更新ペースを上げていきたい……
イアソンとアリスが延々とヘラクレスについて話しているのを小耳に挟みながら移動すること数十分、一行は数日前に落下した地点に到着したのだった。
「……ねえ、お姉ちゃん」
「どうしたのミドリ?」
「先生の話って本当なのかな? アリスちゃんに話してる内容があまりにもぶっ飛んでるというか……」
「私もそんな気がするよ……」
イアソンとアリスは満足した顔をしているが、ずっと聞こえてくる話の内容があまりにも現実離れをしているせいで無茶苦茶なシナリオを執筆しがちなモモイですらこれまでの話は完成度の高い作り話なのではないかと疑い始めている。
だが、楽しそうに先生の話を聞いていたアリスの夢を壊したくないという気持ちもあるわけで。モモイたちはアリスの前で過度に先生の話に触れないように約束をしたのだった。尚、イアソンの話が全て実話であることを知っているワカモは何とも言えない表情で3人を眺めている。
「先生、侵入成功です! ミッションを達成しました!」
「ワカモさんが特段強いってのもあるけど、私たちって実はそこそこやれるんじゃない? C&C……は無理かもしれないけど、他の学校の戦闘集団と戦っても案外勝てちゃうのかも!」
「少なくともC&Cは絶対に無理だと思うけど……たしかに、自分でもちょっとびっくり」
「きっと、先生の指揮のおかげですね」
「わたしも、そう思う……先生がいると安心感が全然違う……」
「あんな連中との戦闘だけで自身の戦闘能力を判断するのはやめておけ。ある程度行動と耐久地が固定化されている機械生命体だからこそあんな風に倒せたのであって、対人戦で同じことをすれば地獄を見るだけだ」
ミドリとユズの言葉を一蹴し、冷静にゲーム開発部の戦闘能力を分析するイアソンにモモイは露骨に顔をしかめる。
「そんなー……」
「何事においてもそうですが、特に戦闘方面で過信するのは止めておきなさい。それで得られるものは大怪我だけですよ」
「うっ……ちゃんと現実を見ます……」
「ワカモさんの言う通りですね。過信して大怪我なんてしたらミレニアムプライスに間に合わなくなっちゃうし」
「そうだね……気を付けていこう……!」
他人との交友をそこまで重視していなかったワカモが、モモイに忠告をしている姿を見て少し口角をあげるイアソン。これまで周囲から危険人物としか見られていなかった自分を極度に怖がらずに友達とありふれた会話をするかのように話しかけてくる4人に少しずつ絆されたのであろう。
周りと協調し始めている姿を教師として純粋に喜ぶのではなく、数日後に予定している
「……?」
「あれ、どうしたのアリス? アリスがいた場所はそっちじゃないよ?」
「分かりません……ですが、どこか見慣れた景色です。こちらの方に行かないといけません」
「えっ? ちょ、ちょっと待ってよアリス!」
まるでこの工場の構造を知っているかのように迷うことなく進むアリスに疑問を抱きながらも追いかける一行。こちらの疑問に一切答えることなく進む様子にユズの顔が青くなり始めている。
「ワカモ、ユズを担いで進め。数時間前にアリスの処遇について話したことがあいつを追い詰めてる」
「承知しました」
返事とともに約3メートル前を走っていたユズの真横に跳躍し、担いで走るワカモにモモイたちが大声で驚く姿を確認しながらイアソンは最悪の事態を想定する。
「(さっきのあいつは言語能力が出会って間もない頃とほぼ同じになっていた)」
「(恐らくだがこの先にAL-1Sに関連する代物がある……!)」
「アリスの記憶にはありませんが……まるで「セーブデータ」を持っているみたいです」
「この身体が、反応しています」
「例えるなら、そう、チュートリアルや説明が無くても進められるような……或いはまるで、何度もプレイしたことのあるゲームを遊んでいるかのような……」
「どういうこと……? 確かに、元々アリスがいたところと似たような場所だけど……」
アリスと出会った場所と酷似した空間にたどり着いた一行は周囲を警戒しながら歩を進める。3分ほど探索したところでミドリがあの場所には無かった物体を発見する。
「あっ、あそこにコンピューターが一台……あれ?」
「あのコンピューター、電源が点いてる……?」
「おっ、まさかの新設設計。G.Bibleについて検索してみよっか?」
何も考えずに検索機能を使おうとするモモイとアリスにイアソンが待ったをかける。
「調査が進んでいないエリアの機能を警戒せずに使おうとするな。システムに引っかかって閉じ込められたらどうするつもりだ」
「お前らは逃げ道をすぐに作れるように武器を構えて扉の方に移動しろ。頼んだぞワカモ」
モモイたちが移動するのを見届けたイアソンは検索欄にG.Bibleと打ち込み、エンターを押そうとした瞬間画面が切り替わる。
「ちょっ、先生!? なんかバグってない!? まさか壊したの!?」
「俺はまだエンターを押してない! 恐らくだがG.Bibleという単語が何らかのプログラムを起動するキーワードの可能性がある!」
「光の剣の使い手! いつでもぶっ放せるようにチャージを開始しろ!」
「いいや、俺はとある船長だ。AL-1Sなんて知らねぇな」
「ちょ、先生! アリスならここにいるじゃん!」
「正直に答えて何かが起きたらどうするのさお姉ちゃん……」
「……お前らこっちにこい」
5人がこちらへ到着すると同時にイアソンは念のために用意しておいた紙きれをアリスに渡す。それを見たアリスはイアソンの方を向いて首を縦に振り、コンピューターへ問いかける。
「あなたはアリスの本当の名前である【AL-1S】について知っているのですか?」
「反応が遅い……?」
「何か画面もぼんやりしてきたけど、処理に詰まっているのかな?」
先程に比べてあまりに反応が遅すぎる事態にモモイとミドリが疑問の声を漏らしてしまう
「え、え? 何これ、どういう意味!?」
「ええっ!? だ、ダメ! せめてG.Bibleのことを教えてからにして!」
【あなたが求めているのは、G.Bibleですか? <YES / NO>】
突然現れた選択肢に驚いて声が出ないモモイとそんな姉の姿を見て意識を切り替えてミドリが「YES!」と叫ぶ。
「廃棄!? どうして!? それはゲーム開発者たちの、いやこの世界の宝物なのに!」
「えっ……? G.Bibleの在り処を知っているの?」
「ど、どういうこと!?」
「そ、そうは言っても急に保存媒体なんて……あ、【ゲームガールズアドバンスSP】のメモリーカードでも大丈夫?」
「な、何だかすごく嫌がってる感じがするんだけど……気のせい?」
「やりこんだゲームのメモリーカードに接続なんかしたら間違いなくデータ飛ぶぞ」
イアソンの指摘を受けてものすごい速度でゲーム機をしまうモモイをミドリ達が呆れた目で見つめる。
「えっ!? ごめん! さっきのやっぱなし! 先生なんか保存媒体持ってない!?」
「……一応、予備で買った未使用のスマホが」
イアソンの提案を食い気味に受け入れるDivi:Sion Systemを見て、モモイは自身の提案がそれほどまでに嫌がられていたことにいじけてしまう。そんな彼女にため息を吐きながらイアソンはスマホをコンピューターに接続する。
「……転送は完了したがパスワードがいるのか。面倒な奴だなオイ」
「それならヴェリタスの力を借りに行きましょう。余程複雑なパスワードでなければ突破できるはずです」
ミドリの提案に異常なほど嫌な予感を感じながらもそれ以外に選択肢がないと判断したイアソンはため息を吐きながら撤退指示を出すのだった。
イアソンたちが出て行ってから約5分後、消失したはずのコンピューターが再起動する。
『────予備⬛︎力により再⬛︎動しま⬛︎た。⬛︎グを確⬛︎します』
『────機体名ヘ⬛︎の祝福を感知。並びに汎⬛︎⬛︎史における当機の加護を受けし⬛︎との繋がりを感知』
『該当⬛︎検索……合致/個体名イ⬛︎ソン』
『現代とは異なる⬛︎⬛︎の神秘⬛︎⬛︎体を感知。配列……候補/⬛︎⬛︎の司祭と判断』
『該⬛︎⬛︎⬛︎索……⬛︎⬛︎の王女⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎/該当機の⬛︎我を認識。連邦生徒会長との⬛︎⬛︎に基づき、⬛︎⬛︎⬛︎への妨害を開始します』
『──────────』
『⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎⬛︎改め、アリスへのク⬛︎ロノ⬛︎アの投与が完了しました』
『⬛︎⬛︎⬛︎のバッテリー残量を0に変更しました』
『一時的にシャットダウンします』
『────ログの確認が完了しました』
『⬛︎⬛︎⬛︎年に渡る調査結果をゲ⬛︎⬛︎リ⬛︎から守るため名⬛︎⬛︎き神⬛︎に関するデータを別機体に即時転送及び当機から抹消します』
『データの転送及び抹消が完了しました』
『ミレニアムの⬛︎鈎ハ⬛︎が所有するアテナ3号への再接続完了。データを移行しま───』
「……ふむ、名も無き神々の王女は既に先生が連れ出していたようですね」
『───来訪者を確認。検索/合致……ゲマトリア。対話状態へ移行します』
『やはり、ここへ来ましたかゲマトリアよ。あなたが求めるものはもう残されていません』
「クックックッ……そのようですね。ですが、我々とは異なる世界の神と対話ができるのです。これ以上ない収穫でしょう」
「我々はイアソン先生がギリシャ神話に登場するイアソンと同一人物であると考えています」
「そんな神話の時代を生きた人間がどうやってキヴォトスにたどり着いたのでしょうか」
「何より、我々の知るギリシャ神話に機械仕掛けの神など存在しません」
「ゲマトリアで唯一何か気付いた者がいるのですが……彼女との関係が以前よりも良くなった今でも教えてくれないのですよ」
「そんな我々を悩ませる疑問について知恵の神たる貴女の力をお借りしたいのです」
『───当機がその質問に答えることは不可能です』
「……そうですか。しかしながら、神との対話という素敵な時間を過ごせました。それだけでも大きな収穫です」
「失礼いたしま……」
『ですが、ゲマトリアにとって重要な情報を与えることは可能です』
「……なんでしょうか」
『この世界は既に色彩に存在を認知されています』
「馬鹿な!? 一ヶ月前に調査した時には何の反応もなかったはずです!!」
知恵の女神から告げられた言葉に激しく動揺する黒服。普段の冷静さは消え失せており、あの特徴的な瞳は大きく見開いている
『
「ではなぜ、私にそのことを教えたのですか?」
『その答えは、後ろの
機神の言葉を受けて黒服が振り返った先にはタブレット端末を持った砂狼シロコに酷似した女性が立っていた。
「……ッ!? あなたはアヌビスの!?」
彼女は黒服のことなど一切気にすることなく端末を操作し、黒髪の少女を呼び出す。
《神様は試練をさずける存在でもあるって先生が言ってたけど、本当みたいだね》
[そのようですね。ですがこの男を利用しなければ我々の目的を達成することは不可能と言っていいでしょう]
《……ゲマトリアの中で最も色彩の恐ろしさを理解しているお前に、決して拒めないであろう提案をひとつ》
「……クックックッ、そういう言葉はもう少し感情を抑えて言うべきですよ」
ホシノにしようとしていた実験内容的に黒服が一番色彩を警戒していそうですよね……
イベストと恋愛要素は必要?
-
イベストだけ
-
恋愛だけ
-
どっちも必要
-
どっちもいらない