イアソン先生   作:這いよる混沌

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今回もかなり短めです。
(追記)修正しました


ストーリークエスト 作戦会議/勇者の決意

「一時的に私たちだけの味方になって欲しい」

 

イアソンが部室から退出してからみんなで話し合って出した結論をまっすぐにぶつけるモモイ。

 

「……モモイ、今のは俺の立場を理解した上での発言なんだよな?」

 

イアソンから放たれる圧と言葉にヴェリタスの面々は冷や汗をかき始める。生徒の味方である先生ならきっと協力してくれると考えてモモイに提案したのだろう。

 

「不本意ながら俺は生徒の味方である先生をやってる。立場通りにお前らを助けなきゃならねぇ」

「だが、お前らがこれから戦う相手は誰だ? お前らと同じ生徒であるセミナーだろ」

「片方をぶん殴ってでも止めなきゃいけない過ちや暴動を起こしていないのに俺が干渉したら面倒ごとや両者の関係に亀裂を生むだけだ」

「そもそもお前たちはG.Bibleが無くてもゲームを作れると言っていただろう。それなのに生徒会とやり合う必要がどこにある?」

 

優しさも温かさも一切感じられない言葉にユズとミドリは涙目になっており、アリスとヴェリタスの面々は俯いてしまっている。アビドス砂漠の時に比べて遙かに優しいとはいえ英霊の圧を真正面から受け続けてるモモイは両足が異常なまでに震えており、まともに会話ができそうにない。期待外れだなと内心で吐き捨てたイアソンはこれまで口をはさむことなく見守っていたワカモに目線を送り、つまらないという感情を隠すことなく歩き出す。

 

「……せんせい……まって……」

「アリスちゃんのことは……どうするんですか……」

「あの言葉は……嘘だったんですか……」

 

涙を必死に堪えながら友達の未来を案じるユズの言葉に少しだけ足を止めるも、イアソンは再び進みだす。ほんの数日の付き合いで自身を絆したゲーム開発部の方を何度も見ながら進むワカモの表情は仮面に隠されているが、付き合いが一切ないヴェリタスから見ても分かるほどに歪んでいた。イアソンがドアノブに手を掛け退出しようと─────

 

「意味ならあるよ」

 

先程まで生まれたての小鹿のように震えていたモモイがまっすぐにイアソンを見つめている。そんなモモイの姿を見てイアソンは少し嬉しそうに振り向く。

 

「……なら言って見ろ。無駄でしかないその行動に一体何の意味がある?」

 

「先生が言った通りG.Bibleが無くてもゲームは作れるよ。なんなら今すぐにでも制作に入ってクオリティを上げるべきだと思う」

「でも、アリスと協力して手に入れたG.Bibleをそのままにしてゲームを作ったら悔いが残る」

「私たちにとって今回のゲーム制作はこれからを決めるものだから全力で取り組まなきゃいけない」

「でもアリスにとっては初めてのゲーム制作になるんだ。そんな特別な活動を最高の思い出として残してもらいたいって思うのはおかしなことじゃないでしょ?」

「だから私たちはゲーム制作に繋がる要素であるならどんな苦労をしてでも取り入れたい。じゃないと私たちは一生後悔する」

 

「後悔をしたくないから生徒会とやり合うと? ボロ負けするかもしれないのに?」

 

「そうならないために先生がいるんでしょ?」

 

「……さっきも言ったが俺は生徒同士のやり合いで片方に着くことは出来ないぞ」

 

「だったら私たちが生徒会に殴り込みに行くって伝えればいいでしょ?」

「それに私たちが先生を頼るのはユウカが依頼すると考えられるC&Cの対策を一緒に考えて欲しいからだしね」

 

その言葉とともにモモイはより強くイアソンの目を見つめる。その瞳からは絶対に逃がさないと言わんばかりの圧が放たれている。

 

「はぁ……俺の負けだ。力を貸してやる」

 

イアソンの発言を聞いてモモイとアリスは笑顔を浮かべながら抱き合っている。涙目になりながらも踏ん張っていたミドリとユズは緊張の糸が切れてへたり込んで泣き始め、そんな二人をワカモがなだめている。

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ヴェリタスの面々は息を整えながら直に体感した圧に冷や汗をかいているが、脳内ではアビドス砂漠の事と女神アテナとの関係についての疑問で埋め尽くされているあたり思考がぶっ飛んでいるのであろう。

 

「それじゃC&Cの対策について話すぞ」

 

C&Cの対策と聞いて一同は気持ちを切り替えてイアソンの方を向く。

 

「でもネル先輩って私たちでどうにかできる強さじゃないよね?」

 

「それにアスナ先輩たちも普通に強敵ですし……」

 

「正直に言ってネル以外は搦手を合わせながら複数人で戦えばどうにかなる」

 

「本当!? 私たちそんなに強くないけど!?」

 

先程あれだけかっこよく話していた姿はどこに行ったのか情けない言葉を放つモモイを残念なモノを見るような目で見つめながらイアソンは話し続ける。

 

「メンバーと作戦については後で教えるとして、ネルについて話すぞ」

 

最大の壁であるミレニアム最強の対策と聞いて一同の顔がより引き締まる。

 

「それで美甘ネルについてはアリスが対処することで解決だ」

 

あまりにも簡潔過ぎる発言に美甘ネルの強さを知らないアリス以外からため息を吐かれてしまう。

 

「一番大事なところが簡潔過ぎるよ先生! そんなことで倒せるならだれもネル先輩を恐れないよ!!」

 

「一番強いから作戦が一番簡単になるんだよ」

 

「どういうことなのでしょうか」

 

「美甘ネルの特徴は間合いだ。間合い内なら敵なしと言われているネルと戦う時お前らはどんなことを考える?」

 

イアソンの質問を聞いてゲーム開発部とヴェリタスが出した答えは「間合いの外から倒す」「罠や搦手を使う」といったものばかりであった。

 

「その通り。だから美甘ネルは間合いの外から攻撃されまくっているわけだ。さてワカモ、この時に発生する問題は?」

 

「間合いの外からの攻撃に慣れているといった所でしょうか?」

 

「ああ、あまりにも間合いの外から攻撃されているせいで真っ向勝負しかまともな勝ち筋が無くなっている」

 

「それじゃ勝ち目がないよー……」

 

「いいや、幸いなことにお前たちにはとにかく頑丈でパワーのある新米勇者こと天童アリスがいる。美甘ネルと張り合える力のあるアリスが間合いでの勝負に勝つことがお前たちの唯一の勝ち筋だ」

 

「アリスの出番ですね! 任せてください!」

 

「よし。それじゃ残りのC&Cに対する割り振りと作戦を伝えるぞ。まず─────」

 

 

「こんなところだな。それじゃあ俺はユウカに伝えに行ってくるからな」

 

イアソンとワカモがヴェリタスの部室から出て行ったのを見届けてからユズがアリスに話しける。

 

「アリスちゃん、ちょっと良いかな?」

 

「何ですか、ユズ?」

 

「ネル先輩に勝てなくても気にしなくていいからね」

「モモイがさっき言ってったのはG.Bibleを手に入れなきゃ後悔するって意味じゃなくて、()()()()()()()()()()()()って意味だから」

「私たちはG.Bibleが無くてもゲームを作れるし、廃部になっても皆で集まれば怖くないから」

「だから、あまり気負いすぎないでね」

「それじゃ私も武器の調整をしに行くね」

 

ユズの言葉を聞いたアリスは何かを考えるかのように棒立ちしていたかと思えば、まるで透視するかのようにヴェリタスの部室を見渡す。そうしてお目当ての物を見つけたアリスは無意識に抱いた本能に従い行動する。

 

「コタマ先輩、ハレ先輩、マキにお願いがあります」

 

「どうしたのアリスちゃん?」

 

「アリスにヘラクレスの映像を見させてください」

「アリスも出来ることを全部やらなくちゃいけません」




C&Cとの戦闘はアリスVSネル以外は原作とほぼ同じなのでカットするかもしれません。

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