シャーレの1日
「全く先生ってば本当にだらしがないわ」
シャーレ奪還から数日が経ち、私早瀬ユウカは正式にシャーレへの所属の要請を先生から受けて加入した訳だがここ数日で先生のだらしなさを常に目の当たりにしていた。
「お酒はとにかく飲むし金銭感覚は狂ってるし、シャーレへと回ってくる書類仕事を全然進めないし!」
「トリニティの救護騎士団の子に叱られるぐらいお酒を飲むなんて……」
「先生ってば私がいなきゃ本当にダメなんだから……」
なんて独りごちっているとシャーレの部室の目の前にたどり着いた。部屋に入る前に手鏡で髪を整える。こ、これは身だしなみを整えるためであって、別に先生にちゃんとした姿の私を見てほしいとかそういうのではなくて!
「先生、失礼しますってなんでこんなに書類を散らかしてるんですか!?」
「あー……?ユウカか、どうした何の用だ?」
「何の用だって今日は私がシャーレの当番の日じゃないですか!」
「あーそういえばそうだったな」
「そうだったなって!全く先生は私がいないと本当にダメな人ですね!」
「……まだ少ししか過ごしてないがお前ダメ男に惚れそうな奴だってことが分かったわ」
「な!?そんなわけないじゃないですか!」
「ハイハイ、俺が悪かったよ」
「ちゃんと話を聞いてください先生!」
「聞いてる聞いてる」
この間も思ったけど先生ってどうやって生活してきたのかしら?結婚願望があるとしたら絶望的だと思うのだけれど……
「このままじゃ先生結婚なんてできませんよ!」
「もう結婚はコリゴリだ!」
「え?せ、先生、け、結婚なさられてたんですか!?」
「昔の話だ、今はもう別れているが」
「そ、そうなんですね。そのコリゴリというのいったい何があったのかお聞きしても?」
「その……嫌なのでしたら別に全然話していただかなくても結構ですので……」
「……とてもじゃないが話せる内容ではない」
「それ程辛いことが……すみません」
「客観的に見たら俺が悪いし……」
「何かおっしゃいました先生?」
「何でもない!ともかく俺は結婚するつもりはない!万が一結婚なんかしたらメディアに何をされるか……」
「あ、あの!も、もし心変わりしたら教えてくださいね!」
そんな……まさか先生がもうすでに結婚していただなんて……しかももう結婚するつもりもないほどまでにつらい経験をしているだなんて……強敵だわ
「そういえば先生どうしてこんなに散らかしていたんですか?」
「あー……それはだな」
「あなた様、こちら頼まれていた資料です。お確認くださいませ」
「こ、狐坂ワカモ!?どうしてシャーレに!?先生私の後ろに下がってください!!」
「何なのですかあなたは?人を見るなり離れろだなんて失礼な方ですね」
「落ち着けユウカ。ワカモの身柄をシャーレで引き取ったんだよ」
「な!?引き取ったって、彼女は七囚人の一人で危険な存在なんですよ!?」
「少々口の悪いお方ですね」
「やめろワカモ、ユウカもいい加減落ち着け。今から説明してやるから」
「何か問題でもありましたか先生?」
「さっきまで一緒にいたのだからそういう話じゃないことぐらい分かってるだろお前……。矯正局の生徒について一つ頼みがある。ワカモの資料を俺の所に持ってくるように頼んでおいてくれ」
「………………それは」
「七神リン、お前の懸念もわかる。だが俺としてもあいつの情報を知っておかねば対応しきれん。何か交渉に使える情報があれば取引ができるかもしれんからな」
「分かりました。矯正局に連絡を入れておきます」
「ああ、頼んだぞ」
「さて、これがワカモの資料か……。狐坂ワカモ、年齢は18、七囚人の一人で無差別かつ大規模な破壊行動から「災厄の狐」と恐れられている……」
「やっぱやべぇ奴じゃねぇか!!よく俺あの時生きてられたな!!??」
「なんで俺助かったんだ?まるで生娘のような反応をしていたが……」
「いや……まさかな……ヘラがいるわけでもないのにメディアのようなことがそう何度も起きてたまるか」
「メディアとはいったいどなたの事でしょうか?あなた様」
「どなたって、そりゃ私の別れた妻にきま……ギャア!!」
「あまりそう何度も大きな声を出すべきではありませんよあなた様。喉に響いてしまいますわ」
「忠告どうも!!なんでここにいるんだよお前!?」
「それは……その……あなた様にもう一度お会いしたくて……」
仮面で表情は見えないがまんまあの時のメディアと一緒じゃねえか!!なんでだよ!!どうしてこうも俺はこういう運命にとらわれているんだよ!!!ふざけるなよ女神ヘラ!!!
「それでですね……その……あなた様には私……「災厄の狐」と呼ばれたくないのです……」
「どうか私のことはワカモとお呼びくださいまし」
「お前の距離感の詰め方どうなってんだよ!!」
「ハァハァ…………、それで狐坂「ワカモとお呼びください」……ワカモは何か俺に頼みごとでもあるのか?」
「……?私はただあなた様にお会いしたかっただけですので」
「……そうかよ。俺はお前に用があるんだが話してもいいか?」
「ええ、なんなりと」
「シャーレに所属する気はないかワカモ?」
「シャーレに、ですか……」
「そうだ。正直にいってお前ほどの力を持った奴を手放しにしておくわけにはいかないんだよ。ぶっちゃけお前をシャーレに所属させられるなら戦力としても申し分はないし、俺としても安心できる(生存的に)」
「あなた様がご安心なさってくださるのですか!?」
「ああ、そうだ」
「それにお前の身分を確立させて矯正局からも出してやることができる。どうだ?シャーレに来ないかワカモ」
「ええ!よろしくお願いいたしますわ先生」
「ってなことがあったんだよ、分かったかユウカ?」
「分かりはしましたけど納得できません!!」
「そもそも本当に大丈夫なんですか!?」
「あなた様、この人大丈夫なんでしょうか?」
「それは私のセリフです!!」
「あーもう落ち着けって!!」
「ワカモもう一度情報収集頼んでいいか?」
「ええ、承知いたしました」
「って!ちょっと!!はぁ……もういいです。先生いったい何の情報を集めているんですか?」
「各自治区とブラックマーケットに存在する企業について調べてるんだよ」
「ブラックマーケットはともかく各自治区の情報なんてシャーレに来た生徒から聞けば十分じゃないんですか?」
「俺が住んでた場所だとどこからが領地か把握しておかないとロクな目に合わなかったんだよ」
「へぇー、珍しいところですね」
「こっちとしては気が気じゃない」
「ふふ、先生!私もお手伝いしますね!」
「よくわからんが助かるな」
次話からはアビドス編です
イベストと恋愛要素は必要?
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イベストだけ
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恋愛だけ
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どっちも必要
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どっちもいらない