本編ヤバいですね……
今回もちょっと短めです
モモイを落ち着かせたイアソンは自分たちが離籍していた間に起きた出来事について聞き出していた
「今月までに部として成果を出せないと廃部ねぇ……」
「……ごめん。わたしが、部長会議に参加できなかったせいで……」
「謝るのは私の方だよ……。ゲームのイベントを理由にサボっちゃったし……」
「それで廃墟にあるとされるG.Bibleを探しに行こうとしてたのか」
「うん。あ、でも先生が忙しいなら大丈夫だよ。色々と迷惑かけちゃったし……」
図々しい一面ばかり見せていたというのに急にしおらしい反応を見せられ、ため息を吐くイアソン。その姿を見て断られると自己完結したモモイは寂しそうな表情でこちらを見てくる。
「別に断ったりしねぇよ。面倒ではあるがな」
「そら、さっさと支度を済ませろ。30分もありゃ許可はとれるからな」
「(アリスに関する情報も探れるだろうしな)」
「わかった! 色々準備するから先生は部活棟の入り口で待ってて!」
「はいはい。置いて行ったりはしねぇが遅れてくるようなことはすんなよ」
部室から退出し2分ほど歩いたところでイアソンは調月リオへ電話を掛ける。廃墟探索の許可自体はアリスの情報探しのために昨日の時点で既にとっていた。本来ならば自身と狐坂ワカモ、調月リオ、飛鳥馬トキ、明星ヒマリ、和泉元エイミの6人で行うつもりだったのだが、アリスとゲーム開発部の親睦を深めることやアリスを成長させるために利用することに決めたのだ。
「……そういうわけで俺はアイツらと廃墟に向かう。お前にはドローンのカメラで録画しておいてほしい」
『問題が起きた際に判断の基準として扱うためね。わかったわ、任せてちょうだい』
「ああ。日常での行動がある程度映像に残してあれば有事の際に役立つからな」
「調査の方はどうだ? 何か見つかったか?」
『ヒマリと協力して調査しているけれど彼女に関する有力な情報はまだ何も掴めていないわ』
『関係があるかは不明だけれども、廃墟でエイミが奇妙な書物を発見したわ』
「……書物だと?」
『ええ。保存状態も異常なほど良かったから解読作業をヒマリと進めているわ』
『ただ、所々が塗りつぶされていたり、ヒマリですら一度も見たことのない言語が使われていてもう少し時間がかかるわ』
「そうか、解読が完了したら教えてくれ」
「もうじきアイツらがここに来るから切るぞ。じゃあな」
『……余計なお世話かもしれないけど、気を付けてちょうだい。失礼するわ』
子どもに心配されていることに苦笑いしながら壁にもたれかかる。今はとにかくアリスのことを考えなければならないというのに、自身の脳内を占めているのは雷帝がほとんどだ。
アリスのことを連邦生徒会に報告しに行った際にリンから伝えられたゲヘナの雷帝。数多くの厄ネタを生み出した挙句その全てが回収できていないなど勘弁してほしい。連邦生徒会資料室に存在していたアビドスと雷帝の接触報告書を見てから嫌な予感が止まらない。
「アビドスの土地を全て取り戻せておいて本当に良かった……」
「何が良かったの?」
ここ数日で何回も聞いている声に思いっきり反応してしまったが、各々の表情を見るに前半部分が聞かれていないことに安堵する。焦ったり安堵したりしているイアソンに変なの、とつぶやくモモイ。
「別に何でもない。それより準備はできてるんよな?」
「もっちろん!」
「私も問題ありません」
数時間前まで一緒に部室で過ごしていた狐坂ワカモが突然現れたことに驚くゲーム開発部。
「いっ、いつからここに!?」
「たった今到着したところです。間に合って本当に良かったです」
「ワカモさんにいつ連絡を入れたんですか先生?」
「先生は勇者だけではなく召喚者の資格も持っているんですね! アリスも2代目勇者として負けていられません!」
「今からするところだったんだよ……なんで俺の行動が把握されてんだ……」
「まさかとは思うが盗聴や盗撮してないだろうな?」
大切な人が自分だけに向けている
だが、護衛に任命されあらゆる面でサポートし続けてきた今の自分には、その感情が自分を信頼しているからこそ向けられていると理解できている。
平時こそサボり癖やデリカシーに欠けた発言が多少目立つが、救援を要請されたときの彼はより輝くのだ。そんな彼が自分だけに感情を向けている状況に喜びを感じてしまうも、自身の潔白を証明するために面を外す。
「あなた様のプライバシーを侵害する行為は一切行っておりません」
「私はただ、あなた様がどのような行動をするのか予測を立てているだけですので」
普段は直接顔を合わせることを恥ずかしがる少女が蠱惑な笑みを浮かべながら己の無実を宣言する。大切な人に向けた思いを隠すこともなく本人へぶつけるワカモにミドリとユズはもちろん、モモイとアリスまで顔を赤くしてしまう。4人のなかで恋愛に一番興味のあるミドリは当事者であるイアソンの方へ目を向ける。先生は一体どんな返事をするのだろうか─────
「こっっっっっわ」
最悪な反応だった。それだけは絶対ダメだろうとジト目でイアソンを睨む4人。だが、イアソンからしてみればぶっとんだ思考を持つメディアですら中々できないことを平然とやっていると真っ直ぐに伝えられたのだ。ギリシャよりもまだマシに思えていたキヴォトスへが怖くなってきている。
「先生、それは無いと思う」
「お姉ちゃんの言う通りです。こういうときは恋愛ゲームの主人公のように気の利いたことを言うべきです」
「さすがにちょっと……ないです……」
「先生はヘタレ勇者なんですね!」
援護射撃のようなことをしてくる少女たちに笑みを浮かべるワカモ。自分が世間から疎まれていることは自覚していたし、2日前に怖がられていたことも先生がいればどうでもいいいと思っていたが、こういった繋がりも悪くないと自分が変わり始めていることに胸が温かくなる。
「そこまでで大丈夫ですよ。先生は元々そういった感情に対して一線を敷いている方ですので」
ワカモの言葉を聞いて睨むのを辞めた4人は、ワカモに恋愛トークを持ちかける。恋愛要素の描写に力を入れたいのか、単純に気になるのか。
「(キャスターの資格があれば大人のカードを使って簡易召喚ができるのだが……)」
「(現状召喚できるとすればアビドスの神秘特性を用いたファラオぐらいか)」
「(だが、アビドスの問題はもう解決したんだ)」
「お前ら、そろそろ廃墟に向かうぞ」
「りょーかい! ワカモさん、また後で色々聞かせてね!」
「えぇ、構いませんよ」
2日ぶりに訪れた廃墟は信じられないぐらい荒れていた。ロボットたちはまるで行方不明の主人を探すかのように動き回っている。しかし、その動作は完全に暴走しており、建造物の破壊や仲間の機体を手当たり次第に攻撃している。そんな光景に一同が呆然としていると、ロボットたちと目線があってしまう。
「各個体を撃破すんのは時間の無駄だ! 一撃で葬るぞ!」
「モモイとミドリはあいつらの真横を打ち続けろ! 光の剣の攻撃範囲に連中をまとめる!!」
「おっけー!! 任せてよ先生!!」
「分かりました! いくよ、お姉ちゃん!」
「ユズとワカモは弾幕の外にいる個体を攻撃しろ!!」
「お任せください、あなた様」
「や、やってみます……!!」
「アリス! お前は右に2歩移動していつでもぶっ放せるように構えろ!」
「チャージ開始します!!」
4人の連携によってロボットたちが直線状に集合したのを確認し、アリスに指示を出す。
「チャージ完了!! 今日の私は光属性広域アタッカーです!!」
「モンスターを殲滅します……光よ!!」
「よし、成功!!」
「アリスちゃん、すごい!!」
「あ、あんなにいた敵を簡単に倒しちゃうなんて……すごいよ、アリスちゃん!」
「パンパカパーン! アリスたちは戦闘に勝利しました! 大量経験値ゲットです!!」
少なくとも100体のロボットを殲滅したことに喜ぶゲーム開発部。そんな姿を温かい目で見ながらワカモはイアソンに話しける。
「あなた様、付近に他の個体はいないようです。あの【工場】へ移動するならこのタイミングがよろしいかと」
「そうだな。お前ら! あの工場に移動するぞ!!」
「先生! アリスはレベルアップし、新しいスキルが解放されましたが技能レベルが足りません……」
「技能レベルを上げるためにもう一度あの冒険話をしてください!!」
「なんであの話が技能につながるんだよ……移動しながらなら別にいいが」
「さては……あの冒険のファンにでもなったのか?」
嬉しいという感情を隠すことなくアリスに問いかけるイアソンに、「意外と子どもっぽい一面があるんだな……」と驚く4人。もっともワカモはそんな一面に自身の心を再び掴まれてしまい悶えているのだが。
「はい! 先生の冒険はアリスに2代目勇者としてたくさんの力を与えてくれています!」
「とくに先生の親友であるヘラクレスはすごいです!!」
「そうか!! お前もあいつの凄さがわかるのか!! いいだろう、あいつの素晴らしい所をたくさん話してやろう!!」
楽しそうに会話する2人をみて笑みがこぼれるモモイたち。2人の最初の会話を思い返すとどうやってルートを発生させたのか気になるところだが、それを聞くのは野暮だろうと考え口を閉じるのだった。
自分の親友の話を嬉々として話すイアソンと目を輝かながら食いつくアリス。その姿は微笑ましく、少女たちの大切な思い出として記憶に残り続けるだろう。
それが少女の命を巡る戦いの大きな火種になったとしても
イベストと恋愛要素は必要?
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イベストだけ
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恋愛だけ
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どっちも必要
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どっちもいらない