下にあります」

「今のキヴォトスは、先生の支配下にあるのも同然です!」

 

この都市が私の支配下にあると聞いて生前のことを思い出していた。かつて望んでいた立場を手に入れることができる状況に不思議と俺の脳は落ち着いていた。本来の私であればこの状況を当たり前のように受け入れていただろう。だが今の私はそれに少しばかり忌避感を感じている。……ダ・ヴィンチはサーヴァントの思考はマスターの性格の影響を受けるとか言っていたか。俺と藤丸立香(マスター)の契約はもうない、だがカルデアでの記憶があるということはまだ繋がりがどこにあるのだろう。

 

「先生が承認さえしてくだされば、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管できます」

「でも……大丈夫ですか?連邦生徒会に制御権を渡しても……」

「ああ、問題ない。そもそも俺はシャーレなんていう馬鹿みたいにデカい権限を与えられている。そこからサンクトゥムタワーの制御権なんてものを持ったら、いくら命があっても足りなくなることが目に見えているからな」

「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」

 

その言葉を聴いてから俺は画面から目を外す。全くどいつもこいつも俺のことを先生と呼びやがる。俺に教職の才能などないというのに連邦生徒会長とやらは何を考えているんだか。制御権を移管したことを一応伝えるためにリンの方を向くと機械を耳に当ててしゃべっている姿が見えた。確かマスターが言っていたスマホとやらの電話機能だったか、本当に便利な時代になったものだ。

 

「はい……分かりました。サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね」

「お疲れさまでした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします」

「ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく」

「ああ、そうしておいてくれ」

「それでは「シッテムの箱」は渡しましたし、私の役目は終わったようですね。……あ、もう一つありました」

「シャーレについての説明か?」

「ええ、その通りです、ついてきてください。連邦捜査部「シャーレ」をご紹介します」

 

正直疲れているからここで説明してほしいのだが、あきらめて素直についていった方がよさそうだ。

 

「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね」

「そして、ここがシャーレの部室です。ここで先生のお仕事を始めると良いでしょう」

「……ちなみになんだが俺に割り振られる仕事の量はどれくらいだ?」

「………………………………」

「おいなんとか言え!?ハァ……まあいい、それで私はこれから何をすればいいのだ?」

「……シャーレは、権限だけはありますが目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃいけない……という強制力は存在しません」

「キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です……」

「何度考えても正気とは思えない権限の強さだな」

「面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れてませんでした」

「つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い……ということですね」

「……なんでも、か」

「……本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま」

「私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力がありません」

「……すごく嫌な予感が……」

「今も連邦生徒会に寄せられてくるあらゆる苦情……支援物資の要請、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど……」

「……もしかしたら、時間が有り余っている「シャーレ」なら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね」

「やっぱりそうじゃねえか!!」

「その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください」

「……気が向いたらな」

「すべては、先生の自由ですので」

「絶対読まないと怒るだろお前!!!」

「それではごゆっくり。必要な時には、またご連絡いたします」

「おいちょっと待て」

「何か問題でもありましたか先生?」

「さっきまで一緒にいたのだからそういう話じゃないことぐらい分かってるだろお前……。矯正局の生徒について一つ……」

 


 

「ええ。サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会が取り戻したことを確認したわ」

「ワカモは自治区に逃げてしまったのですけど……すぐ捕まるでしょう。私たちはここまで。あとは、担当者に任せます」

「お疲れ様でした、先生。先生の活躍はキヴォトス全域に広がるでしょう。すぐにSNSで話題になってしまうかもしれませんね?」

「SNS?なんだそれは?知識としては知っているが実態は知らんぞ俺は?」

「先生SNSを御存じないんですか!?その見た目で!?いいですか!?SNSというのは……」

「……という感じなんです。分かりましたか?」

「発言が全世界につながるとかふざけてんのか!?ギリシャにあったら大変なことになるわ!!」

「とにかくお前らよくやった。即席にしては悪くない連携だった」

 

神秘をそこらじゅうの人間が秘めてるとか神代よりもやばいんじゃないかここ?

 

「これでお別れですが、近いうちにぜひ、トリニティ総合学園に立ち寄ってください。先生」

「私も、風紀委員長に今日のことを報告しに戻ります。ゲヘナ学園にいらっしゃった時は、ぜひ訪ねてください」

「ミレニアムサイエンススクールに来てくだされば、またお会いできるかも?先生、ではまた!」

「お前らとは顔合わせも済んでるからシャーレの権限で呼ぶかもしれんがその時は頼んだぞ」

「消費した物資に関しては……あー紙にまとめてもってこい、何とかできる部分はしておく」

「よろしいのですか先生?」

「せっかくの権限があるんだから使わない手はないだろ。それじゃお前らまたな」

 

こうして俺は(不本意ながら)シャーレの先生となってここキヴォトスで働くことになったのだ。

 


 

序章 暴徒蔓延世界キヴォトス

 




めちゃくちゃ長くなりましたが何とか序章を終わらせれました。前書きにも書いた通りfgo風のタイトル考えてましてなんかもう中二病全開ですけど許してほしい。本作品は幕間をはさんだりしますが基本的には実装された順にメインストーリーを進めるつもりです。よろしくお願いします。

第一章 没落砂漠都市アビドス〜不屈の乙女〜

イベストと恋愛要素は必要?

  • イベストだけ
  • 恋愛だけ
  • どっちも必要
  • どっちもいらない
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